翌日。今日は休日と言うことで、俺は街に出てぶらぶらすることに決めた。引き籠りすぎは良くないしね。
向かった先は、とあるスーパだ。店内に入ると、様々な食品等が目に入る。と言っても、買う物はないんだけど。
そんな時、野菜コーナで、うーんうーんと唸っている小野寺を発見。スルーしようとしたが、声をかけることにした。
「よ、小野寺」
小野寺は振り返り、
「れ、蓮君か。ビックリしたよ」
「あー、悪い。で、何やってんだ?」
「うん、これからお家に必要な食材の購入かな」
「へぇ、偉いんだな」
そんなこんながあり、俺も同伴しました。
買い物が終わり、俺が買い物袋を持ちましたとさ。
「なんかごめんね」
「別に。女の子に力仕事は拙いでしょ。……たぶんだけど」
「ふふ、やっぱり優しんだね。蓮君は」
「いや、ある女の子から教育?されてな。こういう時は、男の子が率先してやりなさいって」
当然、昨日電話した、羽姉ちゃんの教えである。まあ、助かってる部分もあるけど。
小野寺は疑問符を浮かべた。
「誰かに教育されたの?」
「第二の姉貴って言えばいいのかな。そんな人だ」
「へぇ、仲がいいんだね」
「ま、腐れ縁みたいなもんだな。一番、付き合いが長い人かもしれん」
何せ、俺がガキの時からの付き合いだし。……いや、今もガキか。
「その人のこと、蓮君は好きなの?」
「いやいや、好きはないから。あの時、気になる人は居ないって断言しただろ」
「そうだったね。なんか残念でもあるかな。こういう話ができる人は、あんまり居ないから」
まあ確かに、男とこういう話ができる奴はあまり居ないだろう。
「まあ、玉砕した時は慰めてはやる」
「ふ、不吉なこと言わないでよ」
「悪い悪い」
とまあ、暫く歩いていると、姉貴とチンピラが絡まれてる現場に遭遇した。
姉貴は、面倒事に首を突っ込みたくないからスルーしてるけど。で、あれだ。チンピラ共の言葉がエスカレートしていく。
……うん、俺も我慢の限界です。
俺は小野寺に買い物袋を渡し、姉貴も元へ歩み寄る。
「あんたら恥ずかしくないの。街中で堂々とナンパなんかして」
「なんだと、こらぁ!」
「ガキが、ぶっ殺すぞ!」
「はいはい、弱い犬ほどよく吠える」
ナンパ野郎四人が一斉に殴ろうとするが、俺は軽くそれを躱し、脇腹や鳩尾に拳を強打させる。で、その場に蹲るチンピラ共。
「こ、こいつ。ビーハイブの剣舞だ」
なんか、俺に得物を持たせたら絶対に勝てないって言われてるらしい。で、舞のようにボコるから、今の二つ名がつけられた。
「はあ、その二つ名好きじゃないんだけど。で、まだやるか」
「ひっ、こいつ、素手でも強ぇのかよ」
「ず、ズラかるぞ。俺たちじゃ勝てねぇ」
そそくさに逃げるチンピラ共。
「はあ、あんな雑魚を殴っちったわ」
「れ、蓮。ありがとう」
俺は振り返り、
「気にするな。手を汚すのは、俺だけで十分だ。で、今日は楽とデートか」
まあ、見張りが沢山いるからそうだと思うけど。
「……まあね。もやしと居るのは疲れるわ」
げんなりする姉貴。
「……まあ頑張れ」
「蓮~。人ごとのように言わないでよぉ~」
「いや、知らんから。てか、戦争を止めるにはこれしかないんだから」
「……まあそうなんだけど」
そんな時、俺はあることに気づく。
それは、小野寺の存在だ。
「ハニー、お待たせ」
タイミングよく現れた楽。
あとあれだ、小野寺が硬直してる。で、げっマジかと思ってる楽。こいつ、小野寺のこと好きだな。って俺は一瞬で確信しましたとさ。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
所変わって、近場の公園。
この後も、恋人の茶番劇を見せつけられました。まあ、野郎共にバレるのは避けたいし。
はあ、後で真相を伝えとくか。……俺って、かなりのお人好し?
「んじゃ、デート楽しめよ。――行くか、小野寺」
「う、うん」
~道中~
「え、偽モノの恋人」
小野寺は目を丸くした。
「まあな。俺の家はちょっと特殊でな。楽と姉貴が恋人の振りをしないと、戦争が起きちゃうんだわ」
「へ、へー。せ、戦争」
「そう、戦争だ。だからまぁ、小野寺が心配する事態にはならないと思うから、いつも通り、楽にアタックしなよ」
「そ、そんな重要なことを言ちゃって、蓮君は大丈夫なの」
「あー、でもまあ、小野寺は他言しないだろ?」
「う、うん。そうだけど」
『信用してくれてるんだ』って言う小声が聞こえてますからね、小野寺さん。俺、難聴じゃないからね。
「ま、そういうことだ。送るよ」
「だだだだだ、大丈夫だよっ」
「……小野寺。スマホのバイブ音になってるぞ」
ともあれ、荷物を持つ俺。
「んじゃ、行くか」
「は、はい。よろしくお願いします」
「……いや、他人行儀すぎでしょ」
「あ、あははは。そうかも」
俺は小野寺を送るために歩き出した。
歩幅とか、そういうのも込みでだけど。そんな俺たちの背後を、夕焼けが照らしていた。
ヒロイン候補の順は、小咲、羽、千棘?の順ですね。
まあ、今後どうなるかわからんけど。