提督・艦娘の部屋には洗濯籠(名札付き)があり、それに洗濯物を入れて部屋の外の棚の下段に入れておくと雑務妖精が回収し、洗濯をして洗濯籠は棚の下段、洗濯物は棚の上段(扉付き)に収めてくれます。
同じように大浴場の脱衣所にも洗濯籠があり、洗濯籠に名札(大浴場の棚の中に複数枚名札が置かれています)を付けておけば雑務妖精が回収し、洗濯をして部屋の外の棚の上段に収めてくれます。
輸送や哨戒任務後に工廠に行き、補給後に艤装を預けた際に、制服類(下着やインナー類は建造時のものと同じ)を渡されます。これは大浴場で汚れを落とせ(整備しろ)ということです。この場合は、名札の付いていない洗濯籠に制服類(ID管理されている)を入れておくと、雑務妖精が回収し、洗濯をして工廠に収められます。
たまに紛れ込む私物・下着・インナー類は、ID管理されている制服類と一緒だった場合は雑務妖精が回収し、洗濯をしてその制服類のIDの艦娘の部屋の前の棚の上段に収められます。制服類が一緒でなかった場合は該当者なしということで廃棄処分されます。
大浴場には共用のタオル類が棚に収められており、タオル類はどこの洗濯籠に入れても洗濯後は大浴場の棚に戻されます。
洗濯室は入渠ドッグの横(大浴場の反対側)にあります。洗濯籠ごと洗濯機に入れて扉を閉めると修復剤で満たされ…。だからいつでも新品同様。折り畳みやアイロンは雑務妖精さんが手がけます。
※ブラック鎮守府は大浴場を閉鎖したり入渠ドックに制限を付けたりと外道なことを行います。
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一日目 一六:三〇 海軍省軍令部 大浴場
補給をしてから艤装を工廠に預け、工廠妖精から替えの制服を受け取り、入渠ドックの横にある大浴場の暖簾を潜る。脱衣所で洗濯籠に脱いだ服を入れ、棚からタオル二枚とバスタオルを取って大浴場に入り、壁際のシャワーが並んでいるところに進み、タオル類を仕切りに掛ける。
「今は流すだけでいいや。夜にまた入るから、連装砲ちゃんも流すだけでいい?」
「しおだけおとせばよい」キュイ
「ちゃんとふいてね」キュイ
「了解」
シャワーヘッドを手に取り蛇口を捻ってお湯を出す。温かくなってきたところでホルダーにシャワーヘッドを留めて頭からお湯を浴びる。手で髪を漉き、全身を軽く撫でるように擦ってからお湯のシャワーの下から身体をずらし、仕切りに掛けておいたバスタオルを取って大まかに髪を拭き、身体を拭いてバスタオルで包む。それからシャワーヘッドを取って連装砲ちゃんたちにお湯をかけて手で軽く擦ってあげる。
「しまかぜテクニシャン」キュイ
「かゆいところにてがとどく」キュイ
「…よし、落とし忘れないかな?」
蛇口を締めてシャワーヘッドをホルダーに留め、仕切りに掛けてあったタオルを取って連装砲ちゃんたちを拭いてから、連装砲ちゃんたちの頭の上にそれぞれタオルを置く。それから大浴場を出て脱衣所に入り、棚から新しいバスタオルを取って髪を拭き始める。
「ドライヤーは、いいか」フキフキ
「ようせいさんテクニシャン」キュイ
「とてもきもちいいです」キュイ
島風が足元を見ると、雑務妖精たちが連装砲ちゃんたちを念入りに拭いてくれていた。
「おぅっ!?ありがとう妖精さん」
「連装砲ちゃんたちは自分で拭けないから仕方ないのです?」
「錆びることはないのです?」
髪を拭いたバスタオルを洗濯籠に入れ、制服を身に着けてから鏡台前の椅子に座り、ヘアバンドを装着する。鏡を見ながら小さく溜息をつくと、入口から誰かが脱衣場に入ってきた。
「おう、島風。曳航ボート輸送、おつかれさん」
「あ、摩耶さん。今からお風呂?」
「いや哨戒が終わったから軽くシャワーだけだ。風呂は寝る前に入る」
「私も同じ。じゃあ、寝る前に一緒にお風呂入らない?」
「別に構わないけど、珍しいな」(なんか懐っこくなってねえか?)
そう言って摩耶は目を細め、微笑みながら島風を見る。
「なんか、いい顔してるな。いいことあったか?」
「うん。提督と行ったとある鎮守府でね、おにーさんに会ったんだ」ニコ
「お兄さん?」(島風が笑ったの久しぶりに見た)
「そのおにーさんはなんと、連装砲ちゃんとも話せるんだよ」
「それはスゲーな。アタシは連装砲ちゃんの声は聞こえねえ」(連装砲ちゃんと話せるってことは妖精とも話せるってことだから、S級か)
「そのおにーさんをここに連れて帰ってきたから、おにーさんが提督になるかもしれないよね?」
「んー、そうだな。S級なら最終試験パスすればどこかの提督に収まりそうだ」(表情がコロコロ変わるようになったな。克服したのか?)
「そうしたら、私、おにーさんの鎮守府なら行ってもいいかなって」ニコ
「…最終試験で裏切られるかもしれねえぞ?この前のB級の奴みたいになるかもしれねえし」
「大丈夫だよ。おにーさん、島風の制服のことで文句言ってくれたもん」
「は?なんだそりゃ?」(制服のことで文句?)
「最初、痴女みたいだって言われたけど、水着だし制服だからしょうがないって言ったら『何考えてんだよ日本海軍』って、提督に文句言ってくれたの。それでその後、撫でてもらったらね、嫌じゃなかったんだ」///
「その制服、気に入ってるんじゃなかったっけ?」(島風だけじゃなくて、文句言ってやりたい制服の艦娘多いけどな。あのパンツ水着だったのか)
「うん、気に入ってるし可愛いとは思うけど、冷静に考えると結構恥ずかしいよ。これ。水着だから何とかセーフみたいな」
「アタシもスカート短い方だけどまだ隠せる。でも島風のはほぼ丸見えだもんな」
「おぅっ!?摩耶さんもそう言っちゃう!?」
「ははは。悪い。でも、まあ島風が元気になってくれてアタシは嬉しいよ」ナデナデ
「えへへ。撫でてくれる摩耶さんの手も優しくて好きだよ」///
「嬉しいこと言ってくれるねえ」ナデナデ(怯えなくなったし、素直に甘えられると嬉しいな)
「元帥執務室です。作戦本部付駆逐艦島風並びに作戦本部付戦艦比叡は元帥執務室に来てください」
全館放送で呼び出された名前を聞いて、摩耶の表情が翳る。
「…比叡ってことは試〇一〇二だろうけど、島風、大丈夫か?」
「提督は痛いことはしないって言ってくれたし、最終試験はおにーさんなら大丈夫だと思う」ニコ
「いや、その…」(なんて言えばいいか…)
「…前の鎮守府のことを思い出すかもしれない?」
「………うん。比叡のやることは、その、アレだからさ」(確かにここの提督はアタシ達に強制したり暴力をふるったりはしないけど、ここの比叡は悪い方に壊れちまってるからな)
口ごもる摩耶を見て、島風は小さく微笑みながらこう言った。
「なんとなくだけどね、おにーさんなら比叡さんも救ってくれる。私、そんな気がするんだ」