ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

24 / 72
投稿が遅れて申し訳ない(-_-;)


第24話 文化祭の下準備

 新学期、夏休みも終わり残暑の夏が再び始まる。

 そして俺はいつも通り1人で登校し、教室に入ってから席に座り、鞄をかけてから机に突っ伏していた。

 

「(……暑い、焼ける、焦げる、灰になる……)」

 

 つーか、海の一件以来姉貴の様子がおかしい。楽と目を合わせないし、対応がドライだしね。……あの声を聞いた瞬間にこうなる事は予想してたけどさ……。

 そんな時、俺の隣席の人物が席に着いた。

 

「……だらけ過ぎだよ。蓮君」

 

 俺は組んだ腕の隙間から顔を出した。

 

「……おう、小咲か。おはよう、そしておやすみ」

 

 俺は再び寝ようと――、

 

「ちょ、寝ちゃダメだよ。そろそろホームルーム始まちゃうから」

 

「……えー、めんどい。適当に聞いてばいいだろ」

 

 頬を膨らませるな。まあいいけど。

 んで、はぁ。と息を吐きながら上体を上げる俺。

 

「ん、よくできました。蓮ちゃん」

 

「おい、それは止めんか。恥かしいだろうが」

 

 小咲の頭に軽くチョップをする。

 ……涙目になんないで。凄ぇ罪悪感にかられちゃうよ俺。

 

「うぅ……。蓮君がいじめた」

 

「いや、虐めてないからね。…………えーと、ごめんな小咲」

 

 謝っちゃったよ、俺。

 つーか、満足気な顔をするな、小咲さんや。

 

「じゃあ、お詫びとして近い内に皆の所に行こうね♪」

 

 皆とは、昨日の園児たちの事だろう。

 てか、最近の小咲は小悪魔化するんだけど。何で?

 

「あ、そうだ。今度は羽さんも一緒にどうかな?」

 

「予定が合えば構わないけど」

 

「やたっ!」

 

 おい、はしゃぐな。

 てか、最近の小咲は、コロコロと表情が変わるよなぁ。出会った時と比べたら考えられないわ。真面目女子!って感じだったし。

 ま、心の心境でもあったんだろう。例えば、羽姉ちゃんの影響とか。

 それからホームルームが始まり、キョーコ先生が名簿を開き出席をとり終わると、文化祭関連の事を一通り言うと、集がキョーコ先生と入れ替わるように壇上に上がる。

 集は文化祭実行委員なので、文化祭の出し物についてだろう。

 

「我がクラスの出し物は、厳正な投票によって文化祭当日に行われる演劇に決まった!気になる演目は……ロミオとジュリエット。……そして、オレに提案があるんだ。――主役であるロミオとジュリエットについてなのだが……我がクラスのラブラブカップル!一条楽と桐崎千棘嬢にお願いしようと思うのだが、いかがだろうかー!」

 

「やりたくない」

 

 姉貴はやりたくないらしい。……まあ薄々気づいてたけどさ。

 これを気に仲直り。と思ったんだけどなぁ。んで、公平の為にくじ引きで決めたんだが、楽と小咲だった。

 で、俺は照明係だ。仕事が楽なので最高だわー。

 

「よかったな、楽と一緒で。頑張れよジュリエット役」

 

「……ん、頑張る」

 

 あれ、何で喜ばないの?てか、落ち込んでる?何で?

 小咲って、楽の事好きなんだよな?俺の頭は疑問符だらけである。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 俺は演劇の時間になった所で教室を出て、キョーコ先生から指定された部屋にやって来ていた。

 何でも、使える照明が一つないから探してくれだそうだ。つーか、結構埃が舞うんですが、どんだけ使われてなかったんだよ、この部屋。

 そんな時、入口のドアが開かれた。

 

「蓮君、いる?」

 

 ん、キョーコ先生じゃなくて、小咲?

 

「いるけど。どうしたんだ?」

 

「うん、休憩時間に入ったから、蓮君の様子を見に来たって所かな」

 

「……小咲は、俺のオカンかよ……。まあいいや。ちょっと待っててくれ、今そっち行くよ」

 

 そう言って、俺はドアの前までやって来た。んで、近場の椅子に座る俺と小咲。

 

「んで、劇の方はどうだ?」

 

「ぼちぼちって所かな。主役って、覚える事が多いね」

 

 台本を膝の上に置く小咲。

 そこには付箋がある。おそらく、ジュリエットのセリフの所だろう。

 

「かもな。まあ、小咲なら大丈夫だ。勉強の覚えも早かったしな。流石、我が生徒」

 

「もう、我が生徒は言いすぎだよ」

 

 小咲は笑みを浮かべる。

 

「やっと笑ったな」

 

「え?わたし笑ってなかったの?」

 

「笑ってたぞ。……でもな、小咲が心の底から笑ってる気がしなくてな。いや、別物の笑みって言えばいいのか。そんな感じだ」

 

 小咲は目を丸くした。

 

「よ、よくわかったね」

 

「小咲とは、まだ数ヵ月のつき合いだけどさ、細かい変化が分かるってとこか。考えまでは分からんけどな。てか、嫌なのか、主役が?」

 

「ち、違うよ」

 

 ぶんぶんと左右に頭を振る小咲。

 

「(い、言えないよ。一緒に演じたかったって。それに、わたしの事がそこまで分かるのは、蓮君だけだよ)」

 

「まああれだ。練習相手にはなってやるよ」

 

「ほ、ホント!?」

 

「お、おう。てか、テンションが急に上がったな」

 

「……あ、あはは、そうかな。気のせいじゃないかな」

 

「そうか?まあいいや、あの場所でどうだ?」

 

 あの場所とは、小咲に教えてもらった秘密の場所である。

 練習するには、絶好の場所だ。……セリフは、まあ台本を見ながらでいいだろう。

 

「うん、お願いします。今日は一緒に帰ろうね」

 

「そだな。んじゃ、そろそろ作業に戻るか。休憩もそろそろ終わりだろ?」

 

 椅子から立ち上がった俺と小咲。

 

「それじゃあ、放課後は校門前で待ってるね」

 

「了解だ」

 

 そう言ってから、俺は作業に、小咲は教室に戻った。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 放課後になり、俺と小咲はあの場所へやって来ていた。

 やはりこの場所から見る街の景色は、絶景の一言だ。

 

「やっぱ綺麗だな。夕陽が輝いてる感じだな」

 

 小咲は苦笑する。

 

「輝いてるは違くないかな。だけど、その表現も分かる気がするかも」

 

「だろ」

 

「それより、練習しないと」

 

「ああ、そうだっけ。あまりの絶景で、練習を忘れそうになったわ」

 

「も、もう。バカなんだから」

 

 あれ、何で俺怒られたの?まあ、小咲が楽しそうなら別にいいけどさ。

 それから、俺と小咲は沢山練習をした。文化祭当日までには間に合うはずだ。




小咲もヒロイン力高ぇー。
文化祭は、小咲のターンですね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。