ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

39 / 72
更新です。


第39話 願いを込めて

 プレゼント選びから数ヵ月が経過し、今日は凡矢理高校で催される七夕イベントでもある。

 まあ、笹に願いを書いた短冊かけるといった、季節特有の行事ともいえる。外では、教員たちが笹の木を運んでおり、学年全員には短冊が配られ願いを書く事になっていた。……つっても、願いは既に叶ってるし、ぶっちゃけ願い事なんてないのが俺の本音である。

 俺がペンを左手で回して唸っていると、隣席の小咲が話しかけてくる。

 

「蓮君は、お願い事決まった?」

 

「いや、決まってない。てか、願う事がないしな。……いや、あれにしよう」

 

 そう言って、俺は短冊にシャーペンを走らせ願いを記入していく。まあ、しょうもない願いなんだけどね。

 そんな時、担任教師が前の扉を開け壇上に上がる。

 

「お前ら、願いは書けたかー?早速飾りに行くぞー」

 

 そう言って、担任教師は教室を出て行く。

 そんな訳で、俺は教室を出て目的地を目指す。男子共に、何て書いたのとシツコク?聞かれたが、『もう、勉強教えてやんないからな』と言ってたら、掌を返したように聞く者が出る事はなかった。……なんつーか、餌づけしてる感じだったんだが……。

 靴に履き替え、笹の木の元へ向かうと不自然に垂れ下がってる場所がある。てか、かなりの短冊がかけられてる。

 まあ、言わずとも橘が主犯だったんだが。つか、楽。橘に愛されすぎでしょ。将来頑張れ。としか今はかける言葉が見当たらんな、うん。

 笹の木に短冊をかけると、教室に戻り英語の授業。てかあれだ。既に解ける問題なので、授業が退屈である。まあ、いつも退屈なんだけどね。んで、担任が笹の木の移動を忘れたらしく、それに楽が命名させていた。いや、あれだ。ファイトだよ!……あれ、これって某アニメのセリフじゃね……。

 ちなみに俺が短冊に書いた願いは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――法律に重婚がOKと追加されますように。匿名より。

 

 という願いだ。……うん、高校生が願う事じゃないね。まあ、思い浮かんだのを書いただけである。バレとしたら、小咲くらいだろうな。

 ちなみに、小咲は、

 

 ――――匿名さんの願いが叶いますように。

 

 だそうだ。てか、この祭りは主催してる神主は願いを叶える事で有名な人なので、マジで叶いそうである。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~放課後、帰り道~

 

「蓮君、前の誕生日プレゼントありがとう」

 

「おう、気にすんな。ほぼ春ちゃんが選んだって言っても過言じゃないしな」

 

 小咲は若干膨れたように、

 

「蓮君、春も落とすつもりなの?……春から聞いてるよ、落し物の件」

 

「落し物?……あー、あれか。てか、普通だろ?」

 

 あれ、何か俺マズイ事したの?そんな覚えは1ミリもないんだが。

 小咲は、徐々に呆れ顔になっていく。

 

「……その無自覚さが女の子を落としていくんだからね。……でも、そんな君を、わたしは好きになっちゃったんだけど」

 

「お、おう。サンキュー。面と向かって言われると何か恥ずかしんだな。いや、俺も好きだけどさ」

 

 小咲は、顔を徐々に赤く染めていく。

 

「……ずるいよ、蓮君」

 

「いや、何が?」

 

「も、もう、女の子には色々あるんですっ!」

 

「そ、そうか。何かすまん」

 

 恋人ができても、未だに乙女心が解らない俺である。

 まあでも、解っても何も変わらないと思うけどさ。つーか、誰も居なくなったからって、腕に抱きつくのは止めようぜ、小咲さん。俺の理性が瓦解するからね。

 

「……なあ小咲、当たってるんだが」

 

 『当ててるんだよっ』って言って、小悪魔的な笑みを浮かべないでくれませんかねぇ。まあ、役特だけどさ。

 

「羽さんも、わたしと同じ事をすると思うよ」

 

 いやいや、キョトン顔をしないでくれ、小咲さんや。

 

「……まあ確かに、羽姉なら有り得るな。てか、俺の理性をブチ壊そうとするわな」

 

 これだけはマジで勘弁である。高校生にして大人の階段を上がるのは、ちょっとなぁ。って感じなので。そして、小咲は『そうかもね』って言ってクスクス笑う。

 

「まああれだ。最低でも高校卒業までは待って欲しい。てか、高校卒業したら、小咲はどうするんだ?」

 

 ちなみに、俺の第一希望は、小咲と羽姉と静かに暮らしたいである。

 

「うーん、そうだね。お家の手伝いをしながら、蓮君と一緒に居たいかな。それに、裏に入る覚悟もできてるよ」

 

 そう言って、小咲は無邪気に笑った。てか、そこまで考えてたとは予想外である。

 でもまあ、俺が婿に行くのは不可能(裏事情を除く)であるのは確かだ。なので必然的に、小咲は嫁に貰うという事になる。てか、ここまで将来設計ができてるとはな。

 そしてこれが、七夕イベントで起きた出来事であった。




次回はお祭りかな?
てか、将来設計ができてる、小咲と蓮君でしたね(笑)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。