ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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更新です。
あと、プール掃除が行われたのは土曜日です。


第34話 プール掃除と探し物

 桐崎家 ~蓮の部屋~

 

 ベットに横になりながらラノベを読んでいたら、スマホに着信があった。

 取り敢えず、隣に放置されているスマホの電話に出る。

 

「おう、楽か。どうした?」

 

『ああ、悪い、急に電話して。実はな――』

 

 楽の話によると、キョーコ先生からプール掃除を頼まれたらしい。んで、人手が欲しいという事らしい。

 メンバーは、いつもの奴らだ。俺の予想だと、春ちゃんたちも来るだろう。

 

「別に構わないぞ」

 

『サンキュー、蓮。それで詳細なんだが――』

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 やって来ました、プール掃除。

 

「女子の面子教えれば、皆集まっただろーに……」

 

「人をダシに使えるかよ……」

 

「そうだったら、俺が楽に制裁を下してた」

 

 それから数分後。

 

「一条く~ん。よろしく!」

 

 パタパタと此方にやって来る水着姿で、Tシャツとバレオを巻いている小咲。そして、俺を見て目を丸くした。

 ……誘われた時、俺の名前はその時にはなかったらしい。

 

「れ、蓮君も久しぶり」

 

「いや、昨日会ってるだろうが」

 

 とにかく、俺は荷物を持ち、

 

「まあなんだ、その恰好も可愛いな」

 

「そ、そうかな。ちょっと地味かなーって思ったんだけど」

 

「いや、そんな事はないぞ」

 

 取り敢えず、壁際にランチバックを置き、俺たちは集合した。

 つーか、ここの居るメンバー(楽と風ちゃんは除く)には、俺たちの事はバレてるんだよね……。

 

「……これで全員揃ったか。皆集まってくれてサンキューな。終わったら好きに遊んでいいらしいから、頑張って終わらせようぜ!」

 

「「「「「お~~~!!!!!」」」」」

 

 それからプール掃除が始まった。女子勢は遊びながら、プール掃除をしている。つーか、マジで眼福なんですが。

 これを見ていた男子勢は、

 

「オレ、この様子をDVDにするだけで、儲かる気がするんだけどな~」

 

「やめとけ。敵に回すと恐ろしい奴ばっかりだぞ」

 

「もしやったら、集は締めるじゃ済まないけどな」

 

 男子勢はそう言いながら、プール掃除に励んだ。

 午後を回った頃、掃除が終わったという事で昼食を摂ることになった。ブルーシートを敷き、腰を下ろして小野寺姉妹が用意した昼食を堪能する。

 

「「「「「いっただっきま~~す!!!!!」」」」」

 

 俺の前には、豪勢な弁当が並べられている。てか、高級幕内弁当?……この盛り付けは、小咲か。

 とにかく、俺は弁当を一口食べた。

 

「うまい。これ春ちゃんが作ったのか?」

 

「いえ、片方のお弁当はお姉ちゃんですよ」

 

「ほう。見栄えは良いダークマターじゃないとは驚きだ」

 

「……解ってた事ですけど、お姉ちゃんの料理って桐崎先輩から見てもそうだったんですね」

 

「……おう、壊滅的だったぞ。男子生徒を病院送りにできる」

 

 そんな事を話していたら、小咲が、

 

「ちょ、蓮君。ヒドイよ~」

 

 頬を朱色染めた小咲が、俺の肩をポコポコ叩きながら反論する。てか、まったく痛くないが。

 とまあ、春ちゃんは木を登りポーラの元へ向かった。まあそういう事なので、ポーラも昼食に食べれるだろう。昼食が終わり、各自でプール遊びを始めていた。

 

「あれ、蓮君は遊ばないの?」

 

「まあ俺はいいかな」

 

「そっか。じゃあ、わたしも」

 

 そう言いながら、俺と小咲はプールサイドに座り日差しを避けながら楽しく談笑したのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 プール掃除が終了し、小咲を『おのでら』に送って行った後、付近の公園で春ちゃんが何やら探し物をしていた。

 とにかく、俺はその場まで歩み寄る。

 

「春ちゃん。どうかしたのか?」

 

 春ちゃんは振り向き、

 

「あ、桐崎先輩どうもです」

 

「こちらこそどうもです。……じゃなくてな、何してるんだ?」

 

 春ちゃんの話によるとこうだ。

 友達である風ちゃんと公園で遊んでから別れ、自宅に帰宅している途中で、通学バックにつけた大事な月のキーホルダーが無くなっていたらしい。んで、戻る途中で見なかったので、公園の何処かに落ちているという事だ。

 まあでも、俺も探すのに協力したのだが、見つかる事はなかった。日も既に落ちかかっている。

 

「今日はここまでにするか。幸い明日は日曜日だし、明日一緒に探そう。女の子が遅くまで公園にいたら危ないしな。親御さんも心配するだろ」

 

「そう……ですね。……分かりました、では明日お願いします」

 

「おう。また明日だ」

 

 まあそういうことで、春ちゃんには帰路に着いた。

 俺はそれを確認してスマホで時間を見る。今の時刻は16時30分だ。

 取り敢えず、コンビニで懐中電灯を購入。あ、あと、一応カロリーメイトだな。んで、野郎共に連絡してOKだ。

 俺は再び公園に赴き、キーホルダー探索に向かった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 翌日の早朝、春ちゃんが公園に到着した。

 

「おう、春ちゃん。おはよう」

 

「ほ、本当に来てくれたんですね」

 

「疑い深いな、春ちゃん。まあいいか。んで、これか?」

 

 俺が右手からぶら下げたのは、月のキーホルダーだ。

 

「あ、それです。ありがとうございます!」

 

 春ちゃんは、ぺこりと頭を下げた。

 

 

 Side 春

 

 本当に来てくれるなんて予想外だ。――今の時刻は朝の7時。……いや、待って。何でこんなに早く先輩が居て、既に探し物を見つけてるの?…………まさか、まさかだとは思うけど。私はある可能性が浮かび上がった。

 

「(――桐崎先輩は寝ずに探してくれたの!?)」

 

 よく観察すればおかしいな点はあった。まず服装は昨日と変わってないし、昨日なかったはずの懐中電灯が左ポケットから顔を出している。

 

「……あ、あの、桐崎先輩。もしかして、寝ずに探してくれてたんですか?」

 

 桐崎先輩は、ギクッとする。

 

「そ、そんなわきぇないひゃろ」

 

 ……まったく、そんなに噛み噛みだと嘘がバレバレですよ。

 桐崎先輩は、ハッと閃いたように、

 

「そ、そう!例の王子様が見つけてくれて、俺に渡したんだ。俺、そいつとは親友の間柄でな。いやー、良い奴だな」

 

「……その恰好で言われても、説得力皆無ですよ、先輩。先輩が、見つけてくれたんですよね?」

 

 桐崎先輩は頭を掻く。

 

「……いや、まあ、そうだけど……」

 

 私は、目頭が熱くなるのを感じた。

 

「ど、どうしてそこまでしてくれるんですか?桐崎先輩はお姉ちゃんの彼氏で、私とは他人のはずです」

 

「まあ春ちゃんから見れば他人かもしれないけど、俺にとっては他人じゃないというか、可愛い後輩というか、放っておけないというか……まあそんな感じだ」

 

 『悪いな、曖昧な答えで』と言って、桐崎先輩は苦笑した。

 そんな時、桐崎先輩は大きな欠伸をした。

 

「んじゃ、俺は帰るけどいいか?……あ、礼をしようとか考えるなよ。俺が好きにやった事なんだし」

 

「……ほ、本当にありがとうございます」

 

 私は深く頭を下げる。

 

「気にすんな。つーか、今度は失くさないように気をつけろよ」

 

 そう言って、桐崎先輩は公園を後にした。

 この時、私にある気持ちが芽生えそうになり、それを否定するので精一杯だった。




春ちゃんにフラグ立ったかも?まあ、今後どうするか決まってないんですけどね(-_-;)

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