PSO2 ~創造主の遺産~   作:野良犬タロ

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第十三章 ~亡者の再来~

 

~ノワール 惑星リリーパ 採掘基地~

 

「・・・。」

ダーカー大規模殲滅も兼ねて俺はこの基地防衛に来た。

で、大規模作戦には人がゾロゾロいる物だ。

「・・・。」

それはいい、想定の範囲内だ。

それに今回はリリーパに丁度いたアークスのみが緊急召集された集まりだ。

周りにいるのは精々他のシップから来たやつか、同じシップでも話したことすらない奴等ばかり。

「・・・。」

・・・のはずだ。

「で?」

それでだ。

「・・・なんでてめぇが居やがるんだよ、セト。」

「あっはっは、なんでだろうね♪」

「・・・ちっ、なんなんだよ。」

こいつとのエンカウントは避けたかったんだけどな。

後ろに妙に身なりの揃った奴等もいる。

こいつの部隊の隊員みたいだな。

俺とセトの・・・いや、正確にはセトを中心に後ろで横並びに整列している。

「部下までつけて随分と偉くなったもんだな。」

「羨ましい?」

「まさか、いるだけめんどくせぇ奴らつれてる奴の気が知れねぇよ。」

「またまたぁ♪」

「うぜぇ・・・!」

「ハァ・・・ハァ・・・やっと追い付いた・・・!」

少女が俺のすぐ左隣で息を切らしている。

「・・・誰がついてこいって行った。」

「あ、あたしは別に・・・ん?」

少女は顔を上げて何かにはっとする。

「あ、あんたは・・・。」

セトに反応したみたいだ。

「やぁ、昨日ぶり♪」

セトは相変わらず善人ぶった笑顔で手を振る。

「昨日のロリコンストーカー!!」

「・・・!」

少女の言葉にセトは笑顔のまま、石になったかのように固まる。

加えてすぐ後ろから何やらヒソヒソ声が聞こえる。

「・・・ッ!」

不意に吹き出しそうになってしまい、咄嗟に堪えた。

「あー、みんな?今・・・何か聞こえた?」

「な、なんでもありませんッ!!」

隊員はヒソヒソをやめて正面に向き直り直立姿勢に戻る。

「・・・お前が部下にどんな教育してんのかよーく分かった。」

「誉めても何も出ないよ♪」

「誉めてねぇ。」

「・・・。」

少女は目の前の光景に目をぱちくりさせる。

「あんた、大型チームのマスターなの・・・?」

「いや、こいつは教導部付属の部隊長だよ。」

「教導部って・・・最近出来た元六芒のレギアスが主席の幹部組織じゃない・・・!」

「驚いた?」

「ま、まぁそりゃ驚くけど・・・。」

少女は俺とセトを交互に見る。

「・・・なんだよ。」

「・・・あんたらの接点が分からない。」

「あっはっは!そうだね!」

少女の疑問にセトは笑い出す。

「片や部隊長、片やぼっちの単独アークスだもんね!」

「ぼっち要らねぇだろ。」

「こっちの黒いのが昔部隊にいた・・・って線はなさそうね。」

「黒いのってなんだ。」

「そうだね、自己紹介がまだだった!」

「別にしなくていいだろ、んなもん。」

「セトだ。んでこっちの無愛想な仮面野郎がノワール。」

俺を無視してセトは自己紹介を始める。

「悪かったな無愛想な仮面野郎で。」

「僕らは昔組んでたんだ♪まぁ、僕のがちょっぴり先輩だけど♪」

「対して変わんねぇだろ、一ヶ月くらい。」

「凸凹コンビだったのが容易に想像出来るわ・・・。」

「おい言われてんぞ?」

「お前もだよ?で、君は?」

「・・・ラパンよ。」

「で、ノワールとはどういう関係?」

「「ついさっきバッタリあった関係ッ!!」」

セトのふざけた質問にラパンと俺の反応が被る。

「あーそっかー、ごめんね!でもこいつってば久しぶりに会ったかと思えば色んな子とお知り合いだったみたいだし♪」

「うぜぇ・・・それにお前が期待してるような関係じゃねぇよ、向こうが勝手に絡んで来るだけだ。特にあのアホが・・・。」

 

 

~ネージュ アークスシップ~

 

「ヘクシュッ!!!」

 

 

~ノワール 惑星リリーパ 採掘基地~

 

「それってあの時いたあの銀髪の・・・。」

「・・・。」

『アホ』で理解されるあいつってホントなんなんだろうな。

 

 

『惑星リリーパ採掘基地のアークスへ通達!ダーカーの反応が接近中!!直ちに戦闘準備を!!』

 

 

「はは、そろそろ来る頃だと思ったよ!各員、戦闘配備!!」

「「「ハッ!!」」」

セトの号令に隊員は武器を手元に構えた。

「・・・。」

今更だが、戦闘前なのに会話に気が抜けすぎだろと思った。

 

 

~ロイド アルクトゥス 市街地(七年前)~

 

「ラパンッ!!」

目の前でラパンは黒い霧に包まれて消えた。

「ッ!!」

「!!?」

ルナールは突然走り出した。

「ルナール、待て!!」

「・・・!」

制止をかけると、ルナールは止まって振り向く。

「ラパンを探しに行く!!先生はみんなを避難させて!!」

「無茶だ!お前はケガをしてるんだぞ!?」

そう、ルナールは最初にダーカーと戦った際に負傷している。

それ以前に子供一人でこんな戦場に放り出すことなど出来ない!

「へーきへーき!すぐラパンと一緒に先生達と合流するから!!」

そう言ってすぐに走り出す。

「おい!!」

すぐに追いかけようとしたが、ルナールはなかり足が早く、すぐに瓦礫の陰に消えていった。

「くっ・・・!」

それでも追いかけようとしたが、すぐに向き直って子供達に目をやる。

深追いすれば子供達が完全に無防備になる。

そうなれば間違いなくダーカーにとって格好の餌だ。

「くそっ・・・!」

「先生・・・。」

子供達が心配そうにこっちを見る。

「・・・。」

そうだ、子供達を放って置くことは出来ない。

「・・・シェルターに急ごう。」

「でもルナールやラパンは・・・!」

エルが心配そうに投げ掛ける。

「心配するな・・・。」

エルの頭を撫でる。

「皆の安全を確保したら、私が二人を連れ戻しにいく、だから・・・ッ!」

エルを宥めようとして何気なく周りを見ていると、子供達の後ろにダーカーが迫っていた。

先程のダガンだ!

「危な・・・!」

すぐに子供達をダガンから引き離そうとするが、とても間に合わない。

ダガンの爪が今にも子供の一人を引き裂こうとした瞬間・・・。

「ッ!?」

突然現れた何者かによってダガンは無数の弾丸に撃ち抜かれ、息絶える。

「ったく、子供連れてゾロゾロと・・・死にてぇのか民間人。」

「・・・!」

手に二丁持った銃、黒いコート。

その男はアークスだった。

だがその顔には見覚えがあった。

「兄・・・さん・・・?」

「・・・お前は!?」

目の前の男はライド、私が幼い頃に生き別れた兄だ。

「・・・。」

「兄さん・・・アークスになったんだね。」

「ロイド・・・俺は・・・ッ!?」

兄は何かを言いかけたがハッとする。

黒い霧と共にダーカーが周りに転移してきた。

「ロイド・・・すまん、無理を言うが頼む。手を貸してくれ・・・。」

「え・・・。」

「この数相手にこんな人数を守りきれる自信はない。こんな事言えた義理じゃないが頼む・・・。」

「・・・。」

状況が状況だ。

でも私は・・・。

 

 

~ラパン 惑星リリーパ 採掘基地~

 

「レンジャー部隊、散会!近接部隊は半数法撃部隊を防衛、残りは僕についてこい!」

「「「了解!!」」」

セトは部隊に指示を出し、瞬く間に前線へと進んで行った。

「マスター!あの人ホントに隊長っぽいね!」

ルナールは生き生きと私に話しかける。

「う、うん・・・。」

さっきまでの飄々としたあの男とは思えない。

「で、あんたは何を・・・っていない!?」

ノワールに話しかけようとしたが既にその姿はなかった。

「セトよりも先に突っ込んでったわね・・・。」

部隊に属してない分フットワークが軽いみたいね。

ってこうしてる場合じゃない!

「ルナール、私達もいくよ!!」

「うん!!」

私達も剣を持って前線へ走っていく。

「!!」

前方にダガンが四体見えた。

「このッ!」

テクニックを練り、ダガン達に放つとダガン達の中心で爆発が起こり、敵を一掃する。

点座標型のテクニック、ラフォイエだ。

続けてダーカー達の群れが来るので近づいて来た時に備え、テクニックを練る。

「ルナール、この辺りで前に出るのはやめよう。このラインで迎え撃つ!」

「了解!」

ルナールは私の前に立ち、私に敵を寄せ付けないように剣を構える。

「行って!!」

練った闇のテクニックを放つ、誘導型のイルメギドだ。

放たれた闇の腕は敵陣を引っ掻き回す様に暴れまわり、小型のダーカーを一掃する。

しかし、それを切り抜けたダーカーがいた。

二足歩行の中型で虫型のダーカー、ゴルドラータだ。

先程のイルメギドで私を脅威と取ったのか、塔へは向かわず私に向かって来る。

「やらせないよォ!!」

ルナールがゴルドラータのうちの一体に突っ込んで斬撃を食らわせるが、小柄なサポートパートナーの一撃に怯む事なく進み、私を取り囲む。

「・・・ナイス、ルナール!」

狙い通りだった。

ルナールが離れて敵が私を取り囲んでいるなら・・・。

「これが撃てる!!」

練ったテクニックを周囲に散布させると、炎が渦の様に周囲に燃え広がる。

周囲放出型のギフォイエだ。

ルナールが近くに居れば撃てるものではないが、今突っ込んで行った拍子に離れてくれたので躊躇う事なく撃てた。

ゴルドラータは炎に焼かれる内に口辺りの外皮が焼き払われ、コアが露になる。

「そこッ!」

「てやぁ!!」

私とルナールはそれぞれ一体ずつ、剣でコアを切り裂き、ゴルドラータを仕留める。

「残りは・・・?」

最後の一体の姿が見えない。

「マスター!!」

「!!」

ルナールが先に気づいて注意を呼び掛けて気づいた。

最後の一体は飛び上がっていた。

私の頭上の数メートルから、今にも私を踏み潰そうと迫っていた。

避けられない!

「!!」

何かがゴルドラータに突進するようにぶつかった。

その拍子に落下の起動が反れ、ゴルドラータは私の僅か右に落下する。

「っ・・・!」

すぐにゴルドラータから離れると、その間にぶつかった人影が着地する。

「あんた・・・!」

「ったく、見てらんねぇな。」

ノワールだ。

「下がってろ。」

「な、なによ!」

「足手まといだって言ってんだ。」

「ッ!」

かちんと来た。

「ふざけ・・・ッ!」

文句を言おうとしたが、すぐに気づいて回避する。

ゴルドラータが口から黒い波動弾を放ったからだ。

そして剣を手元に出現させるとノワールに向かって剣を振るい、斬撃を放つ。

「・・・。」

ノワールは飛び上がって回避し、その姿勢から流れるような動きで宙返りし、ゴルドラータに向かって踵落としを放つ。

しかしゴルドラータは意外にも俊敏で、横跳びに回避する。

そしてそのままノワールに向かって蹴りを放つが、ゴルドラータは忘れている。

「こっち見てないの?」

私の存在を、既にテクニックを練っていた私はフォイエ放った。

ゴルドラータは炎に包まれて息絶えた。

「・・・。」

「足手まといが何って?」

「チッ・・・。」

ノワールは忌々しそうに舌打ちする。

「伊達に女一人でアークスやってるわけじゃ・・・ッ!?」

突然の出来事に驚く。

ノワールが急に私の横に立って仁王立ちする。

「ぐぅッ!」

何かに当たったように身体を震わせ、よろめく。

背中に何か喰らったようで、その向こうを見てみると、先程のとは別のゴルドラータが口から放った波動弾を当ててきたようだ。

「あ、あんた・・・!」

「無駄口叩くな・・・! 戦場だぞッ!」

「・・・!」

そうだ。

此処は戦場、油断すれば・・・!

「マスター!!」

ルナールが呼び掛ける。

「分かってる・・・!」

私はテクニックを練ってノワールに放つ。

治癒のテクニック、レスタだ。

「・・・。」

ノワールは痛みが引いたようで、倒れそうだった姿勢から立ち直る。

そしてすぐさまゴルドラータに向かって銃撃を放つが、ゴルドラータは回避する。

「・・・礼は言わねぇぞ。」

「わ、分かってるわよそれくらい!」

私は続けざまにフォイエを放つ。

するとゴルドラータは回避すると、何故か後方へ逃げていく。

「は?待てよクソがッ!!」

ノワールはゴルドラータを追いかける。

「ちょ、待ちなさいよ!」

私もノワールを追いかける。

何かおかしい、まるで誘い込まれているような・・・。

「!!」

予想が皮肉にも当たってしまった。

逃げたゴルドラータ達は同じゴルドラータの群れに合流し、そのまま構えて仲間と一緒に先程の波動弾の一斉射撃を放ってきた。

「くっ!!」

標的はノワールのようで、ノワールは必死に回避する。

しかし間一髪に回避しているようで、この一斉射撃がこのまま続けばいつかは被弾する。

「なら・・・!」

私はテクニックを練って放つ。

放ったのは点座標の爆破テクニックのラフォイエだ。

しかし敵に放った訳ではない。

爆破させたのはノワールとゴルドラータ達の間の足元の砂だ。

砂は物凄い勢いで吹き上がり、壁のようになって視界を塞ぐ。

こうなってしまえばゴルドラータはノワールを狙えない。

「はっ・・・。」

ノワールは皮肉混じりに鼻で笑うと、砂の柱を潜り抜けてゴルドラータに弾丸を放つ。

突然の不意打ちに、ゴルドラータ達は回避など不可能だ。

「!!」

次の瞬間、あり得ないことが起こる。

「キィアアアァァ!!!」

叫び声が聞こえるとゴルドラータの前にグウォンダが現れ、盾を構えて弾丸を止めた。

「ちょ、なによあいつら・・・!」

ダーカーの習性は知っている。

奴等は目的が一緒でも戦い方は個々で統率された意思はないのだ。

だからこそあり得ない。

『連携を取る』なんてことは絶対に・・・!

「なんであんな動きが・・・!」

「・・・。」

ノワールは体勢を立て直す為に私の横まで下がってきた。

「なるほどな・・・。」

「なによ!知ってるの!?」

「アオ、頼めるか?」

「ちょっと!」

ノワールは私の問いかけを無視してサポートパートナーと連絡を取る。

『問題ありません、十一時の方向、距離二十三、ノイズ無し・・・行きます。』

アオの言葉の直後、グウォンダ達の頭上に光の柱のような光線が降り注ぎ、グウォンダ達は一掃された。

「・・・!」

グウォンダ達が倒れてゴルドラータたちの姿が露になったが、そのなかに何やら人影のような物が見えた。

「やっぱりな・・・。」

「何よ・・・あいつ・・・!」

そいつは人のような形をしているが、身体中が赤黒い液体でコーティングされているような不気味な奴だった。

「また会ったな・・・『人型ダーカー』・・・!」

 

 

~ルナール アルクトゥス 市街地(七年前)~

 

「ハァ・・・ハァ・・・!」

必死に走る。

ラパンと一緒に本で見て知っていた。

ダーカーの捕獲兵器、『ファンジ』の事を。

ファンジは捕獲した獲物を隔離して閉じ込めるものだけど、そう遠くはない。

「ラパン!!ラパァン!!」

友達の名前を必死に呼びながら探す。

「・・・!」

前方で黒い霧が起こると、ダーカーが表れる。

その体は先ほどキュクロナーダよりも大きく、筋肉質な見た目から、格闘技でもしそうなダーカー。

「ウォルガータ・・・!」

知ってる・・・こいつ、強い奴だ。

「あんたはお呼びじゃないんだよ!!」

先に進むには倒すしかない。

持っていた剣を構える。

「・・・!!」

違和感があった。

手を見ると震えていた。

相手はアークスですら手こずる相手、ましてや自分はアークスでもない、フォトンをちょっと使えるだけの一般人。

怖くない訳がない。

でも・・・!

「それでも、私は行かないといけないんだ!!」

私はウォルガータに突撃する。

ウォルガータは腕を大きく振りかぶる。

やばいと思い、剣を盾に構える。

振りかぶったウォルガータはそのまま私を凪ぎ払うように大きく腕を振るった。

「ぐうっ・・・!」

さっきのキュクロナーダよりも遥かに重い一撃だ。

必死に踏ん張るが、それでも数メートル押し戻される。

「・・・!」

ウォルガータは身体を低くして構えている。

何をするのかと思った瞬間、平手を突きだし、ぶつけるような動きを繰り返しながら此方に迫ってきた。

「ヤバいヤバい・・・!」

あんな馬鹿力のあんなラッシュ攻撃、防ぎきる事なんか出来るわけない!

そう判断してすぐに後ろに逃げる。

さすがに攻撃しながらは足が遅いようで、ウォルガータは私に追い付けない。

ウォルガータは突きのラッシュを止めると、今度は全身に力を込める様に身を縮み込ませる。

「ッ!?」

ウォルガータは、突然飛び上がるように突っ込み、一気に私の元に飛んでくる。

「うわああっ!!!」

間一髪、全力で横に跳んで回避出来た。

あんな体当たり喰らったらシップの外まで吹き飛ばされてお星様になりかねない。

「・・・!」

ウォルガータは先ほどの体当たりのせいか前のめりに倒れている。

これって起き上がるまでに一撃入れられるんじゃないのかな?

「うあああぁ!!」

勇気を込めた叫びと共にウォルガータに突っ込む。

やっぱりだ。

ウォルガータはゆっくりと上体を起こし、しかも反対方向を向いている。

今にも一撃入れられる瞬間だった。

「えっ・・・?」

気づいた時には私は吹き飛ばされていた。

ウォルガータは振り向き様に腕を振るって私を殴り飛ばしたからだ。

そのまま私は後ろの瓦礫に吹き飛ばされて埋もれる。

「ぐっ・・・かはっ・・・けほっ・・・。」

痛い!

全身が痛い!

今殴られた右の脇腹、そして瓦礫に打ち付けられた頭と背中。

全てがこれでもかとくらいに悲鳴をあげている。

「・・・!!」

そんな私を可哀想と思って見逃してくれるはずもなく、ウォルガータは私に迫っていた。

「ヒッ・・・!」

怖い・・・!

自分よりも圧倒的に強い相手。

しかも逃げようと思っても逃げられる気がしない威圧感。

まさに自分が蛇に睨まれた蛙のような状態だと思った。

でも・・・。

「私は・・・私が・・・。」

私が此処で負けちゃったら・・・。

「私が此処で死んじゃったら・・・ラパンが死んじゃうんだ!!」

そう、私はラパンを助けないといけない!

だから負けられない。

「うわああああああああああああああああぁぁぁ!!」

身体中の痛みを堪えて走り出す。

ウォルガータは迎え撃とうと振りかぶるが私はもう防御は考えない。

奴の攻撃よりも早くその顔面に剣を突き立ててやる!

それ以外考えなかった。

「うわああああああああああああああああ!!」

 

 

・・・。

「ハァ・・・ハァ・・・!!」

私は息を切らしながら仰向けに倒れたウォルガータの上に乗っていた。

手に持っていた剣はウォルガータの右目を突き刺していた。

「私が・・・やったの・・・?」

やった・・・やってしまった・・・。

本当にこれ現実なの?

とか思った。

「・・・あっ!」

すぐに我に還った。

「ラパンを探さないと・・・!」


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