ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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更新です(^O^)今回は、春ちゃんのターンです(笑)


第48話 遊園地

 ~週末の日曜日~

 

 手を繋いで入場するカップル、子供の手を引く家族連れなど、俺が待ち合わせをしている場所では賑わっていた。

 

「蓮さん、お待たせです」

 

 待ち合わせ場所までパタパタと駆け寄りそう言ったのは、長袖のカットソーにモコモコのニットカーディガン、スカートにブーツを着こなした春ちゃんだ。ちなみに俺は、ジャケットにVネックTシャツ、デニムにスニーカーである。

 

「おう」

 

 俺は左手を挙げる。

 

「春ちゃん、何か大人っぽいな。うん、可愛いよ」

 

 春ちゃんは、頬を僅かに赤く染めた。

 

「そ、そうかな。…………ありがと、蓮さん。大好きです」

 

「おう。俺も大好きだぞ」

 

 春ちゃんは目を丸くし「聞こえてたの……」と言いたい表情である。まあうん、俺は難聴主人公じゃないから、しっかりと聞き取れる。

 

「春ちゃん、行くか」

 

「そうだね、蓮さん」

 

 俺と春ちゃんは歩き出し、入場口で切符購入し、ゲートを通ってから恋人繋ぎで手を握った。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「さて、まずは何処に行きたい?」

 

「お化け屋敷とかどうかな?」

 

「いや、良いと思うけど、春ちゃんは大丈夫なのか?ほ、ほら、姉妹は似るっていうし」

 

 ちょ、脇腹を抓ないで。痛い、痛いからね、春ちゃん。

 

「……先輩」

 

「ご、ごめん。今は、春ちゃんとデートだったよな」

 

「……先輩は、まったく」

 

 溜息を吐く春ちゃん。

 

「と、とりあえず、お化け屋敷に行くか。う、うん、そうしよう」

 

 春ちゃんが、「逃げたね」って小声で言ってたけど、スルーの方向で。

 ともあれ、お化け屋敷に向かう俺たち。その間春ちゃんは、肩に体重を預けるように俺の手を組んでいました、はい。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~廃墟、お化け屋敷内部~

 

 俺と春ちゃんが入ったお化け屋敷は本格的なものだった。周りは薄暗く不気味である。すぐにでも何かが飛び出してきそうである。

 

「ちょ、春ちゃん。くっつきすぎだ。当たってる、当たってるからね。役特だけどさ」

 

「い、今は許してあげるから……。蓮さん、私の事離さないで……」

 

 「私、作り物のお化け屋敷なんて怖くない」って意気込んでたけど、それは完全に崩れ去ったと窺える。でもまあ、これは男性でも怖がるお化け屋敷だろう。え、俺か?俺は血生臭い経験があるから、耐性がついたのかもなぁ。

 

「……れ、蓮さんは怖くないの?」

 

「おう、まったく怖くない。俺の場合は一度きりだけど修羅場に遭遇したからな。その賜物って所か」

 

「それって、蓮さん一人で組織を潰した時の事?」

 

「まあな。それで、剣舞っていう二つ名がつけられた」

 

「……もう、危ない事はしないでね」

 

 その声音は、本当に俺を心配してるようだ。不謹慎かもしれないが、メチャクチャ嬉しい。

 

「まあ心配するな。ここ数年は小さな組織を潰す手伝いくらいだ。俺も裏の事は避けてるから大丈夫だ」

 

 ちなみに、俺と張り合えるのは幹部クラスの奴だけだろう。そして俺は、殺傷はしないと決めている。まあ、峰打ちで気絶位は実行するけど。

 

「……それ、ホントに大丈夫なのかなぁ……。私、かなり心配なんだけど……」

 

「まああれだ。お前らに心配かける事はしない…………はずだ」

 

「むぅー、その間はなんなのさ」

 

「い、いや、もしもの保険だよ」

 

 話していたら、いつの間にか前には光が差し込んでいた。

 どうやら、ゴール地点に到着したらしい。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「はあ、途中まで怖かったー」

 

「中盤からは、ずっと話してたしな」

 

「はい、蓮さんのお陰だね」

 

 そう言って、春ちゃんは俺の頬にキスをした。……うーむ。付き合うようになってから、春ちゃん大胆になったよな。だけどまあ――、

 

「うぅ……。恥ずかしい……」

 

 とまあ、このように顔を真っ赤にして自爆してしまうんだが。まあ、これも含めて可愛いけど。

 

「アホ。恥ずかしいならやんなければいいのに」

 

「う、うん。そうなんだけど。蓮さんをメロメロにしたくて」

 

 俺は盛大に溜息を吐く。

 それから、右手掌を春ちゃんの頭に優しく乗せた。

 

「まあなんだ、俺は春ちゃんにメロメロだぞ。俺は春ちゃんとずっと一緒に居たいとも思ってるし、一緒に歳を重ねたいとも思ってる」

 

「わ、私もそうだけど」

 

「だろ。思ってる事は同じなんだ。焦る事もないし、無理に大人ならなくてもいい。それぞれのペースがあるしな。…………あれ、話の趣旨が違うような……気のせいか?」

 

「ふふ、少しだけずれたかもね。でも、ありがとう」

 

 春ちゃんは、俺の肩に体重を預け、右肩にコテンと頭を乗せた。……まあなんだ、かなり近いしメチャクチャ良いに匂いがするんだが……。

 

「今後はどうしようか?春ちゃんは、何か乗りたいアトラクションはあるか?」

 

「ジェットコースターとかどうかな?」

 

 春ちゃんが言ったジェットコースターは、ここ最近リニューアルしたばかりでかなりの人気らしい。

 

「いいけど、春ちゃんは絶叫系いけるのか?」

 

「た、たぶん、大丈夫」

 

「お、おう。何か曖昧なのな」

 

 と、いうことなので、俺たちは立ち上がりジェットコースター乗り場へ向かうのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 結果からいうと、「きゃぁぁアアアあああっ!」と春ちゃんの絶叫が凄かった。まあ俺に関しては、「へぇ、かなり良く出来てるんだなぁ」という感想だったが。

 そして、休憩してから乗ったコーヒーカップでは、ハンドルを回すぎて、2人とも気持ち悪くなりました、はい……。

 まあ、そこからも様々なアトラクションに乗った。空中ブランコとかパレードラン?的なやつとかだ。

 そして、遊園地の最後といえば――観覧車である。

 

「夕陽が綺麗だな」

 

「そうだね。空がオレンジ色の絨毯みたいに輝いてる」

 

 観覧車に乗り、軽く笑い合いながら空を見ながらそう呟く。

 

「……蓮さん、今日はありがとう。とっても楽しかった」

 

「ああ、俺も楽しかったぞ」

 

 今日の事を話している内に、――――観覧車は頂上へと到達した。

 

「……蓮さん、隣座ってもいい?」

 

「……ああ」

 

 そして、俺たちは見つめ合い唇が重なった。――――長いソフトなキスだった。まるで、お互いの体温が伝わるように。

 

「……しちゃたね、キス。ちなみに、ファーストキスだよ」

 

「えっと、ありがとう?でいいのか?」

 

「その辺はお任せするよ」

 

 春ちゃんは苦笑し、俺も釣られるように笑った。――――そして、再び唇が重なる。キスを終えると、俺たち互いの体温を感じるように抱き合った。

 抱擁を解いた俺は、

 

「これからもよろしくな、春ちゃん」

 

「こちらこそ、蓮さん」

 

 幸せを噛み締めるように、俺たちはそう呟く。――――今日という日は、俺たちの思い出に刻まれただろう。俺たちは、そう思う一日だった。




これで、羽姉、小咲、春ちゃんとのデート風景を書く事ができました。そろそろ、三人同時も書かなければ。(使命感)でも、かなり難しそうだが……。書かなかっただけで、普通にデートはしてるんですけどね(笑)
てか、原作はアレのアレのアレでしたからね……(-_-;)

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