ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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第44話 オウサマ#2

 王様ゲームは、鶫と橘がキスしそうになったり、姉貴と楽が握手したりと進んでいった。

 そして、次の王様だが、

 

「あ、わたしが王様だ」

 

 そう声を上げたのは俺の隣に座る小咲だ。

 

「えっと、5番の人がこの場で好きな人を言う……とか?」

 

 何で疑問形。つか、5番俺なんですが……。マジでその質問なの?……んで、意を決して手を上げる俺。

 

「……5番は俺だ」

 

 周りからは、なんつーか、黄色い声?が凄い。小咲は、『……質問間違えたかも』って顔になってるし。

 俺は嘆息してから、

 

「まあなんだ。俺の好きな奴らは、一生懸命で時には抜けてて、誰にでも優しい。でも、甘えたがりな奴らだ。ま、そんな所が可愛いんだけど」

 

 言ってみると、似てるなこの二人。

 羽姉と小咲はバレないように顔を俯けてるけど、茹でダコののように顔だけじゃなく、耳まで真っ赤だ。これだけの情報があれば、皆気づくだろうなぁ。現に、楽以外は気づいてるらしい。……うん、鈍感は健在やね。

 

「そ、それでは蓮様。キスは済ませたのですか!?そ、それと、どのようなシチュエーションで!?」

 

 お、おう。橘は凄い形相だな。でもまあ、【楽を想ってのキスをどうするか?】っていう要素が強いんだろうなぁ。質問に答えてもいいが、羽姉たちがもっと羞恥に駆られちゃうので、橘には申し訳ないが断るか。

 

「その質問はプライバシーって事で、秘密な」

 

「……そうですか。残念ですわ」

 

「悪ぃな」

 

 それからはまあ、滞りなく王様ゲームは終わりを告げた。てか、姉貴、『私も泊まるから、蓮も泊まりなさい』とか横暴やで。ま、橘が『今日は楽様のお世話をしますわ。家族の方々は旅行なんですし』とか言わなければなぁ。という事になり、羽姉も小咲も、的な感じになり、全員が泊る事になった。

 そういう事なので、俺、羽姉、小咲は買い出しに行く事になった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「初めてかもな。3人で出掛けるのは」

 

「うーん、そうかも。いつもはデートで2人きりだからね」

 

「最初の頃は、わたしが誘っても断られたんだけどなぁ」

 

 俺は羽姉の言葉に、うっ。と言葉を詰まらせる。

 

「し、仕方ないだろ。あの時は、恋愛に蓋をしてたんだし」

 

 でもまあ、それを開けてくれたのは紛れも無く、羽姉と小咲なんだけどね。

 とにかく、近場のスーパーに到着し、自動ドアを潜り内部に入る。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 俺はカートに籠を乗せ、カートを引きながら肉売り場に居た。つーか、視線を集め過ぎだからね。まあ、超絶美人が2人居るんだから仕方ないと思うけど。

 

「蓮ちゃんは、牛肉と豚肉どっちがいい」

 

 羽姉がそう聞いてくる。

 

「いや、どっちでも構わないぞ」

 

 困ったように呟いたのは小咲だ。

 

「蓮君、それ一番困る答えだよ」

 

「お、おう。じゃ、じゃあ、簡単な生姜焼きとかどうだ?人数も多いんだし」

 

 この場では最適な答えだと思う。2人も、それでいこう。って納得してくれた。取り敢えず、今夜の献立は、生姜焼きに白米、サラダと、簡単なものになった。

 必要な物を籠に入れ、レジに向かい会計を済ませてから、レジを出た場所にある四方形のテーブルの上で購入した商品を参照した買い物袋の中に入れていく。

 うーむ、結婚したらこれが日常風景になるのだろうか?ともあれ、買い物を終了した俺たちは外に出た。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「結構買ったな」

 

「ん、みんな食べざかりだと思ってね」

 

 と、羽姉。

 

「久しぶりに腕がなるね」

 

 小咲は気合い満々である。……昔だったら必死に止めてた俺である。見た目のいいダークマターはアレのアレだしな。

 それから集英組に戻り、羽姉たちの料理を食べ順番に風呂に入って行った。んでまあ、羽姉に『一緒に入らない』って言われたが、丁重に断った。今の俺には色々と早すぎるからね。

 

「今日は、星が綺麗に出てるなぁ」

 

 縁側に出た俺がそう呟くと、後ろには風呂上がりの小咲がいた。

 

「うん、ホント綺麗……」

 

 小咲は俺の隣に腰を下ろす。

 

「そだな。でもまあ、小咲と羽の方が数倍綺麗だけど。これ、冗談抜きにな」

 

「ふふ、ありがとう」

 

「……マジか。赤面するはず場面なんだけどなぁ」

 

 最初の頃だったら、小咲は間違えなく赤面してたはず。こういうのに関しての耐性が付いたのだろうか?

 

「――――蓮君、左手ちょっと貸して」

 

 俺が左手を差し出すと、小咲の右手が握られ、肩に頭が乗せられた。てか、小咲から恋人繋ぎは意外だな。

 

「急にどうしたんだ」

 

「何となく、かな」

 

 そっか。と頷く俺。

 大体1分経過した頃、俺が口を開く。

 

「……なあ小咲。後数秒で終わりな」

 

「え?なんで?」

 

 目を丸くする小咲。いやね、ここ集英組だからね。

 それに気付いた小咲は、

 

「……あはは、そうだね。ついね」

 

「気をつけてくれよ。つっても、俺らが付き合ってる事、楽以外にはバレたと思うけど」

 

 まあ、自爆要素も入っていると思うが。

 

「うん、たぶんね。でも、みんな言いふらさないと思うから、その辺は安心かな」

 

「まあそうだな」

 

 こうして、俺たちの関係が皆に知られたのであった。




付き合ってることがバレましたね(バラしたが適切かもしれんが)
次回は文化祭かな。春ちゃんも行動させなければ(使命感)

着替えは、元の服ですね。泊る感じも、ドミノ倒してきな感じで。

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