Lv.0の魔道士   作:蓮根畑

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沖田当たってFGO漬けになってた作者、蓮根畑です。
今回の話から原作に乖離剣ぶち込むYO!





31 妖精の尻尾 VS 幽鬼の支配者 7

 

 

 

 

「もっと速く行けんかのぉ...」

「む、無茶言わんといてくださいよ...こちとら魔力がなくて...!」

 

マグノリアから外れた森の中。

久しぶりに登場したような気がする俺は片腕にギルドマスターであるマカロフを担いで死にかけていた。

嫌味ではないが担ぐならボインの女の子がいい。というか女の子なら誰でもいい。

 

「というかマスターが巨人化して俺をぶん投げた後に走って来るっていうのはダメなんですか?」

「年をとったら腰がダメになって走れんわい」

 

そういう割に天狼島でのプレピト戦の時凄く走ってたじゃないか。

 

「あと10分ぐらい...最後に全力疾走です」

「実はと言う風に当たるのがちょっと気持ちいいんじゃ」

「・・・」

 

つまり俺を人間型ジェットコースターとして扱っていると...色々言いたいことがあるが胸の中に押し留めて再び走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鮮やかな鮮血が空を舞った。

そして糸の切れた人形のようにサクラが地面に倒れた。

 

「ぁ...あぁぁ...!」

 

肩から腰にかけてバッサリと切られた後からは止めどなく血が漏れ出す。

痛みは恐怖へと変わり、肌に冷気が突き刺す。

サクラにとって重傷と呼べるものはこれが初めてだ。

そんな人間が冷静を保てるか否かを考えるとNOである。

それでも大丈夫と思う人はこう考えてみよう。もしも、だ。貴方の目の前にゾンビ500体がいました。貴方の手持ちはなし。隠れる場所もなし。これでも冷静を保てるか?

 

「痛い...いた、い...!」

「おいおい、あんだけやっておいて泣いてんじゃねェよ」

 

地面に倒れたサクラの髪の毛を掴み上げ自分の目線まで持って来る。

先程の戦意に溢れた顔は何処に行ったのか。

その顔には恐怖しかない。

 

「助けて...」

「助けなんてこねェよ!」

 

激しく頭を打ち付けられた。

鉄の地面も相舞って脳全体が震える。

それでも生きてるとはなんとか身体強化を施したからであろう。

そこから先は地獄だった。

殴られ蹴られ斬られ、ありとあらゆる方法で痛めつけられた。

 

「───」

 

近くで聞こえる笑い声がまるで遠くから聞こえる。

意識が朦朧としもはや立つのも不可能。

それどころか指の一本も動かない。

泥水に浸かったかのように意識がなくなる。

 

「──!───!」

 

ルーシィが何か言っているが聞こえない。

そして意識は完全に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サクラが目を開くとそこは銀の桜が咲いた草原だった。

 

「やぁ、こんにちわ」

 

突如声をかけられ反射的に振り向くと無骨な剣を吊り下げた男が座っていた。

 

「え?誰ですか...?」

「まぁ、それは座ってからでも話せるから。あぁ、けどあまり時間もないから早く」

 

男がそう言うのでサクラは渋々草原の上に座った。

男の身長は約180センチ程で男性の平均身長と比べると少し高いのに、その顔つきはまるで少年のようだった。

剣を持っているため剣士なのかと思うがその顔を見て剣士と思うものはそういないだろう。

 

「えぇと...」

「あぁ、名前だね。そうだね...取り敢えずジンとでも呼んでくれるかい?」

「はぁ...」

 

ジンと名乗る男は怪しがるサクラの態度を気にせずに陽気に話す。

 

「あっ、ここは──」

「ここは何処だ?だね。それは簡単だ。精神世界だよ。君も刀を作ってもらう時に行っただろう?あぁ、君が前に行った精神世界とはまた別の精神世界だ」

 

質問が終える前に答えを言ってくれるので楽ではあるが得体の知れない恐怖がある。

 

「そう怯えなくていい。別にとって食おうなんて考えてないしさ」

「・・・はぁ」

「まぁそこに座るといい」

 

恐る恐るその場に座る。

ジンと名乗った男は笑みを崩さないまま頷いた。

 

「さて、説明を始めようか。さっきも名乗ったけど僕の名前はジンと呼んでおくれ。そしてこの世界の守護者...かな?」

「かな?って私に尋ねられても...」

「はは、それは悪かった。でも疑問形になるのも不思議ではないんだ。僕達は個にして群でもあるから...例えば」

 

ジンが手を開き顔の前に持って来て3秒キープ。

手を顔の前から離すと可愛らしい女性の顔になっていた。

 

「この通り。アガートラムの魂が集う場所だからね。こんな事も可能なんだ」

「アガートラム...?」

「あぁそうか...君は生まれてすぐに両親がいないんだったね。それじゃアガートラムの事も知らないか...そうだね、簡単に説明すると...」

 

 

 

アガートラムの一族は代々武器の扱いに長けていた一族だ。

曰く、一振りで山を割り、海を裂いた。

曰く、アガートラムの1人対100人の戦いで傷一つつかず勝利しただとか。

曰く、全てを一撃で終わらせたとか

 

 

「まぁ簡単に言うと超強かったわけ。そしてその末裔が君さ」

「私ですか?」

「あぁ、その腕に浮かんでいる模様がその証拠さ」

 

今もサクラの腕に浮かんでいる桜色の紋様。

以前から不思議に思っていたがそう言う事だったのか、と納得していた。

 

「それはアガートラムの一族の先人達が生み出した剣技全てが内包されている。そしてその紋様を持つものは内包された全ての技が使える。これは経験あるだろう?」

「あり、ます...」

 

天空桜、無限刃も先人達が生み出した剣技。

 

「君はまだ未熟だから完全に扱いこなせる訳ではない...そこは君の師匠とやらに期待するしかないね」

「・・・」

 

ふわりと春風に似たものが頬を撫でた。

 

「おっと...そろそろ時間のようだ。今回は緊急だったからね無理矢理連れて来たんだ。次はもっとゆっくり話をしよう」

 

 

 

 

「その前に彼に打ち勝つんだ。なーに、心配することはない。君は未熟だが根性は一人前だ。それに君はアガートラムの意志に守られている...その事を忘れずに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうやめなさいよ!もう限界よ!」

「ケッ、俺はやると決めたからには徹底的にやるんだ。邪魔するんだったら殺すぞ?」

「・・・!」

 

大量出血により気を失ったサクラを守るように手を広げガジルの前に立つルーシィだが、星霊を呼び出すための鍵は盗まれ手持ちの鍵はない。

しかしそれでも目の前で仲間が殺されるのは絶対に嫌だった。

出会って間もないが会話もしたし、一緒に泊まったりした。

大切な友人を見捨てることなんて絶対に出来ない。

 

「チッ、またお得意の友情ごっこか...気持ち悪ィ」

「気持ち悪くなんかない!友達なら助けるのが当然でしょ⁉︎」

「何餓鬼見てェなこと言ってんだテメェ。俺はお前らのそう言うところが嫌いなんだよ!」

 

ガジルの腕が剣と化した。

依頼主では無傷で持って来いと言われていたがそんな事はどうでもいい。

 

「──死ね!」

 

 

振り落とされる凶剣がゆっくりに見えた。

死ぬとしても逃げたくはない。

目をつぶり、刃を受け入れるつもりだったがいつまでたっても切られやしない。

どう言うことかと思い目を開けると剣が肌を切り裂く5cm前に割り込むように刀が剣と拮抗していた。

 

「サクラ⁉︎」

「すいませんルーシィ。少々寝ていました」

「邪魔しやがって...また殺されに来たのか?」

 

刀が剣を弾きガジルは5メートル程距離をとった。

 

「大丈夫なのサクラ⁉︎傷は⁉︎」

「大丈夫です...ルーシィは下がってください」

「でも...」

「心配はしなくて結構です。今の私なら勝てます」

 

とは言えども残り一撃が限界だ。

そしてその一撃で傷を負うと生死を彷徨うだろう。

だから生きて来た中で最強の集中力を──

 

「邪魔ですね...」

「え?」

 

サクラは手に持つ刀を背中へと持っていき、長く綺麗な薄い桜の色をした髪を両断した。

肩に落ちた髪を払うと何事もなかったかのように前を見据え、刀を構えた。

その姿に恐怖はない。心を無にし、刃を研ぎ澄ませる。

 

「復活しても何も変わらねェよ。お前はここで俺に倒されるんだよッ!」

 

腕が剣となり、そしてチェーンソーのように回り始めた。

防御不可の剣。ルーシィはサクラはどうやって躱すのかと思いサクラを見たが避ける様子はない。むしろ相手を斬り殺す、そんな風に見えた。

 

「───」

 

思いの強さこそが、刃の重さ。

サクラの持つ刀『天空桜』の想いが体に流れ込む。

 

 

 

「──アガートラムの神域 解放」

 

 

 

アガートラムの神域には全ての技が収められている。

そしてそれを自由に扱いこなせる。

ならば出来るはずだ。

複数の技を一つに束ねる事が。

思い描く必殺は師であるジョニィがふと呟いたことだ。

 

 

″なんかお前って一発に三発内包した突きとか使えそうだな...″

 

 

何故使えそうなのか全然分からなかったがやらなければならない。

その技の説明は聞いた。

ならば可能なはずだ。剣の達人達が生み出した技術を持ってすれば不可能であることの方が少ない──!

 

 

ガジルの刃が当たる瞬間サクラは消えた。

消えたのではない。速すぎた結果目が追いつかなかっただけだ。

 

「いつ、の間に...!」

 

ガジルが後ろを振り向くと刀を真っ直ぐに伸ばすサクラがいた。

そして自身の腕は貫通し、そのまま腹を貫通していた。

 

「終わりです」

 

キン、と刀が鞘に納められた瞬間、試合終了のビート代わりにガジルが大きく吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「──妖精の法律(フェアリーロウ) 発動」

 

妖精三大魔法の一つ。

妖精の法律。それは使用者が敵と認識したものを殲滅する広範囲の魔法である。

敵が多ければ多いほど使用者が死に近づくデメリットはあるがこの場にいるのはジョゼ一人と外に人形100体ほどであり、さして人体に影響はない。

 

 

 

優しい極光がギルドの周りを包んだ。

マカロフとジョゼというギルドマスター同士であり、聖十大魔道同士の戦いは圧倒的な差のもとマカロフが勝った。

 

「二度とギルドに手を出すな」

 

次来たら本気で殺す、という目をしてギルドを後にしたマカロフ。

ジョゼは極光に焼かれ、焼けた炭のように白くなっていた。

 

「はぁ、折角暇だから力を貸してあげたのにこのざまか」

「・・・」

 

気絶したジョゼの前に現れたのは──

 

 

「おっと、ネタバレはやめてもらおう。ラスボスは最終戦の前にバラすのが常磐だからね。でも俺はありきたりなラスボスではないけどね...さて、悔しくはないかいジョゼ?散々力を貸したというのにあっけなくやられた気分は?多分これ漫画にしたら2冊しかないよ?」

「・・・」

 

 

 

 

「でも俺は寛大な心の持ち主だからね。もう少し力を貸してあげよう。あ、もう喋っていいよ?終わったからね」

 

───は──、───突如消えた。

そしてジョゼが身につけている黒い指輪に怪しく八芒星が浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────憐憫と創生の精霊よ

 

 

 

 

 

─────汝に命ず

 

 

 

 

─────我が身に纏え、我が身に宿れ

 

 

 

 

─────我が身を大いなる魔神と化せ

 

 

 

 

 

 

 

─────出でよゲーティア

 

 

 




二次創作だから書いてもいいよね☆
と思った結果こうなった。
ヤベェ...次回からどうしよう...


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