PSO2 ~創造主の遺産~   作:野良犬タロ

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第二十三章 ~主と従者~

 

 

~ヘイル アルクトゥス テンプルエリア(七年前)~

 

 

「ハァッ!」

私は真っ直ぐに槍を突き出す。

「ふふっ・・・!」

【従者】は笑みを浮かべるとまた消えて後方に現れて銃を構える。

「ヴァレットォ!」

じいやがタイミングを見計らって銃弾を放つ。

だが【従者】はそれを読んでおり、さらに消えて別の位置に現れる。

「・・・。」

「・・・。」

【従者】と私達は互いに睨み合うように様子を伺っている。

「さすがに互いの手の内は百も承知のようだな・・・ヴァレット・・・!」

「お生憎ですが執事長・・・わたくしはダークファルスであることを隠すために今まで本気で戦ってはおりませんでしたの・・・。」

「ふふ、それは私も同じだぞヴァレット。そなたやじいやの前ですら、この姿で私は戦ってはおらんのだからな。」

「それはそれは・・・では貴方様のその力、どれほどのものか、確かめさせて頂きますわ!」

そう言うと【従者】は何体にも分裂する。

「幻覚を使った分身か・・・!」

「槍一本で、果たしてわたくしを捉える事が出来るでしょうか!?」

【従者】は分身と共に向かって来る。

「あはははははは!!」

笑いながら分身と共に銃弾を私に向かって集中放火をかけてくる。

「・・・。」

私は目を閉じ、意識を集中させる。

「おいッ!何してんだ!!」

ノワールは私の身を案じてか、声を荒げて呼び掛ける。

だが心配ない。

「!?」

次の瞬間、ノワールは目を疑う。

銃弾は全て身体をすり抜ける。

「!」

見えた。

私に弾丸が当たる風景が・・・。

右上からだ。

瞬間に目を見開き、槍を一点に向かって回転させる。

すると銃弾が弾ける音が聞こえ、銃弾が叩き落とされる。

「・・・そなたが本体か。」

【従者】の軍勢の内一体を真っ直ぐに見る。

「くっ・・・!」

「『何故わかった』とでも言いたげな顔だな。」

「おかしいですわね、初めて見せる奇襲なのに一瞬の気の迷いもなく合わせるなんて・・・まるで未来でも見えたかのようですわね。」

「ご名答、その通りだ。最も、数秒先の未来しか見えんが、奇襲を捌くには充分だろう?」

「成る程、でしたら・・・。」

「『逃走』など考えるなよ?」

「!!」

既にじいやが元来た道の前に立っていた。

「貴様は闘いに勝つことも、逃げる事も叶わん・・・終わりだ、【従者】!!」

「ふふ、誰が逃げるなんて仰いました?」

「まだ我々に勝つつもりでいるのか?」

「えぇ、方法など、いくらでもありますもの!こうすれば・・・。」

【従者】は両手を広げると、姿を消す。

かと思えば辺り一帯が暗くなり、また分身が何体も現れる。

「また分身か・・・芸が無いな。」

私は平然と構える。

「ふふ・・・。」

【従者】はまた銃弾を放つ。

「今度は初手からか。」

分身の銃撃などに惑わされもせず、銃弾を叩き落とす。

「ハァッ!!」

槍を【従者】に突き出す。

「ッ!?」

突如槍を止める。

ノワールが突如前に立ちはだかり、進路を塞いだからだ。

「何をしている!」

「アンティを使え!使えないならソルアトマイザーだ!」

『アンティ』、毒や火傷など、特殊な異常を治すテクニックであり、ソルアトマイザーと同様の効果の物だ。

「・・・?」

【従者】が飛びかかり、今にも私に弾丸を浴びせようとしている。

しかし、この土壇場で彼が言うには本当に何か理由があるのだろう。

「・・・分かった。そなたを信じよう。」

槍を掲げる。

すると光が周囲に散らばるように広がる。

アンティを発動させたのだ。

光が私とノワールを照らすと辺りを包んでいた暗闇が一気に晴れる。

「ッ!?」

突如【従者】から姿を変えたじいやが、構えていた銃を引っ込める。

「ヘイル様!?」

「・・・なるほど、そういうことか。」

状況に困惑するじいやに対し、私は落ち着いて状況を理解する。

「私達は互いに幻覚を見せられていたようだ。」

「そうでしたか・・・よくお気づきに・・・!」

「いや、咄嗟に私の友人が教えてくれた。」

「・・・?」

「何でもない、それよりヴァレットは・・・!?」

 

 

「チェックメイト・・・ですわ。」

 

 

「!!」

【従者】は・・・!

「母様ぁ・・・!」

ネージュに銃を突きつけていた。

「【従者】・・・貴様そこまで堕ちていたかこの外道・・・!」

じいやは忌々しそうに【従者】を睨む。

「どうとでも仰いませ。選定の儀のために必要とは言え、ネージュ様をここに連れてきたこと・・・それがお二人の敗因ですわ。」

「・・・。」

私は慌てもせず、怒りもせず、槍を降ろす。

「あら、それは投降と見てよろしいのですか?」

「ヴァレット・・・そなたが私に近づいたのは、私の神託のフォトンを狙ってのことか?」

「えぇ、しかし貴方様は神託のフォトンを使わずとも只でさえ戦闘力の高いお方、真正面からねじ伏せようものなら例え負けずとも、苦戦を強いられるのは必至、ですがネージュ様が神託のフォトンを引き継いだ後ならば、まだ子供のネージュ様を捕らえれば良いだけですもの。」

「私がそなたを拾ったのは今から五年前・・・そなた、その間に気持ちに何も変化が無かった・・・というのか?」

「・・・!!」

一瞬だが【従者】の表情が固まる。

「な、何を今更・・・この状況を見て分かりませんの!?茶番は終わり、そう仰ったのは貴方達でしょう!わたくしはこの選定祭が始まってから、こうするつもりでしたわ!!気持ちに変化?そんなもの、あるわけがありませんわ!!」

「そうか・・・。」

「!!」

 

 

「残念だ。」

 

 

「!?」

私は【従者】の後ろに立っていた。

そして、【従者】の前にいた私は徐々に薄くなって消える。

そして槍でネージュに突きつけていた銃を打ち払い、【従者】の頭を掴み足払いをかける。

【従者】は一瞬の内に仰向けの状態で宙に浮かぶが、すぐに槍の柄で叩き落とされる。

「がはっ!」

【従者】は呻き声を上げて地面に叩きつけられる。

「な・・・何故・・・!」

「私も光を使って幻覚を見せることが出来る・・・自分の出来ることが相手に出来ないと傲るべきでは無かったな。」

「くっ・・・!」

「ヴァレット・・・。」

とどめを刺そうと槍を振り上げる。

「・・・すまない。」

槍を容赦なく振り下ろす。

「!?」

突如ドオオと轟音が聞こえる。

その拍子に一瞬だが槍が止まってしまう。

その隙を【従者】は逃さない。

【従者】は霧状になって消え、私から離れた場所に現れる。

「爆発は市街地からです!」

「ヴァレット・・・何をした!」

「ふふ・・・こうなることも想定して仕込んでおいただけですわよ?」

「何をしたと聞いている!!!」

「今頃市街地はダーカーで溢れ返っている頃でしょう。ほら、早く行かれませんと、どんどん人死にが出ますわよ?」

「くっ・・・!」

すぐに元来た道を引き返そうとしたが、【従者】に対して構えを緩めない。

一歩下がると、【従者】も一歩前に出る。

「ふふ、そうですわね!行けばわたくしがその背中を狙わない訳がありませんわよね!」

「ふ・・・伊達に私に仕えてはいなかったようだな、ヴァレット・・・!」

「お褒めに与り、光栄ですわ・・・これで形勢逆転ですわね!」

「それはどうかな?」

「?」

じいやが前に出る。

「ヘイル様、此処は私に任せ、貴方様はネージュ様と共に市街地へ・・・。」

「じいや・・・!」

一瞬迷ったが、すぐに頷く。

「いいだろう。だがじいや、私に仕える者としてこれだけは守ってくれ。」

「はい・・・。」

「『絶対に死ぬな』。」

「・・・御心のままに。」

「ネージュ!!行くぞ!」

「うん!」

「そなたも・・・!?」

ノワールに呼び掛けようとしたが言葉が詰まる。

何処を見渡しても彼の姿が無かった。

 

 

~ノワール アルクトゥス 市街地(七年前)~

 

「ハァ・・・ハァ・・・!」

爆発が起こり、ダーカーが市街地に現れたのを知ってからすぐに走り出していた。

「ハァ・・・ハァ・・・!」

走る。

ただ走る。

「キャアアアアア!!」

「!!」

女が一人、道を塞ぐ程の瓦礫の塊を背にダガン三体に追い詰められていた。

「くそっ・・・!」

俺はすぐに銃を転送させようと手を翳す。

「!?」

なんだ?

銃が出てこない!

「くそっ・・・まさか・・・!」

武器も出せないのか!?

「やめて、いやあああああ!!!」

「ッ!」

気づいた時には遅かった。

女はダガンに何度も鋭い爪に貫かれ、絶命する。

目的を果たしたのか、ダガンは黒い霧に包まれて消える。

「う・・・うぅ・・・!」

本当に俺は・・・この世界じゃ何も出来ないのか?

「くそっ、くそぉッ!」

それでも俺は走った。

あるはずだ・・・何かあるはずだ!

ダーカーの襲撃は止められなかった。

でも、『あいつらを助ける方法』はあるはずだ。

「何か・・・何かないか・・・!」

あいつらをあいつらだけは・・・!

 

 

 

「やめろッ!!!!やめてくれええええぇッ!!!!」

 

 

 

「ッ!!」

聞き覚えのある声・・・すぐ先の曲がり角の先・・・!

「!!!」

目の前で血が舞う。

遅かった。

「あ・・・あぁ・・・!」

もう二度と見ないと思っていた。

「あぁ・・・!」

もう二度と見たくなかった。

「う・・・うあぁ・・・!」

かつての自分と・・・。

「うあぁ!」

『あいつら』が死んでいった。

 

 

「「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!」」

 

 

最悪の光景だ。

 

 

~【従者】 アルクトゥス テンプルエリア(七年前)~

 

執事長と私は何度も銃で撃ち合う。

私は幻覚を使って回避するのに対して執事長は弾道を見切って銃で防いだり回避したりしている。

一頻り撃ち合った後に睨み合う。

「・・・全く、ただの人間の癖によく粘りますわね。」

「これでもヘイル様よりも先代の頃より仕えた身でな、伊達に戦場を見てきてはおらんのだ。」

「貴方の昔話に興味などございませんわ。さっさと散りなさいませ。」

「そうだな・・・互いに言葉は不要。決着は早めに着けるべきだろう。」

「ふふ、話が早くて助かりま・・・。」

私が会話に気をとられた僅かな隙に執事長の姿が消える。

「がはっ!?」

執事長はいつの間にか私の右に回り込み、身体全体を使った体当たりを仕掛けてきた。

諸に喰らった私は近くの柱まで吹き飛ばされ、思いっきり身体を打ち付けてしまう。

「ッ!」

執事長は銃を既に構えている。

「くっ・・・!」

私はすぐに目の前に幻覚で自分の虚像を作って左に避ける。

「ッ!?」

何故か執事長は虚像ではなく、私の方へ銃口を向けていた。

「ぐぅッ!?」

直撃こそしなかったが、右肩に銃弾を受けてしまう。

「な、何故・・・幻覚を撃たずに私を・・・!」

「その虚像を使った回避、乱発すればタイミングなど見切るのは容易い。」

「だからって、何故わたくしが逃げる方向が・・・!」

そう、右に逃げる可能性だってあるのに・・・!

「忘れたか?貴様に銃技を教えたのは私だ。弟子の癖など分かる。後方に逃げ道を失った時、貴様は決まって左に避ける。」

「ふふ・・・そういうことですか。」

「・・・何がおかしい。」

「くくくっ・・・今に分かりますわ!」

私は大量に幻覚の分身を展開する。

「数で攻める気か・・・愚かな。」

「あはっ!」

分身と共にあらゆる方向から奇襲をかける。

「ふっ・・・。」

執事長は私の分身の攻撃を全て避けて捌く。

だが、執事長とて完璧な人間ではない。

分身の内の一体の攻撃を仰け反り気味に回避した時、わずかな隙があった。

「いただきましたわ。」

後ろにいた本体の私は、執事長の足に銃弾を放つ。

「くっ・・・!」

執事長は回避しきれず、弾丸を受けてしまい、倒れるが、すぐに受け身をとって起き上がり、体勢を建て直す。

「・・・。」

執事長は私を睨むように見る。

その表情には弱冠だが、平静が崩れているように見える。

「要は読みで動いているだけ、わたくしが完全に見えている訳ではないのですよね!であれば、ヘイル様程脅威ではありませんわ!」

「ふっ・・・それくらいで勝ったつもりか?」

「まだ減らず口を・・・フォトンを扱える程度の一アークス程度の力しか持たない貴方が、わたくしに勝つことなど・・・!」

話している間に執事長は銃を撃ってくる。

「くっ・・・!」

幻覚を展開して回避する。

今度は銃弾は偽物の私を通りすぎる。

「人が話している最中に不粋で・・・。」

皮肉を吐こうとした瞬間・・・。

「がぁッ!?」

銃弾が私の左足と肩を突き抜ける。

「な・・・!?」

何が起こった?

落ち着け、行動を思い出せ・・・!

今、執事長は私に向けて一発、あらぬ方向に二発撃った。

「・・・!」

まさかと思い、私に撃った方向以外の軌道を見ると、柱が中心より少し軌道がズレた位置で弾丸によって抉れていた。

弾丸は柱に埋まり込んだ様子はない・・・だとすれば・・・。

「跳弾・・・!」

「ふん、若い時以来腕が落ちたな・・・全盛期であれば両方とも急所を貫いていた。」

「そんな技・・・一度も拝見させて頂いた覚えなんてないんですが・・・。」

「分からんか?私とて、貴様に全て教えた訳ではない。貴様がダークファルスとして『力』でくるなら、私はそれに『技』で迎え撃つまで・・・。」

「くく・・・あはは!やっぱり執事長は執事長ですわね!」

「・・・何が言いたい。」

「今だから言いますけれど、わたくし、執事長のことが吐き気がして死ぬほど大嫌いでしたの!」

「ふん、それは何より、私もダークファルスであろうとなかろうと、貴様は気にくわなかった。この場を与えてくださったヘイル様に感謝せねばな。」

「えぇ、思う存分・・・。」

 

 

「殺し合いましょうッ!!!」

「殺し合おうッ!!!」

 

 

私達は互いにぶつかり合った。

 

 

~ヘイル アルクトゥス 市街地(七年前)~

 

「ハァッ!」

キュクロナーダ三体を槍で凪ぎ払って倒す。

「あっちに逃げろ!奴等の包囲が薄い!」

民間人に指示を出す。

「へ、ヘイルさん・・・あんた、ヘイルさんじゃないか?」

「!」

しまった!

狐面を被り直すのを忘れていた!

しかもこの民間人は近所の知り合いだ!

「その姿・・・!」

「い、今はそんなことどうでもいい!早く逃げろ!」

「あ、あぁ・・・。」

民間人は戸惑いながらも去っていった。

「くそ・・・。」

宮司の一族にはしきたりがあった。

『宮司の一族であることを身内以外に知られてはならない』というものだ。

もし破れば大きな災いが訪れると言われている。

だが、すでに災いなど起こっている。

「今更だな・・・。」

そう自分に言い聞かせた時だ。

 

 

『ヒッヒッヒ・・・。』

 

 

「!?」

何か頭に下卑た笑い声が聞こえる。

声質は何やら合成音声のように男だか女だか分からない感じだ。

気のせいだと思って聞き流そうとした時だ。

『おいおい、無視なんてひどいなぁ、泣いちゃうぜ?』

「・・・。」

どうやら気のせいではないようだ。

「誰だ。」

『あなたの心の中に潜む悪魔でーす♪なぁんてな!』

「・・・。」

答える気はないようだ。

まぁ、こんな状況で私に接触してくる相手などだいたい見当がつく。

「なぜ私の頭の中に話しかける。」

『なぁに、頑張ってるあんたにちょっとしたプレゼントをあげちゃおっかなーって!』

「プレゼント・・・?」

『そーそ!プレゼント!そろそろ到着すんじゃねぇの?』

「なに・・・ッ!!?」

周りに霧が現れる。

そこに現れたのは・・・。

「ダーカー・・・なのか・・・?」

そこに現れたのは赤黒い液体でコーティングされた人型のダーカーだ。

「なにをするかと思えば・・・。」

『見せてみろよ!神託のフォトンって奴をよ!』

ダーカー達は一斉に襲いかかってくる。

「ハッ!」

襲いくる攻撃を往なし、槍で凪ぎ払う。

「ッ!?」

瞬時に未来の映像が見える。

液体が大量に掛かってくる映像だ。

何かの毒か?

だが回避するに越したことはない。

「・・・。」

ダーカーが破裂し、液体が飛び散るが、難なく回避する。

『ヒヒ、流石だなぁ!』

「毒液でも被せるつもりか?」

『ああ?そんなもん、いくら被ったっててめぇに害はねーよ、それよりお前が殺したダーカー見てみな、もうダーカーじゃねぇかもしれねえがよ!』

「なに!?」

目の前のダーカーだったものを見る。

「!」

男が倒れていた。

紛れもなくヒューマンだ。

胴体には先程のダーカーに私が与えた槍の傷が残っていた。

「お、おい!?」

男は既に死んでいた。

『ひっでぇなぁおい!人殺しちゃうなんてよ!』

「貴様・・・!」

『なぁんてウソウソ!マジになんなって!そいつらは元々死体だよ!』

「この者はまさか・・・!」

『あー、先に答え言っちゃうけど、お前のだーい好きなアルクトゥスの民間人だよ!』

「貴様・・・命を弄んでいるのか!?」

『それと良いこと教えてあげちゃうよ!このダーカーは死体からしか造れない・・・この意味が分かるよな?』

「・・・!」

つまり民間人が殺されれば殺されるほどこいつらの兵力は増すと言うことか・・・!

『それともうひとつ!薄々勘づいてると思うが俺もダークファルスだ。勿論依り代を得て現世に降り立ってる訳だが・・・。』

「何が言いたい・・・!?まさか!」

『ゲームのルールを理解したみたいだな!』

「ふざけるなッ!何がゲームだッ!!」

『んじゃ、改めてルール説明だ。俺の兵隊を倒しつつ俺を見つけて倒せばお前の勝ち。お前を倒せば俺の勝ち。ただし俺の兵隊は民間人が死ねば死ぬほど増え続けからお前は民間人を助けながら俺の兵隊と戦わなければならない。しかも助けないといけない民間人の中には、一人だけ俺本体が混じっている。だから無闇に助けて隙を見せれば背中から刺されてゲームオーバーってわけだ。』

「貴様・・・!」

『まぁ、こんなの不平等だよな?お前の方が断然不利だよなぁ?だからお前にもハンデをやろうじゃねえか。』

「ハンデだと・・・?」

『俺の兵隊はお前しか狙わない。だからお前は民間人を助けるには他のダーカーだけを殺せばいい。悪くねぇ話だろ?』

「くっ・・・!」

忌々しい相手なのに『ノー』と言えないのが屈辱だ・・・!

『精々頑張って俺を探しな!俺は怯えたフリでもしながらお前の奮戦ぶりを観戦させて貰うからよ!』

「くっ・・・!」

飛びかかる人型ダーカーに、私は槍を構えた。


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