ちなみに、蓮君のスペックはかなり高いです。そこの所ご注意をm(__)m
「おい、注文したワインまだ届かねぇのか!?」
「内層の準備は!?料理はできてんのか!?」
「今、やってらぁ!」
「早くしろ!もうすぐ、マダムフラワーが到着する頃だぞ!?」
野郎共は、いつも以上にキビキビと動いている。
後数分で、我が母親が到着するからだ。てか、楽も呼ばれたらしい。
まあ、仮にも恋人だし、当たり前なのかも知れんけど。
「……なあ、蓮。マダムフラワーって誰のことだ?」
「ああ、それは俺の母親のことだ。母親の名前は、桐崎華だからな」
「……なるほど。それで、マダムフラワーか。てか、蓮はスーツじゃなくていいのか?」
楽の言う通り、俺の恰好は部屋着姿だ。スウェット姿的な感じである。
ちなみに、楽はスーツ姿だ。
「俺は別に」
親子なんだし、別に正装じゃなくてよくね。的な感じだ。
すると、姉貴が肩を震わせた。
「い、いつも思うけど、蓮は肝が据わり過ぎよ」
「いや、そんな事はないと思うけど」
つーか、姉貴も親父もビビり過ぎだって。
そんな時、野郎共から声が上がる。
「マダムフラワーが到着しました!」
「全員、配置につけ――ッ!」
バン!とドアが開かれると、後ろに部下連れ、桐崎華が立っていた。
そして――、
「ただいま」
と、一言。
野郎共も、『おかりなさいませ、マダーム!』って言ってるしね。
てか、親父。仕事を頼まれてたのね。……まあ、やってなかったらしいけど。という事なので、親父は母親の部下に連行されて行った。
「さてと、千棘と蓮はいる?」
「はひゃい!」
「おう、いるけど」
こちらに近づいて来る、お袋。
「久しぶりね、元気にしてた?」
「お母様!元気にしてました!」
「まあ一応、元気でやってたよ」
頷く、お袋。
「そう。……えーと、貴方たち、今幾つになったんだっけ?」
「は、はい!16歳であります、お母様!」
「俺も16歳だけど」
いつも思うが、帰って来たらまずこの話題からなんだよなぁ。まあいいけどさ。
「……そう。大きくなったわね。学校の方はどう?」
「は……はい。こないだ学年テストで、学年五位を取りました」
……あー、うん。これは俺も答える感じの空気だね。
俺は口を開く。
「学校は楽しいよ。んで、テストは学年一位だったな」
ま、姉貴より順位が高かったのは、小咲の勉強を教えてたからなんだけど。
授業とテキストで、二重で復習できたしね。
「そう。流石、私の子ね」
まあ義理だけどね。『後で、ぎゅっとしてあげましょうか?』とか言われたが、丁重にお断りした。てか、お袋の言葉を聞いた姉貴が、メチャクチャ震えてる。
それから、姉貴と楽の恋人関係の話題になったので、俺はこの場から去ろうとしたのだが、お袋に呼び止められた。
「蓮は、恋人とかいないのかしら?」
小さい時から、ずっと作ってないでしょ。とも付け加えた。
俺は内心、ドキッ、としたが平静に答える。てか、あの時に離れればよかった……。と後悔する俺。
「……黙秘権を行使します」
姉貴と楽には隠し通せたが、お袋は『ふ~ん。なるほどねぇ』と言った、お袋にはバレた感じだ。
明日にゆっくり話そうとなり解散しようとしたが、解散直前に、お袋の部下が報告しに来た。またしても秘書が倒れたらしい。
……つーか、メチャクチャ嫌な予感がするんですが。
「……一条の坊や。今からのクリスマスまで私の秘書をしなさい。千棘と交際を見極める良い機会だしね。……後はそうね。蓮は、一条の坊やのサポートをして頂戴。私の仕事を手伝った事があるんだから、簡単でしょ」
……いや、サポートといっても、かなりキツイのは変わらないんですが。
まあ、その分給料は良いんだけどね。一日の労働で、マジで。的な給料が貰えたりする。
「……いいけど。でも、俺からの条件も呑んでもらうよ」
「正装じゃなくて、『ラフな恰好で』っていうことでしょ。それは構わないわよ」
つーわけで、楽と俺は、車に連行されました。
楽たちの報酬は、イブの夜に、高級ホテルのウルトラスイーツに二人で一泊らしい。まあ、これを聞いた楽と姉貴は顔を真っ赤にしたけど。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「5分で覚えてね」
やって来ました、社長室。
楽はマニュアルを渡され、5分で覚えてとご命令。いや、無理だろ。って俺の突っ込みは止そう。
ちなみに、俺は黒を基調としたラフな恰好だ。で、楽は正装だね。
「蓮は、○○社と○○社の株を見てね。あー、後、○○社と――」
株を任されたのは、計三社の株と会議書類、その他諸々だ。
……てか、有名企業の投資だよ。高校生に任せるもんじゃないよね。
「……あんたは鬼かッ!てか、高校生に任せる仕事量じゃねぇだろ!」
俺は溜息を吐く。
「……まあいいや。PC三台貸してくれ」
「いいわ。はい、これ」
テーブルに置かれたPCを受け取る俺。
それから、用意されたテーブルの椅子に座り、テーブルに置いた3台のPCを起動させ、各企業の株をディスプレイに映し出す。
ちなみに、楽はコーラを買いに行った。でもまあ、ここからあの人の無茶ぶりが始まるんだよなぁ……。頑張れ、楽。
俺は株の変動を見ながら、渡された書類に目を通す。
「お袋。この会社の損益を見たんだけど、赤字だぞ。……後、これは会議関係」
その書類を渡し、お袋は書類に目を通した。
「……たしかにそうね。私の手を煩わせるなんて、何を考えてるのかしらね」
そう言って、お袋は黒い笑みを零す。
……○○企業の社長、ご愁傷様です。
「……程々にしてあげなよ」
「それは、相手の出方次第ね」
多分、踏まれますね。はい。
んで、株の変動を見ながら投資っと。つーか、仕事任せすぎでしょ。あれから、二つ仕事追加されたよ、俺。
……まあ、その分給料はかなり良いけどさ。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
ソファーに座り休憩時間。
俺はスマホを取り出し、ある人に電話をかける。
『どうしたの?蓮ちゃんから電話なんて珍しいね』
俺が電話をかけた人物は、中国にいる羽姉だ。
「……なんつーか、声が聞きたくなったからだ」
『……そっか』
「……まあな」
……やばい、話題がないので沈黙の時間だけが過ぎていく。
俺、話題を用意しないで電話したしなあ。どうすっか?てか、休憩時間が残り10分じゃん。
「……悪い、羽姉。休憩時間が終わりそうだ」
『うん、わかった。お仕事頑張ってね』
「おう、またな」
『またね、蓮ちゃん』
そう言って通話を切り、スマホをポケットに入れ、社長室へ戻る俺。
「どうして断ったんですか!?今の電話、千棘からですよね!?」
「仕事があるからよ。あの子とはイブの日に過ごさないと思ってたから、先に予定を入れてしまったの」
「……そんなに、仕事が大事なんスか?どうしてそこまで」
「私にしかできないからよ」
確かに、お袋の意見には一理ある。
能力を持つ者は、それを行使する義務がある。必要とされる限り、それを行使し続ける意味がある。といっても、お袋の受け売りの言葉だけどね。
まあ、楽がお袋に反抗してる感じだし、俺も行きますか。
「休憩上がったぞ。んで、さっきのやり取りも聞いてた」
「……あら、盗み聞きとか宜しくないわね」
「いや、聞こえたもんはしょうがないだろ。俺が代わりになるから、お袋は姉貴に会ってあげていいぞ」
といっても、お袋の代わりなんて、一日しか持たないけどね。
英語の会議がないのが唯一の救いか。
「楽は姉貴を迎えに行ってくれ。たぶん、クラスのパーティー会場にいると思う」
もう、イブの夕方。でもまあ、急げば何とかなるだろう。
待ち合わせ場所は、高級ホテルのスイートルームらしい。これは、楽の案だ。
「お袋はヘリで向かっててくれ」
「華さん。オレからもお願いします!千棘に会ってあげてください!」
深く、頭を下げる楽。
「……あなたたち、いつの間に結託したのかしら」
「いや、結託なんてしてないから。お袋、心の底では姉貴に会いたくて仕方がないんだろ。その手助けだよ」
「……分かったわ。お願いするわ、蓮」
「任せろ。んで、楽。姉貴を迎えに行って来い」
お、おう。と言って、社長室から楽は出て行った。
お袋も、お願いね。と言って出てきました。
とまあ、そういう事なので、俺の地獄の時間がスタートしました。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「輸入輸出は気をつけろって、あれだけ釘を刺しただろうが」
『も、申し訳ありません!』
「……ったく、こっちから幾らか送る。それで何とかやり繰りしろ」
『本当に、申し訳ないです!』
受話器を置き、溜息を吐く俺。ちなみに、今の電話の相手は有名企業の社長だ。
その時、バンッ!と扉が開き、楽が戻って来た。
「戻ったぞ、蓮!……てか、その目大丈夫か。かなり疲れた感じだぞ」
「……心配するな。楽には、デスクに置いた書類を頼む」
「お、おう」
ともあれ、俺と楽は仕事に没頭した。
そして、午前6時を回る頃に、ほぼ仕事が終了し、俺はデスクに突っ伏した。
ちなみに、楽はダウンしたが。
「……マジで死ぬ。お袋のスペックはどうなんってんだよ」
「……蓮、お仕事ご苦労様」
入って来たのは、姉貴だ。
お袋と十分に話せたらしい。
「ああ、死なずに済んだよ」
そんな事を話していたら、お袋が到着した。
「蓮、お仕事御苦労さま。千棘との時間楽しかったわ。坊やにも感謝ね」
「そうか。……俺、そろそろ帰っていいか?てか、○○企業が赤字らしいから、予備金を送っといた」
「……そう、わかったわ。給料はいつもの口座に送っておくわ」
「ああ、そうしてくれ」
俺は重い足取りで帰路に着いた。
まあこれが、俺、桐崎蓮のイブの出来事だ。
仕事関連で、え?ってあったらすいません。てか、仕事関係は、サポートからメインになってるよ、蓮君(笑)
後、羽姉との電話の件要らなくね。と思う人もいるかもしれませんが、今後に必要なんすよ。
ではでは、感想よろしく!!