声を失った少年【完結】   作:熊0803

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久しぶりの投稿です。もし待っていた方がいたら、申し訳ありません。


【第二章】〜穏やかな日常〜
21.声を無くした少年は、少女たちと会話する。


 …こんにちは。また来たのね。

 え?その姿は何かって?…気にしないで。近くで見るのに一番最適なだけよ。

 それじゃ、始めましょう。声を無くした少年の物語、その第2章を。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

  ゴールデンウィークも過ぎて、じわりじわりと暑くなりはじめてくる今日このごろ。昼休みともなると生徒のざわめきも大きくなり、余計に暑く感じる。

  元来、俺はそこまで暑さには強くない。なので、少しでも涼しさを求め、人のいない場所へと向かった。

  人間の基礎体温は三十六度。気温にすれば真夏日どころか猛暑日である。さしもの俺とてそんな高温多湿に耐えられるはずがない。

  猫なんかもそうだろう。暑いと人気のないところへ行くものだ。俺もまた純然たる暑さ対策のために人気のないところを目指した。いや、だって教室はクーラーついてないし。女子の何人かがこっちをじーっと見てるし。

  むしろ、何でクラスの連中はあんなに密集してて暑苦しくないのだろうか。俺だったら三分で沸騰するわ。あ、これカップ麺と同じじゃね?

  そんな壮絶にくだらないことを考えながら、俺は足を動かす。

 屋上へと続く踊り場。

  使わない机が乱雑に置かれた、人一人通るのがやっとのような場所である。

  屋上につながる扉はいつもならちゃちい南京錠が外され、ぷらぷらと揺れていた。

  どうせどこかのクラスのちゃらちゃらした連中がぎゃーすか騒ぐために屋上に出たんだろう、ほんとナントカと煙は高いところがアレである。このまま封鎖したろかと思い、机を三つとイスを二つほど重ねた。相変わらずこういう作業は早い。超どうでもいいですね。

  だが、そのとき、扉の向こうがやけに静かなことに気がついた。

  おかしい。俺の知る限り、彼ら彼女らリア充どもは静寂を嫌うものだ。それはもう火を恐れる獣のごとく。沈黙=つまらないと解釈し、自分がつまらない人間であることを悟られまいととにかく喋る。騒ぐ、はしゃぐ。

  その点、あの部室で雪ノ下とゲームをしているときの静寂はいい。気まずくなく、むしろ、少し心地よささえ感じる。

  この静けさからするとあの手の連中はこの先にはいないようだ。もしかしたら誰もいないのかもしれない。

  誰もいないとなると、俄然元気になるのがぼっちである。ほら、自分のやってることにネチネチ口出しされないから、テンションが上がるから。

  俺は自分で築いたバリケードを少し崩すと隙間から先に進み、扉に手をかける。

  少しワクワクしていた。たとえば初めて駅の蕎麦屋さんにふらりと入ったときのワクワク、わざわざ千葉市から離れて四街道市の本屋さんでアレな本を買ったときのドキドキ。そんな、独りぼっちだからこそ味わうことのできる独特の高揚感。

  扉の先に広がるのは青い空、そして、水平線。

  今やこの屋上はプライベート屋上と化していた。

  お金持ちはプライベートジェットやプライベートビーチなどを持ちたがる。常にプライベートタイムであるぼっちはその遥か上をいく。つまりぼっち最強。Q.E.D。

  空はあくまでも五月晴れで、いつかこの閉塞した世界から抜け出せるのだと、そう告げているようだった。往年の名画でいうなら、『シャークの空に』的な。まぁ見たことないんだけど、名前的にそんな映画っぽいよな。

  遠く霞行く空を眺めると、いつかの記憶が蘇る。まだ、自分の人生に希望を持っていた頃。俺へ変わる前の、純粋な一人の少年を幻視させる。

  そんなことを考えながら、持ってきた弁当と職場見学希望調査票を床に置く。

  職場訪問は定期試験明けに迫っている。俺がその紙に志望する職業を書くことはない。なぜなら、既に属しているから。一生やっていくと決めているので、『義父の会社』と適当な志望動機を書き連ねて、さっさと弁当を広げた。

 ーーーそのとき。

  風が吹いた。放課後の、気だるい空気を運び去るような、そんな運命的な風。定められた俺の未来を描いた一枚の紙を紙飛行機のように飛ばしていく。

  詩的に表現したが、もちろん今さっきまで書いていた職場見学希望調査票だ。おいバカこの風マジふざけんな。

  紙は俺を弄ぶようにかさかさと地を這い、追いついたと思ったらまた高く飛ぶ。

 ………もういいや。紙をもらってまた書き直そう。こんなところで身体能力を披露する意味もないし。

 肩をすくめて戻ろうとしたときだった。

「これ、あんたの?」

  声がした。ややハスキーな、どことなく気だるげなその声の持ち主を捜して俺はきょろきょろと周囲を見渡すが、周りに人はいない。いつも一人だが、そういう意味ではなくこの屋上にほかの人影は見つからない。

「どこ見てんの?」

  ハッとバカにした感じで笑う声は、上から聞こえた。上からものを言うとはまさしくこのことだろう。屋上からさらに上へ突き出た部分、梯子を上った先にある給水場。

  その給水塔に寄りかかり、俺を見下ろしている。

  手の中で安っぽい百円ライターを弄び、俺と目が合うと、そのライターをそっと制服のポケットへしまい込んだ。

  長く背中まで垂れた青みがかった黒髪。リボンはしておらず開かれた胸元、余った裾の部分がゆるく結びこまれたシャツ、蹴りが鋭そうな長くしなやかな脚。そして、印象的なのがぼんやりと遠くを見つめるような覇気のない瞳。俺とは違う、あまり綺麗とは言えない目だった。

「これ、あんたの?」

  その女子はさっきと変わらぬ調子で言った。無言で頷き返す。何年生かわからないし、そもそも相手がいくつだろうと俺が喋れないのは変わらない。

「……ちょっと待ってて」

  ため息交じりにそう言うと、梯子に手をかけてするすると下りてくる。

 ーーそのとき。

  今一度風が吹いた。それによって気だるげな女子のスカートがめくれ上がり、パから始まるアレが見える。うおっ!?

  梯子の途中から手を離し、すとっと降りた女子は俺に紙を渡す直前にそれを一瞥する。

「………ふん」

  何も言うことなく、不機嫌そうな鼻息を一つ落とすと扉から校舎内へ消えていった。

  返してもらった紙を片手に、早急に脳内から先ほど見た光景をデリートしようとする。

 キーンコーンカーンコーン

  すると、タイミングよく昼休み終了のチャイムが流れた。

  俺は慌てて駆け戻り、弁当をかっこむ。

  黒のレース、か…

  もきゅもきゅと肉巻きを頬張りながら、そんなバカなことを考えるのだった。

 

 ーーー

 

 

 職場見学希望調査票

 

 総武高校 2年 F組

 比企谷八幡

 

 1.希望する職業

 既に義父の会社に仮所属をしています。

 2.希望する職場

 会社の研究室

 3.理由を以下に記せ

  俺の義父の会社は様々な補助機械を取り扱っている。足の不自由な老人には充電の長持ちする電動車椅子を、腕のない人には最新の技術で作られた義手を。

  俺は声帯が潰れているので話すことができない。その理由についてはここで書くことはないが、俺も不自由を強いられていることに変わりはない。だからこそ、そういった機械で生活を助けられている人の気持ちはよくわかる。

  俺と同じような人間を助け社会に貢献している義父に憧れずしてなんとしようか。そんな義父が作り出したものを、俺は是非この目で確かめたい。

 以上の理由を以って、俺は義父の会社の研究室への職場見学を希望する。

 

 

「……ふむ、よろしい。この場所への職場見学を承諾しよう」

  そう言って頷く平塚先生に、俺はほっと胸を撫で下ろす。まあ、希望先にあんまりにもアレな書いているわけでもないし、却下される要素がないんだが。

  自宅とか書いてたらどうなったんだ?なんてことを考えていると、平塚先生はやれやれと頭を振った。俺は首をかしげる。

「…いや、君を奉仕部に入れた理由の一つが最初から思い込みだったと思ってな」

  ああ、ろくにコミュニケーションが取れないからうんたら、ってやつか。

「少し特殊とはいえしっかりとコミュニケーションは取れるし、そもそも既に働いているのなら何も問題はない」

  それはそうだが、何分本当にやってることが社会の害虫の抹殺だから素直に頷くことができない。

  複雑そうな顔をする俺に平塚先生は首をかしげるが、すぐに自己完結をしたのか表情を戻す。

「とはいえ、私に暴言を吐いたことに変わりはない。引き続き奉仕部にはいてもらうぞ」

  まだ言ってんのかよ…年のこと話しかけただけでどんだけ恨みに持ってんだ。

  しかし、もし理由がなくなっても俺が奉仕部から抜けることはない。他人の悩みを解決するという貴重な体験もできるし、何より雪ノ下がいるからな。

  この前の体操着姿を思い出し、だらしなく顔を緩ませていると、ふと廊下から忙しない足音が聞こえた。走っていると思わしき誰かさんの気配は、どんどんこちらに近づいてくる。そして、

「あー!こんなところにいた!」

  勢いよく扉が開き、由比ヶ浜が姿をあらわした。くるっとお団子状に纏められた明るめの髪が不機嫌そうに揺れている。

「おや、由比ヶ浜。一体どうした?」

「あ、ちょっとヒッキーを捜してて…もう、遅いよヒッキー!あたしもゆきのんも部室で待ってたんだからね!」

  いや、そんなこと言われても。部室以外で接することなんかないし、どうしようもないだろ。

  俺が心の中でそう反論していると、由比ヶ浜の背後からひょいっともう一人少女が現れた。前に出る動きに合わせて黒髪のツインテールが揺れる。うむ、イイ。

「あなたがいつまでたっても部室に来ないから捜しに来たのよ」

 む、それは悪いことをしたな。

  雪ノ下の言葉を聞くと、由比ヶ浜が不満げにむんと仁王立ちをした。

「わざわざ聞いて歩いたんだからね。そしたらたまたま通りかかった子が『比企谷先輩だったら職員室ですよー?』って教えてくれたんだけど…ヒッキー、あの子と知り合い?」

 ………。

「ヒッキー?」

  ダラダラと汗を流し始めた俺に由比ヶ浜が不思議そうな顔をする。おい、物凄く心当たりがあるぞ。ま、まあ気のせいだよな。

  とりあえずその後輩のことは頭の片隅に追いやり、軽く頭を下げる。今は不機嫌な由比ヶ浜が優先事項だ。

「え、えと、だからさ、その…」

  由比ヶ浜は胸の前で指を組み、それをうにょうにょと動かしながらもじもじとし始めた。

「け、携帯教えて?ほ、ほら!毎回わざわざ捜して回るのもあれだし……」

  それもそうだと思い、携帯電話を取り出す。すると、由比ヶ浜もなんかキラキラデコデコした携帯電話を取り出した。

 …何その長距離トラックみてぇな携帯。

  お前はカラスか何かかと心の中でツッコみながら、スマートフォンを差し出す。それをおずおずと受け取る由比ヶ浜。

「か、簡単に携帯渡すんだね」

  別に見られて困るものはないし、仕事の連絡用は別に分けてるしな。

  俺が肩をすくめると、由比ヶ浜は携帯を操作し始める。

「えっ!?何これ!殆どアマゾンと小町?と折本?からしかメール来てない!」

 ほっとけ。

  由比ヶ浜は携帯にものすごい速さでぽちぽちと何か打ち込み始める。トロ臭そうな見た目とは裏腹に機敏な動きだ。

「ていうか、この小町ってだれ?」

『妹だ』

  充電が切れた時用のメモ帳を取り出して答える。何でかさっきから目線がキツい雪ノ下にもだ。

「じゃあ、折本は?」

『友達だ』

  そう書くと、由比ヶ浜はゴトっと携帯電話を取り落とした。おい、それ俺の。

「嘘……」

  ねぇ、お前今酷いリアクションしてることに気づいてる?気づいてないよね?気づけ。

  ジロッと睨むと、由比ヶ浜はわたわたと手を振って弁明し始めた。

「ヒッキーいつも一人だから、友達いたんだって思って」

  やかましいわ。確かに悪友だが、友達は友達だ。

「ちなみに比企谷くん、その折本さんは男?それとも女?」

  不意に雪ノ下が、底冷えのするような笑みで聞いてきた。怖い怖い、何でそんな怒ってんだよ。

『そんなんどっちでもいいだろ?』

  ささっと書いてそう見せると、話を逸らす。

「はい、終わったよ」

  ぱたんと携帯電話を閉じて、由比ヶ浜がこちらに差し出してくる。それを受け取ろうとすると、さっと横から雪ノ下が手を伸ばした。そして凄い勢いで自分の携帯を見ながらアドレスを打ち込み始める。

「ふむ、ではついでに私も」

  挙げ句の果てには平塚先生にまで携帯が回された。いや、ついでって何だよ。

  結局、一気に三つ俺の電話帳に項目が増えた。

  やっと返ってきた携帯を開く。電話帳を開いてみると……

 

 ☆★ゆい★☆

 

 雪乃

 

 平塚

 

  と、書かれた名前がある。由比ヶ浜はどう見てもスパムメールの差出人にしか見えないし、雪ノ下は何で名前?まともなの平塚先生くらいじゃねえか。

  思わずため息をついていると、んんっと平塚先生が咳払いをする。

「それでは比企谷、もう行きたまえ。確かにプリントは受け取った」

  しゅぼっと咥えた煙草に火をつけてそう言う。地味にかっこいい。

  ぺこりとお辞儀をすると、床に転がしてあった鞄を右肩に引っ掛ける。中に入っているのは昨日少し興味があると言われたので雪ノ下に貸すために持って来た文庫本と中間用の数学の参考書だ。

  多分、今日も依頼者は来ないから暇だろうしな。

  俺が歩き出すとそのあとを雪ノ下たちがついてくる。

  扉の近くまで行くと、背中に声がかけられた。

「ああ、そうだ。比企谷、伝え忘れていたが今度の職場見学、三人一組で行くことになる。好きな者たちと組んでもらうからそのつもりでいたまえ」

  えー、めんどくさ。ていうか、好きなやつと組めって言われてもクラスに友達いねえよ。

  そう思いながらも一応会釈をし、俺は部室に向かって歩を進めた。

 

 ーーー

 

  特別棟の四階、東側。グラウンドを眼下に望む場所にその部室はある。

  開け放った窓から入り込むのは青春の音楽。

  部活動に励む少年少女たちの声が木霊し、金属バットが鳴らす音や高らかなホイッスルとまじりあい、そこへ吹奏楽部のクラリネットやトランペットが華を添えた。

  そんな賑やかな音をBGMに、俺たち奉仕部は静かな青春を過ごす。

  俺は中間試験の勉強をし、雪ノ下は俺が貸した文庫本に目を落とし、由比ヶ浜は気だるげに携帯をぽちぽちしていた。

  味気ないと言われればそれまでだが、それでも俺にとってはこの空間こそが青春。残りの二年間という時間を使って高校生活を謳歌する場所だ。

  そんなことを考え、公式に当てはめて問題を解いてから、ふと由比ヶ浜に視線を向ける。見れば、由比ヶ浜は携帯片手に曖昧な笑みを浮かべて、うっすらと誰にも聞こえないような、けれども深い深いため息をついた。

「どうかしたの?」

  俺が携帯を取り出すより先に、雪ノ下がそう聞く。文庫本から顔を上げ、目線は由比ヶ浜に向いていた。

「あ、うん…ちょっと変なメールが来てさ」

 ふむ、変なメールね。

  どんなことなんだ?と聞くと、由比ヶ浜は難しげな顔をする。

「んー、内容はうちのクラスのことなんだけど……」

  クラスのことを書いた変なメール。そこから推測されるのは…

『もしかして、チェーンメールか?』

  俺が聞くと、由比ヶ浜はひどく驚いた顔をした。

「なんでわかったの?あ、もしかしてヒッキーのとこにも送られて来たとか…」

『安心しろ、それは 絶 対 に な い 』

  爽やかな笑顔でボタンを押すと、理由を察したであろう由比ヶ浜と雪ノ下の両方から哀れんだような視線を注がれた。なんだよう。

「そういえば、ヒッキーさっきから何やってんの?」

  携帯を閉じ、しばらくぼけーっとしていた由比ヶ浜がそう聞いてくる。手持ち無沙汰になったか。

『中間試験の勉強だ』

「えっ、ヒッキーもうしてるの!?」

  いや、もうしてるのっていうけどあと二週間で中間試験だぞ。

「そういうあなたは勉強しているのかしら、由比ヶ浜さん?」

  雪ノ下が聞くと、由比ヶ浜はうっと言葉に詰まる。雪ノ下は昔から学年の中で上位の常連だったし、これくらいでは動揺してなさそうだな。そもそも勉強する必要もなさそう。

「え、えっと、ぼちぼちかなー、なんて…」

「つまりやってないのね」

「や、やってるもん!」

  いやもんってお前。意外と可愛いじゃねえか。

「と、ところでヒッキーはいつもどれくらいの点数とってるの!?」

『大体九十点台だな』

  去年は学年中2位までいったっけ。一位を逃した事が悔しかったのを今でも覚えている。今回も狙うはトップだ。それに、成績優秀者にはスカラシップ…奨学金が出るから、貯金の足しにもなるしな。

  俺の返答を聞き終えると、由比ヶ浜はぴしっと固まった後うぅーと唸った。

「あたしだけバカキャラだなんて……」

「そんなことないわ、由比ヶ浜さん」

  冷静な声ながらも雪ノ下の表情には温かみがあり、その瞳にははっりきとした確信の色がある。それを聞き、由比ヶ浜はぱあっと顔を明るくする。

「ゆ、ゆきのん!」

「あなたはキャラじゃなくて真性のバカよ」

「うわーん!」

  ぽかぽかと雪ノ下の胸元を叩く由比ヶ浜。それを面倒くさそうにしながらも、柔らかな笑みで受け止める雪ノ下。

『とりあえず、今から少しでも勉強しとけ』

「うぅ、わかった」

  俺の忠告を素直に聞き、由比ヶ浜はおとなしく席に着いた。

「あ、そうだ!それならさ、ゆきのんたちが勉強教えてよ。勉強会とか開いてさ」

  いいこと思いついた!とでもいうように手を叩き、こちらに期待の目を向けてくる。

  勉強会、ねぇ…そういえば、中学の時行かないつったのに強制的に連れて行かれたっけ。あれもう勉強してなかったよね。俺が質問責めにされてただけだよね。

  ふと昔のことを思い返していると、いつの間にか由比ヶ浜が雪ノ下に抱きついていた。羨ましい。

『で、どうするんだ?』

「勉強会を開くことにしたわ。できれば比企谷くんも来てくれると助かるのだけど」

  雪ノ下に頼られちゃ、行かないわけにはいかんな。

  こくりと頷くと、由比ヶ浜はこれで赤点回避!とか本当に心配になることを言い始める。

「じゃあ、今週からスタートね!」

  そう言ってにぱっとアホみたいな笑顔を浮かべる由比ヶ浜に、これもここでの青春の一部か、と思い苦笑いを浮かべるのだった。

 

 




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