現在俺は、大型デパートの前に立っていた。理由は、小咲のプレゼント選びである。俺が考えた物は全て送ってしまったので、ネタ切れというやつだ。だからまあ、強力な助っ人に協力を仰いだ。ちなみに、俺は一度家に帰ったので、私服姿である。
「先輩、お待たせしました」
春ちゃんは、学校から出たのが遅かったので、制服姿だ。
1年生は、放課後に説明会的なものがあったらから、そのせいだろう。
「おう、待った。待ちくたびれたぞ」
「……先輩。そこは『全然待ってないよ』じゃないんですか?」
いや、これが俺の待ち合わせのデフォルトだしなぁ。
「まあいいです。お姉ちゃんのプレゼント選びですよね。先輩なら、すぐに見つけられると思うんですけど」
「いやまあ、プレゼントのネタ切れってやつだな。俺が考えてたものは贈ったしな」
ペア系が多かったけどね。
「それって、マグカップとか、先輩が右手首につけてる組紐のブレスレットもですよね」
「まあ一応、そんな感じだな。てか、よく分かったな」
「いえ、お姉ちゃんがいつも大切そうにしてるんですぐに分かりましたよ」
マジか、かなり嬉しんだが。でもまあ、俺にとっても特別なものだしな。繋がりって言えばいいのか、そんな感じだ。
まあそういう事で、デパートの二重自動ドアを潜って内部に入って行った。
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「んで、何のプレゼントにする?」
「服にしようと思ってます。好みが見つかればいいんですけど。でも、ワンピースは論外ですし」
……それあれだ。俺が原因かも。何か、ごめんなさい。
ちなみに、選んだワンピースは黒いワンピースである。大人っぽさを引き立てていて、小咲はかなり似合っていた。すぐに襲いたいレベル。……まあ、その未遂は前にあったんだけど……。
つーか、今日このデパートでは和菓子フェスタなんかやってんのか。なんつーか、珍しいな。
「取り敢えず、目当ての店は見つけたので、絞り込むのは後にしましょう!」
うん、知ってた。春ちゃんが和菓子フェスタにウキウキしてるっって。
ここは先輩としての威厳を見せよう。
「んじゃ、好きな和菓子を買っていいぞ。全部俺の奢りだ」
「え……。先輩、お金大丈夫なんですか?」
「問題ない。俺の場合、ある手伝いをしてたから、貯金はかなりあるしな」
ある手伝いとは、母親の仕事の手伝いである。一日の給料がかなりあるしね。
てか、もう好みの店に行ったし。なんつーか、和菓子の事になると、春ちゃんテンションがかなり上がるよね。
「先輩!先輩!これとても美味しいです!」
という事で、春ちゃんが紙皿に置いていた饅頭を手に取り一口で食べた。
ふむ。この餡は甘すぎもなく、滑らかで旨いな。
それからはまあ、和菓子屋巡りが始まった。つーか、流石姉妹って所か。小咲の好みと春ちゃんの好みがほぼ同じである。
一通り回った所で、俺たちは近場のテーブルの椅子に腰かた。
「……すいません。つい、テンションが上がってしまって」
「いや、別に構わないよ。こっちは頼んでる身なんだしな。意外な一面も見れたしな」
春ちゃんは、顔を赤くする。
「……それは忘れてください」
「いや、無理だ。一生無理だな」
ふと思ったが、今度、小咲と羽姉と来ようか。……いや、やっぱり止そう。
「……先輩。今、他の女の子の事を考えましたね?」
何で解った!?女の勘は怖すぎる……。春ちゃん、ジト目だし。
まあここは、
「ごめんなさい」
謝るである。俺、弱ぇ……。
「いいですけどね!私、先輩の彼女じゃありませんし!」
「……何かごめんな。てか、春ちゃんならすぐに彼氏作れそうなんだけど。――――可愛いし」
「な、な!?何言ってるんですか!?わ、私が可愛いとか、冗談は止めて下さい!」
春ちゃんは茹でダコのように顔を赤くする。
だが、俺の頭の中は疑問符だらけである。
「いや、本当の事を言ってるだけだそ。てか、俺、間違ったこと言ったのか?……いや、でも、実際に可愛いと思うし。小動物っぽいしな。えーと他には――――」
「わ、解りましたから!恥ずかしいです!」
「お、おう。何かすまん」
「まったく、他の女の子にも言ってるんですよね」
「言って…………ないと思うぞ。うん」
いや、実際には小咲と羽姉に言ってそう。2人とも可愛いし。
「……言ってるんですね。先輩ってタラシなんですか?」
「酷ぇな。……でも、否定できない自分がいて悔しいわ」
春ちゃんは溜息を吐く。
「先輩って、二股してそうですね。でもまあ、本人たちの許可があれば問題ないと思いますけど」
……うん、もう一回言うわ。女の勘って怖すぎる……。何で解った?俺が二股してるって。でも、どちらかを切り捨てるなんて、できなかった。俺、小咲も羽姉も大好きだしね。ずっと隣に居てもらいたいって感じでもある。てか、将来重婚できんのかな?
「……あれだ。その辺は詮索しないでくれ」
「まあいいですけど。でも、お姉ちゃんを幸せにして下さいね」
……これはあれだ。バレてるね。もう、成るようになるだろう。
「――――それは心配するな、小咲は絶対に幸せにする。不幸な想いは絶対させないって誓うよ。俺の全てを賭けてな」
もちろん、羽姉も幸せにするって誓ってるけど。
「……先輩は言い切るんですね。何か凄いです…………――――私も言われて見たいですよ」
春ちゃんの呟きは、周りの音によって掻き消されてしまった。はて、何て言ってたのだろうか?
「そうか?普通だろ?」
「滅多に先輩のような男性は居ないと思いますけど。世間では、別れてしまうカップルも多々居るんですから」
うーむ。そうなのか?俺が特殊なだけとか?まあいいけど。てか、春ちゃんに高印象で助かったわ。でも普通は軽蔑するような……まあ深く考えるのは止そう。
まあその後はプレゼント探しを再開し、結果、春ちゃんが選んだ服になった。てか、春ちゃんが髪を下ろすと小咲そっくりなのね。流石姉妹。てか、その感想を言ったら、何か知らんが怒られたけど。解せん……。
ともあれ、プレゼント選びは無事?終了した。
春ちゃんの高感度が上がってきてますね(笑)
さてさて、今後どうなっていくのでしょう?今回は、ご都合主義がありましたね。
ではでは、感想お願いします!!