初日の授業が終了し放課後になった。
で、姉貴と帰ろうと思ったのだが、楽の探し物を手伝うらしい。なんか、重要なペンダントとか。
「俺も手伝うわ。主犯は姉貴だし。てことは、俺も無関係じゃないし」
いやまあ、たぶんだけど……。
俺がそう言うと、『サンキューな、蓮』と言って、楽は頭を下げた。
姉貴は、『えー、わたしも探すのー』ってボヤいてたけど。
「い、一条君。わたしも手伝うよ」
楽にこう言った小野寺。
やっべ、ここまで人が良いと、小野寺が天使に見えてきたわ。――冗談はこの辺にして。楽からペンダントの特徴を教えてもらった。
何でも、特徴的な形をしていて真ん中に錠があり、10年前から肌身離さず持っていて、鍵を持ってる女の子が現れたら、その子と結婚するらしい。
あれだ。要らん情報も混じってるんだが。……てか、何。このドラマのような話は。10年前に鍵を受け取った女の子が、鍵を大事に取ってるかも解らんのに……。
「なんつーか、運命の出会いみたいだな。楽」
俺ならあれだ。完全に忘れてると思う。その前に、俺、恋愛体験=年齢だし。
「まあ、約束の子が覚えてるか解らないけどな」
いや、楽。お前もそう思ってんのかい!と心の中で突っ込みいれる俺。
そんな時、小野寺が俺に話しかけてきた。
「蓮君は、こういう運命は信じないの?」
「楽には悪いが、俺は現実主義だし。口約束で結婚はなぁ。……うん、ないな」
楽の想いを否定するつもりはないが。やっぱり俺は、信頼とか信用を得てから結婚だと思う。
「小野寺は運命の出会いとか、信じてそうだな」
「う、うん。信じてはみたいかな。一応、わたしも女の子だから……」
「そっか」
そう言ってから、今日思ったことを口にしてみる。
もちろん、小野寺にしか聞こえないようにだけど。
「(小野寺ってさ。楽のこと好きなの?)」
顔を真っ赤にする小野寺。
「(な、なんでわかったの!?)」
「(……いや、露骨すぎだから)」
姉貴は鈍感だから、気づいてないと思うけど。
「(まああれだ。頑張れ。影ながら応援してるよ)」
「(う、うん。蓮君は気になる人とか居ないの?)」
「(居ないな)」
キッパリとそう言う俺。てか、俺が恋愛とか考えられん。
「(だ、断言するんだね)」
「(まあな。俺、独身で死んでもいいと思ってるし)」
この言葉を聞いて小野寺は悲しそうな顔をしたが、俺は見てない振りをしたとさ。
取り敢えず校庭に出て、ペンダント探しをしました。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
一週間後。
うん、一週間だよ。でも見つからん。ちなみに、楽と姉貴ペア。俺と小野寺ペアに分かれて探している。
「見つからないね」
「まあな。地道にやるしかないだろ。……面倒くさいけど」
そう言いながら、草をかき分けながらペンダントを探す俺。
そんな俺を見ながら、小野寺は苦笑した。
「でも蓮君は、一条君たちが帰っても、いつも遅くまで残って探してるよね」
マジか……。見られてたとは。
「……まあな。友達の為だ」
「優しいんだね。蓮君は。わたし、そういう人好きだなぁ」
……小野寺さん。自分の発言に気づきましょうね。
まあ、こういうのに勘違いはしない俺だけど。
「小野寺。そういう言葉は、楽に言ってやれよ。あいつ、かなり喜ぶと思うぞ。たぶんだけど」
自分の発言に気づき、ボンッと顔を赤くする小野寺。
で、これを見て嘆息する俺。
「……お前って、かなり抜けてるかもな。で、本人の前ではボロは零さないタイプっぽい」
「えへへ、そうかも」
とまあ、草をかき分けてると、金色?のペンダントを見つけた。
楽から聞いた特徴と一致するし、おそらくこれだろう。俺はペンダントを手に取った。
「これか?」
「たぶんこれだよ」
「そか。ミッション・コンプリートだな」
そういうことなので、俺は立ち上がり数メートル離れた所でペンダントを探してる姉貴の所へ向かった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「うるっせぇな!だったらもう探さなくていいからどっか行けよ!」
……何この修羅場。
ほら、小野寺も唖然としてるし。てか、姉貴帰っちゃったし。
「ほら、楽。これだろ」
そう言って、ペンダントを楽の方へ投げる。
「さ、サンキュー。これだよ!」
「おう。今度から失くすなよ。後、ペンダントを探した礼として。姉貴と仲直りしろよ。いいな?」
「わ、わかったよ」
「ん、ならいい。俺は帰るわ。雨も降ってきたし」
雨と言っても、小雨程度だが。
俺は踵を返し、校舎へ向かい下駄箱の近くにある傘置き場から傘を取り、傘をさして学校を後にする。
その時、俺の後を追うように、水溜りがパシャパシャと鳴り、小野寺が俺の隣にやって来た。
いや、なんで来る?楽と帰ればいいのに……。まあ、小野寺にとっては、かなり難易度が高いと思うけどさ。
「どったの?」
何事もないように、俺はそう言う。
「い、一緒に帰ろうと思って」
盛大に溜息を吐く俺。
「こういうのは楽にしてあげろよ。まあいいや。帰るか」
とまあ、小野寺と一緒に帰りながら、会話に花を咲かせました。
俺が前在学してたアメリカの中学とか、小野寺の中学の話とかだな。で、曲がり角で足を止める。俺の家の方向が左で、小野寺は右だ。
「じゃあな。また明日」
「うん。またね」
無事に一日が終了すると思ったのだが、今日の夜に、姉貴と楽に転機が訪れるのであった。
その場その場で話を考えるスタイルでいきます。
だからまあ、ヒロインは未定のままで。