俺、桐崎蓮は、いつもの待ち合わせ場所で立っている。
待ち合わせ場所で俺を見つけ、笑みを浮かべながら近づいて来たのは小咲だ。文化祭の一件後、俺と小咲は予定が合わない日以外は、いつも一緒に登校している。
てか、夜更かしで眠い……。
「蓮君。眠そうだけど、夜更かし?」
「……あー、まあ、羽姉ちゃんがな」
まあ、俺がきつくなって途中で終えたんだけど。
だからまあ、今日の昼に電話をかける約束になっている。
「な、なるほど。捉まったんだね」
「まあそんなとこだ。てか、俺って小咲の連絡先知らないんだけど」
小咲も、あ、って声を上げてるし。てか、これだけ一緒に居るのに連絡先知らないとか、俺不覚過ぎる……。
という事なので、スマホを取り出し連絡先を交換する俺たち。
それから、楽しく談笑しながら学校に到着したんだが……校庭で銃撃戦が行われていた。
「(鶫と誰だ……。えーと、ビーハイブの
つーか、学校の備品壊すなよ……。
まあ今は――、
「悪い、小咲。ちょっと行ってくるわ」
「う、うん。気をつけてね」
俺は殺気を二人限定に当てる。
んで、二人の元まで歩いて行く。
「……お前ら、ここは学び舎だぞ」
「わ、若」
「け、け、剣舞」
おいこら、ここで二つ名を出すな。
まあ他の奴らには聞こえてないけどさ。
ともあれ、この場を収めましたとさ。……いやまあ、軽く脅したけどさ。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
昼休み。
俺はいつものように屋上で柵に手をかけ、パンを齧りながら、朝の通話の続きをしていた。
『文化祭の出し物、ロミオとジュリエットだったんだ』
「まあな。主役は、楽と姉貴でもある。……本当は小咲だったんだけど。足を挫いちゃってな」
『でも、蓮ちゃんには役得になったと見たね』
……何でこの駄姉は、俺のあの時の思考が分かったんだよ。
てか、女の勘怖ぇな……。マジで。
「ま、まあそうかもな。役得だった」
俺は、それとな、と言葉を続ける。
「……羽姉ちゃん。俺……もう逃げないよ……」
暫しの沈黙が流れ、羽姉ちゃんが笑った。
『……うん、わかった。わたしのことも、ちゃんと見てね。それとわたしは、――愛人でも構わないよ、蓮ちゃん♪』
別に気にしないからね♪とも付け加える羽姉ちゃん。
そして俺は、口に含んでいたバナナ・オレを霧状に噴き出した。
「……な、何言ってんだよ、姉ちゃん!」
『んー、穏便な済ませかたかな』
「いやまあ、そうだけどさ!」
え?何これ。完全に二股野郎じゃん。
てか、口論になると、絶対に羽姉ちゃんに勝てないと分かった瞬間でもある。
『この際だし、蓮ちゃんはハーレムを築いちゃうってどう?男の子の夢だよ、ハーレムは』
「…………ちょ、ちょっとタイムだわ。文化祭の話から何でこうなった?」
『話の流れで?』
「何で疑問形やねん!」
大声を張り上げてしまう俺。
今思った。ここ学校だわ……。
『お、ナイス突っ込みだよ。蓮ちゃん』
……まあ、姉ちゃんが楽しそうだし、いいか。
取り敢えず、
「……サンキュ」
と、答える俺。
『そうだった。こっちの事もあと少しで終わりそうだから、近々そっちに行くね』
……え、マジか。そろそろ組織が統一できちゃうの。
羽姉ちゃんのカリスマ性ハンパなくね?てか、あと少しってどれ位だ?半年位か?
「会えるのを楽しみにしてるよ」
『わたしの想い、しっかり受け止めて貰うからね』
「あー、はいはい。了解しましたよ」
棒読みでそう言う俺。
『むっ。上手く躱された感じ』
「いや、もう躱すとかしないよ。絶対に」
『そっか。楽しみにしててね』
「わかった。そろそろ切るな」
『うん、じゃあまたね。蓮ちゃん』
「ああ、またな。羽姉」
通話を終え、俺はスマホをポケットに入れてパンを齧る。……あれだ。どっと疲れた感じだ。
午後の授業は寝ようかな。と考えていたら、屋上のドアが開かれる。
入って来たのは、姉貴と橘、小咲と楽だ。おそらく、ペンダントに関する事だと思うけど。つか、姉貴たちも鍵を持てたのな。
楽には悪いが、“それで結婚しちゃうのかよ!?”って突っ込んじゃうんだよな。まあ、俺が言えた義理じゃないと思うけど。恋愛から逃げてたしな、俺。
「あ、蓮君。いつも此処で食べてたんだ」
俺の元に近づいて来た小咲が、そう言った。
「転校してから、ずっと此処で食ってるな」
俺のベストプレイスでもある。
つか、某アニメのセリフじゃね。
「んで、小咲はどうしたんだ?」
「うん。わたしは、この鍵のことでね」
小咲が首から下げていたのは、羽姉ちゃんと僅かに形状が違う鍵だ。
「まあでも、わたしにはもう必要ないものなんだけどね」
そう言って、小咲は苦笑した。
なんつーか、楽から小咲を奪ったような形になって申し訳ないが、行動や言葉に移さなかったのがアレだった。と自己完結させる。てか、俺も移したか?
という事なので――、
「小咲は、俺にして貰いたい事とかあるか?」
俺に可能な事で、エロい事は無しだけどね。
まあその辺は、小咲も分かってると思うけど。
「い、行き成りどうしたの?」
「何となくだ」
「そ、そっか。何となくなんだ」
『……デートでもいいのかな?』っていう小声が聞こえてるぞ。
まあ俺も、近い内にデートしたいと思ってたけどさ。……ふと思ったんだが、小咲と羽姉ちゃんの案を呑む事になりそう。……つーか俺、最低野郎でいいや。
「んじゃ、近い内にな」
「ふぇ?聞こえてたの?」
いやいや、顔を赤くしないでくれ。
まあ、バレたらバレたで仕方ないけど。
「おう、しっかりとな」
「そ、そっか。詳細はLINEでいいかな?」
「構わないぞ、楽しみにしてる」
「わ、わたしも楽しみしてるね」
そう言って、姉貴たちの元へ戻って行く小咲。
てか、デートにどんな服を着て行こうか。……いつもの真っ黒装備とか。マジでどうすっか……。
俺はそう思いながら、頭を捻ってたのだった。
徐々に原作ブレイクしつつあるね(笑)
では、感想お願いします!!