ニセコイ~千棘の義弟~   作:舞翼

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なんか、迷走感が否めない展開になってきたかも……。
いやまあ、リハビリ、息抜き作品だから多めに見てね(^_^;)


第10話 林間学校

 俺、桐崎蓮は、ボストンバックを右肩にかけ、全力で学校に走っていた。

 

「だー、羽姉ちゃんのバカ野郎。寝坊しちまったじゃねぇか!」

 

 姉貴と鶇とは一緒に暮らしているが、お互いの部屋には入らないという規則があるのだ。だからまぁ、時間に起きないと学校に遅刻するのだ。

 昨日は羽姉ちゃんと深夜まで談笑し、寝たのが遅かったので、今の状況に繋がる。

 てか、見知った後ろ姿があるんですが……。

 

「って、小咲も遅刻かよ!」

 

「れ、蓮君!ち、違うの。楽しみで眠れなかったの!」

 

「いや、それ遅刻と同じだから!」

 

 ギャーギャーと騒ぎながら、俺と小咲は学校の校門前まで全力ダッシュ。校門前に到着した頃には、俺は荒く息を吐きながら肩を上下させ、小咲も同じく肩を上下させていた。てか、出発前にかなり疲れたわ……。

 

「もう、わたし蓮が間に合わないと思って、気が気でなかったのよ」

 

 姉貴にそう言われる俺。

 

「いや、ちょっと諸事情でな。悪かった、姉貴」

 

 てか、ギリギリ間に合ったらしい。うん、マジでよかったです。

 つか、バスの席はどうなってんの?俺居なかったから、席順なんてわからんけど……。

 

「小野寺と、桐崎弟も来たことだし、出発するぞー」

 

 キョーコ先生の合図がかかると、生徒たちがバスに乗り込んで行く。てか、小咲と俺待ちだったのね。間に合ってないじゃんよ、姉貴……うん、なんかごめんなさい。

 つーか、俺は、楽、集、小咲、姉貴、宮本、鶇と同じ班らしい。俺が遅刻してる時に決まったんだね。……うん、知ってた。で、バスの席は、一番後ろに、宮本、姉貴、楽、鶇。その右斜め前の二人席に、俺と小咲らしい。てか、席に着いたら寝よう。

 小咲が窓際に座ったのを確認してから、俺が通路側の席に着席する。

 俺は大きく欠伸をしてから、

 

「……眠いわ」

 

 と呟く。

 

「蓮君。夜更かし?」

 

 小咲が首を傾げてそう聞いてくる。

 

「まあそんなとこ。姉ちゃんと話しすぎてな」

 

 海外電話でな。と付け加える。

 

「姉ちゃんって、あの時話したお姉さんのこと?」

 

「ん、そうだぞ」

 

「てか、蓮君。その首から下げられてるのは、ネックレス?」

 

 んん?ネックレス……。ああ――――ッ!昨日着けぱなしで寝ちゃったんだわ。で、寝坊して、ネックレスの存在を忘れてたと……。

 

「……ま、まあ、ネックレスだ。羽姉ちゃんからのプレゼントかな。……はあ、学校には着けていかないはずだったんだけどなぁ……。寝坊して、頭が一杯一杯だったわ。てか、小咲の誕生日っていつ?」

 

「へ?6月15日だけど」

 

「ふむふむ。6月15日ね。了解した」

 

 俺は友達の誕生日はお祝いすることに決めているのだ。そういうことなので、小咲から誕生日を聞いたのである。まあ、ネックレスの件を誤魔化す的な感じも混ざっていたのだが……。

 

「蓮君は、いつなの?」

 

「俺か?俺は、6月10日だけど。俺の方が、若干年上なのな」

 

「そうだね。それにしても、一週間程度しか変わらないなんて」

 

「まあ確かに」

 

 そう話してる内に、バスが出発した。

 てか、あれだ。いつものように、夫婦漫才と突っ込みが行われている。姉貴、楽しそう?で何よりだ。

 つか、小咲さん。俺の右肩を枕にして寝ちゃったんですね……。まあいいや。俺も寝よう……。

 と言うことなので、俺も目を瞑り夢の中へ突入した。

 この時、この光景を写真で撮られていたなど、知る由もなかった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 出発から約1時間後。俺が目を開けると、目的地に到着したらしい。続々と生徒は立ち上がり、バスから下りて行く。

 

「小咲、起きろー。着いたぞ」

 

 小咲は、しょぼしょぼした瞳を擦りながら、

 

「あ、蓮君。おはよう」

 

「ああ、おはよう。じゃなくて、目的地に到着したぞ」

 

「う、うん。わかった。そ。それとごめん。蓮君の肩を枕代わりにしちゃって」

 

「いや、別にいいよ。俺も途中から寝てたし。てか、行くぞ」

 

 俺は通路立ち、小咲に右手を差し出し、小咲はおずおずとその手を掴んだ。

 

「あ、ありがとう」

 

「気にすんな」

 

 うーむ、なんかあれだわ。楽から小咲を奪ってる感じで申し訳ない。……も、もしや、これが略奪…………はい、すいません、完全な冗談です……。てか、俺はギャングの義弟、小咲は一般の家庭の子。想い合うことができても、付き合うことは不可能だ。

 ま、羽姉ちゃんは領主だから別だが……。そんな気は全くないけどさ。

 ともあれ、俺と小咲はバスから下りました。

 

「今から班でカレー作ってもらうからな。楽しんで、気をつけて作れよー」

 

 キョーコ先生の言葉を聞いて、楽が顔を引き攣らせたのを俺は見逃さなかった。

 決闘云々の後に、鶫と買い物をしたり、楽が熱を出した時に、姉貴と小咲がお見舞いに行ったり、そこでダークマターのお粥を食べたりとあったらしい。……姉貴、ケーキは上手く作れたのに、お粥はダメだったのか……。

 

「蓮と宮本、小野寺は薪を貰って来てくれ。桐崎は俺が指示するから大人しくしてろよ」

 

 必死やね。楽。まあ、あの二の舞は洒落にならないと思うけど。

 まあ、俺も仕事をしますか。

 

「行くわよ、蓮君」

 

「あいよ。宮本隊長さま」

 

「……あんた、張った倒すわよ」

 

「ちょ、るりちゃん。そんな言葉使ったらいけないよ」

 

「お、おう。小咲の言う通りだぞ、宮本さま」

 

「……まったく、次はないわよ……。てか、蓮君。小咲を名前呼びにしたのね」

 

「まあ色々あってな。他意はないぞ」

 

 ともあれ、俺たちは薪を貰いにいきました。

 で、皆で楽しくカレーを作り、美味しく頂きましたとさ。




次回も頑張ります!
で、蓮君が出かけた翌日の設定です。

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