ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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つ、疲れた。
今回は、羽姉ちゃんのターンです。


第36話 サイカイ

 現在俺は、凡矢理空港に赴いていた。何でも、組織の統一が終わり、例の人が到着するからだ。俺は空港のロビー付近に立ち、出口ゲートを見ている。

 と、その時。俺を見つけ、その人物が俺の元まで小走りで歩み寄る。

 

「蓮ちゃん、お出向かい御苦労さま」

 

 その人物とは、羽姉ちゃんの事である。また、その後ろには護衛である(イエ)も居る。

 

「いや、構わない。俺も会いたかったし」

 

「ホント、ありがとう」

 

 羽姉ちゃんは、目を輝かせて俺の抱きついてくる。てか、空港内なんで止めて欲しいんだけど……。まあでも、羽姉ちゃんも寂しかったんだし、しょうがないか。

 俺も、羽姉の華奢な体を優しく抱きしめた。

 

「お帰り、羽姉」

 

「……うん、会いたかった」

 

「そうか。……てか、温かい視線が凄いからもういいよな」

 

 ……うん、ロビーにいる客の視線が凄いね。

 

「……もうちょと蓮ちゃん成分の補給」

 

「はあ、後数秒だからな」

 

 とまあ、そんなこんながあり、俺と羽姉は歩道を歩いている。

 目的の場所は、凡矢理公園のブランコである。数分歩き公園の到着し、俺と羽姉ちゃんはブランコに腰をかけた。

 

「約半年で組織を統一できるとはな」

 

「うん、蓮ちゃんに会いたいから頑張っちゃった」

 

 てへ☆ってウインクするな。いや、いいけどさ。

 

「後で、ご褒美が欲しいです」

 

「まあいいけど。俺ができる範囲でな。てか、住む場所はどうすんだ?」

 

「うーん、取り敢えずホテルの一室を借りる感じかな。その後の事は追々やってこうと、楽ちゃんとおじさんに挨拶しないといけないしね」

 

 羽姉ちゃんは、小悪魔的な笑みを浮かべる。

 

「そうだ。蓮ちゃん、わたしと一緒に住む?」

 

 俺は目を丸くする。

 てか、その案は却下だ。色んな意味でマズイ。姉貴たちは問題ないが、俺は羽姉の事を異性として見てるのだ。

 

「……魅力的な提案だが、無しの方向で。てか、思春期の高校生にそんな事言ったらいかんからな」

 

 羽姉ちゃんは、左手人差し指を唇に当てた。

 

「わたし、蓮ちゃんになら襲われてもいいけど。既成事実が作れるしね」

 

「……すまん、その話題から離れてくれ。俺、かなり恥ずかしいから」

 

「そっかぁ……。残念」

 

 まあこうしてこの話題は終わりを告げる。そして、ここからが本題である。

 

「蓮ちゃん。わたしの気持ち受け止めてくれる?」

 

 俺は羽姉ちゃんに向き合った。

 

「ああ、もう逃げないって決めたからな。……ここからは俺から言わせてもらうよ」

 

 俺は一拍開け、

 

「……羽姉ちゃん。ずっと好きだった、付き合って下さい」

 

 羽姉ちゃんはにっこり笑った。

 

「もちろん。わたしも、ずっと好きでした。一生隣に居させてください」

 

「ああ、よろしく頼む。大好きだよ、羽」

 

「わたしもだよ、蓮ちゃん」

 

 夕焼けに包まれるように、俺と羽姉ちゃんの唇が重なった。……てか、羽姉ちゃん。お願いだから舌は入れないで。いや、マジで。

 

「……キスしちゃったね」

 

「……まあな。てか、今度から舌は入れない方向でお願いします」

 

「うーん、約束はできないかな。でも、極力は控えるね」

 

 うん、約束はできないのね……。まあいいか。

 てか、小悪魔な笑みを浮かべてるし。

 

「剣舞も領主(ドン)ももういいかね。そろそろ時間よ」

 

 後ろから、ひょっこり出て来たのは、羽姉ちゃんの護衛である(イエ)だ。

 

「うお!ビックリした!」

 

「い、い、(イエ)ちゃん!」

 

「大丈夫ね。途中からしか見てないからね。……叉焼会(チャーシューかい)もこれで安泰ね」

 

 いや、途中からでも、もの凄い恥ずかしいんですが。つーか、安泰とか言うな。

 まあ、羽姉ちゃんの話によると、近直にサプライズがあるらしい。楽しみしてて、だそうだ。

 それから別々に別れ、俺は帰路に着いたのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 自宅に帰ると、何故か家に楽が居た。何でも、記憶喪失になってしまったらしい。原因は、姉貴を軟球のボールから守ったらしい。つーか、そろそろ姉貴の誕生日か。

 

「れ、蓮坊ちゃんお帰りなせぇ」

 

「「お、おかえりなせぇ」」

 

 廊下を歩いていたら野郎共と遭遇した。……てか、祝いの看板が丸見えだぞ。まあ黙ってるけどさ。

 

「おう、ただいま」

 

 まあそれからも楽の記憶を取り戻す為思考錯誤をしたが、結果は乏しくなかった。そして誕生日前日の夜、姉貴の部屋の方向から凄まじい音がした。たぶんだけど、今のショック療法?で記憶が戻ったと思われる。

 俺が部屋に入ると、スマホから着信が鳴る。発信者は、羽姉ちゃんだ。

 俺はベットにダイブし、電話に出た。

 

「もしもし、どうした?」

 

『あ、蓮ちゃん。実は頼みがあってね』

 

「頼み?」

 

 はて、頼みとはなんだろうか?

 

『うん、凡矢理の夏休みに夏祭りがあるでしょ。一緒にどうかなって?』

 

 羽姉ちゃんが言うように、凡矢理の八月上旬に夏祭りが開催されるのだ。

 俺は頷き、

 

「ああ、構わないぞ。一緒に回るか」

 

『やった。それじゃあ、当日お願いね』

 

「了解だ。楽しみしてるよ」

 

『うん、それじゃあまたね』

 

「おう、また」

 

 そう言ってから、通話が終了した。

 なんつーか、あれから羽姉の遠慮が無くなったような……。まあ嬉しんだけどね。




羽姉の登場です。たぶん、夏祭りは羽姉と回る事になるかも。
てか、蓮君。羽姉とも恋人になったね(^O^)

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