やはり俺の仮想世界は間違っている。   作:なしゅう

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作戦変更

「もうボス部屋を見つけたのカ」

「黒の剣士様に無理やり連れてかれたんだよ、くそ、過労死するぞ」

 

やっぱ俺に仕事は合わねぇな、専業主夫希望します。

 

「攻略組トッププレイヤーの揃い踏みカ、見てみたかったナ」

「トップ2人いたらそれはもうトップじゃねぇよ、それに俺なんかよりアスナやヒースクリフ、ディアベルがいるだろ」

「エー坊もなかなか有名だけどナ」

「そりゃ一層でのことがあるからな」

 

有名になりたいならまず騒ぎを起こせって偉い人が言ってました、偉い人すごい(小学生並みの感想)

でも騒ぎすぎるとIPぶっこ抜かれるって言っていました、ネットの人怖い(材木座より)

 

「エー坊は自分のことがわかってないのカ、現実でもそう言われたことがあるんじゃないカ」

 

アルゴに言われる。

思い出すのは修学旅行、文化祭……。

……雪ノ下、由比ヶ浜……。

 

「…………リアルの話を持ち出すんじゃねぇよ」

 

思っていたより低い声が出た。

アルゴは一瞬、目を見開いたがすぐにいつもの調子に戻った。

 

「悪かったナ、だけどエー坊は本当に強いゾ。巷ではなんて呼ばれてるか知っているカ?」

「キリトにも言われたが興味無い、過去の黒歴史を思い出しそうだ」

「"紫色の影"(シショクノカゲ)だゾ」

「うわあああ、なんで言うんだよ馬鹿野郎!」

 

なんだよ紫色の影って! 中二病時代を思い出しそうだ! ていうか思い出した!

 

「ボス戦が始まったと同時にダメージを入れるからナ。ファーストアタック総ナメじゃないのカ。攻略組の実力でも影しか追えないからエー坊の着ている服の色と合わせて、紫色の影ダ」

「…………はぁ、まあいい。所詮この世界での評価だ。ボス情報は伝えたぞ。じゃあな」

 

強引に話を打ち切り、帰る。

通り名のことを忘れようと無心で帰る。

 

帰ったあと、頭の中に紫色の影のことが横切る。

横切るだけじゃ済まなく駆け巡った。

ベッドの上で悶絶した。

 

 

ーーーー

 

 

三日後、いつものように転移門前でボス会議が行われる。

俺も勿論行く、がーーーーーー

 

「やべぇ、寝坊した……」

 

現在時刻は10時半、集合は10時だ。

まずいまずいと思いながら支度をし全速力で街を駆ける。

くそ、宿から転移門が遠い! 初めて遠い宿に泊まったのを嫌に思ったぞ。

 

ぜぇぜぇと息が荒くなる。

息を整えながら集合場所へ行く。なるべく見つからないように静かに……遅刻したとか思われたくないし。

隠蔽スキル使いながら近づくと女の作戦を伝える声が聞こえた。

いやこれアスナだわ。

 

「今回はキリト君、エイトマン君を軸にディアベル、ヒースクリフを筆頭に彼らをサポートしてください」

「はぁ?」

 

しまった、つい声が。

 

「……あら、もしかしてエイトマン君? 隠蔽スキルなんか使わないで出てきなさい。会議に遅刻なんてずいぶんといいご身分ね」

「これはちょっと昨日あれであれだったんですみませんでした」

「よろしい」

 

とりあえず謝るべきだと思った。だってアスナの目が怖かったんだもの……。

 

「質問いいかな、なんで今回は2人を主体にするんだ?」

 

ディアベルが手を挙げ質問する。まあ誰もが思うわな。

 

「ボスは馬に乗った武士のようです。先行隊が確認してきました。馬に乗っているので今までよりも機動力が優れているはずです。なので現時点で最も早く攻撃ができるエイトマン君と最も攻撃力が高いキリト君を軸にするべきだと思ったからです」

「なるほどね、わかった」

 

おいおい、このままじゃ……。

 

「じ、じゃあパーティー申請送るぞ……エイトマン?」

「……わかった」

 

仕方なく申請を受理する。

その間にも説明は続いていた。

 

「風林火山は2人のカバー、サポートを。軍と聖龍連合とその他の人は恐らく現れるであろう取り巻きを倒してください」

 

有無を言わせぬ物言いに皆たじろぐ。流石攻略の鬼。

こいつが本当に先立って統率するようになったら危ないな……ディアベルとかいるから平気か。

 

「それでは、よろしく頼むぞエイトマン君」

「…………ヒースクリフか、マジで頼むぞ。死にたくない」

「ははは、思っていたよりも臆病な性格なようだ」

「元からだ」

 

不意にヒースクリフに話しかけられ一瞬戸惑った。

完全に歳が離れてるからな……平塚先生くらいの年齢か?

 

「では、解散」

 

相手は馬に乗った武士か。

気を引き締めて、今まで通り倒すだけだ。

 


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