やはり俺の仮想世界は間違っている。   作:なしゅう

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タイトルでどっちが勝ったかわかりますね。
でも展開的には原作通りにしたいのですみません…


入団

熱気が、熱気がやばい。

 

前の大会の時もこうだったのか? よく来れるな。

俺なら絶対行かないで家でゴロゴロしてるぞ。……と言いつつも来たんだけどな。

会場は壮絶な盛り上がり。

皆が何を見に来てるかって?

ヒースクリフvsキリトの再戦だよ。

 

まだ始まって数分、その間にもう何回の攻防が続いたのか。

《神聖剣》のヒースクリフ。

あの防御の高さはどう突破すればいいのか。

盾を攻撃に使うなんて見たこともない。

対するキリトは《二刀流》。

目にも見えぬ速さで攻撃&攻撃の超アタッカーだ。

まさにほこ×たて。

最強の矛と最強の盾を決める試合みたいだ。

 

おっと、キリトが吹っ飛ばされた。

盾の攻撃は初撃に入らないのか?

一発入れようとヒースクリフが接近したところをキリトが剣で弾く。

剣が青く輝く、ここでキリト選手、ソードスキルを発動させました!

 

実況者っぽくなってたのは気のせいだ、うん。

あのスキルは多分、74層のボスを倒した時に使ってた、なんとかバーストなんとかリームだろ。

それら全てをガードするヒースクリフ、あいつ化物かよ。

 

だがキリトも負けてない、連続で攻撃を浴びせ続ける。

そういえばガードって、攻撃受けすぎるとガードブレイクが発生したような……。

 

そう思った次の瞬間、ヒースクリフの盾が横に弾かれた。

盾に覆い隠されていた部分がガラ空きになる。

 

その瞬間は、キリトの右手の剣によって切り裂かれた。

ヒースクリフに一撃がーーーーーー。

 

「……あれ?」

 

気づいた時には、キリトの剣は盾で受け流されていた。

前のめりになるキリト。

ヒースクリフの剣は、そんなキリトを易々と切り裂いた。

 

ーーーー

 

あれの戦いから数日。

キリトは勝負前にした約束を守り、血盟騎士団へと入った。

月夜の黒猫団のメンバーは悲しそうにしてたが、もう皆攻略組に入っても十分なくらい強くなっていたのでキリトも満足だろう。

 

……この戦いって、キリトが勝ったらアスナを黒猫団にスカウト、負けたら血盟騎士団に入るってことだったんだよな。

どっちに転んでもアスナはキリトと一緒にいられる……あれ、アスナさん大勝利じゃないですか?

 

「ちょっと、何か変なこと考えたでしょ」

「いや全然何にも考えてません」

「ふーん……」

 

血盟騎士団のホーム、その一階のロビーに俺はアスナと共にいる。

キリトは現在、ゴツイおっさんとリュークみたいな死神顔の男とついさっき任務に出かけた。

アスナの愚痴を聞く限り、あの死神男は前にキリトとPvPしてぼろ負けした相手らしい。

 

「はぁー……せっかくキリト君と一緒にいられると思ったのに」

「俺で悪かったな」

「呼んだのは私よ、暇だもの」

「レベリングか攻略してこいよ」

「キリト君と一緒じゃなきゃやだ」

 

何この駄々っ子。アスナって割と馬鹿な子?

ムスッとした顔で俺を見てくる。俺は呼ばれたから来ただけなのに……。

 

「そういえばヒースクリフはどうしたんだ?」

「団長は攻略の時以外は部屋にいるわよ」

 

余り顔を出さないのな。

それにしてもアスナを見てると、ついこの間の事を思い出すな。

殺人の重圧、嫌悪の視線、自分を執拗に責め、心身ともに疲れ果て、死にかける。

そこをアスナに助けてもらい、話を聞いてもらい、抱き締めてもらーーーーーー。

 

やめよう、前半は忘れてはいけないことだが後半の抱き締められたところは忘れよう。

あの時は切羽詰まってたから余り感じてなかったが……後々になるとあの感触を思い出してしまう……。

 

「何チラチラ見てるの?」

「いっ、いやなんでもございません」

「何よその口調……あっ、キリト君が止まった」

 

ちょっとストーカー基質あるんじゃないの?

キリトの行動逐一確認してるんだが……。

いや、もう付き合ってるみたいなもんだしストーカーじゃないな。束縛だな。

束縛系はちょっと……ご注文はほのぼの系ですか?

心でぴょんぴょんしていると、目の前にいるアスナの目が急に大きく開かれる。

 

ガタリ、とアスナが立ち上がった。

 

「ゴトフリーの位置情報が……消えた」

「えっ、何だって?」

「キリト君の身に何かが……! エイト君! 行くよ!」

「えっ、ちょっと。えっ?」

「場所はここっ!」

 

マップを送り付けられる。

よくわからないがアスナの焦り具合からかなりまずいことが起きてるのが想像できる。

指示された場所を確認、最短ルートを頭の中で構築。

 

「全速力で行く」

「エイト君の方が速いもの、私も後ろからついていくわ」

 

俺は全速力で走り始めた。

嫌な予感が的中しないことを祈りながら。

 

 


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