ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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れ、連投です。


第13話 プレゼント

 林間学校が終了し、ある日の出来事――。

 

「おーい、楽ー!」

 

 楽は、小咲に話しかけようとしたが、姉貴に呼び止められていた。

 てか、名前呼びになったのね。姉貴と楽、かなり距離が縮まってないか。……ここからまさかの、本物の恋人に……。いや、無いか。

 

「この日誌ってどこに持っていくんだっけ?」

 

「ああ?さっき先生が、準備室(理科)って言ってたじゃねぇーかよ」

 

「あー、そっかそっか」

 

 姉貴は、準備室の方へ向かって歩き出した。

 いや、そっちは音楽室だから……。

 

「おい、千棘!理科室の方の準備室だぞ。また、音楽室の方と間違えるなよ」

 

「りょうかい~」

 

 そう言って、姉貴は背を向けながら左腕を上げながら手を振って歩いて行った。

 

「楽。姉貴のこと名前で呼ぶようになったのな」

 

「実は最近、下の名前で呼び合う事になってよ。結構長く付き合ってるのに、下の名前で呼んでないのは変だって友達に言われたんだと。まだ慣れねぇけどな」

 

「なるほどねぇ。ま、良いことじゃないか」

 

「蓮は、小野寺は名前呼びなのに、宮本は名字なのな」

 

 確かに、宮本は名字だわ。

 あれか。名前で呼んだ方がいいのか?つか、男子の皆さんは、女子を名前で呼ぶのに何でそんなに抵抗があるのだろうか?

 

「でもまあ、本人の承諾が得られれば、すぐに名前呼びにするけど」

 

「蓮って凄ぇよ。気軽に女子を名前で呼べるなんて」

 

 いや、どこがだよ……。と、俺は心の中で突っ込んだ。

 てか、……俺の基準がおかしいとか……。それは勘弁だ。

 

「おい、一条楽。お嬢を見ていないか?」

 

 教室のドアを開けて出て来たのは鶫だった。

 

「ハニーなら、さっき理科準備室に行ったぞ」

 

「そうか。それは都合がいいな。皆さんもお揃いのようですし」

 

「いや、鶫。集が居ないけど」

 

 まあ、大体は鶫の言いたい事の予想はつくけど。

 

「皆さんお揃いのようですし。そうですよね、若」

 

 何故か知らんが、集はメンバーに入っていないらしい。何で?

 

「皆さんに、お願いがありまして。実は今日、お嬢の誕生日なんです。なので、お嬢に楽しんで頂きたいので、サプライズパーティーを計画しているのですが。ぜひ、皆さんも参加してもらいたいんです。その方が、お嬢も大変お喜びになられると思うので」

 

 で、俺が鶫の言葉を引き継ぐ。

 

「俺からも頼む。姉貴は、友達に誕生日を祝って貰った事があんまなくてな。いつも身内だけなんだよ」

 

「わたしは行くよ」

 

「わたしも行こうかしら」

 

「オレもいいぞ」

 

 小咲、宮本、楽はサプライズパーティーに参加してくれるらしい。

 今年は違う誕生会になりそうだよ、姉貴。

 

「忘れがちだけど、蓮って千棘の義弟だったんだっけか」

 

 楽にそう言われ、俺はずっこけそうになる。まあ、学校ではいつも別行動をしてるし、登下校も別々だからなぁ。無理もないけど。

 

「てか、忘れるなよ、楽。俺の名字は桐崎だぞ」

 

「悪ぃ悪ぃ」

 

 誕生日と言えばプレゼントか。つか、姉貴の好きな物なんだっけ……。ヤバイ、忘れた……。ま、適当に……は、怒られるか?

 ここは、恋人(偽)の楽に任せるか。後、誰か女子だな。

 

「んじゃ、楽。姉貴のプレゼント選び頼ん――」

 

「そういえば一条君。今日日直だったわよね」

 

 宮本さん。言葉を遮っちゃいかんでしょ……。

 

「あ。そういえばそうだな」

 

「そういうことなので、蓮君と小咲。千棘ちゃんのプレゼントを選んできなさい」

 

「いやいや、そこは宮本だろ。女のプレゼントなんだからさ」

 

「わたし、千棘ちゃんの好みとか解らないし。その点は、義弟の蓮君の方が詳しいでしょ。で、そこに女子の小咲のサポートね」

 

 ……言えない。姉貴の好きな物忘れたから無理。とは、流石に言えない。これは言ったら色々とマズイ気がする……。

 俺は肩を落としながら、

 

「お、おう。了解した。てか、小咲の了承がないけど」

 

「大丈夫よ。小咲なら、二つ返事でOKだから。ね?小咲?」

 

 ……いや、宮本さんよ。ちょっと強引すぎない……。まあ、俺が言っても意味がないんだろうけど。

 

「う、うん。OKで」

 

 OKしちゃうのかいッ!と、心の中で俺は突っ込む。てか、後あれだ。場所と時間も指定されました。はい。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 で、やって来ました。待ち合わせの喫茶店。

 俺は私服に着替えてから、窓際でコーヒーを口にしていた。

 

「(今日の学校は疲れたわぁ。うん、マジで……)」

 

 そんな事を考えながら、テーブルで腕を組んで崩れ落ちる俺。なんつーか、俺マイペース過ぎ?

 そんな事を思っていたら、店のドアが開かれる。どうやら、到着したらしい。で、俺の向かいの席に小咲が座った。

 

「れ、蓮君。だらけ過ぎだよ」

 

 上体を起こす俺。

 

一人で居る時(家に居る時)の俺はこんな感じだぞ。『働いたら負け』的な感じだ。つか、将来働きたくねー。専業主夫を志望します」

 

 ま、無理だけどな。うん、解ってます……。ちゃんと働きますよ。

 小咲は、クスクスと口元に左手を当てて笑った。

 

「蓮君。やっぱり面白いこと言うね」

 

「えーと。それ、褒めてる?」

 

 あれか。林間学校の肝試しで言った仕返し的な。

 

「もちろん、褒めてるよ」

 

「いや、褒めてるように聞こえねぇから。うん、マジで」

 

 そんなこんなで、小咲もコーヒーを注文しました。

 で、俺たちはコーヒを一口飲んでから、

 

「蓮君は、千棘ちゃんの好きな物わかるんだよね」

 

 内心、ギクッとする俺。

 

「……忘れました。ごめんなさい。てか、姉貴、ごめんなさい」

 

「はあ……」

 

 溜息を吐かないで、俺、泣いちゃうよ。マジで泣いちゃうよ……。

 

「しょうがないか。二人で選ぼう」

 

「お、おう。そうしてくれると、非常に助かります……」

 

 とまあ、そう言うことなので、デパートに向かいました。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「はあ、何でデパートは迷宮区かね……。何が良いか解らん。つか、人多過ぎ。マジで帰りたい」

 

「お義姉さんのプレゼント選びなんだから、シャキッとする」

 

 何で先生口調?まあいいけどさ。

 

「うす。小咲先生」

 

「よろしい。桐崎蓮くん」

 

 え?何この小芝居は、まあ乗った俺が言うのもアレだけどさ。

 で、プレゼントを選びました。ええ、無難に新しいリボンです。ちなみに、色は赤で。

 それからデパートを出て、家に直行。

 

「良かったね~。良い物が見つかって、千棘ちゃん喜んでくれるかな」

 

「友達からのプレゼントだし、姉貴は大喜びだろ。……たぶん」

 

「ほらぁ。また語尾にたぶんって言った」

 

「い、いや、口癖でな。……えー、何と言うか。すまん?」

 

「何で疑問形?」

 

「その前に、これ何の漫才?」

 

 こう話しながら、俺の家に行きましたとさ。

 




これは、小咲もヒロイン決定ですかね(笑)

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