君の名は、白き望み。 作:氷桜
怜竜完結まで時間かかりそう……。
※exの時期は順不同です。
「クリスマス前、ですかー。」
「クリスマス前……だね。」
お茶を飲みながら身体を温める。
割と今年は雪が降った。
雪掻きが面倒な程には。
長野である程度経験してきてはいたけど、やはり結構違うもので。
特に、自分の家とシロさんの家の二件もやることになると。
それはそれは重労働。
「……でも、さ。」
「はい。」
「生誕祭……私達が祝って良いのかな。」
「それは日本人の一部を除けば言っちゃいけないことです。」
主に信仰してる人達。
大体正月に神社行ってバレンタイン祝って葬式は寺、なんてのもあるのだ。
そう言った、ある意味では混ぜ放題。
ある意味では、色々取り入れた日本独自の文化。
それが広まって、受け入れられている事は良い事だと思う。
「……ま、トシさん今日戻らないらしいもんね。」
「忘年会、らしいですけどね。」
なんでも、奈良の方のコーチの人がプロになることになったらしい。
その祝いを兼ねて、昔の知り合いと飲みながら打つとか。
……どんな知り合いなのか、凄い気になる。
後で紹介する、とは言ってたけど。
「……で、これ食べ切れる?」
「調子に乗りました?」
「……少し。」
そんなことも有り。
今、シロさんはうちにいる。
一人と一人でいても大した事はないし。
俺が雪掻きする代わりに、料理をしてみると。
……正直、腕前に疑問があったのは確かだったけど。
少しだけ味見させてもらえば、そんな疑問は氷解した。
ただ、明らかに量が多いけど。
「しかし……凄いですね、ここまで出来ませんよ俺。」
「最近……練習してる。」
「……え。 シロさん、が!?」
正直動揺する。
あの怠惰、を身体で表したような女性が。
料理の練習。
いや、一人暮らしな以上普通以上には出来てたんだろうけど。
それでも、練習!?
「……悪い?」
目を逸らして。
明らかに呟くように言葉を吐き出す。
最近、分かりやすく表現するようになっていた。
その一例が、これ。
「い、いえ……正直、びっくりして。」
「……全く。」
「…………はい?」
「……京太郎の、ためだよ?」
「……俺の?」
料理くらい、作ってあげたいから。
そう、途切れ途切れに呟かれて。
正直、顔が真っ赤に染まったと思う。
見ているシロさんも、頬が桃色に染まっている。
「え、と……あー。」
「……食べよ?」
「そう、です、ね。」
瞬間の沈黙。
けれど、そんなものはすぐに途切れた。
目の前のメイン、七面鳥。
小さく切り取られて。
フォークに刺されて、目の前に差し出された。
「……はい。」
「あ、はい。」
あーん、と言われた気がする。
だから、言い返して差し出した気がする。
正直、夢心地。
覚えているような、覚えていないような。
そんな曖昧の中を漂って。
「今日は……。」
「……え?」
一晩中一緒、だもんね。
そう、聞こえた気がする声も。
多分、夢だったのだろう。
メリークルシミマスイヴ。