俺はいつものように一人で登校し、自分の机に向かってた。
「おはよう。小咲、宮本」
「おはよう、蓮君。蓮君あの後すぐにいなくなっちゃうから、ちょっとビックリしたんだよ」
おそらく小咲が言ってる事は、誕生パーティーを俺が早く切り上げた事を言ってるのだろう。
ちなみに、パーティーが行われたのが金曜日で、翌日の土曜日に中国へ向かいました。てか、準備するものはあんまりなかったしね。
「悪い悪い。ちょっと色々あってな」
てか、宮本さん。早速勘づこうとするのは止めて欲しい……。いやね、宮本の視線が俺の利き腕を見てるんだよ。
こういう時こそ、平静平静。
「どうかしたのか、宮本」
「いえ、何でもないわ。おはよう蓮君。あと、わたしも名前でいいわよ」
「了解だ。るり」
そう言ってから席に座り、机の上で腕を組み、崩れ落ちる俺。
そんな時、楽と姉貴が教室に入って来た。今日は俺の方が早かったのね。
でもなんつーか、いつもと様子が違うような?ちなみに俺は、崩れ落ちながら顔を覗かせている。
「お、ラブラブカップルのご登場だね~」
教室の扉が開き、女子生徒がそう言う。
「ハッハッハ!そうだろう、そうだろう!なんたってオレたちは、ラブラブカップル」
楽は恋人の振りがバレないように、ラブラブってぷりをアピールしようとし、姉貴の肩に触れた瞬間、姉貴は顔を赤らめて可愛い声を上げる。
「キャ」
うーん。明らかにおかしい……。誕生パーティーで何かあった?それしか原因は考えられないし……。
「蓮君、千棘ちゃんと一条君。喧嘩でもしてるの?」
さすが小咲。微妙な違和感に気づいたらしい。まあ確かに、いつもだったら楽に触れられた瞬間殴ったり、自分からくっついたりしてたし。
「うーん、解らん。俺、あの後からちょっと用事があって、席をずっと外してたからな」
「用事?」
やべ……。墓穴を掘りそうになってる……。
「じゃあ、そろそろ戻るわね。小咲、蓮君」
るりは自分の席に戻っていった。それから数分後にチャイムが鳴り、キョーコ先生が入って来たから教壇に上がった。
キョーコ先生が言うには、林間学校の写真の焼き上がったらしい。
「はーい、注目~。林間学校の写真が焼きあがって掲示板に貼り出されてるから、各自欲しい写真の番号を書いて提出する事。OK?」
返事をするクラスメイト。
「あと、恥ずかしくても、好きな奴の写真はちゃんと選んどけよ。アドバイスな」
なんつーこと言ってんだ。この先生は、まあ一理あると思うけどさ。
とまあ、時は経過し放課後。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「わぁ~。これ、好きなのを買っていいの?」
「そうらしいぞ、姉貴。てか、買い過ぎるなよ」
張り出されている写真を見て、姉貴は目を輝かせていた。それで姉貴は、鶫と一緒に選んでいた。てか、一枚100円すんのね。
「……姉貴はしゃぎすぎだから。もっと落ち着いて選べないかね」
「ハニーはああいうの初めてなんだろ。テンションも上がるって」
「まあ、こういうイベント?は初めだし無理もないけどさ」
俺は楽とそう話しながら、写真選びに向かった。てか、写真ね。
俺があんまり興味なさそう眺めていると、
「あ。コレなんかどう?蓮君と小咲が映ってるけど」
るりが指差した写真は、俺と小咲が手を繋いで肝試しをする場面だった。眠そうにしてるね。俺。
「いやいや、るり。小咲にはこれがいいと思うぞ」
俺が指を差したのは、楽のズーム写真だ。まあ、その後ろに小咲とるりが映ってる。かなり小さくだけど。
そう言いながら、写真を厳選し始める俺とるり。顔を真っ赤にする小咲。まあそうなるわな。
「おやおや、蓮さん。どんな写真がお好みで?先程から選んでいないようなので」
「まあな。どれがいいとか解らんしな」
集が手をすりすりさせながら俺の方にやって来た。その後ろには大量の写真を眺めてる男子たち。ちなみに、俺にしか聞こえないボリュームで話している。
「こんなのはどうでしょう?」
差し出されたのは、俺と小咲が肩を寄り添いながら寝てる写真。……こいつ、いつの間に撮りやがった……。
「もらっておくけど。集、今から締める……」
「ちょ、待て待て。蓮のそれは洒落にならんから――ぎゃあああぁぁあああ――っ!」
集を締め終わってから写真を見ていると、これはダメでしょ。と言う写真を発見した。
それは、満々の笑みを浮かべる姉貴の写真。だがまぁ、少し開いた扉の向こうに映る小咲の姿。あれだ、着替えの途中といった危険な写真でもあった。
「(……ちゃんと検閲しろよ。データを消してもらうか、危なねぇし。てか、姉貴の写真だし、怪しまれる事はないだろ)」
俺はその写真を取ってから、職員室へ向かった。
とまあ、このようにして林間学校の写真選びが終了した。
次回は、マリーかな?