Double Servant -Poetry of Brimir-   作:ねずみ一家

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第五十五話 開戦

ゲルマニア皇帝のアルブレヒト三世と、トリステイン王女アンリエッタの結婚式は、ゲルマニアの首都ヴィンドボナにて行なわれる運びだった。

式の日取りは三日後、ニューイの月の一日に行われる予定である。

 

そして本日、トリステイン艦隊旗艦の『メルカトール』号は神聖アルビオン政府の客を迎えるため、艦隊を率いてラ・ロシェールの上空に停泊していた。

 

後甲板では、艦隊司令長官のラ・ラメー伯爵が国賓を迎えるために居住まいを正している。

その隣に立つ、艦長のフェヴィスは焦れたように口髭をいじっていた。

 

「奴らは遅いではないか。艦長」

 

苛ついた口調で、ラ・ラメーが呟いた。

 

「自らの王を手に掛けるような者共です。着飾るのにも時間がかかるのでしょうな」

 

アルビオン嫌いであったフェヴィスは忌々しげに呟く。

その内に、鐘楼に登った見張りの水兵が大声で艦隊の接近を告げた。

 

二人が上方を見上げると、雲と見まごうばかりの巨艦を先頭に、アルビオン艦隊が静かに降下してきている。

 

「ふむ。あれがアルビオンの誇る『ロイヤル・ソヴリン』か・・・」

「戦場では会いたくないものですな。後方の戦列艦が小型スループにすら見える程です」

 

フェヴィスの言葉に、ラ・ラメーも後方のアルビオン艦隊を見る。

 

なるほど、確かに戦列艦といえども『ロイヤル・ソヴリン』の前では大人と子供の差のようなものだ。

かの内戦においてあの艦が最初に裏切ったのであれば、アルビオン王党派が敗北を喫したのにも納得はいく。

 

降下してきたアルビオン艦隊がトリステイン艦隊に並走する形を取ると、旗流信号をマスト上に掲げた。

 

「貴艦隊ノ歓迎を謝ス。アルビオン艦隊旗艦『レキシントン』号艦長」

 

傍らの士官が言葉を読み上げる中、フェヴィスは苦々しげな表情で口を開いた。

 

「こちらは提督を乗せているのだぞ。艦長名義での発信とはこれまたコケにされたものですな」

「あのような艦を与えられたら、世界を手中に収めたなどと勘違いしてしまうのであろうな。よい。返信だ。『貴艦隊ノ来訪ヲ心ヨリ歓迎ス。トリステイン艦隊司令長官』、以上」

 

ラ・ラメーの言葉を士官が復唱し、それをマストに張り付いた水兵が復唱する。

するすると、マストに命令どおりの旗流信号が昇る。

 

すると、空気を引き裂く轟音と共にアルビオン艦隊から礼砲が放たれる。

 

大砲に詰められた火薬のみを爆発させているため弾は込められていないが、『レキシントン』号からの射撃には禍々しい程の威圧感がある。

とはいえ、この距離ならば弾が込められていても届くことはない。

 

「よし、答砲だ」

「何発撃ちますか? 最上級の貴族への答砲ならば十一発と決められておりますが」

「七発でよい」

 

子供のような意地を張るラ・ラメーに、艦長のフェヴィスはにやりと笑って命令を下した。

 

「答砲準備! 順に七発! 準備が出来次第、撃ち方はじめ!」

 

 

 

 

アルビオン艦隊旗艦『レキシントン』号の後甲板で、艦長のボーウッドは左舷に広がるトリステイン艦隊を見つめていた。

貧弱な布陣ではあるが、トリステイン空軍の規模を考えると最大限の布陣だともいえるだろう。

トリステイン空軍とアルビオン空軍を比較するのは流石に酷だと言わざるを得ないのも事実である。

 

しかし、ボーウッドの隣に佇むサー・ジョンストンは心なしか不安そうな表情を浮かべている。

 

サー・ジョンストンはアルビオン艦隊司令長官及び、トリステイン侵攻軍の全権を担っている。

貴族議会議員でもある彼はクロムウェルの信任厚いことでも知られているが、実戦の指揮は執ったことがなかった。サー・ジョンストンは政治家であるのだ。

 

「艦長、この距離で本当に問題ないのかね? まだ先は長いのだ、もっと離れたまえ」

 

クロムウェルの腰ぎんちゃくめ、と内心呟きながら、ボーウッドは冷たい声で答えた。

 

「サー。新型の大砲といえども、射程いっぱいで撃ったのでは当たるものも当たりませぬ」

「分かっているのか? ここでの損害は抑えなければならないのだ。託宣の通りに向かわなければならないのだぞ?」

 

ボーウッドは憎々しげな顔をしながらも頷いた。

 

「・・・分かっております。ですが、ここは私にお任せください」

 

信じられない話ではあるが、アルビオン艦隊の目的地はラ・ロシェールではなかった。

 

それを知ったボーウッドは再度クロムウェルに詰め寄った。

空軍の拠点として最適なのはラ・ロシェールだ、後続の安全を確保するためにも狙う場所はそこではない、と。

 

しかしクロムウェルは、まるで狂信者めいた目をしながらこう告げたのだった。

 

 

-艦長、君は家畜をしめたことがないのか? 一息に、しかし確実に、だ。

 それに、これは始祖より賜った託宣なのだよ! 余の決定に変更はない!

 

 

甲板に流れる風の中で、素人が、とボーウッドは小さく呟いた。

 

以前ロサイスで会った時に比べてクロムウェルの様子は少々おかしかったが、ボーウッドにとってはどうでも良い話だった。

それに突拍子もない計画であるとはいえ、奇策の一つとしては悪くは無い。

今目の前にあるトリステイン艦隊を殲滅するのなら、ラ・ロシェールを狙おうが狙うまいが、早いか遅いかだけの違いである。

 

「左砲戦準備」

「左砲戦準備! アイ・サー!」

 

砲甲板の水兵たちによって大砲に装薬が詰められ、砲弾が込められる。

 

トリステインの旗艦より答砲が轟いた。

 

 

作戦開始。

 

 

その瞬間、ボーウッドの目が軍人のそれへと変貌した。

政治上のいきさつも、作戦への不信感も、トリステイン艦隊への憐憫も、その全てが頭から掻き消えていた。

 

「各艦へ通達。作戦開始」

 

静かに命令を下すと、傍らの士官が部下たちにその言葉を伝えた。

甲板上の水兵たちが慌ただしく動き回っていく。

 

そしてアルビオン艦隊の最後尾に位置していた『ホバート』号の乗組員達が、『フライ』の呪文を使用したボートで脱出していくのを、ボーウッドは視界の端で見送っていた。

 

 

 

 

答砲が次々と発射される中、『メルカトール』艦上のラ・ラメーは驚くべき光景を目の当たりにした。

アルビオン艦隊最後尾・・・、旧型の小さな艦から火災が発生したのだ。

 

「なんだ? 事故か?」

 

フェヴィスが呟く。

次の瞬間、火災が発生した艦があっという間に炎に包まれ、大きな爆発を起こした。

 

残骸となったそのアルビオン艦は、燃え盛る炎と共に、ゆるゆると地面に向かって墜落していく。

 

「・・・何事だ? 火災が火薬庫に回ったのか?」

 

トリステイン旗艦『メルカトール』号が騒然となる中、『レキシントン』号の艦上より手旗の信号が送られてくる。

それを望遠鏡で見つめる水兵が信号の内容を読み上げていく。

 

 

「『レキシントン』号艦長ヨリ、トリステイン艦隊旗艦。『ホバート』号ヲ撃沈セシ、旗艦ノ砲撃ノ意図ヲ説明セヨ」

 

 

「何・・・?」

 

水兵の言葉に、ラ・ラメーは緊張を走らせた。

 

「何を言っている・・・! 返信しろ! 『本艦ノ射撃ハ答砲ナリ。実弾ニアラズ』、送れ!」

 

すぐに『レキシントン』号からの返信が届く。

 

「タダイマノ旗艦ノ砲撃ハ空砲ニアラズ。我ハ、貴艦ノ攻撃ニ対シ応戦セントス」

「何のつもりだ! ふざけたことを!」

 

ラ・ラメーは激昂した。しかし、その声は『レキシントン』号の一斉射撃の轟音で掻き消される。

 

次々と迫りくる砲弾に、フェヴィスとラ・ラメーは息を飲んだ。

 

着弾。

 

『メルカトール』号のマストが折れ、甲板に数発の砲弾が直撃する。

 

「ば、馬鹿な! この距離だぞ!」

「送れ! 『砲撃ヲ中止セヨ。我ニ交戦ノ意志ハアラズ!』」

 

しかし『レキシントン』号は更なる砲撃を続けていく。

艦が震え、そこかしこで悲鳴と怒号が響きわたる。

 

 

「繰り返せ! 『砲撃ヲ中止セヨ! 我ニ交戦ノ意志ハアラズ!』」

 

 

「回避行動いそげ! 全速にて敵旗艦射程より離脱――」

 

 

フェヴィスが命令を下そうとした瞬間、着弾した砲弾の破片がラ・ラメーの身体を飲み込んだ。

フェヴィスの身体もその衝撃に吹き飛び、甲板に叩きつけられる。

 

 

霞む視界に目の前で広がる光景が映され、フェヴィスはようやく信じたくもない事実に気が付いた。

 

 

これは、計画された攻撃行動だ。

奴らは・・・初めから親善訪問のつもりなどなかったのだ!

 

 

艦上ではいたるところで火災が発生し、水兵たちが苦痛の呻き声を上げている。

頭を振りながらフェヴィスは立ち上がると、生き残った士官へと叫んだ。

 

「艦隊司令長官戦死! これより旗艦艦長が艦隊指揮を執る! 各部被害状況知らせ! 艦隊全速! 右砲戦用意ッ!!」

 

 

 

 

「やっと気付いたようですね」

 

ゆるゆると動き出したトリステイン艦隊を眺めながら、ボーウッドの傍らでワルドが呟いた。

既に、ジョンストンは逃げるように艦の中へと引っ込んでしまっている。とはいえ、名ばかりの司令長官ごときにいかほどのことが出来るともワルドは思っていなかった。

上陸作戦における実際の総指揮は、ワルドが行なうことになっているのだ。

 

「そのようだな。しかし、もう勝敗は決した」

 

行き足のついていたアルビオン艦隊は、主にマストや甲板上の設備を狙って砲撃を繰り返していた。

その上、速度を上げ始めていたトリステイン艦隊の頭を抑えながら一定の距離を保ち続けている。

 

速度を維持できないトリステイン艦隊には、もう為す術がない。

 

しかも、アルビオン艦隊には『レキシントン』号がいる。

超長射程での一斉射撃が行なわれる度、狙われた艦からは大きな爆炎が上がっていった。

 

一刻も持たぬ間に『メルカトール』号の甲板がめくり上がり、爆音と共に空の上から消えた。

次々と撃沈されていくトリステイン艦隊の中には既に白旗を上げている艦すら見える。

 

一方のアルビオン艦隊にはさほどの損傷も見られない。正に、完勝だった。

 

その光景に、『レキシントン』号の艦上からは歓声が上がっていた。

「アルビオン万歳! 神聖皇帝クロムウェル万歳!」という叫びに対して、ボーウッドは冷たい視線を送り続けていた。見ると、いつの間にか艦内から出てきたジョンストンまでもが万歳の連呼に加わっている。

 

かつて空軍が王立だった時には、戦闘行動中に『万歳』を唱える輩などいなかった。

 

「・・・堕ちたものだな」

 

その呟きはボーウッド以外の誰にも聞こえてはいなかった。

ワルドがいつものように、何の感慨も無い口調で言う。

 

「艦長、新たな歴史の幕開けですな」

 

ボーウッドは炎に包まれて落ちていく『メルカトール』号を見つめながら、静かに呟いた。

 

「・・・なに、戦争が始まっただけだ」

 

 

 

 

 

 

「すぐにここを離れるのです! 急いで!」

 

ラ・ロシェールの方角から響き渡る轟音の中、コルベールは声を張り上げていた。

タルブ村の人々はみな怯えながらも各々の荷物をまとめ始めている。

こうしている間にも先程と同じように、空から何隻もの燃え上がった艦が森の中や山肌へと落ちてきていた。

 

シエスタの家族や村の人々を手伝いながら、リウスは遠く見える艦隊へと目を向ける。

 

その先頭には他の艦よりも、一回りも二回りも巨大な艦。

リウスには、その艦の様相に見覚えがあった。

 

アルビオンとトリステインは不可侵条約を結んでいたはずだ。しかし今の状況を見る限り間違いない。

 

戦争が、始まったのだ。

 

コルベールは元々軍人だったらしく、今のタルブ村の状況は非常に危ういものだと危惧していた。

そのコルベールと村長の相談の元、タルブ村の人々はタルブ領主の館を経由し、トリスタニアまで避難することを決めている。

アルビオンが侵攻するのであればラ・ロシェールを狙う可能性が高い。その際の拠点となりうるのは、ここ、タルブ村となる可能性が極めて高いのだ。

 

しかしまだ一刻程度しか経っていないというのに、既に上空から墜落してくる艦の数は無くなりつつある。

つまり、空戦が終わろうとしているということだ。

 

 

「ドラゴンが来るぞ!!」

 

 

その村人の叫びに、シエスタの家の中にいたリウスは外へと飛び出した。

 

瞬間、二匹の真っ赤なドラゴンが頭上を通り過ぎていく。

奴らは値踏みするかのように上空を旋回し、次第に高度を下げ始めていた。

 

「みんな、急いで!」

 

シエスタの両親を促して先に子供達と共に森へ向かわせる。

村の人々が悲鳴を上げる中、竜騎士の乗った一匹の火竜が通り過ぎる際に家々へ火のブレスを放っていた。

 

直径2メイルはあろうかという火のブレスはあっという間に家々を飲み込み、タルブ村が炎に包まれていく。

ぎりと目の前の光景に歯噛みをしながら、リウスは叫んだ。

 

「シエスタ! 早く!」

 

そしてシエスタが階段を駆け下りてくる音を耳にしながら、リウスは勢いよくバゼラルドを引き抜いていた。

 

上空にいる一匹の竜騎士がこちらに向かってきている。

それに気付いたコルベールもこちらに向かって駆けてきていた。

 

 

「リウスくん! そこを離れなさい!」

 

「まだシエスタが中に! ここで迎撃します! シエスタ、下がって!」

 

 

一か八か、ブレスを吐かれる前に撃ち落とすしかない。

ガンダールヴのルーンが光り輝き、リウスは詠唱を紡いでいく。

全力のライトニングボルト。これが効かなければ、二人とも死ぬことになる。

 

迫りくるドラゴンの口の中がかすかに光る。

その瞬間、ようやく竜騎士が射程に入った。

 

「ライトニングボルト!」

 

ドラゴンの翼に強力な稲妻が落ち、がくんとドラゴンの体勢が崩れた。突然のことに竜騎士が慌てて方向を変える。

しかし方向を変えたために勢いは落ちながらも、ドラゴンはその口から既に火のブレスを放っていた。

 

「いかん!」

 

駆けるコルベールが即座にルーンを詠唱すると、杖の周りに大きい炎の帯が発生した。

 

その炎の帯はまるで地面を滑るようにリウスの元へと進み・・・、ブレスが直撃する寸前にリウスの目前で炎の帯が勢いよく吹き上がった。

二つの炎は絡み合うように頭上へと逸れていく。

 

突然のことにリウスがコルベールへ驚愕の表情を向ける。

 

「早く行きますぞ!」

「は、はい! シエスタ! 行くわよ!」

 

家の中から飛び出してきたシエスタと共に、リウスは森へ走り始めた。

シエスタの腕には頑丈な木の箱と、何枚かのスクロールが握られている。

 

 

「すみません! 箱の鍵が見つからなくって!」

 

「いいのよ! それよりも早く逃げないと・・・っ!」

 

 

リウスは目を見開いた。

 

森の上空、その左右から竜騎士が旋回してきている。

周りにはまだ数人の逃げ遅れた村人たちがいる。

先に走るコルベールも気付いた様子ではない。

 

森までは間に合わない。

一瞬の逡巡の中、リウスはシエスタの抱えるスクロールを見る。

 

「シエスタ、止まって! ドラゴンが来る! 一番上のスクロールを!」

 

はっとしたシエスタは、上空から向かってくる二体のドラゴンに目を見開いていた。怯えた様子でリウスの顔を見る。

 

 

「大丈夫、あなたなら出来る! 早く!」

 

 

意を決して、シエスタは一番上のスクロールを開いた。

 

スクロールが光り輝き、シエスタは身体の中を何か得体の知れないものが駆け巡るのを感じていた。

胸の奥が熱くなり、口からは聞いたこともない呪文が飛び出していく。

 

狙うべきは、目の前の火竜。

次の瞬間、頭に魔法の言葉が浮かび上がった。

その言葉は・・・。

 

 

「ソウル――――」

 

 

スクロールが起動した瞬間、それに合わせるようにリウスも高速で詠唱を開始していた。

 

この魔法でドラゴンを倒すことはできない。

だが、『怯ませる』ことなら・・・!

 

 

「ソウル――――」

 

 

二体の竜騎士がこちらへと向かってくる。

そのまま左右のドラゴンがブレスを吐く準備を整えた瞬間、二人は同時に詠唱を完了させた。

 

 

 

「「――――ストライク!!」」

 

 

 

二人の後方から十数個の光の球が浮かび上がった。

シエスタが放った小型のソウルストライクの隙間を埋めるように、リウスの光球も竜騎士たちへと襲い掛かる。

 

二人の竜騎士は目前に広がる光の壁に息を飲み、即座に回避行動に出た。

しかし追尾する光の球は竜騎士たちの側面へと次々にぶつかり、二体のドラゴンはきりもみをしながら地面へと落下する。

 

リウスはふらつくシエスタの手を取ると、背後の気配を警戒しながら森の中へと急ぐ。

 

しかしその途中で、リウスは気が付いた。

今、シエスタの手を取っているということは・・・。

 

シエスタを先に走らせ、森の入り口に差し掛かっていたリウスは勢いよく振り向いた。

起き上がった二体のドラゴンが雄叫びを上げる中、タルブ村の広場に、小さな、重厚な木の箱が転がっていた。

 

咄嗟に駆け出そうとしたリウスの手が誰かに掴まれる。

 

「何をしているのです! 早く逃げますぞ!」

「あれを回収しないと!」

 

二体のドラゴンが宙へと飛び上がり、猛然とこちらに向かってくる。

そのまま翼を翻したかと思うと勢いよく森の入り口へ向けて火のブレスを放った。

 

リウスはコルベールに引っ張られるように森の奥へと駆け始める。

 

 

「もう無理だ! 諦めなさい!」

 

 

背後からは炎がうねりを上げて迫ってきている。

その炎の壁に、隙間などなかった。

 

「くそっ!」

 

木々の間からそこら中に火を吐きかけているドラゴンが見える。

このままでは逃げ場がなくなる。

 

リウスは、シエスタやコルベールと共に森の奥へと走り続けた。

あの箱が破壊されないことを、ただひたすらに祈りながら・・・。

 

 


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