「橘万里花さんが、昨日をもちまして転校になりました……」
HRが始まり、教壇の上に立った羽姉の言葉に、俺は目を見開いてしまった。……つーか、嫌な予想が当たったのかよ。教室内も、混乱の渦である。
この日から数日経過したが、あの日から橘とは音信不通である。ちなみに、女性陣が橘が住んでいた家に行ったらしいが、橘の姿は無く留守状態だったらしい。……まあ、転校してたなら当然なんだが。
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~屋上~
「……万里花ちゃん、どうしたのかな?」
そう聞いたきたのは、俺の隣に立つ小咲だ。
「……解らん。つっても、急な転校に、楽にチョコを渡す時意味深な言葉。あれから音信不通。……これだけで嫌な匂いが凄ぇけどな」
楽は『意味深な言葉』ってだけしか聞かせてくれなかったけど。まあ、『橘の覚悟が窺える言葉』と、俺は解釈しとこう。
「今、一条君は誰に連絡してるのかな?」
そう。今、楽は誰かと連絡を取っているのだ。
「おそらく、橘の九州の友達だろうな。前に来襲?した時に連絡先を交換したらしい」
なるほど。と頷く小咲。
そして、スピーカ越しに会話はこうだ。
橘が転校した理由は、母親との契約らしい。まあ、何の契約かは解らんが。
橘の実家は九州でも指折りの歴史ある家で、九州の地元では有名であり、知らない人はいないそうだ。んで、橘はそこの一人娘。……にしても、母親の命令が絶対になるとか不憫すぎる……。それに、橘の母親は、橘自身には興味がない。という母親らしい。簡単に言えば、橘を家の歯車としか見てないって所である。
「結婚!?明日だとぉ!?」
楽がそう声を上げた。
相手の男性は、40歳の社長でバツ一らしい。つか、明日結婚とか、仕組むの早すぎだろ、橘の母親。
「……やっぱり、結婚は好きな人としたいよね」
「まあな。てか、俺の場合は重婚になるけど。……将来、法律が改変されなくても、何とかなると思うし」
そうだね。と言い、小咲はにこりと笑った。ちなみに、重婚相手は、小咲、春ちゃん、羽姉である。
……と、話を戻すと、九州の方はアクションが起こせない為、決定はほぼ確定ということだ。……完全ではなく、ほぼ。という事は、俺たちの動きで、その未来が変わるかもしれないという事決まるって所だと思う。……たぶんだけど。まあその辺は、楽の判断で決まるだろうなぁ。
そして――、
「……らしくないッ!あんたは助けに行きたいんでしょ。なら、行動あるのみ!いつもあんたはそうでしょ?」
と、姉貴が楽に言った。
楽は、びくりと肩を震わせたが、覚悟が決まったようだった。
「あ、ああ、そうだな。ありがとな、千棘。――でも、オレだけじゃ不安だ。皆の力を貸してくれ!」
賛同する姉貴たち。(俺と小咲、るりは除く)
「つっても皆さん。明日は平日で、普通に学校があるんだけど……」
「「「「「あ」」」」」
「……いや、姉貴たちは今気づいたん?助けに行くのはいいが、学校はどうすんの?」
その時、バンッと扉が開かれる――。
「話は聞かせてもらいました!皆の九州行きは、私たち叉焼会が全力をもってサポートします!」
羽姉の一言で、俺たちは学校を休み、橘の救出が決まったのだった。
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~翌日。凡矢理空港~
「んじゃ羽姉、俺と小咲がいない期間は、春ちゃんを気にかけてやってくれ」
「羽さん、春をよろしくお願いします」
「うん、任せて。……あと蓮ちゃん、九州でフラグを建てたりしたらダメだよ」
いやね、羽姉。フラグを建てたりしないからね、俺。
「その辺は任せて羽さん。しっかり、私が見とくから」
「……まあそういうことだ。心配しなくていいぞ」
「なら安心だね」
俺たちは、皆集まっている場所まで移動する。
「皆、気をつけてね」
俺と楽で「おう」と返事をし、空港の扉を潜った俺たちであった。
現地では、色々と穏便に済ませたいなぁ……。
次回は、乗り込みかな?
ではでは、次回もよろしくです!!
ちなみに、楽のヒロインは、千棘と万里花の予定です。……うん、予定です。