ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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ラブライブにはハズレの曲はないよね(うん、これニセコイと関係ないな……)

では、どうぞ。


第12話 林間学校Ⅱ

 林間学校2日目。俺は朝食をお盆に乗せ、席に着席して味噌汁を啜っていた。俺の前では、楽が箸を使って白飯を口に運んでいた。隣では集が牛乳を飲んでいる。

 

「蓮。今日肝試しイベントがあるらしいけど、知ってたか?」

 

 楽がそう言ってくる。

 てか、肝試しねぇ……。

 

「蓮。ただの肝試しじゃないぜ?くじを使って、男女二人組のペアが組まれるのだ。更に重要なルールがもう一つ……」

 

 集は勢いよく立ち上がり、

 

「ペアになった男女は、必ず手を繋がなくてはならない!どうだ、燃えてきただろっ!」

 

「いや、別に」

 

 俺は平静に答える。

 

「んだよ、淡白すぎるぞ。蓮さんや」

 

「いやまあ、手を繋いで肝試しするだけだろ。燃える要素がないような気がするんだが」

 

「蓮は、ペアになりたい女子とか居ないのか?」

 

「まあ、知ってる女子がいいな。でもまあ、当たりたいくじを引いたら交換してやるよ」

 

 そう話しながら、朝食を食べ終えてから立ち上がり、お盆を返却口に返して部屋に戻った。

 とまあ、そんな時、小咲にバッタリと会った。で、一階の自販機の近くにある長椅子に座ってます。

 

「えーと。昨日はスイマセンでした」

 

 俺の開口一番が、それだった。

 申し訳なさそうな俺を見て、小咲は苦笑した。

 

「終わった事だから、引きずらないでよ」

 

「ああ。サンキュ」

 

「それで、蓮君は肝試しどうするの?参加するんでしょ?」

 

「一応な。くじ引きの件は如何でもいいけど」

 

 小咲さん。目を丸くしないでよ。なんか、悪いことした気分じゃんか……。

 てか、ペアになりたい女子が居ないことが不思議なのだろうか?

 

「へ、へー。そ、そうなんだ」

 

「まあな」

 

 うーむ。俺はやっぱり淡白すぎるのだろうか……。

 さて、俺も聞いてみますか――、

 

「小咲は居るのか?一緒になりたい奴?」

 

「う、うん。一応ね」

 

「てことは、楽か?」

 

「ど、どうだろうか?」

 

 なんで敬語?つか、一緒になった奴は幸せ者かもな。小咲、可愛いし。

 てか、俺ってこういうことあれから平然と言えるようになったんだよね。なんか不思議だな。

 ともあれ、時は経過し、集合時間となり山を登る事になりました。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「これより、恒例の肝試し大会を開始する!準備はいいか野郎共――――!」

 

「「「「「おお――――――!!」」」」」

 

 キョーコ先生の合図により、歓声が上がる。てか、皆さん。かなりテンションが高いわ。俺はあれだ。若干眠いです……。

 つーか、先生たちは晩酌ですか……。まあ、こういう機会にしかできないと思うけど。

 

「それでは、女子からくじを引いてくださーい!」

 

 とまあ、このようにくじ引きが始まった。

 女子が全員引き終わった所で、男子の番である。前の奴が引き、次は俺だ。

 俺は箱の前まで歩み寄り、箱の中に手を入れてくじを引き、元の場所まで戻る。

 

「で、蓮は何番よ?」

 

 集よ。かなりテンションが高いな。対して俺は、欠伸を噛み殺しながらくじを開く。

 書いたあった番号は12番。てか、小咲と一緒やん。

 

「おーい、楽。くじを交換するか?」

 

「マ、マジでいいのか?」

 

 驚愕な顔をする楽。

 いや、何で俺が意外な奴。的な感じなの……。

 

「お、おう。いいけど。てか、そこまで驚かなくても……」

 

 つか、楽の番号は姉貴と同じらしい。うん、姉貴には気を遣わなくてもいいし、気楽だ。

 そんな時、宮本の拳が俺の腹にめり込む。……な、何で。

 

「蓮君。引いた番号を交換するのはやめなさい。相手に失礼よ」

 

「お、おう。そうだけど…………。わかったよ、俺は12番な」

 

「解ればいいのよ。てことで一条君。そこの所よろしくね」

 

 そう言い残して、去っていく宮本。てか、怖ぇよ。宮本さん。

 ともあれ、12番目が回ってきました。

 

「よろしくな。小咲……。ふぁ~」

 

 ……やっべ、無意識に欠伸が出てしまった。

 

「すまん。なんか、今日はやけに眠くてな。てか、手を繋ぐんだっけか?」

 

「う、うん。よろしくです」

 

 なんつーか、小動物見たいだわ。小咲さん。

 そういうことなので、手を繋いだ俺と小咲。

 で、出発進行。てか、客観的に見ると、俺ってダメな男子じゃね……。

 

「(んじゃ、いっちょ頑張りますか)」

 

 つーか、小咲さん。怖がりすぎだから。作り物だから。殴れば血が出るから。殺せるから。……あれ、最後なんか不吉じゃね……。

 

「小咲って、そんなに怖いのダメだっけか?」

 

「う、うん。お化け屋敷とかは、全然ダメで……」

 

「へぇ、小咲も女の子らしい所あったんだな。ちょっと意外」

 

「ちょ、それはどういうことかな。蓮君」

 

「いや、完全無欠なガチガチ女子って感じだったからさ」

 

 これぞ俺の作戦。話してれば怖くない作戦である。あれだ。そのままだわ……。俺、ネーミングセンスねぇな……。

 

「むぅ」

 

 ありゃ、へそを曲げてしまった。

 

「まあまあ。さっきのは冗談で、小咲さんは、可愛い可愛い女子ですよ」

 

「……なんか褒められてる気がしないけど。褒め言葉として受け取っておくね」

 

「いや、褒め言葉だから。嘘偽りはないから……たぶんな」

 

「い、今、たぶんって言ったでしょ、たぶんって」

 

「さあ、それはどうでしょう」

 

 ギャーギャーと軽口を叩き合いながら歩を進める俺たち。なんつーか、周りのお化けも、脅かすのを止めてる感じに見えるのは気のせいだろうか?まあ、その方が色々と好都合だけど。

 

「さて、怖いのはなくなったか?」

 

「あ、ホントだ。最初から、これが目的で?」

 

「まあそうだな。俺も昔は怖がりでな、いつも誰かしらに手を引いてもらってたんだよ。で、今の方法で助けられた事があるから、実行してみた」

 

「へぇ、蓮君も小さい時はお化けが苦手だったんだ。なんか以外かも」

 

「ガキの頃は、夜とかは怖いものばっかだしな。俺もその一人でもある」

 

 この時お化けたちは、

 

「(((((イチャついてんじゃねぇよ!怖がってくれよ!)))))」

 

 とまあ、心の声が一致していたとさ。

 それから数分歩き、出口に到着。

 お化け役の人が足りなかったらしく、楽と姉貴もお化け役として参加してたらしい。まったく気づかんかったが……。

 

「……あんたら、楽しそうに出てきたわね」

 

 宮本がそう聞いてくる。

 

「ずっと話しながら来たしな。お化けは最初しか視界に入らなかった。何でか知らんが」

 

「たしかに、何でだろう?」

 

「そりゃ、あんたらを脅かすのを諦めたんでしょうが……」

 

 ともあれ、このようにして林間学校は幕を閉じたのであった。 




林間学校終了です。
この小説は、2000~2500文字を目安にしてます。

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