やはり俺の仮想世界は間違っている。   作:なしゅう

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艦これしてました。ごめんなさい……


君付け終わり

「ーーーーーーはぁぁぁ……」

 

疲れ果てて、長い溜息が出る。

よく考えてみれば2人でボス並みのモンスターに挑むってのもおかしな話だよな。

よく勝てたな……。

 

まあ、ディアベルの両手剣のおかげなんだけどな……って、そうだ、両手剣だ。

 

「ディアベル、いつの間に両手剣使ってたんだ?」

「うーん……どうかな、多分50層を超えたあたりから少しずつ熟練度高めていったと思う」

「ほーん。んで、なんで両手剣なんだ? 慣れた片手剣とかはダメなのか?」

 

率直に聞く。両手剣の動きもいいものだが、やはり片手剣の身軽さを見せてくるディアベルのことが脳裏に浮かぶ。

両手剣を握ってるディアベル……なんだろう、猛獣に見える、青いライオンだ。青獅子。

 

「えー……っと、特に深い意味は……」

「何となく、でか。まあ、どさどさ聞くことでもないな。すまん」

 

ディアベルは言う気がないみたいなので、この辺りでやめておく。

俺も何故刀を使いだしたか聞かれたくないしな。

建前としては、リーチが長く、DPSが高いから。

本音はカッコイイじゃん。

 

「いや、言ってもいいことなんだけど……恥ずかしいからさ」

「お前が恥ずかしがることか、気になるな」

 

ディアベルが恥ずかしがること……わからない。

こいつ万能イケメンだしな……(関係ない)

 

「その、僕も一応攻略組のトッププレイヤーだろ?」

「立派なトッププレイヤーだな」

「一応、トップ5に入ってるだろ?」

「ああ、そうだな」

「そのトップ5の使ってる武器と特徴をちょっと思い出してみてよ」

 

言われた通り思い出す。

ヒースクリフ……片手剣、ユニークスキルの《神聖剣》を使い、攻守一体の万能型。防御力が凄まじい。

キリト……両手剣、ユニークスキルの《二刀流》を使い、怒涛の連続攻撃を繰り出す、攻略組トップアタッカー。

アスナ……細剣、敏俊値の高さは俺には及ばないものの、それを活かしたとてつもない剣速を扱う。

俺……刀、ユニークスキルの《抜刀術》を交えながら、一撃離脱を繰り返し着実にダメージを与える。攻略組トップのDPS。

 

ふむ、あとはディアベル……。

 

ディアベル……片手剣、攻守万能、オールラウンダー。

 

…………短い。

なんとなくわかった、なるほど。

 

「……特徴が欲しかったのか?」

「……正解」

 

やー、うんうん。それは恥ずかしい、のか?

確かに特に特徴もなく、指揮官として動いてくれるし、万能な動きで何でもそつなくこなしてくれる。

だけど、これと言った特徴がない。

ヒースクリフの防御力、アスナの剣速、キリトの連撃、俺のDPS。

ディアベルは、そこで両手剣を使って前線に出れる指揮官アタッカーってなりたいんだな、俺の考察力すげぇ。

 

「ふ、ふふ……僕がこんなこと考えてるなんて、おかしいと思ったでしょ……」

 

不気味な笑い声とブツブツ言い出すディアベル。自己嫌悪に陥っているっ……!

 

「俺はいいと思うぞ、両手剣。なんか、青獅子みたいで」

 

とりあえず、さっき思っていたことを慌てて言ってみる。

カバーできたか……?

 

「ふふ……ありがとう」

 

あ、これダメだ。不気味な笑い方治ってない。

まあ、放っておけば何とかなるだろ、ソースは材木座。

放っておいたら結局立ち直ってるしなあいつ。

 

「さて、お喋りもこの辺にして……どうする? ドア開けられる?」

「待ってろ………………いや、無理だ。鍵が必要みたいだ」

「鍵……この部屋にあるオブジェクトって言ったら、あそこの玉座しかないね……」

 

まあ、あそこに置いてあるんだろうな……。

探してみると、玉座の下に鍵が埋め込まれていた。

力づくでそれを取ると、アイテム化してストレージに入った。

 

「ディアベル、鍵手に入れたぞ。どうする? 見に行くか?」

「うーん…………いや、やめておこう。一旦引き返して今回の出来事をヒースクリフに伝えるのが先だと思う」

「そうだな、なら鍵はお前に預けておく」

「僕が? 何で?」

「そりゃ……お前が現場のリーダーだからだな」

 

不気味な笑いをしていたディアベルに、お返しとばかりに俺も精一杯の笑顔を作る。

鏡の前で練習……やめておこう、黒歴史だな。

 

ディアベルは素直に鍵を受け取り、俺に笑いかける。ああ、これだ。

やっぱこいつは爽やかなのが似合う、そういう奴なんだろう。

俺とは正反対の位置に存在しているな。

 

「じゃ、戻ろうか、エイトマン」

「そうだな、……エイトマン?」

「もしかして嫌だった? ならやめるけど」

「いや、別に……戻るか、ディアベル」

 

急に君付けをなくされたためか、ビックリした。

そのことを隠すように俺はディアベルの前を歩いた。

 


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