シモン回で満足してもっとも盛り上がるところを雑に書く作者。
グレイとかオリジナル技作りやすいけど、ナツのオリジナル技は考えるのが一苦労...。
──いいかナツ、お前の動きは雑だ。だから当たらない
少し前の事。サクラとジョニィの練習に乱入したナツは些細なきっかけで魔法なしの組み手をジョニィとしたのだが手も足も出なかった。まるで空に浮かぶホコリのように拳を振るってもするりと逃げる。
──俺の何十倍の魔力を持ってたとしてもそれじゃ使いこなせない。
──もっと体を、全てを使いこなせ
「──火竜の鉄拳!」
戦場をかける流れ星に拳がめり込む。
「カハッ──!」
「火竜の──」
体が浮き上がった瞬間を見逃さない。
一歩踏み込み、少し飛び上がり足を叩きつける。
とんでもない速さで飛んだジェラールは水晶の壁に叩きつけられた。
「馬鹿な...何故反応出来る⁉︎」
「言ったろ...任されたからには負けるわけにはいかねぇんだよ...!」
足の裏から炎を噴射し、ロケットじみた速さで突撃。
「クッ──抉れ!」
ジェラールが指を上に上げると地面の水晶が歪み、先端が鋭く尖った水晶が飛びとしてきた。
しかしそんなものを気にすることなく突撃し水晶を砕く。
「邪魔だあああぁぁぁぁぁ!!」
ナツの周りに灯る炎は地面の水晶すら溶かす。
触れたもの全てを溶解する炎は止まる事を知らず。
ついにジェラールの元にたどり着いた。
「──七つの星に裁かれよ」
七つの魔法陣がジェラールの背後に現れた。
キン、と白く光り輝く。
「──
光の剣が発射され、ナツの目の前が真っ白になる。
回避は既に不可能。
ならば打ち返すのみ。
「──紅蓮火竜拳!」
両手に炎を灯し、前に打ち出す。
光の剣は徐々にだが勢いを無くし、元の極光よりもかなり薄れたものとなった。
「だが後ろが空いているぞ!」
ガッ、と光の剣で背中を切りつけられた。
既に体はボロボロだが、意識を保ち裏拳をたたき込もうとしたが受け流されカウンターの蹴りを食らった。
「貴様如きに負けるわけにはいかない...!」
水晶に埋まったナツの体に更に追い討ちをかける。
身体向上魔法によって更に一撃が重たく、鋭くなるがナツだって負けはしない。
「──ラァ!」
マウントを取っていたジェラールの服を掴み自分に近づけると同時に、自分の頭も近づけ思い付きり頭突きをかました。
痛みで力が抜けたジェラールの一瞬の隙を尽き足を首に巻きつけ、掌を器用に使い体を浮かし回転し空中に放り投げた。
「──火竜の咆哮!」
猛炎が口から解き放たれた。
ジェラールは空中でバランスを取り直し再び流星を使う事で逃げたが、それを追いかけるようにナツのブレスは続く。
「これ以上はもう...!」
水晶の塔が大きく揺れを起こした。
ナツが破壊しすぎたせいで魔力の塊である魔力石が欠損し、Rシステムを保てなくなったのだ。
Rシステムの崩壊は集めた27億イデアの暴走である。
「次は10年...いや、5年で完成させる。
だが貴様らは邪魔だ...ここで消えろ!」
煉獄の魔法陣が現れる。
その魔法陣は幽鬼の支配者の移動要塞で使っていた魔法である煉獄衝砕。
一度使うと街一つが消えてしまう禁忌魔法の一つ。
エルザに斬られた場所が痛んだが、無理やり押さえ込み最後の詠唱を唱えた。
「塵一つ残さず消えろ!!」
赤い地獄のような炎の光線が解き放たれた。
ここで逃げれば楽園の塔どころか、エルザも、外にいる皆の無事も怪しい。
全ての炎を右手に集中させ飛び上がる。
「ハアアアァァァァァ!!!」
炎と煉獄の光線が衝突し、爆風を生み出した。
水晶の塔にはもはや数えきれないほどのヒビが入り、今にも倒れそうだった。
「クッ...!」
「消えろ!ナツ・ドラグニル!」
光線がナツの体を押す。
手は焼け、焦げ始めているが逃げはしない。
何故なら託されたから。
託されたからには簡単には死ねない。
約束を果たしてこそ男の誓い──
「負けてたまるかあああぁぁぁぁぁ!!」
押されていた炎は、勢いを取り戻す。
光線を退け、煉獄よりも尚赤く染まる炎はついにジェラールまで近づいた。
「馬鹿な...何処からそんな力が...!」
「シモンに言われたんだ!だから負けられない!」
光線はついに掻き消され、ジェラールは空中で大きくノックバックし、ジェラールの少し上でナツは体全体に炎を纏う。
最後の言葉のその後、聞こえるか聞こえないぐらいで言った言葉をナツはちゃんと聞いていた。
──エルザを、ジェラールを任せた
「貴様アアァァァァ!!」
「自分を解放しろジェラール!」
滅竜奥義──紅蓮鳳凰剣
空に鳳凰の如き大きな火がジェラールを襲い、地上に叩きつけた。
コツン、コツンと音が反響する。
そこは男の精神世界。
男は手に持った何かを雑に部屋にある机に向かって投げ、ソファの上に座った。
「あー、暴れたりねぇなぁ...」
男の精神世界は酷く真っ暗で、唯一置かれたライトだけが部屋を灯していた。
男が机に向かって投げたものを手に取るとボール遊びするように上に投げ掴むのを繰り返した。
「ま、一個奪えたからまぁいいか」
ボールみたいに投げていたのは手だった。
手から血が流れているがそんなことも気にせず投げる。
男の背後にはドアが一つある。
男は面倒くさそうに魔法を唱えドアを開けた。
その先には真っ赤な地面に無限の剣が刺さった広野だった。
まるで怒りを表した赤は、触れたものを侵す力でも持っているのか本来美しい筈の剣が真っ赤に染まっていた。
「と言っても既に剣は持ってるからあんまりいらねぇけどな...」
投げていた手を遠くに捨てる。
男はソファに横に座り、目を瞑った。
「さて、次が来るまで眠っておくとするか」
縛られていた鎖は溶け落ちる。
ちなみに主人公君は魔法なしの体術戦だったらナツとガジルを同時に相手にしても余裕で勝てます。つまりロッ○・リーですね。
そして闇ジョニィ...ニルヴァーナ編で大活躍します。
次回はネタに走ります