ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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まだ、小咲のターンです。


第27話 オワリ

 ガラガラと前の扉を当て、教室に戻ると注目の的になった。

 それもそのはず。俺が小咲に肩を貸して入って来たのだから。まあ、俺はそれを無視して、るりの元まで歩いて行く。

 

「悪い、るり。小咲を頼んだ」

 

「ええ、いいけど。あんたたち今まで何やってたの?」

 

 クラスの奴ら、気になるのは分かるが静かになりすぎだ。

 俺の言葉を、耳を澄ませて待ってるしね。

 

「応急処置に日向ぼっこだな」

 

「約束もだよね?」

 

「来年の約束な」

 

「そうだね」

 

 小咲は微笑した。てか、恥ずかしがり屋さんはどうしたのかな、小咲さんや。ここ教室だよ。

 俺は『じゃあな』と言い、俺はこの場を後にした。

 

 

 小咲 side

 

 わたしが椅子に座り、紙コップに入ったオレンジジュース飲んでいると、痺れを切らした?るりちゃんが話しかけてきた。

 

「……蓮君と小咲は、本当に何があったの?」

 

「な、何もないよ。挫いた所に湿布を貼ってくれただけだよ」

 

「……そういうことにしといてあげるわ」

 

 ……うう、本当になにもないのに。

 

「それにしても、小咲は良い意味で変わったわよね」

 

「そ、そうかな」

 

 るりちゃんはそう言うけど、わたしは実感がないかも。

 強いて言うなら、蓮君と一緒に居ると自然体になれるって事くらいかな。

 

「ええ。長年、小咲を見てるんだから間違いないわ」

 

「そ、そっか。え、えーと。あれが理由かな」

 

 親友のるりちゃんには、あの事を言っとこう。

 わたしはるりちゃんに、耳を貸してと言った。それで、耳を近づけるるりちゃん。

 

「(で、話してくれるんでしょうね?)」

 

「(う、うん。……わたしね、蓮君に告白したんだ)」

 

 驚愕の色を浮かべるるりちゃん。

 まあ、今までのわたしを見てるから、こうなるのも無理もないよね。

 

「(…………………………それ、本当なの)」

 

「(うん、本当だよ)」

 

「(……それで、蓮君の答えは)」

 

「(保留って所かな。蓮君、まだちょっとだけ怖いんだって)」

 

「(なるほどね。蓮君は、恋愛には関わらないようにしてたものね。それにしても、小咲。成長したわね)」

 

「(あはは、ありがとう、るりちゃん)」

 

 ――蓮君。わたしは、いつまでも待ってるよ。

 

 小咲 sideout

 

 

 俺が男子共の元へ向かうと、案の定と言えばいいのか、集が肩に手を回してきた。

 

「おーす、蓮。小野寺と何やってたんだよ?」

 

「捻挫の治療だ。それ以上の事は無いぞ」

 

「いやいや、気になるからな。蓮と小野寺、この頃仲良すぎだろ。てか、蓮と小野寺は付き合ってるのか?」

 

「付き合ってないから。あれだ。へんz…………友達だ」

 

 ……あっぶね。『返事待ちだ』って言いそうになった。

 話題を変えないと、墓穴掘りそう。

 

「俺の事はいいだろ」

 

「まあ無理に聞こうとしたら、蓮に締められるし」

 

 よく分かっていらっしゃる、集さんや。

 

「てか、楽と姉貴は仲直りしたのか?」

 

 楽と姉貴は、クラスの皆の祝福を受けている。

 

「舞台裏で一緒じゃなかったのか?」

 

「一緒だったけど。確実性が無くてな」

 

「なるほど。まあ仲直りしたらしいよ。破局は回避した」

 

 マジよかったわ。破局回避=戦争回避だしな。

 ともあれ、クラスでの打ち上げが終わり、下校時間となった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「それじゃあ、小咲。帰るか」

 

 俺はそう言って、鞄を持ち立ち上がった。ちなみに、教室の生徒は、俺と小咲だけだ。

 まあ、皆の前ではちょっと、ってのもあったんだけどね。

 

「小咲、肩貸すぞ」

 

「ん、ごめんね」

 

 俺の肩を掴み立ち上がる小咲。

 つーか、今思ったけど、女の子からいい匂いがするのは何で?まあ役得だけど。

 とまあ、小咲の鞄を持ってから教室を出て、昇降口で靴を履き替え下校する俺たち。

 幸いにも下校時刻を回っているので、学校に生徒は数える位しかいない。また、今日は文化祭もあって、部活動が休みだしね。

 肩を貸しながら下校していたのだが、小咲は何かを思ったように呟く。

 

「……蓮君、ずっと肩貸してて辛くないかな?」

 

「いや、大丈夫だけど。どうかしたのか?」

 

 小咲は顔を朱色に染め、俯いてしまった。

 そして顔を上げ、意を決したように言う。

 

「……えっとね。提案があるんです」

 

「提案?」

 

 あーなるほど。小咲が言いたい事が予想できた。

 『ずっと肩を貸すより、おぶった方がいいかも』って言いたいのだろう。まあそれはいいんだが、女の子特有のアレが当たるんだよな。どうしたもんか……。

 んで、俺が『おんぶか?』って言うと、顔を真っ赤にしてから頷いた。

 

「小咲はいいのか?アレがアレだぞ」

 

 女子なら、アレの意味が分かるだろう。

 

「うん、蓮君になら構わないよ。減るものじゃないしね」

 

「……あー、まあそういうことなら」

 

 そういうことなので、俺は小咲から手を離し、前に出てから上体を屈める、小咲が俺の背中に体重を預ける。

 小咲が乗った所で、手を後ろに回し落ちないようにした。

 ともあれ、和菓子屋『おのでら』へ向かう俺。

 ちなみに、鞄は小咲に持ってもらった。

 

「おんぶして貰ったの、小学生以来かも」

 

「中学生になれば、そういう経験はなくなるしな」

 

「……うん。蓮君の背中、あったかいね」

 

「そうか?男は皆同じだろ」

 

 『好きな人だからかな?』って笑顔で言わんでくれ……。何か、俺が恥ずかしくなる……。

 まあ俺も、可愛い子から好意を向けられて嬉しいけど。俺も早く返事を返さないとなぁ。

 

「……蓮君、舞台裏ではゆっくりでいいよって言ったけど、実際、わたしの事どう思ってる?……今の気持ちを教えて欲しいかも」

 

「……そうだな。小咲には惹かれてるって言えばいいのか、そんな感じだな」

 

「……ありがとう、答えてくれて。わたし、蓮君が羽さんの事も同じように想っても平気だからね」

 

「いやいや、二股になっちゃうからね。小咲さん」

 

 二股とか、世間一般では最低野郎じゃん。

 だが、小咲の返しは俺の予想とは違った。

 

「ううん、わたしはいいんだ。それに蓮君は優しいから、どちらかを選ぶとなると苦しむと思うから。もちろん、羽さんの許可をもらってからだけどね」

 

 ……羽姉ちゃんが、『別にいいよ♪』って言ってるのが思い浮かんでしまった。……俺、マジで最低野郎じゃん……。

 肩を落とした俺を見て、小咲は苦笑した。

 

「蓮君、どんよりしすぎだよ」

 

「色々思う所があってな……」

 

 それからは文化祭の話題になり、話を弾ませた。

 今日は、俺の思い出になる日となったのだった。




小咲と羽姉ちゃんのヒロインは確定しましたね。
これって、ハーレムに含まれるのだろうか?てか、原作より小咲ちゃん積極的やね(笑)
感想待ってます!!

追記。
楽は千棘に想いが傾きつつありますね。

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