ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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このペースで更新が維持できるようになればなぁ(願望)


第56話 カクニン

 誕生会当日、俺と楽は、集英組の厨房で料理作りに勤しんでいた。てか、厨房に立ってるのが7人って、料理人少な過ぎない。まあ、他の野郎共も料理の事はからっきしだから仕方ないと思うが。

 ちなみに今日は、各国から叉焼会(チャーシューかい)の傘下のボスたちも集まってるらしい。……なので、正門付近には黒塗りのベンツが凄いとか。

 とまあ、そんなことを考えていたら、オーブンで温めていた茶碗蒸しができあがった。

 

「うし、楽。最後の料理ができたぞ」

 

「ああ。オレの担当の料理も完成だ」

 

 ともあれ、できた料理をお盆に乗せ、居間へ向かう俺たち。

 途中でバッタリ会った羽姉は、叉焼会(チャーシューかい)の正装を身に着けており、大人っぽさを際立出せていた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 長テーブルに最後の料理をお盆から乗せ、全ての料理の完成である。

 

「……ふぅ、終わった」

 

「……だな。ここまで動くとは、予想外だったよ」

 

「まあ、野郎共が料理を作れないのは想定済みだったろ。流石に、ビジネスホテルの料理人を引っ張って来る訳にはいかないしな」

 

 最悪、営業妨害になっちゃうしね。

 楽が同意した時、玄関から『お邪魔しまーす』という声が聞こえてくる。どうやら、招待していた小咲たちが到着したらしい。

 玄関で靴を脱ぎ、此方に歩み寄る小咲と春ちゃん。

 

「蓮君、大変そうだね。手伝おうか?」

 

「お、お姉ちゃん、抜け駆けはダメだよ。れ、蓮さん、私も手伝うよ」

 

 そう言ってくれる、小野寺姉妹。

 てか、今更だけど、羽姉、小咲、春ちゃんは俺の恋人なんだよな。まあ、世間では三股野郎だけど。既に開き直った俺は気にしてない。

 

「大丈夫だ。今はパーティーを楽しめ。何かあったら呼ぶからさ」

 

「「はーい」」

 

 ……流石姉妹。息がぴったりだね。

 

 ――閑話休題。

 

 それにしても、成人の儀式はしっかりしてるもんだなぁ……。つーか、叉焼会(チャーシューかい)の各ボスさんや。俺の事を『若』って呼ぶのは止めてくれ。それは、ビーハイブだけで間に合ってるからね……。

 ちなみに、小咲と春ちゃんは、『王女』と『姫』らしい。まだ、羽姉ちゃんは『首領(ドン)』らしいが、将来何かしらに変化があると見た。

 

「(……姉貴、巨大ケーキをわきから食べすぎだ)」

 

 てか、楽。姉貴のこと、露骨に逸らしすぎだ。意識し始めたから仕方ないと思うけど。もう少しナチュラルにな……。

 まあそれは置いといて、左側のケーキ部分がなくなり、バランスを崩し倒れ始める。落下地点には、俺、楽、羽姉、姉貴だ。

 あー、これは避けられないと。俺は内心で思い、ケーキをほぼ顔面から被ったのだった。……つか、甘ぇ……。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~風呂場、浴槽の中~

 

「……マジで酷い目にあった」

 

「姉貴も悪気があったわけじゃないし、許してやれよ」

 

「そうなんだけど。……てか、蓮。最近気になってきたんだけどよ、蓮と羽姉って付き合ってるのか?」

 

「まあな。つか、半年前から付き合ってたぞ」

 

 小咲とも半年前で、春ちゃんとは約四ヶ月前くらいか?

 

「んで、楽はどうすんだ?姉貴と橘のこと」

 

「……なんで橘も出てくんだよ……」

 

 成程なぁ。楽の中では、姉貴の事で一杯一杯なのかぁ。まあでも、楽は股にかける選択は取らなそう。

 何というか、律儀というか、紳士というか。まあ、それが楽の魅力なんだと思うが。

 ともあれ、風呂から上がり、楽から借りた浴衣?を脱衣所で、下着と共に着る俺。

 脱衣所から出て、会場に続く廊下を歩いていたら、(イエ)に出くわした。

 

「で、何の用だ。(イエ)

 

「……今日は剣舞に大事な話があるね」

 

「……大事な話?」

 

 俺は目を細める。

 

「そうね。実は、首領(ドン)縁談(・・)の話がきてるね。剣舞、お前どうするね――?」

 

 

 

 

 

 

「そりゃ決まってるだろ。そんな縁談、俺が――潰してやる……。羽姉が俺以外の奴と一緒になるとか嫌だし……」

 

 潰すのには、お袋のバックアップとビーハイブの力があれば問題ないだろう。

 まああれだ。お袋と親父に貸しを作っておいて正解だった。という事だ。ガキの言葉で、組織が動くのは有り得ないしね。

 小咲と春ちゃんにこんな話が来ても、縁談ごと潰すけど。

 (イエ)は、ふっ、と笑った。

 

 

 

 

 

 

「今のは()ね。剣舞の最終確認に来ただけね。首領(ドン)にもしもがあったら、違う奴と結婚する為にね」

 

「で、俺は合格か?」

 

「合格よ。首領(ドン)を幸せにしてやってね」

 

 すると、夜はこの場から姿を消した。

 まあそうだよな。羽姉も20歳になった事だし、(イエ)は、結婚の話を俺が真剣に考えてるかを確認に来たのだろう。

 

「(……にしても、(イエ)。殺気を当てなくてもてもよかったんじゃねぇか……。慣れてない奴だったら、即気絶だぞ……)」

 

 やはり、羽姉の護衛なんだなと。改めて実感した瞬間でもあった。

 俺は嘆息してから、会場へ足を進めるのだった。

 てか、会場に戻った時、俺が羽姉に、『成人式の付添お願いね』って笑顔で言われてもねぇ。俺、まだ未成年だぞ……。




蓮君は楽に、羽姉のことしか伝えてませんね。蓮君の事情を知ると、頭がパンクしちゃうので(^_^;)
ちなみに、羽姉がうっかり蓮君たちの事を漏らしてしまい、瞬く間に野郎共に知られちゃいました(笑)
で、小咲と春ちゃんの二つ名?が『王妃』と『姫』ですね。
てか、この20巻で羽姉に不幸が訪れる筈ですが、この小説では起こらないので、胃?が痛くなりませんね(笑)

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