ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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ま、まじか。連投だわ(震え声)


第5話 ヒミツ

 翌日の学校風景。俺はいつも通り登校し教室に入ったのだが。何と言うか、お祭り騒ぎになっていた。何でも、彼女ができないと思った楽に、彼女ができたから。と言う事らしい。

 

「お前ら、付き合うことになったんだってな――!」

 

「末永くお幸せに――!」

 

 とまあ、こんな感じに。

 それで、楽がこのニセコイの真相を言おうとしたが、見張りの存在に気づき、ニセコイ続行に。……頑張れ、姉貴、楽。

 そう思いながら、俺は席に着席し、隣の女の子に話しかける。

 

「おはよう、小野寺」

 

「おはよう。蓮君」

 

 朝の挨拶を交わす、俺と小野寺。

 俺は、あることを聞いてみる。

 

「小野寺は、楽たちの所に行かないのか?ほら、ニセの恋人って知ってるよって」

 

「うん、今はいいかな。皆、祝福モードって言えばいいのかな?そんな感じでしょ?」

 

「たしかに、否定はしない」

 

 そのままチャイムが鳴り、一限目の授業に突入した。ちなみに、教材は届きました。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 時間は経過し昼休み。俺は教室から出て、いつものように購買でパンを購入してから屋上へ向かう。

 そう、屋上の手摺に寄り掛かりながら飯を食うのが、俺のいつもの光景だ。

 俺は、1年C組の窓際の木を見ながら嘆息する。

 

「……クロードの奴。まだ監視してんのか」

 

 いやまあ、クロードの目から見ると、姉貴と楽はあからさまに怪しいけどさ。

 今日聞いた話だと、午後の家庭科の授業は調理実習らしい。

 

「行きたくねー。リア充(笑)の行事じゃんかよ」

 

 リア充には縁がない俺です。……なんか、自分で言ってて悲しくなってきたわ。

 俺は盛大に溜息を吐いてから、教室へ戻った。

 移動教室があり、五限目の調理実習の時間になった。……なるほどね、だから今日の姉貴の機嫌が高かったのか。クラスにも溶け込んでるし。

 ともあれ、俺はエプロンを首から下げてから、ケーキ作りを始めるのであった。

 

「えーと、砂糖40gに卵が2つ」

 

 そう言いながら、俺はボウルの中に入った材料を箸でかき混ぜる。で、型の中に流し込み、180度に設定してから、オブーンに入れ20分程度加熱。オーブンからケーキを取り出し、最後の仕上げをして完成。てか、何。かなりの人が集まってるんですが……。

 

「れ、蓮。お前ってケーキ作ったことあんの?プロ級のできだぞ」

 

「オレ、食ってみたいんだけど」

 

「オレもオレも」

 

 そう言うクラスメイトたち。てか、ハイエナのように集るな!

 

「ああ、全部食っていいぞ。俺は食わねぇし」

 

 そう言って、ケーキをハイエナたちの前に差し出す。

 ハイエナたちは、ケーキをフォークで刺し、一口。

 

「「「う、うめぇ~~!!」」」

 

「てか、蓮。お前のケーキ、プロにも引けを取らないんじゃないか」

 

「オレ、金を出してもこのケーキは買うな」

 

「お気に召してなによりだよ」

 

 とまあ、そんなこんながあり、俺は傍観することに決めたのだった。

 何でも、姉貴のケーキは、見栄えが悪いのに旨いとか。まあ、姉貴は何でもできる人だしなぁ。ケーキ作りも例外じゃなかったってことだ。

 で、楽に視線を向けると、その場でぶっ倒れていた。原因は、小野寺が作ったケーキらしいが。もしや、小野寺の料理って壊滅的だったりしちゃうの?

 

「(練習すれば上手く作れるようになると思うけど。努力家だしな。あいつ)」

 

 学校が終わり、下校時間になった。

 それはいいんだけど。人待ちなんだよね。その人は、ぜぇぜぇと息を吐きながら歩み寄って来る。

 

「れ、蓮君。待ったかな?」

 

「おう、かなり待ったぞ。待ちくたびれた」

 

 普通なら、『全然待ってないよ。はは』的な感じだと思うけど。

 

「で、何だ」

 

「お礼をと思ってね。ほら、偽モノの恋人を教えてくれた件のこと」

 

「いや、別にお礼とかいらんけど」

 

 まあ、秘密の場所を教えてくれるとかなんとか言ってたけど。てか、俺に教えたら秘密じゃなくなるんじゃね。

 

「もう、そこは『マジか。小野寺、サンキュー』って言うところだと思うんですけどっ」

 

「恋愛経験なし=年齢の俺に、そういうのは期待するな」

 

 小野寺は、頬を膨らませて歩き出す。どうやら、機嫌を損ねてしまったらしい。あれだ。女の子の扱いは難しすぎる。俺にとっては、かなりの難易度だわ。

 で、その場所に案内してもらいました。

 

「へぇ、あんな路地の奥に、こんな場所があるとはなぁ」

 

 ここから見る街の風景は、かなりの絶景だ。

 

「この場所は、昔わたしが偶然見つけた秘密の場所。良い所でしょ」

 

「まあそうだけど。楽じゃなくて、俺で良かったのか?」

 

「もう、蓮君にお礼って言ったんだよ。あの事を教えてくれたのは、蓮君なんだから」

 

「あー、そうなのか。じゃああれだ。ありがとう?」

 

 小野寺は苦笑した。

 

「なんで疑問形なの。蓮君らしいけど」

 

「……いや、俺らしいってなんだよ。まあいいけどさ」

 

 小野寺も俺と同じく、手摺に手をかけた。

 

「蓮君ってさ。昔、どんな子だったの?」

 

「ガキ大将って所か。喧嘩早くてな、孤児院の院長さんに迷惑をかけっ放しだったよ。あ、俺が孤児院出身ってことは気にすんなよ」

 

 頷く小野寺。

 

「そうなんだ。わたしはね、人見知りで引っ込み思案だったかな。今でも、それが抜けてないかもだけど」

 

「俺は否定はしない」

 

「ちょ、ひどいよぉ。これでも、頑張って治そうと思ってるんだよ」

 

「でも、一向に治る気配がないな。まあ、それが小野寺の良い所かも知れんけど……たぶんな」

 

「た、たぶんって。……そうなのかもしれないけど」

 

 そう言って、小野寺はぐぐもった。

 

「悪い悪い。意地悪しすぎたかもな」

 

「蓮君のバカっ……」

 

「ちょ、理不尽すぎない」

 

 まあ、この後も楽しく談笑しましたとさ。

 そんな俺たちを、季節特有の風が頬を撫でた。




楽のヒロインは、千棘で決定かも。
でもまあ、原作通りではあるんですけどね。

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