ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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まさかの連投。


第4話 シンソウ

 翌日。今日は休日と言うことで、俺は街に出てぶらぶらすることに決めた。引き籠りすぎは良くないしね。

 向かった先は、とあるスーパだ。店内に入ると、様々な食品等が目に入る。と言っても、買う物はないんだけど。

 そんな時、野菜コーナで、うーんうーんと唸っている小野寺を発見。スルーしようとしたが、声をかけることにした。

 

「よ、小野寺」

 

 小野寺は振り返り、

 

「れ、蓮君か。ビックリしたよ」

 

「あー、悪い。で、何やってんだ?」

 

「うん、これからお家に必要な食材の購入かな」

 

「へぇ、偉いんだな」

 

 そんなこんながあり、俺も同伴しました。

 買い物が終わり、俺が買い物袋を持ちましたとさ。

 

「なんかごめんね」

 

「別に。女の子に力仕事は拙いでしょ。……たぶんだけど」

 

「ふふ、やっぱり優しんだね。蓮君は」

 

「いや、ある女の子から教育?されてな。こういう時は、男の子が率先してやりなさいって」

 

 当然、昨日電話した、羽姉ちゃんの教えである。まあ、助かってる部分もあるけど。

 小野寺は疑問符を浮かべた。

 

「誰かに教育されたの?」

 

「第二の姉貴って言えばいいのかな。そんな人だ」

 

「へぇ、仲がいいんだね」

 

「ま、腐れ縁みたいなもんだな。一番、付き合いが長い人かもしれん」

 

 何せ、俺がガキの時からの付き合いだし。……いや、今もガキか。

 

「その人のこと、蓮君は好きなの?」

 

「いやいや、好きはないから。あの時、気になる人は居ないって断言しただろ」

 

「そうだったね。なんか残念でもあるかな。こういう話ができる人は、あんまり居ないから」

 

 まあ確かに、男とこういう話ができる奴はあまり居ないだろう。

 

「まあ、玉砕した時は慰めてはやる」

 

「ふ、不吉なこと言わないでよ」

 

「悪い悪い」

 

 とまあ、暫く歩いていると、姉貴とチンピラが絡まれてる現場に遭遇した。

 姉貴は、面倒事に首を突っ込みたくないからスルーしてるけど。で、あれだ。チンピラ共の言葉がエスカレートしていく。

 ……うん、俺も我慢の限界です。

 俺は小野寺に買い物袋を渡し、姉貴も元へ歩み寄る。

 

「あんたら恥ずかしくないの。街中で堂々とナンパなんかして」

 

「なんだと、こらぁ!」

 

「ガキが、ぶっ殺すぞ!」

 

「はいはい、弱い犬ほどよく吠える」

 

 ナンパ野郎四人が一斉に殴ろうとするが、俺は軽くそれを躱し、脇腹や鳩尾に拳を強打させる。で、その場に蹲るチンピラ共。

 

「こ、こいつ。ビーハイブの剣舞だ」

 

 なんか、俺に得物を持たせたら絶対に勝てないって言われてるらしい。で、舞のようにボコるから、今の二つ名がつけられた。

 

「はあ、その二つ名好きじゃないんだけど。で、まだやるか」

 

「ひっ、こいつ、素手でも強ぇのかよ」

 

「ず、ズラかるぞ。俺たちじゃ勝てねぇ」

 

 そそくさに逃げるチンピラ共。

 

「はあ、あんな雑魚を殴っちったわ」

 

「れ、蓮。ありがとう」

 

 俺は振り返り、

 

「気にするな。手を汚すのは、俺だけで十分だ。で、今日は楽とデートか」

 

 まあ、見張りが沢山いるからそうだと思うけど。

 

「……まあね。もやしと居るのは疲れるわ」

 

 げんなりする姉貴。

 

「……まあ頑張れ」

 

「蓮~。人ごとのように言わないでよぉ~」

 

「いや、知らんから。てか、戦争を止めるにはこれしかないんだから」

 

「……まあそうなんだけど」

 

 そんな時、俺はあることに気づく。

 それは、小野寺の存在だ。

 

「ハニー、お待たせ」

 

 タイミングよく現れた楽。

 あとあれだ、小野寺が硬直してる。で、げっマジかと思ってる楽。こいつ、小野寺のこと好きだな。って俺は一瞬で確信しましたとさ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 所変わって、近場の公園。

 この後も、恋人の茶番劇を見せつけられました。まあ、野郎共にバレるのは避けたいし。

 はあ、後で真相を伝えとくか。……俺って、かなりのお人好し?

 

「んじゃ、デート楽しめよ。――行くか、小野寺」

 

「う、うん」

 

~道中~

 

「え、偽モノの恋人」

 

 小野寺は目を丸くした。

 

「まあな。俺の家はちょっと特殊でな。楽と姉貴が恋人の振りをしないと、戦争が起きちゃうんだわ」

 

「へ、へー。せ、戦争」

 

「そう、戦争だ。だからまぁ、小野寺が心配する事態にはならないと思うから、いつも通り、楽にアタックしなよ」

 

「そ、そんな重要なことを言ちゃって、蓮君は大丈夫なの」

 

「あー、でもまあ、小野寺は他言しないだろ?」

 

「う、うん。そうだけど」

 

 『信用してくれてるんだ』って言う小声が聞こえてますからね、小野寺さん。俺、難聴じゃないからね。

 

「ま、そういうことだ。送るよ」

 

「だだだだだ、大丈夫だよっ」

 

「……小野寺。スマホのバイブ音になってるぞ」

 

 ともあれ、荷物を持つ俺。

 

「んじゃ、行くか」

 

「は、はい。よろしくお願いします」

 

「……いや、他人行儀すぎでしょ」

 

「あ、あははは。そうかも」

 

 俺は小野寺を送るために歩き出した。

 歩幅とか、そういうのも込みでだけど。そんな俺たちの背後を、夕焼けが照らしていた。




ヒロイン候補の順は、小咲、羽、千棘?の順ですね。
まあ、今後どうなるかわからんけど。

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