ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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れ、連投です。
てか、羽姉ちゃんの言葉使いとか難しい……。


第8話 カイモノ

 所変わって、近場のショッピングモール。つーか、ショッピングモールってデカ過ぎだろ。同じ店がありすぎだし。

 

「来たのはいいけど。何買うんだ?行きあたりバッタリってやつになりそうだけど」

 

「うーん、服が見たいかなぁ」

 

「服ねぇ。今のままで十分可愛いと思うけど」

 

「お、今の言葉ポイント高いよ」

 

 え、何。俺って採点されてんの?

 何それ怖い……。でもまあ、女性の服を最初見たら褒めろって、羽姉ちゃんに教えられたんだよなぁ。

 口には出さないけど、羽姉ちゃんって、モデル並みに可愛いです。はい。

 取り敢えず、一階に点在する服屋へ向かった俺たち。

 

「これがいいかも」

 

 羽姉ちゃんが手に取ったのは、藍色のノースリーブに白いボトム。黄色をラインと青を基調にしたチェックのシャツだ。おそらくこれは、腰に巻いてアクセントをつけるようだろう。ま、ノースリーブの上から重ね着もできるしね。

 

「似合うと思うけど、肩の露出度高くね」

 

「ノースリーブだもの、肩は露出するよ。……もしかして――」

 

「そ、それ以上言わないでください、羽姉ちゃん」

 

 チッ、一瞬でも見られたらヤダって考えちゃったじゃねぇかよ。ま、付き合いが長い姉だし、こう考えるのも無理はないと思うけど。

 

「じゃ、ちょっと着替えてくるね」

 

 そう言って、試着室に消えて行く羽姉ちゃん。まあ俺は、試着室の前にあるパイプ椅子に座った。

 今思った。学校の奴らに見られたら、面倒なことになるんじゃね……。

 そんなことを考えていると、試着室のカーテンが開いた。で、羽姉ちゃんは、その場で一回転。

 

「ど、どう?」

 

「……えーと、あの……」

 

 何これ、かなり恥ずかしんですが。つか、何で感想を言う俺が恥ずかしいのだろうか?俺、おかしい奴じゃないよね?

 

「……かなり似合ってる。可愛いよ」

 

 やっべ、メチャクチャ恥ずかしんですが。ほら、姉ちゃんの顔も真っ赤だし。

 

「そ、そう。じゃあ、これを買っていこうかな」

 

「へ?俺の感想だけでいいの。そんなにあっさり決めちゃって?」

 

「それが重要なのよ。蓮君はわかってないんだからっ」

 

「はあ、そうなのか」

 

 うーむ。俺には今一わからん。てか、女心はわからんの方が適切か。

 それから、姉ちゃんは元のワンピースに着替え、試着室から出て来た。右手で、先程の服が抱えられている。

 

「さて、これを買ったら次に行こうか」

 

「……次もあんのかよ」

 

「もちろん。荷物持ちお願いね、蓮君」

 

 ……うん、わかってた。俺が荷物持ちになることは。

 それから、姉ちゃんが会計をして、店を出ました。で、俺の右手には、先程の買い物袋が提げられている。どうやら、荷物持ちのスタートらしい。

 つーか、服屋何軒回るんスか。俺の両手が、2つずつの袋で埋まってるんですが……。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「買った買った」

 

「お、おう、そうだな」

 

 俺と姉ちゃんは、休憩所のテーブルの椅子に座っていた。

 やっと休めたわ。つか、女の子の買い物は長いって聞いてたけど、本当だとは。

 

「羽姉ちゃんは、今日帰るのか?」

 

「今日の夜の便で中国に帰るかな」

 

 日本に来て、すぐに中国に帰る。正しく弾丸ツアーである。

 

「目的は達成できたから満足だけど」

 

「はあ、目的ね」

 

 羽姉ちゃんの目的とは、日本での買い物だろうか?わからん。てか、深く考えると、ド壺嵌まりそうだから止そう。

 

「あ、そうそう。これ土産な」

 

 俺が懐から取り出したのは、ちょっとだけ別行動した時に購入したものだ。

 ちなみに、それは茶袋の中に入っている。

 羽姉ちゃんは、『開けていいかな?』と俺の了承を得てから袋を開け、それを取り出した。

 

「黄色のシュシュだね。ありがとう」

 

「色の好みがわからんから、羽姉ちゃんが好きな色かな。って思うやつにした。い、嫌だったか?」

 

「ううん。黄色、わたしの好きな色だよ」

 

「なら良かった」

 

 つーか、姉貴以外の女性に贈り物をしたのは、羽姉ちゃんが初めてじゃん。

 

「これはわたしから。はい」

 

 羽姉ちゃんが俺に差し出したのは、細い銀色のチェーンに、小さなイルカが嵌め込まれたネックレスだ。……ネックレスは色々とマズイ気がするんだが。だけどまぁ、せっかくの好意を無駄にはできない。

 俺はそれを受け取り、

 

「サンキュー。つっても、学校とかではつけないと思うけど。色々勘ぐられそうだし。出かける時くらいか」

 

 羽姉ちゃんは苦笑し、

 

「気が向いたらでいいよ」

 

「おう、そうする」

 

「じゃあ、帰ろうか」

 

「そだな」

 

 俺と羽姉ちゃんは立ち上がり、後一軒だけ店を回りショッピングモールを後にした。てか、俺の両手は荷物で完全に塞がったんだけど。いや、既に塞がってたけどさ。

 そんなこんなで、時間帯もちょうど良くなり、空港へやって来た。羽姉ちゃんの見送りである。ちなみに荷物は、専用の箱に入れ、ターンテーブルに乗せ飛行機の中である。

 

「気をつけて帰れよ」

 

 飛行機に乗るんだから、気をつけてもないんだけど。

 

「わかってます。それじゃあね。蓮ちゃん」

 

「だ、だから、蓮ちゃんじゃ――はあ、まあいいや。じゃあな」

 

「うん、またね」

 

 手を振り、ゲートを潜る羽姉ちゃん。俺は、姉ちゃんの後ろ姿が見えなくなるまで見送り続けた。

 これが、羽姉ちゃんとの買い物の一幕であった。




羽姉ちゃん。完全にヒロイン決定ですね。てか、ここからヒロインじゃなかったら、羽姉ちゃん不憫すぎる……。

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