ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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サブタイトルが思い付かない……。


第16話 オモイデ

 今現在俺は、中華街を羽と共に歩いていた。てか、羽呼びに全然慣れません……。いつも、羽姉ちゃんって呼んでたしなぁ。

 

「羽。近いから」

 

 俺と羽の距離は、肩と肩が触れ合う感じだ。俺の心臓に悪いからね。

 

「暫くは会えないんだし、いいでしょ?」

 

 俺は溜息を吐いてから、

 

「……お手柔らかにお願いします。俺、女性に対する免疫が無いんだから」

 

「任せて」

 

 そう言った途端、腕を組んできた。当たってるから、何がとは言わないが当たってるから。何で女の子からはいい匂いがするんだよ……。あー、俺の理性がガリガリ削られてく。……てか、頑張ってくれよ、俺の理性。

 

「それで、最初は何処に行くんだ?」

 

「あそことかどうかな?」

 

 羽が指差した店は、小龍包(しょうろんぽう)屋だ。まあ確かに、中国と言ったら。と言う物でもある。

 俺たちは腕を組んだまま、小龍包屋へ向かった。

 それから、小龍包の中に、豚挽き肉と鶏もも肉が入ったものを一つずつ注文した。一口食べると、薄皮の中に入った肉と共に熱いスープが洩れ出す。

 ちなみに、割り箸を持ち、紙皿の上で食べてます。立ち食いでもあるけどね。

 

「……かなり熱い。口の中が火傷する」

 

「……わたしも同じく」

 

 そういうことなので、若干冷ましてから一口。てか、かなり旨いです。

 

「蓮ちゃん。わたし、豚挽き肉のやつが食べたいな」

 

「いいぞ。ほら」

 

 そう言って俺は、豚挽き肉が入った小龍包が乗った紙皿を、羽の前まで持っていった。

 

「じゃあ、蓮ちゃんも」

 

 羽は、鶏もも肉が入った、小龍包が乗った紙皿を俺の前まで持ってきた。

 それから、割り箸で取って一口。

 

「あれだな。どっちも旨いわ」

 

「そうだね。――後、しちゃったね。間接キス」

 

「……羽。俺が考えないようにしてた事を言ったらいけないよ」

 

「えへへ、ごめんごめん」

 

 羽はクスクスと笑うだけだ。

 羽も俺も顔が真っ赤じゃん。てか、恥ずかしいなら言うなよ……。

 とまあ、間食しました。

 

「俺、ホントに中国に居るの?的な感じだよ」

 

 そう。日本の中華街に居る感覚である。

 

「そうかもしれないね。ここの中華街と、横浜中華街は似てるから。わたしと蓮ちゃんって、周りから見るとどう映ってるんだろ?」

 

「……姉弟ではないような気がするし。たぶん、友達じゃないか?」

 

 羽は思案顔をしながら、

 

「……わたしは、恋人だと思うけどなぁ」

 

「俺と羽が恋人ねぇ。……俺は釣り合わないよ。俺にとっての羽は高嶺の花だしな。それに羽には、もっと良い男が居るはずだ」

 

 

~羽Side~

 

「(……蓮。わたしは、そんな風に思ってないんだよ。きっと、蓮以上の男の子なんて現れないよ)」

 

 そう。このように時間を割いて会いに来てくれたり、わたしの事を知っても変わる事なく接してくれる。蓮が、ギャングの息子って事も若干はあると思うけど。

 ――――――わたしは、そんな君が大好きなんだよ。

 

~羽side out~

 

 

「ま、まあ、この話は終わりにしよう」

 

 うん、何か墓穴掘りそうで怖いわ。

 

「そうだね。違う所に行こっか」

 

「そうだな」

 

 次に向かったのは、お土産屋と言ったらいいのか。そんな所だ。

 店内には、限定ストラップや中国ならではのお土産、文具やお菓子など。てか、日本で言う駄菓子屋に似てるような?

 取り敢えず、親父や姉貴、野郎共には、限定の土産とストラップを買って行こう。無難だしね。

 

「蓮ちゃん蓮ちゃん。お揃いしようよ」

 

「お揃い?」

 

「そうそう。ミサンガのお揃い」

 

「……ミサンガね」

 

 俺には縁が無い代物である。

 羽が手に取ったのは、赤と水色とオレンジで組み合わせてあるミサンガだ。それを2個だな。

 なんつーか。利き腕につけて欲しいらしけど。何故利き腕。と言う疑問が出るが、気にしないでおこう。てか、聞くのは野暮な気もする。

 

「まあいいけど」

 

「ホント!?」

 

 そんなに喜ぶ所なの?なんつーか、女の子って難しい……。

 それから会計をして、土産袋を片手に、利き腕にミサンガを結びました。……てかあれだわ。ミサンガは切れるまで外せないという事は、学校まで。と言う事になる。勘ぐられないか心配になってきたわ。……ま、何とかなるだろ。

 とまあ、買い物も終わった事だし、中国空港へ向かいました。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「そろそろ便の時間になるから。って、泣きそうになるなよ。一生の別れじゃないんだから」

 

 羽は、目許に涙を溜めていたのだ。

 

「……やっぱり、寂しいよ」

 

 俺は羽の頭に右手掌を、ポンと置いた。

 

「泣くなって。てか、年上の威厳が無くなってるぞ。羽さんや」

 

「……わたし、いつか日本に行くから」

 

「1週間くらいって事か?」

 

「ううん。ずっとだよ。それまでに、こっちでの事は全部終わらせるから」

 

 いやいや、それって組織を完全に統一させるって意味だよ。……ま、まさか。それを完遂しちゃうの?

 

「でも、これまで通り連絡は取り合いたいかな」

 

「構わないぞ、俺からも連絡はするよ。頻繁に。まではいかないと思うけど」

 

 1週間に2回程度だろう。いや、これも頻繁に入るのか?

 

「わたしは、暇があったらかな」

 

「い、いいけど。学校の時間は勘弁……。まあ、メールなら大丈夫だと思うけど」

 

「うん、わかった」

 

「じゃあ、そろそろ。――わぷッ」

 

 後半の情けない声は、羽が抱きついて来て無意識に出た声だ。

 

「元気でね」

 

「羽こそ元気でな」

 

 そう言ってから抱擁を解き、俺はゲートへ向かい歩き出す。

 ちなみに、土産などはターンテーブルに乗せた。

 こうして、俺の弾丸ツアーの幕が閉じた。




次回から、原作沿いに戻ると思います。
てか、羽姉ちゃんのヒロイン力ハンパないね(笑)

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