ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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第7話 デアイ

 俺と集、楽は部屋を出て、縁側に座っていた。

 

「で、何で俺も呼び出されたんだ?」

 

「蓮は、この状況に一番詳しいだろ。だからだ」

 

 まあ、俺は第三者だから、詳しいと言えば詳しいけど。んじゃ、俺が集に説明するとしますか。

 俺は集に、一連のことを説明した。

 

「なーるほど。そういう理由で恋人の振りをしてたのか~~。まさか、そんなに大変なことになってるとは。ま、一番の驚きは、蓮がギャングの義弟ってことだけど」

 

「まあな。姉貴の親父が孤児院から連れ出してくれてな、そのまま義弟になったんだよ。で、今に至る。てか、集はいつから気づいてたんだ?」

 

「ん、楽の肩を揺らした時から」

 

 それ、恋人の振りをした登校初日の時じゃん……。やっぱ、集は勘は鋭すぎだわ。

 まあ、集は笑っていたが、『こんな面白いことに乗らない手はない』的な感じで。

 

「そういえば、楽。小野寺はこのことを知ってるから心配するな。俺がバラしといた。だからまぁ、誤解されることはないな。好きなんだろ、小野寺のこと」

 

「さ、サンキュー。蓮。……ん、何でオレが小野寺を好きってわかったんだ?」

 

「いや、楽の言動を見てれば一目瞭然だから。な、集」

 

 集は腕を組みながら両目を閉じた。

 

「うむ。蓮の言う通りだ。もしかしたら、クラスメイトの殆どは気づいてるんじゃないか。それよりも蓮さんや。本当に好きな人は居ないのかい?」

 

 ニヤニヤしながら、集にそう言われる俺。

 

「ニヤニヤしながら聞くな。さっきも言ったろ、居ないって」

 

「気になる人は居ないのかい?ほら、考えて一番に浮かんだ人とか」

 

「……集はグイグイくるな。てか、一番に思い浮かんだ人ねぇ」

 

 そう言いながら、俺は思考を回してみる。……まあ、浮かんだっちゃ浮かんだが、却下の方向で。

 

「……俺のことはいいだろ。それよりも、楽のことだ」

 

 ここは話を逸らそう。楽、すまん。

 

「ま、それは追々追求するとして。――楽。小野寺は、お前のこと好きだと思うぞ」

 

 集の言葉を聞いて、顔を真っ赤にする楽。

 

「なっ……な!ば、バカヤロウ!そんなことあるわけねぇだろう!」

 

「いや、勝算はあると思うけど。今から告っちゃえば。行動は早め早めにだぞ。……取り返しがつかなくなったら、全部が水の泡だしな」

 

「れ、蓮もそう言うのかよ!」

 

 俺の言葉にも声を上げる楽。まあ、いきなり言われたんだから、こうなるのは無理もないけど。

 

「も、もしオレの立場だったら、蓮はどうするんだ?」

 

「呼び出して、二人になってから告るな。……勝算があればだけど」

 

「蓮は、即断行動の奴なのな」

 

「まあな。ウジウジしてても始まらんし。時が過ぎてくだけだ」

 

 てか、尊敬の眼差しで見ないでくれ、集と楽さんや。

 ともあれ、俺たちは部屋に戻りましたとさ。つーか俺、宿題とか全部終わってんだよね。

 

「(帰るか。このまま帰るのは忍びないけど)」

 

 俺は立ち上がり、

 

「すまん。俺は先にお暇するな。もし、『こいつの手が必要だ!』ってなったら呼んでくれ。上から目線になってすまないが」

 

 とまあ、そう言うことなので、俺は帰りの支度をしてから集英組を後にした。ちなみに、皆から別れの挨拶がもらえました。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 それから数週間後。

 まあ、この間にプール等の事件があったんだが、その辺はキンクリと言うことで。なんか申し訳ないが。

 で、今日は日曜日と言うことで、俺は街をぶらぶらとしていた。ちなみに俺の恰好は、デニムに黒いVネックTシャツといったラフな格好だ。

 そんなこんなで電信柱を過ぎた所だった。誰かに目隠しされたのだ。

 

「だーれだ」

 

 ……まさかだと思うけど……。いや、ありえないと思うけど。この声は――、

 

「ゆ、羽姉ちゃん(・・・・・)だったり……」

 

「ピーンポーン。正解正解」

 

 そう言って、俺の前に立つ羽姉ちゃん。

 俺はあれである。混乱から立ち直れないでいる。

 

「来ちゃった♪」

 

「いやいや、『来ちゃった♪』じゃねぇから。何でここに居るんですかねぇ?羽姉ちゃん。てか、叉焼会(チャーシューかい)はどうしたんだよ?」

 

「えっとね。部下の人たちにお休みが欲しいなー。って言ったら、何と二日もくれたの」

 

 へぇ、部下に信頼されてるんだなぁ。羽姉ちゃんは。ちょっと、羨ましいかも。

 そんなことより――、

 

「その休みを使って、日本に来たの?」

 

「そうそう。電話よりも、直接話したいじゃない」

 

 いや、何。その為に日本に来るとか、意味が解らん。って感じなんですが……。

 羽姉ちゃんの恰好は、膝までの藍色のフレアワンピースに、足丈までの茶色のブーツといった格好だ。あれだ、目のやり場に困る……。(俺はだけど)

 

「楽に会わなくていいのか?幼馴染なんだろ?」

 

 唇に、右手差し指を当てる羽姉ちゃん。

 

「うーん、今はいいかな。楽ちゃんには、わたしより良い女の子が居ると思うから。後で大々的に驚かせたいしね」

 

「まあそういうことなら。で、どっか行くのか?」

 

「もちろん。蓮君も一緒にね」

 

 ……うん、こうなることは予想してました。まあいいけどさ。

 

「ふふ、蓮君とデートだ」

 

「デートじゃねぇから。ただの買い物だ」

 

「男女が一緒に買い物することは、列記としたデートだよ。蓮君」

 

 首を傾げる羽姉ちゃん。『もう、何言ってるの』と言ってるようにも捉えられることができる。

 

「……いや、違ぇし。デートじゃねぇし」

 

 最後まで否定する俺。

 

「ふふ、そういうことにしといてあげる♪」

 

 そう、俺は口論勝負では、羽姉ちゃんに勝てたことがない。と言うことなので、この勝負は、俺の負けである。

 俺は溜息を吐き、

 

「ショッピングモールでいいか。てか、俺にそういうのは期待するな」

 

「重々承知してるよ、蓮君♪」

 

「はあ、行くか」

 

 再び溜息を吐く俺。てか、腕を絡めないでください……。胸が当たってるから、俺には究極難易度だから。

 このように、俺の一日が始まった。




羽姉ちゃんの、ヒロイン力高っ。

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