やって来ました俺の家。自分で言うのも何だが、一般家庭の家よりデカイ。……いや、かなりデカイ。
「ここが千棘ちゃんのお家?」
小咲が俺の家を見ながら、そう呟く。
玄関前には、俺と小咲以外は集合していた。てか、集も居たのね。皆は家を見上げていた。
それで、姉貴は目を丸くしてる。……あれか、ギャングだってバレたらヤバイって思ってる?
「ちょ、こっち来なさい!蓮!」
玄関が開き、姉貴に右手を掴まれ連行される俺。
「ど、どうしたんだよ?姉貴」
「ど、どうしよう……。わたし皆に、家がギャングだって事を言ってないのに……」
「……いや、ほぼ皆知ってるから。てか、俺がギャングの息子って知ってるから……」
だからまぁ、必然的に姉貴がギャングの娘って事も知られてるんだけどね。
つーか、そこまで心配することはないと思うけど……。
そんな事を話してると、楽が隣までやって来た。
「どうしたんだ?」
「姉貴がギャングだって事を言ってなくて、皆をビビらせちゃうと思ってるらしい」
楽は姉貴を見ながら、
「は?お前、そんな事気にしてたの……」
「だ、だって、ギャングよギャング。悪の組織よ」
楽は思案顔をしてから、皆の元へ歩いて行く。
で、姉貴はかなり焦っているが。つーか、既にバレてるって言ったじゃんか。
「お~い、皆。実はこいつの家さ~」
まあそう言うことで、楽が皆に言いましたとさ。
「知ってたけど、千棘ちゃん」
「一条君と同じってことでしょ~?その前に、蓮君もギャングの息子って知ってたよ~。あれ、どうしたの?」
「へ?」
姉貴は唖然とするしかない。
俺は姉貴の隣まで歩き、
「心配し過ぎだぞ、姉貴。……まあ、前はこのことで色々あったけどさ」
「うぅ……。そうだけど」
とまあ、そんなこんで、鶫を先頭に家に入って行きました。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「さあ、こちらが本日のパーティー会場になっています」
ドアを開けると、案の定でした……。はい、いつもの光景ですね。
「ハッピーバースデー、お嬢、若~~~~~!」
「お誕生日おめでとうございます~~~~!」
何で俺の名前があったかって、俺と姉貴の誕生日は3日しか離れてないから、一緒にやってしまおうという事ですね。ま、その方が色々と楽だし。つか、俺の場合は祝わなくていいって言ってるんだが。姉貴だけで十分だって。
「おお~~!今回はお嬢と若のご友人も一緒なんですかい!」
「お嬢と若が、ご友人を連れてくるなんて初めてじゃないスか!」
「嬢ちゃんたち、今日はよろしく!」
皆に挨拶する野郎共。で、皆も挨拶を返してくれる。つか、クロードは楽に挑発?的な言葉を言うな。
あ、そう言えば忘れてたわ。
「クロード。ちょっと」
俺の傍までやって来るクロード。
「何でしょうか?蓮坊ちゃん?」
俺は声のトーンを下としてから、
「……忘れた訳じゃねぇよな、林間学校の風呂の件」
「……しょ、承知しております」
「皆が帰った後に締めるから、そのつもりで」
全身を震わせるクロードを余所に、俺は皆の元へ歩いて行く。
「はい、千棘ちゃん。これ、わたしと蓮君から」
姉貴にプレゼントを渡す小咲。
つか、車をプレゼントとか、演歌のCDとかバナナとかもあったけど……。
「ありがとう。小咲ちゃん、蓮。大切にするね」
俺からもありがとう、小咲。あのままだったら、何渡してたか解ったもんじゃなかったし……。
楽は、ゴリラの人形だった。なんつーか、ブーイング?もあったが。てか、姉貴も喜んでるし、万事OKと言うことで。
「俺には要らないからな、野郎共」
「そりゃないっスよ……蓮坊ちゃん……」
「お嬢と同じ、最高級のマンバッハのオーダーメイドを頼んだんスよ。もらってくだせぇ~」
「いや、いらんから。つか、免許ないし……」
「「「「「そ、そんなぁ~~~」」」」」
「(……仲良いな、お前ら……)」
まあ、そんなこんなでパーティーが始まりました。
パーティーを楽しんでいたら、俺のスマホが鳴りました。はい、着信者はあの人ですね。解ってたけど。
ともあれ、ベランダに出て、通話ボタンを押してから右耳に通話口を当てる俺。
『もしもし、蓮ちゃん』
あれだ。もう、蓮ちゃん呼びには突っ込まない事にしました。はい。
「羽姉ちゃんどうした?」
『うん。お誕生日に電話したかったんだけど、その日は忙しくなるから。――蓮ちゃん、お誕生日おめでとう!』
「サンキュ。てか、よく覚えてたな」
『そりゃそうよ。わたしが、
そう、孤児院に居た俺は、西暦の替わり目で誕生日を迎えることしか出来なかったのだ。
そんな時に羽姉ちゃんと出会い、月と日を貰ったのだ。まあ、出会った日が6月10日だから。そのまま6月10日なんだけど。つか、名付け親だね。
「その件は感謝してるよ。俺には、ちゃんとした誕生日がなかったから」
『もっと感謝してもいいのよ?例えば、お姉ちゃんを彼女に――』
「それは却下で。つか、羽姉ちゃんにはもっといい人が居るはずだから。俺みたいなガキが釣り合うわけがないだろ。それに、――何処ぞのガキだぞ、俺は」
俺がそう言うと、通話越しでも解るように、羽姉ちゃんの雰囲気ががらりと変わった。
『……蓮。それは言ったらいけない約束だったでしょ』
そう。羽姉ちゃんが俺に怒る時は、呼び捨てになるのだ。
「……あ、ああ。悪い」
『絶対言わないって、もう一回約束して。蓮ちゃんはね、わたしにとって家族同然なの。――――そう、大切な人なのよ』
後半の呟きは、俺には聞こえることはなかった。
「悪かった、約束するよ。そろそろ戻らなくちゃ」
『わかった。また今度ね』
「今度は俺から遊びに行くよ、――――
『れ、蓮ちゃん。それってどう――』
俺は、羽姉ちゃんの言葉を最後まで聞くことをせずに、通話を切った。
俺はパーティー会場には戻らず、自室へ向かう為歩き出した。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
廊下を歩いている途中で、親父と鉢合わせました。
で、今は近場のソファーの上に座ってます。
「蓮はもういいのかい?蓮の誕生パーティーでもあるんだよ?」
「俺はいいや。てか、主役は姉貴だしな」
親父は、ふむ。と頷いた。
「なるほど。蓮はもらったんだね。誕生日プレゼント」
ちなみに、親父は羽姉ちゃんの事を知っている。
「
「今では、腐れ縁みたいなもんだよ。俺、今度遠出するかもしれないから、その時は、野郎共と姉貴に誤魔化し頼んでもいいか?」
「会いに行くんだね?」
「そんなとこ。前は来てもらったしな。……予告なしで、弾丸ツアーだったらしいけど」
「任せなさい。後、その時になったら私の所に来なさい。旅費を出すよ」
親父、太っ腹です。有り難く頂くとしよう。……残りは、俺の小遣いに。
「んじゃ、俺は寝るわ。お休み」
「お休み。蓮」
そう言って、俺は立ち上がり部屋へ戻った。
皆が帰った後、クロードを締めたのは別のお話。
羽姉ちゃんのターンでしたね(笑)あれですね。羽姉ちゃんは、蓮君との付き合いが10年以上ありますね。(連絡を取ってない期間もあったが)。
つか、誕生日の名付け親です。
ちなみに、二人一緒に祝うのは、今回が初めてですね。
蓮君の誕生日は、蔑ろにはしてないんで大丈夫ですよ。
小咲の誕生日とかは、番外編で書きますね(^O^)
それで、マリーの事なんですが。今のところは、蓮君とくっつけるのが難しいが現状です……。