古明地こいしのフィロソフィアー   作:デシンク

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第4話

「こいし、あなたは本とか読まないの?」

 

「うん、あんまり面白くないしね。お姉ちゃんはどうして、本を読んで面白いと思うの?」

 

「なんとなくよ。というか、面白いと思う理由が分かる方が少ないんじゃない?」

 

「たしかに。」

 

どうも、こいしでーす。お姉ちゃんとお茶会中ですね。

読書家のお姉ちゃんは1日中、本を読んで過ごすこともあるみたい。私には理解できないね。本を読むってことは、他人の生き方やその人に起こりうることを知るってことでしょ。そんなものを知ったって、何かメリットがあるわけでもないし、面白いと思うことなんてないと思うんだけどなー。

でも実際には、本を読んで面白いと思う人は結構いる。分からないことだらけだな、この世界は。

 

「それにね、こいし。本を読むっていうのは勉強にもなるのよ。」

 

「…………??どうして?本を読んでも何も学ぶことなんてないと思うけど。」

 

「あるわよ。いろんな人の考え方を知ったり、理解したりすることで、いろんな場面で自分のためになってくるのよ。まぁ、明確にいつ、どこで使えるっていうのが、決まっているわけじゃないから、勉強効率は悪いかもね。あとは社会勉強にもなるかも。」

 

「ふーん、それがお姉ちゃんの本を読む理由?」

 

「いや、本を読む理由は面白いのが80パーセント、勉強になるのが1パーセント、暇つぶし19パーセントよ。別に勉強したくて本を読むわけじゃないわ。」

 

「そっかー、まぁそんな気もしてたけどね。」

 

「て、もうこんな時間か。私はそろそろ仕事するわ。かたずけ手伝って。」

 

「オケー。仕事手伝う?」

 

「別にいいわ、そんなに時間かかることじゃないし。暇なら紅魔館にでも行ってきたら?フランが暇してたりするんじゃないの?」

 

「うーん、そうっすね。じゃあ紅魔館に行ってくるね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つーことで、やって来ました紅魔館。

 

「いらっしゃい、こいし!」

 

「待たせたな、フランドール!」

 

「呼んでないけどね。」

 

フランは暇してたみたいで、フランの部屋にいって、会ったときに真っ先に弾幕ごっこに誘われた。断ったけど。フランは弾幕ごっこが上手いからね、今から弾幕ごっこを始めたら帰れなくなるし。(体力的な意味で)

 

「で、こいしは何しにきたの?」

 

「気が付いたらいました。」

 

「え?」

 

「いや、冗談だよ。暇だったんで、遊びに来ました。」

 

「ちょうどいいわ、私も暇だったんだ。弾幕ごっこがだめなら、お茶会でもする?」

 

「そうだね、そうしよっか。」

 

「じゃあ、そこの椅子に座って待ってて。」

 

お茶会今日2回目だけど。まぁ、フランとのお茶会もいいんですけどね。

とりあえず、座ってと言われた席に着く。

………改めて見ると、フランの部屋っていろんなものがあるな。生活必需品に加え、無くても困らなそうなものが結構ある。なんか、女の子の部屋って感じだ。…………フランは一応、女の子だからこういう部屋になるのか。私は部屋に必要なものしか置かないからなぁ。フランみたいにかわいい部屋をつくるのは、難しそうだ。

 

「準備できたよー。」

 

「ありがと、フラン。」

 

「そういえば、こいし?」

 

「ん、何?」

 

「こいしって能力に操られることってある?」

 

「………能力が勝手に作動して、行動や思考に現れるってこと?」

 

「たぶん、そういうこと。」

 

「昔はあったけど、今は無いかな。」

 

「やっぱり。私もそうだったんだけどさ、能力って、使っても使わなくても、時間がたつにつれて制御が利いてきたり、応用が利くようになると思うんだよね。私は、結構能力の制御が利かなくて危ない人だったんだ。だから、能力を制御しようと思って生きていたんだけど、正直どんなことをしても意味無かったと思うんだよね。結局495年間……ていっても、能力が安定するまでにかかった時間は400年ぐらいだけど、地下に一人きりだったんだ。もし、能力を安定させる方法があれば、もっと早くいろんなところにいけたのかなぁって、思うことがあるからさ。ちょっと気になって聞いてみたんだ。」

 

「…フランちゃんも大変だったんだね。」

 

そういってフランの頭をなでてみる。…さすがお嬢様、髪が丁寧にきれいにされている。

 

「ん、ありがと。でもね、お姉さまがそこそこな頻度で私のところに来てくれたから、ちょっと楽になったし、嬉しかったんだ。」

 

「いいお姉さまじゃん。」

 

「まぁね。お姉さまのおかげで、地下にいても少ししか寂しくなかったんだ。お姉さまは私の自慢のお姉さまだよ。あ、でもお姉さまに、私が今言ったこと言ったらだめだよ。調子乗るから。」

 

「わかった、内緒にしとくよ。」

 

「そうしといて、…こいし頭なでるの下手だね。お姉さまと同じぐらい下手。」

 

「レミリアがどれぐらい頭なでるのが下手かは知らないけど、私が頭なでるのが下手なのは知ってるよ。」

 

「じゃあ、なんでなでたの?別に嬉しかったからいいんだけど。」

 

「そこになでるべき頭があったからだよ。フランちゃんが大変な思いをいていたから、私が無意識だろうと、意識だろうとなでるべきだと思ったんだ。フランが少しでも幸福になればいいかなって。」

 

「…ありがと。」

 

「ただの自己満足だけどね。」

 

そう、これは自己満足。別にフランが頭をなでてを言ったわけではない。そもそも、これでフランが幸せになるかなんて分からないし、何かのトラウマを起こすかもしれない。じゃあ、何もしなかった方がよかったか?

いや、違う。恐れていたら何も始まらないし、なにもプラスになる行動なんてできないし、何もできない生き物になる。そんなのは嫌だし、なるべきじゃないと私は思う。何かを始めてるから、幸福も不幸も得られるはず。

覚妖怪を捨てた私ができる生き方は分からない。けど、何もしない人生なんてごめんだね。私はそんな哀れな古明地こいしになりたいんじゃない。

 

「なーんてね。」

 

「?どうしたの、こいし。」

 

「気にしないで、ちょっと考え事。」

 

「そういえば、こいしって昔はどうだったの?その、能力が制御できてなかったときとか。」

 

「無意識に操られた時ね、うーん………」

 

「あ、無神経なこと聞いてごめん。別に話したくないならいいよ。」

 

「いや、フランが話したんだし、こっちも話すよ。別に話したくなくなるほど、つらい記憶じゃないしね。ちょっと考え込んでいただけ。」

 

「それならいいけど。無理しないでね。」

 

「えっとね、私の場合は無意識が時々暴走したってことかな。気が付いたら、私の行こうと思っていないところにいたり、時間が数時間たってたりしたって事かな。本来は意識が表、無意識が裏ってなっているんだけど、それが逆になったこと。」

 

「意識が表、無意識が裏ってどういうこと?」

 

「えっとね、表って言うのが今の状態。つまり私が意識か、無意識か、どっちの状態になっているかってこと。裏って言うのは、表の逆のこと。私が意識状態になっているときの裏は無意識。私が無意識状態になっているときの裏は無意識。あ、意識するっていうのは、思考をするってことね。たとえば、私が白いバラのことを考えたときは、私が白いバラを意識するってことになるということ。…人間や妖怪っていうのは基本的に、何かを意識することが正常なんだ。人間や妖怪は、生きている内は、ほぼ全ての時間で何かを意識している。でも昔の私は、何も意識しない、何かを無意識し続ける状態だったんだ。…表に出るべき意識が裏に行って、無意識が表に出てくる。これが昔の私の状況だったってわけ。まぁ、今はそんなことにはならずに、意識が表にある毎日を送っているけどね。……………伝わった?」

 

「いや、まったく。」

 

「でしょうね。まぁ、無意識に行動してたってこと。」

 

「最初からそういえばいいと思うんだけど。」

 

「めんどくさい台詞を好むのは、覚妖怪の性なんで。」

 

「こいしは元覚妖怪って、前に言っていたじゃん。」

 

「そうだった。」

 

「うっかりしてるね、こいしは。」

 

「そうかな?」

 

「そうだよ。」

 

「そっか、じゃあそろそろお茶会を始めよっか。」

 

「おっけー、こいしは何飲む?」

 

「何がある?」

 

「紅茶、コーヒー、お茶、水、オレンジジュースね。」

 

「オレンジュースお願い。」

 

「子供ね、……………はい、オレンジジュース。」

 

「子供でけっこう。ありがと、フラン。」


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