ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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第54話 シンネン

 クリスマスが過ぎ、年が明け、俺は羽姉と神社に参拝に行く事になった。

 つーか、何で俺は袴なの?まあいいけどさ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 神社の鳥居を潜ると、そこにはいつものメンバーが着物姿で待っていた。全員集合は、サプライズも兼ねてるらしい。てか、楽と集は私服じゃん。

 俺も私服がよかったな~。ってぼやくが、今更である。

 

「蓮さん蓮さん、どう?似合ってるかな?」

 

 春ちゃんは、俺の姿を見つけそう言った。いやまあ、かなり似合ってるが。

 ちなみに着物は、ピンク色を基調にし、所々に花柄を刺繍してある。

 俺は軽い口調で、

 

「はいはい。似合ってますよ。世界一可愛いよ。春ちゃん」

 

「……完全に棒読みだよね、蓮さん」

 

「い、いやー、春ちゃんは何着ても似合うしな。うん」

 

 春ちゃんたちは素材がいいし、何着ても似合うと思う。

 春ちゃんは唇を尖らせて、

 

「……そういう事にしといてあげる。せ、先輩も、カッコいいです……」

 

 頬を赤く染めないでくれ。俺も恥ずかしくなるから……。

 

「お、おう。サンキュー」

 

 それから皆で、新年の挨拶を済ませる。つか、橘が居ないのは以外だった。

 どうやら、旅行の疲れが出てしまったようで、大事を取って休むだそうだ。理由は、楽を攫って南国に行ったのは良いが、海上を楽と漕いでたボートが沈み、無人島に流されたかららしい。

 まあ、本田さんが翌日に見つけたくれたお陰で、急死を脱したらしいが。

 

「(それにしても、南国か……。新婚旅行、どこがいいだろか?)」

 

 そんな事を考えていたら、小咲に袖を、くいくいと掴まれた。

 

「蓮君、クリスマスの日以来だね」

 

「だな。年末のごたごたがあって、デートができなかったしな」

 

 小咲も春ちゃんと同じく、ピンク色を基調にした着物で、所々に花柄を刺繍してある。

 小咲はこの場で一回転した。

 

「どうかな?」

 

「似合ってる。可愛いよ」

 

 その時、小咲の隣にいる春ちゃんが、

 

「ちょ、蓮さん。私の時は棒読みだったのに」

 

 俺は春ちゃんの頭に右手掌を乗せ優しく撫でると、春ちゃんは小猫のように目を細めた。

 

「ちょと意地悪だったな。うん、春ちゃんも可愛いよ。流石姉妹」

 

「しょ、しょうがないな。許してあげます」

 

 春ちゃんは、ぷんぷんと怒る。

 あれだ。羽姉と小咲にはない、ツンデレ属性というやつだろうか?まあ、そんな所も可愛いんだけど。

 

「そういえば蓮さん。蓮さんはどんなお願いをするの?」

 

「まああれだ。日本の法律追加についてだな」

 

「法律?」

 

 これを聞いてた羽姉が、

 

「春ちゃん。蓮ちゃんの願いは、将来重婚がOKになりますように。だよ」

 

 お、おう。その通りです羽姉。……俺の考えは、羽姉にダダ漏れだったりすんの?まあ漏れても、別にいいんだけどね。

 ……うん、小野寺姉妹が顔を赤く染めました。おそらく、結婚生活でも想像したのかな?

 

「あ、そういえば私、千棘ちゃんに呼ばれてるんだったっ」

 

 話によると、姉貴は小咲に何かの相談をしたいらしい。

 姉貴の相談は、楽のことについてだろう。

 なんつーか、引越し騒動の後、姉貴が楽と歩いている時に告白されたらしい。告白つっても――『親友(・・)』として好き。という事らしい。それを姉貴から聞いた時、“その雰囲気で親友なの?”って言いたくなったわ。まあでも、本当の告白になると、楽は橘を振る。という事にも繋がってしまう。

 ちなみに、俺は姉貴から相談された時、的確なアドバイスはできたと思う。んで、聞き終わったあと姉貴は頷き、『女の子の意見も必要だよねっ』って言ったんだった。その女の子こそが、小咲という事だろう。ともあれ、参拝が終わった所で、自由行動になった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「んで、集。どうしたんだ、俺を呼び出して?」

 

 俺と集が今居る場所は、参拝場所から少し離れた所だ。

 楽は姉貴たちと話しているので、この場には居ないが。

 

「蓮は、小野寺たちと上手くやってるのか気になって。何かあったら、アフターケアを手伝えると思ってな。余計なお世話かもしれないけど」

 

 本当、集は優しい。

 ここまで気にかけてくれる友人は、そうは居ないと思う。

 

「あ、ああ。そういう事。それなら心配すんな。もう、将来一緒になる事も決まってるしな」

 

「お、おう。もうそこまでいってんのか。てか、高校生で結婚の話か。凄ぇな、蓮」

 

「そうか?集が言うんだから、そうかも知れんが。――ま、俺よりもだ」

 

「楽のこと。だろ」

 

 流石、集。やっぱ、解ってたか。

 俺は頷き、

 

「ああ、そうだな。このままズルズルと引き延ばすのはよろしくないぞ。てか、きっと楽は、姉貴と橘、2人をほぼ同時に好きになってるぞ」

 

 言い方は少し悪いが、と集は前置きし、

 

「蓮から見てもそうか。どこかでアクションをかけないと、泥試合になるぞ、これ」

 

 俺は、うーん。と考え込んだ。

 

「……やっぱ、何かしらの手助けをした方がいいか?姉貴には、簡単なアドバイスはしたんだが」

 

「そうか。でも、大きな切っ掛けは必要になるかも。切っ掛け作りなら、問題ないんじゃないか?」

 

「……まあ、その辺が妥当か」

 

 てことは、姉貴と橘は、今年が勝負の年になるのかもしれない。

 その時、

 

『お――い!』

 

 と、楽の声。

 そちらを見たら、皆が集合してる所だった。

 

「んじゃ、行きますか。集さんや」

 

「だな。今年も色々とよろしくな、蓮」

 

 皆の元に歩いて行く俺と集。

 新年の挨拶を終えた俺たちは、新学期を迎えようとしていた。




蓮君。リア充やで(笑)
さて、今回の話で、集と蓮君の相談?がありましたね。楽は、いつ自分の気持ちに気づくんだろうか?
たぶん、次回はその辺の話になるかな。

ではでは、次回もよろしくです!!

追記。
蓮君たちは、小野寺姉妹と待ち合わせをしてた感じです。

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