ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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第14話 パーティーと約束

 やって来ました俺の家。自分で言うのも何だが、一般家庭の家よりデカイ。……いや、かなりデカイ。

 

「ここが千棘ちゃんのお家?」

 

 小咲が俺の家を見ながら、そう呟く。

 玄関前には、俺と小咲以外は集合していた。てか、集も居たのね。皆は家を見上げていた。

 それで、姉貴は目を丸くしてる。……あれか、ギャングだってバレたらヤバイって思ってる?

 

「ちょ、こっち来なさい!蓮!」

 

 玄関が開き、姉貴に右手を掴まれ連行される俺。

 

「ど、どうしたんだよ?姉貴」

 

「ど、どうしよう……。わたし皆に、家がギャングだって事を言ってないのに……」

 

「……いや、ほぼ皆知ってるから。てか、俺がギャングの息子って知ってるから……」

 

 だからまぁ、必然的に姉貴がギャングの娘って事も知られてるんだけどね。

 つーか、そこまで心配することはないと思うけど……。

 そんな事を話してると、楽が隣までやって来た。

 

「どうしたんだ?」

 

「姉貴がギャングだって事を言ってなくて、皆をビビらせちゃうと思ってるらしい」

 

 楽は姉貴を見ながら、

 

「は?お前、そんな事気にしてたの……」

 

「だ、だって、ギャングよギャング。悪の組織よ」

 

 楽は思案顔をしてから、皆の元へ歩いて行く。

 で、姉貴はかなり焦っているが。つーか、既にバレてるって言ったじゃんか。

 

「お~い、皆。実はこいつの家さ~」

 

 まあそう言うことで、楽が皆に言いましたとさ。

 

「知ってたけど、千棘ちゃん」

 

「一条君と同じってことでしょ~?その前に、蓮君もギャングの息子って知ってたよ~。あれ、どうしたの?」

 

「へ?」

 

 姉貴は唖然とするしかない。

 俺は姉貴の隣まで歩き、

 

「心配し過ぎだぞ、姉貴。……まあ、前はこのことで色々あったけどさ」

 

「うぅ……。そうだけど」

 

 とまあ、そんなこんで、鶫を先頭に家に入って行きました。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「さあ、こちらが本日のパーティー会場になっています」

 

 ドアを開けると、案の定でした……。はい、いつもの光景ですね。

 

「ハッピーバースデー、お嬢、若~~~~~!」

 

「お誕生日おめでとうございます~~~~!」

 

 何で俺の名前があったかって、俺と姉貴の誕生日は3日しか離れてないから、一緒にやってしまおうという事ですね。ま、その方が色々と楽だし。つか、俺の場合は祝わなくていいって言ってるんだが。姉貴だけで十分だって。

 

「おお~~!今回はお嬢と若のご友人も一緒なんですかい!」

 

「お嬢と若が、ご友人を連れてくるなんて初めてじゃないスか!」

 

「嬢ちゃんたち、今日はよろしく!」

 

 皆に挨拶する野郎共。で、皆も挨拶を返してくれる。つか、クロードは楽に挑発?的な言葉を言うな。

 あ、そう言えば忘れてたわ。

 

「クロード。ちょっと」

 

 俺の傍までやって来るクロード。

 

「何でしょうか?蓮坊ちゃん?」

 

 俺は声のトーンを下としてから、

 

「……忘れた訳じゃねぇよな、林間学校の風呂の件」

 

「……しょ、承知しております」

 

「皆が帰った後に締めるから、そのつもりで」

 

 全身を震わせるクロードを余所に、俺は皆の元へ歩いて行く。

 

「はい、千棘ちゃん。これ、わたしと蓮君から」

 

 姉貴にプレゼントを渡す小咲。

 つか、車をプレゼントとか、演歌のCDとかバナナとかもあったけど……。

 

「ありがとう。小咲ちゃん、蓮。大切にするね」

 

 俺からもありがとう、小咲。あのままだったら、何渡してたか解ったもんじゃなかったし……。

 楽は、ゴリラの人形だった。なんつーか、ブーイング?もあったが。てか、姉貴も喜んでるし、万事OKと言うことで。

 

「俺には要らないからな、野郎共」

 

「そりゃないっスよ……蓮坊ちゃん……」

 

「お嬢と同じ、最高級のマンバッハのオーダーメイドを頼んだんスよ。もらってくだせぇ~」

 

「いや、いらんから。つか、免許ないし……」

 

「「「「「そ、そんなぁ~~~」」」」」

 

「(……仲良いな、お前ら……)」

 

 まあ、そんなこんなでパーティーが始まりました。

 パーティーを楽しんでいたら、俺のスマホが鳴りました。はい、着信者はあの人ですね。解ってたけど。

 ともあれ、ベランダに出て、通話ボタンを押してから右耳に通話口を当てる俺。

 

『もしもし、蓮ちゃん』

 

 あれだ。もう、蓮ちゃん呼びには突っ込まない事にしました。はい。

 

「羽姉ちゃんどうした?」

 

『うん。お誕生日に電話したかったんだけど、その日は忙しくなるから。――蓮ちゃん、お誕生日おめでとう!』

 

「サンキュ。てか、よく覚えてたな」

 

『そりゃそうよ。わたしが、つけてあげた(・・・・・・)って言っても過言じゃないんだから』

 

 そう、孤児院に居た俺は、西暦の替わり目で誕生日を迎えることしか出来なかったのだ。

 そんな時に羽姉ちゃんと出会い、月と日を貰ったのだ。まあ、出会った日が6月10日だから。そのまま6月10日なんだけど。つか、名付け親だね。

 

「その件は感謝してるよ。俺には、ちゃんとした誕生日がなかったから」

 

『もっと感謝してもいいのよ?例えば、お姉ちゃんを彼女に――』

 

「それは却下で。つか、羽姉ちゃんにはもっといい人が居るはずだから。俺みたいなガキが釣り合うわけがないだろ。それに、――何処ぞのガキだぞ、俺は」

 

 俺がそう言うと、通話越しでも解るように、羽姉ちゃんの雰囲気ががらりと変わった。

 

『……蓮。それは言ったらいけない約束だったでしょ』

 

 そう。羽姉ちゃんが俺に怒る時は、呼び捨てになるのだ。

 

「……あ、ああ。悪い」

 

『絶対言わないって、もう一回約束して。蓮ちゃんはね、わたしにとって家族同然なの。――――そう、大切な人なのよ』

 

 後半の呟きは、俺には聞こえることはなかった。

 

「悪かった、約束するよ。そろそろ戻らなくちゃ」

 

『わかった。また今度ね』

 

「今度は俺から遊びに行くよ、――――中国(・・)に」

 

『れ、蓮ちゃん。それってどう――』

 

 俺は、羽姉ちゃんの言葉を最後まで聞くことをせずに、通話を切った。

 俺はパーティー会場には戻らず、自室へ向かう為歩き出した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 廊下を歩いている途中で、親父と鉢合わせました。

 で、今は近場のソファーの上に座ってます。

 

「蓮はもういいのかい?蓮の誕生パーティーでもあるんだよ?」

 

「俺はいいや。てか、主役は姉貴だしな」

 

 親父は、ふむ。と頷いた。

 

「なるほど。蓮はもらったんだね。誕生日プレゼント」

 

 ちなみに、親父は羽姉ちゃんの事を知っている。

 

首領(ドン)と蓮は、小さい時から仲が良かったからね」

 

「今では、腐れ縁みたいなもんだよ。俺、今度遠出するかもしれないから、その時は、野郎共と姉貴に誤魔化し頼んでもいいか?」

 

「会いに行くんだね?」

 

「そんなとこ。前は来てもらったしな。……予告なしで、弾丸ツアーだったらしいけど」

 

「任せなさい。後、その時になったら私の所に来なさい。旅費を出すよ」

 

 親父、太っ腹です。有り難く頂くとしよう。……残りは、俺の小遣いに。

 

「んじゃ、俺は寝るわ。お休み」

 

「お休み。蓮」

 

 そう言って、俺は立ち上がり部屋へ戻った。

 皆が帰った後、クロードを締めたのは別のお話。




羽姉ちゃんのターンでしたね(笑)あれですね。羽姉ちゃんは、蓮君との付き合いが10年以上ありますね。(連絡を取ってない期間もあったが)。
つか、誕生日の名付け親です。
ちなみに、二人一緒に祝うのは、今回が初めてですね。
蓮君の誕生日は、蔑ろにはしてないんで大丈夫ですよ。

小咲の誕生日とかは、番外編で書きますね(^O^)
それで、マリーの事なんですが。今のところは、蓮君とくっつけるのが難しいが現状です……。

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