その場その場で考えるのは楽ですね。
姉貴←千棘
駄姉、姉ちゃん←羽
後、こんな感じですね。
では、どうぞ。
7月下旬、凡矢理高校では夏休みが始まったばかりだ。
その間に楽が小咲の家。和菓子屋『おのでら』にバイトの手伝いに行ったらしいけど。なんつーか、小咲は確めたい事があるとかなんとか。
まあ、野暮になるからその内容まで聞かなかったけど。
「いやぁ~、楽んチで皆と勉強会すんのも二回目かぁ~。しかし、何でこんなタイミングで勉強会?」
「鶫の発案らしい。てか、俺はいいって言ったんだけど……ま、俺は駄姉が出した問題集をやるわ」
実は羽姉ちゃんと別れ際、かなり難しい問題集を貰った。
……調べてみたら、大学レベルの問題集だったんだよね。……羽姉ちゃん、かなりの無茶振りが好きだからなぁ……。
でもまあ、皆で勉強は重要だ。
「駄姉って誰のことだ?ハニーのことじゃないよな」
楽にそう言われ、俺は頷いた。
「まあそうだ。姉貴は姉貴だしな」
「……蓮。それ意味解らん」
ともあれ、各自は勉強部屋に上がって行った。
あれだ。楽が居る所に橘ありである。つーか、楽。橘の想いをしっかり受け止めてやれよ。……もしも姉貴も。ってなったら、色々な意味で頑張れ……。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「……ところで、その機械は何なの、鶫?」
部屋に到着し、俺たちは各々の場所に腰を下ろしてから、鞄から勉強道具取り出しテーブルの上に置く。そんな時、姉貴が鶫の前に置かれた機械に目を向ける。
「これは、勉強会の合間のレクリエーションにでも使おうかと……」
「……何企んでんのよ、あんた……」
「嫌ですよ、お嬢。何も企んでなどおりませんよ」
レクリエーションに使うと言う鶫を、姉貴は疑わしげに目を細めて見つめる。てか、俺には解ったわ。これは、ビーハイブが造った嘘発見器だわ。
その証拠に――、
ビ――――――!
と音が鳴る。
俺は目を細めながら、
「鶫……。それって、家の嘘発見器だろ?」
クロードの企みって所か……。
「ち、違うんです。若。ぐ、偶然ネットで見つけまして!」
……あれだ。苦し紛れな言い訳だ。でもまあ、俺は参加しなければ良いことだしね。
「へー、面白そうじゃん!せっかくだし、早速試してみようぜ!」
つーか、楽。それはマズイ気が……。
姉貴との恋人関係を聞かれたら、非常にマズイ……。その証拠に、姉貴もかなり焦っている。
そんなこんなで、鶫からやってみることになった。
「私ですか。じゃあ、どなたか私に質問してもらえますか?」
「じゃあ、わたしがしていいかな?」
「小野寺様?」
最初に手を上げたのは小咲だ。
「鶫さんは、今好きな人はいますか?」
「ぶふっ!小野寺様!いきなり何を!?――んん、前に話した通り、私に好きな人はいませんよ」
ビ――――――!
「やっぱり!」
「違います!」
鶫はそれからも否定するが、嘘発見器はそれを否定する。
「嘘発見器なんて元々あてになるようなもんじゃありませんし、そもそも、質問がいけなかったのかもしれません」
「うーん…………あ、じゃあ!」
「鶫さんは恋をしてますか?」
「だからしてませ――」
再び、鶫の発言を否定する嘘発見器。
鶫は嘘発見器を殴りつける。……つーか、必死すぎだ。鶫。
「おかしいな?うん、この嘘発見器は壊れてるに違いない。そうだ、壊れてる」
鶫は楽に、嘘発見器の棒を渡す。
「私のことはどうでもいいんですよ。一条楽。次は貴様の番だ」
「えっ、オレ!?」
「そうだ。お前はお嬢を本気で愛している?イエス、ノー?さあ、答えろ」
……うん、解ってた。これが(間接的に)やりたかったんだろ。クロードさんや。
「そ………そんなもん、イエスに決まってんじゃねぇか」
楽がそう言うと、部屋の中には静寂が流れる。
嘘発見器の針も、ビクとも動いていない。
「くっ……!ど、どうやら本当のようだな……」
悔しげに呟く鶫。
……いや、俺も内心ではかなり驚いてる。てか、何で反応しないの?楽って、小咲のことが好きなんだろ?
あれだ。意味が解らん。
「次は誰がやる?」
「それでは、わたしが」
楽から渡された、嘘発見器の棒を橘が持つ。
あれだ。俺は興味が無いので、問題集に集中である。
参考書を見ながらペンを動かしていくが、難しい。……いや、この問題集難しすぎだろ……。
「(……ったく。あの駄姉は、なんつーもん持たせたんだよ)」
でもまあ、愚痴を言いながらも問題を解いていく俺もアレだが……。
つーか、胸とかキスとかの単語が聞こえるが、俺は無視で集中である。てか、この環境で集中できる俺、結構凄くね。……『ナルシスト発言だなぁ。』って言う突っ込みはしないでくれ。
「――――蓮ってば」
どうやら、姉貴に呼ばれていたらしい。……気づかんかった。
俺はシャーペンをテーブルに置き、
「お、おう。どうした?」
「蓮も、嘘発見器をやってみないって」
「え、マジで。てか、俺に聞きたいことなんかないと思うけど」
「いいからいいから」
そういうことを言いながら、姉貴が俺に嘘発見器の棒を渡す。
「まあいいけど。で、誰が質問するんだ?」
「はい!わたしがしたい!」
手を挙げたのは小咲だ。
「蓮君って、気になる人とか居るの?」
「気になる?のかな……。その辺は解らんが、俺が家族同然と思ってる人は居るな」
……これを聞いた羽姉ちゃんが、笑ってる顔がすぐに思い浮かぶ。てか、小咲も知ってるはずだけど。なんかの確認とか?まあいいや。
「当然、姉貴も家族同然だぞ」
姉貴とは、約10年の付き合いだし。
てか、何で皆(小咲以外は)目を丸くしてるの?もしかして、俺の発言が予想外だった?
「小咲と姉貴は知ってると思うけど、俺は孤児院出身でな。で、俺と仲良くしてた姉って言えばいいのか、そんな人だ。ちなみに、親父たちに引き取られる前から会ってるな」
次は、姉貴からの質問らしい。
「蓮ってさ。キスしたことあるの?」
「……それっぽいことなら、一応」
「「「「「え――――っ!!」」」」」
「「マジか――――――っ!!」」
上がる歓声。
つーか、律儀になんで俺は答えてんの?アホなの?バカなの?
……やばい、痛い奴に見えてくるわ……。
「……蓮って、一番恋愛が進んでるんじゃねぇ?」
「いやでも、蓮は恋愛に興味がないって言ってるぞ」
「楽。それは偏見だぞ。多分な」
「うーん……。そう言われると」
……ヤバイ気がする。つか、何で俺が集中攻撃を受けてる感じになってるの?あれれ、予定外なんですけど……。
「だ――っ!勉強だ!今日は勉強会だろ!」
……はい、強引に話を切り上げて逃げましたよ、俺。
ともあれ、ここから再び集中し、問題集と向き合いました。
恋愛が一番(無意識に)進んでいるのは、蓮君かもしれませんね。
あとあれです。何処かで、また羽姉ちゃん出せたらいいなぁ。
後、鶫は途中から離脱しますね。
蓮君は、高校3年までの学業は習得済みです。ってスペック高っ!教材等も、学校から取り寄せましたね(笑)