ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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羽姉を早く出したいッス。
ちなみに、蓮君のスペックはかなり高いです。そこの所ご注意をm(__)m


第30話 ハハオヤ

「おい、注文したワインまだ届かねぇのか!?」

 

「内層の準備は!?料理はできてんのか!?」

 

「今、やってらぁ!」

 

「早くしろ!もうすぐ、マダムフラワーが到着する頃だぞ!?」

 

 野郎共は、いつも以上にキビキビと動いている。

 後数分で、我が母親が到着するからだ。てか、楽も呼ばれたらしい。

 まあ、仮にも恋人だし、当たり前なのかも知れんけど。

 

「……なあ、蓮。マダムフラワーって誰のことだ?」

 

「ああ、それは俺の母親のことだ。母親の名前は、桐崎華だからな」

 

「……なるほど。それで、マダムフラワーか。てか、蓮はスーツじゃなくていいのか?」

 

 楽の言う通り、俺の恰好は部屋着姿だ。スウェット姿的な感じである。

 ちなみに、楽はスーツ姿だ。

 

「俺は別に」

 

 親子なんだし、別に正装じゃなくてよくね。的な感じだ。

 すると、姉貴が肩を震わせた。

 

「い、いつも思うけど、蓮は肝が据わり過ぎよ」

 

「いや、そんな事はないと思うけど」

 

 つーか、姉貴も親父もビビり過ぎだって。

 そんな時、野郎共から声が上がる。

 

「マダムフラワーが到着しました!」

 

「全員、配置につけ――ッ!」

 

 バン!とドアが開かれると、後ろに部下連れ、桐崎華が立っていた。

 そして――、

 

「ただいま」

 

 と、一言。

 野郎共も、『おかりなさいませ、マダーム!』って言ってるしね。

 てか、親父。仕事を頼まれてたのね。……まあ、やってなかったらしいけど。という事なので、親父は母親の部下に連行されて行った。

 

「さてと、千棘と蓮はいる?」

 

「はひゃい!」

 

「おう、いるけど」

 

 こちらに近づいて来る、お袋。

 

「久しぶりね、元気にしてた?」

 

「お母様!元気にしてました!」

 

「まあ一応、元気でやってたよ」

 

 頷く、お袋。

 

「そう。……えーと、貴方たち、今幾つになったんだっけ?」

 

「は、はい!16歳であります、お母様!」

 

「俺も16歳だけど」

 

 いつも思うが、帰って来たらまずこの話題からなんだよなぁ。まあいいけどさ。

 

「……そう。大きくなったわね。学校の方はどう?」

 

「は……はい。こないだ学年テストで、学年五位を取りました」

 

 ……あー、うん。これは俺も答える感じの空気だね。

 俺は口を開く。

 

「学校は楽しいよ。んで、テストは学年一位だったな」

 

 ま、姉貴より順位が高かったのは、小咲の勉強を教えてたからなんだけど。

 授業とテキストで、二重で復習できたしね。

 

「そう。流石、私の子ね」

 

 まあ義理だけどね。『後で、ぎゅっとしてあげましょうか?』とか言われたが、丁重にお断りした。てか、お袋の言葉を聞いた姉貴が、メチャクチャ震えてる。

 それから、姉貴と楽の恋人関係の話題になったので、俺はこの場から去ろうとしたのだが、お袋に呼び止められた。

 

「蓮は、恋人とかいないのかしら?」

 

 小さい時から、ずっと作ってないでしょ。とも付け加えた。

 俺は内心、ドキッ、としたが平静に答える。てか、あの時に離れればよかった……。と後悔する俺。

 

「……黙秘権を行使します」

 

 姉貴と楽には隠し通せたが、お袋は『ふ~ん。なるほどねぇ』と言った、お袋にはバレた感じだ。

 明日にゆっくり話そうとなり解散しようとしたが、解散直前に、お袋の部下が報告しに来た。またしても秘書が倒れたらしい。

 ……つーか、メチャクチャ嫌な予感がするんですが。

 

「……一条の坊や。今からのクリスマスまで私の秘書をしなさい。千棘と交際を見極める良い機会だしね。……後はそうね。蓮は、一条の坊やのサポートをして頂戴。私の仕事を手伝った事があるんだから、簡単でしょ」

 

 ……いや、サポートといっても、かなりキツイのは変わらないんですが。

 まあ、その分給料は良いんだけどね。一日の労働で、マジで。的な給料が貰えたりする。

 

「……いいけど。でも、俺からの条件も呑んでもらうよ」

 

「正装じゃなくて、『ラフな恰好で』っていうことでしょ。それは構わないわよ」

 

 つーわけで、楽と俺は、車に連行されました。

 楽たちの報酬は、イブの夜に、高級ホテルのウルトラスイーツに二人で一泊らしい。まあ、これを聞いた楽と姉貴は顔を真っ赤にしたけど。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「5分で覚えてね」

 

 やって来ました、社長室。

 楽はマニュアルを渡され、5分で覚えてとご命令。いや、無理だろ。って俺の突っ込みは止そう。

 ちなみに、俺は黒を基調としたラフな恰好だ。で、楽は正装だね。

 

「蓮は、○○社と○○社の株を見てね。あー、後、○○社と――」

 

 株を任されたのは、計三社の株と会議書類、その他諸々だ。

 ……てか、有名企業の投資だよ。高校生に任せるもんじゃないよね。

 

「……あんたは鬼かッ!てか、高校生に任せる仕事量じゃねぇだろ!」

 

 俺は溜息を吐く。

 

「……まあいいや。PC三台貸してくれ」

 

「いいわ。はい、これ」

 

 テーブルに置かれたPCを受け取る俺。

 それから、用意されたテーブルの椅子に座り、テーブルに置いた3台のPCを起動させ、各企業の株をディスプレイに映し出す。

 ちなみに、楽はコーラを買いに行った。でもまあ、ここからあの人の無茶ぶりが始まるんだよなぁ……。頑張れ、楽。

 俺は株の変動を見ながら、渡された書類に目を通す。

 

「お袋。この会社の損益を見たんだけど、赤字だぞ。……後、これは会議関係」

 

 その書類を渡し、お袋は書類に目を通した。

 

「……たしかにそうね。私の手を煩わせるなんて、何を考えてるのかしらね」

 

 そう言って、お袋は黒い笑みを零す。

 ……○○企業の社長、ご愁傷様です。

 

「……程々にしてあげなよ」

 

「それは、相手の出方次第ね」

 

 多分、踏まれますね。はい。

 んで、株の変動を見ながら投資っと。つーか、仕事任せすぎでしょ。あれから、二つ仕事追加されたよ、俺。

 ……まあ、その分給料はかなり良いけどさ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ソファーに座り休憩時間。

 俺はスマホを取り出し、ある人に電話をかける。

 

『どうしたの?蓮ちゃんから電話なんて珍しいね』

 

 俺が電話をかけた人物は、中国にいる羽姉だ。

 

「……なんつーか、声が聞きたくなったからだ」

 

『……そっか』

 

「……まあな」

 

 ……やばい、話題がないので沈黙の時間だけが過ぎていく。

 俺、話題を用意しないで電話したしなあ。どうすっか?てか、休憩時間が残り10分じゃん。

 

「……悪い、羽姉。休憩時間が終わりそうだ」

 

『うん、わかった。お仕事頑張ってね』

 

「おう、またな」

 

『またね、蓮ちゃん』

 

 そう言って通話を切り、スマホをポケットに入れ、社長室へ戻る俺。

 

「どうして断ったんですか!?今の電話、千棘からですよね!?」

 

「仕事があるからよ。あの子とはイブの日に過ごさないと思ってたから、先に予定を入れてしまったの」

 

「……そんなに、仕事が大事なんスか?どうしてそこまで」

 

「私にしかできないからよ」

 

 確かに、お袋の意見には一理ある。

 能力を持つ者は、それを行使する義務がある。必要とされる限り、それを行使し続ける意味がある。といっても、お袋の受け売りの言葉だけどね。

 まあ、楽がお袋に反抗してる感じだし、俺も行きますか。

 

「休憩上がったぞ。んで、さっきのやり取りも聞いてた」

 

「……あら、盗み聞きとか宜しくないわね」

 

「いや、聞こえたもんはしょうがないだろ。俺が代わりになるから、お袋は姉貴に会ってあげていいぞ」

 

 といっても、お袋の代わりなんて、一日しか持たないけどね。

 英語の会議がないのが唯一の救いか。

 

「楽は姉貴を迎えに行ってくれ。たぶん、クラスのパーティー会場にいると思う」

 

 もう、イブの夕方。でもまあ、急げば何とかなるだろう。

 待ち合わせ場所は、高級ホテルのスイートルームらしい。これは、楽の案だ。

 

「お袋はヘリで向かっててくれ」

 

「華さん。オレからもお願いします!千棘に会ってあげてください!」

 

 深く、頭を下げる楽。

 

「……あなたたち、いつの間に結託したのかしら」

 

「いや、結託なんてしてないから。お袋、心の底では姉貴に会いたくて仕方がないんだろ。その手助けだよ」

 

「……分かったわ。お願いするわ、蓮」

 

「任せろ。んで、楽。姉貴を迎えに行って来い」

 

 お、おう。と言って、社長室から楽は出て行った。

 お袋も、お願いね。と言って出てきました。

 とまあ、そういう事なので、俺の地獄の時間がスタートしました。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「輸入輸出は気をつけろって、あれだけ釘を刺しただろうが」

 

『も、申し訳ありません!』

 

「……ったく、こっちから幾らか送る。それで何とかやり繰りしろ」

 

『本当に、申し訳ないです!』

 

 受話器を置き、溜息を吐く俺。ちなみに、今の電話の相手は有名企業の社長だ。

 その時、バンッ!と扉が開き、楽が戻って来た。

 

「戻ったぞ、蓮!……てか、その目大丈夫か。かなり疲れた感じだぞ」

 

「……心配するな。楽には、デスクに置いた書類を頼む」

 

「お、おう」

 

 ともあれ、俺と楽は仕事に没頭した。

 そして、午前6時を回る頃に、ほぼ仕事が終了し、俺はデスクに突っ伏した。

 ちなみに、楽はダウンしたが。

 

「……マジで死ぬ。お袋のスペックはどうなんってんだよ」

 

「……蓮、お仕事ご苦労様」

 

 入って来たのは、姉貴だ。

 お袋と十分に話せたらしい。

 

「ああ、死なずに済んだよ」

 

 そんな事を話していたら、お袋が到着した。

 

「蓮、お仕事御苦労さま。千棘との時間楽しかったわ。坊やにも感謝ね」

 

「そうか。……俺、そろそろ帰っていいか?てか、○○企業が赤字らしいから、予備金を送っといた」

 

「……そう、わかったわ。給料はいつもの口座に送っておくわ」

 

「ああ、そうしてくれ」

 

 俺は重い足取りで帰路に着いた。

 まあこれが、俺、桐崎蓮のイブの出来事だ。




仕事関連で、え?ってあったらすいません。てか、仕事関係は、サポートからメインになってるよ、蓮君(笑)
後、羽姉との電話の件要らなくね。と思う人もいるかもしれませんが、今後に必要なんすよ。

ではでは、感想よろしく!!

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