Lv.0の魔道士   作:蓮根畑

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タイトルは適当です。
やはり原作が手元にないのは辛い。

あと色々オリジナル要素があるので許してください。


2 目の胎動

「──酷い始まり方だ」

「そうね。私もここで暮らして長いけど貴方みたいなケースは初めてよ」

 

にっこり、と微笑むのはこの世界のファッション誌で有名なミラジェーン・ストラウスさんだ。

原作初登場の時は瓶の破片が頭に突き刺さるというある意味すごい人だったが本気になったらサタンモード(?)になり、敵を殲滅する恐ろしい人である。

つまり怒らせたらヤバい。ということだ。

さて、顔面にストライクショットを叩き込まれた俺だが鼻に絆創膏はるぐらいの怪我で終わり、現在はギルド内のカウンターに座り肘を机につきゲッソリとした様子でミラジェーンさんと話していた。

 

「あ、これ履歴書です」

「え?要らないわよ?」

「ですよねぇ...」

 

やっぱり無駄に終わった履歴書を空中に放り投げかなり炎属性の低級魔法をぶつけ消し炭にした。

そういえば説明していなかったがこの世界には大雑把に分けた五つの属性がある。

 

光、風、海、水、闇、土、雷、火

 

この上記八つだ。

ナルトの世界より結構多い

これら八つを自分で努力して覚えるのが「能力系」と呼ばれ、アイテムを使ってする魔法の「所持系」だ。

俺はもちろん能力系を使っている。

使う属性は主に風であるが、五つの系統から外れた身体能力向上系の魔法なども使う。

主に風と言っているが一応全属性は使える。

一番風の属性が俺にあっていると、言われたので努力した結果俺は風属性使いになったわけだ。

 

「そういえば何故貴方はフェアリーテールに入ろうと思ったの?」

「え?えーと、それは...」

 

災厄が来るまでの鍛錬です☆

なんて事は言えるわけがない。

しかし嘘なんてついたら妖精の尻尾のマスターであるマカロフに気づかれて某海賊漫画のギア3じみた鉄槌が落ちて来ること間違いなし。

うむ、困ったものだ。

 

「鍛錬ですね...。この妖精の尻尾には強い人がたくさんいますから。あ、勿論喧嘩好きじゃありませんよ?」

「目を見たら分かるわよ。貴方喧嘩なんて似合いそうじゃないもの。少し子供っぽい顔してるし」

「なっ⁉︎そんなこと今まで言われたことないっすよ⁉︎」

 

学院の友人には「お前絶対彼女出来ないよなww」とか「お前が結婚出来ないに俺の全額かける」と馬鹿にされた俺の顔だ。

なんて優しい方なんだミラジェーンさん...!

惚れてまうやろォ!と脳内で叫んだ。

 

「そういえばこのギルドにいる滅竜魔法使いナツ・ドラグニルはどうしたんですか?見てないんですけど...」

「あぁ、ナツね。2、3日前に出かけるって言ってから帰ってきてないけどもうそろそろ帰って来るんじゃないかしら?」

「へー、そうなんですか」

 

そういえばここにはルーシィの姿も見えない。

クエスト中なのかもしれないがそれならミラジェーンさんは「仲間と一緒にクエストに行った」とか言うはず。

つまり原作2話の地点なのか?

うん、考えたところでよく分からん!

そんな事は気にせずミラジェーンさんと仲良くティータイムだ!

ここから始まる俺のラブストーリー!

俺の青春は始まったばかりだ!

 

「帰ったぞー!」

 

ドガン!と何かが吹っ飛ぶ音と共に人が乱入してきた。

反射的に振り返ると意外!目の前にあったのはドアだった!!

 

「前回と同じパターンだと⁉︎ひでぶっ⁉︎」

 

ドアの角が俺の顔面に打ち付けられ俺は椅子から転がり落ちた。

細部まで覚えていないがドアなんて飛んでいたか⁉︎

というかちょっと痛がってる間に喧嘩始まってんだけど何なのこれ⁉︎

戦闘狂か⁉︎目の前を通り過ぎたら反応して来るポケモントレーナーとかじゃないのかこいつら⁉︎

 

「だ、大丈夫?すごい音したけど...」

「大丈夫です...痛いですけど...」

 

鼻のみならず額にも絆創膏をつける必要がありそうだ。

その時ふと隣に誰かの気配。

横を見て確認すると金髪で巨乳で巨乳(大事な事なので二回言った)な女の子、妖精の尻尾のヒロインであるルーシィ・ハートフィリア。

ハートフィリアで思い出したけど原作通りだと「幽鬼の支配者」が攻めて来るんだよなぁ...さっき自分で鍛錬しに来たとか言ってたけど凄く嫌だなぁ...

 

「...大丈夫ですか?手貸しますよ?」

「あぁ、それはどうも...」

 

という事で一方的に知っているルーシィの手を掴ませてもらい立ち上がった。

手が凄いスベスベだった。もう一生この手洗えない。

 

「助けてくれてどーも。あ、俺の名前はジョニィ・アルバート。好きに呼んでくれ」

「私の名前はルーシィです。新人ですがよろしくお願いします!ジョニィさん!」

「いや俺も新人だし...」

 

ポカンとしたルーシィの顔。

何だその人を馬鹿にしているような目は。

 

「私と同じなんですね...歴戦の勇者みたいな顔だからつい...」

「そうかしら?私にはいかにも新人っていうような可愛い顔してると思うわ」

「いやいや、ルーシィの言う通りだと思いますよ」

 

俺の顔はお世話になった道場の師範代にぶちのめされた時の傷が至る所に残っている。

あの師範代絶対ヤ○ザだろって言いたいぐらい酷かった。

何だよ「感じるな、感じろ」って。

矛盾してんじゃねぇか。

 

「火竜の──」

「アイスメイク──」

「接収──」

「王の光──」

 

って後ろ見たら凄い事なってるぞ⁉︎

いや、マカロフさんが来るから大丈夫か。

 

「って何呑気にコーヒー飲んでるんですかジョニィさん⁉︎」

「大丈夫だって。ワムウの神砂嵐が飛んで来るわけでもないし。あ、さん付けじゃなくていいよ」

「今はそんな事言ってる場合じゃないです!というかワムウって誰⁉︎」

 

ズズッと一口。

美味い。

 

「止めんかバカタレどもォ──!!」

 

スピーカーから放たれる音を直接くらったような大音量の声が響き渡った。

声の主を見ると予想通り巨人化したマカロフさんが圧倒的迫力で全員を黙らしていた。

原作知ってたけど素直にびびった。

 

「でかああぁぁぁぁ!!」

 

おぉ、ルーシィのツッコミが炸裂した。

周りがシンと静まっている中ナツだけは両腕を組み高らかに笑った。

 

「だーっはははは!みんなして黙りやがって!この勝負、俺の勝──」

 

プツッ、とスナック菓子を砕く感覚でナツがプレスされた。

体が下敷きみたいに薄くなってそよ風に流され俺とルーシィの足元に落ちた。

 

「む、新入りかね...?」

 

巨人化したまま俺とルーシィを見る...というか睨みつけた。本人はそう思ってはないだろうが...

俺はともかくとしてルーシィは目を見開き口をパクパクさせ、何も言えなかった。

 

「フンヌゥゥゥゥゥ...」

 

すると空気が抜けた風船のようにマカロフの姿が小さくなり、俺よりも身長がかなり低い老人となった。

 

「よろしくね」

「あっ、はい...」

 

ペコリと頭を下げた。

とう!と声を出しカッコをつけたいのか跳躍しながら回転し、二階の手すりに着地しようとして案の定失敗し頭をぶつけた。

しかし何事もなかったように懐から大量の紙を出した。

 

「ま〜〜たやってきてくれたのう貴様ら、見よ評議員から送られた文書の数を」

 

ペラリペラリとめくる紙はゆうに100を超えていた。

それを面倒くさげな様子で一枚手に取り読み上げた。

 

「まずはグレイ。密輸組織を検挙したのはいいが、その後素っ裸で街をふらつき、挙げ句の果てには干してある下着を盗んで逃亡...」

「いや、裸じゃまずいだろ」

「まずは裸になるな」

 

ナイスツッコミだと思う。

 

「エルフマン!貴様は要人護衛の任務中に要人に暴行。カナ・アルベローナ、経費と偽って某酒場で飲むこと大樽15個。しかも請求先が評議会。ロキ、評議員レイジ老師の孫娘に手を出す。某タレント事務所から賠償請求が出ている」

 

もう疲れたという様子で読み上げているが次の一枚を見て更に溜息を吐いた。

 

「そしてナツ...デボン盗賊一家を壊滅させるも民家を4軒壊滅。チューリィ村の歴史ある時計を半壊。ルピナル城一部破壊。ナズナ渓谷観測所崩壊により機能停止。ハルジオンの港半壊...」

 

やっと読み終えふぅ、と一息ついたがまだまだ請求書の紙が有り余っていた。

 

「アルザック、レビィ、クロフ、リーダス、ウォーレン、ビスカ...etc...貴様等ァ...ワシは評議員に怒られてばっかりじゃぞぉ...」

 

 

 

「だが、評議員などクソ食らえじゃ」

 

 

マカロフが空中に投げ捨てた請求書が全て燃やされた。

 

「よいか、理ことわりを超える力はすべて理ことわりの中より生まれる」

 

「魔法は奇跡の力なんかではない。我々の内にある〝気〟の流れと自然界に流れる〝気〟の波長があわさりはじめて具現化されるのじゃ」

 

「それは精神力と集中力を使う。いや、己おのが魂すべてを注ぎ込む事が魔法なのじゃ。上から覗いている目ン玉気にしてたら魔導は進めん。評議員のバカ共を怖れるな」

 

 

 

「──自分の信じた道を進めェい!!それが妖精の尻尾の魔道士じゃ!!!!」

 

響く歓声。

これこそが妖精の尻尾だということを実感した初日だった。

 

 

 

 

 

 

「さぁ!始まりました!今回のチャレンジャーは新人のジョニィ・アルバート!そしてその対戦相手は我がギルドの問題児!ナツ・ドラグニル!」

「「「「「オォォォォォォ!!!!」」」」」

 

どうしてこうなったのだろう。

いや、説明するのはとても簡単だ。

10行以下で終わる。

 

ルーシィ「ジョニィってどのくらい強いの?」

ナツ「戦えば早い」

エルフマン「男は拳」

 

矢印含めても4行で終わったよ...。

俺はやりたくないと言ったがやろうやろうと騒ぎ立てる始末。マスターであるマカロフも外でやるならいいぞい、なんて事を言ってやがる。止めてくれよ(切実)。

 

「なぁ、本当にやるのか...?」

「あったり前だ!食後の運動も含めてな!」

 

ナツの打ち合わせた拳から炎が噴き出した。

やる気前回だよ。こんな展開某錬金術漫画のオマケで見たことあるよぉ...

チラリとルーシィを見たら本当に申し訳なさそうに俺に手を合わせていた。

 

「ルールは簡単よ!気絶したら負け!あとは降参しても負け!以上!」

 

ちなみに審判はミラさんがしている。

何でこの人こんだけウキウキしてんだよ。

あ、この人確かSだったわ。

 

「それじゃ開始!」

 

ミラさんの腕が下り、試合が始まった。

 

「火竜の咆哮!」

「──は?」

 

開始数秒、いきなりブレス。

 

「チョ⁉︎ちょちょちょっと待て!?」

 

両手を地面につけ、目の前の地面を隆起させ壁代わりにすることで何とかブレスを回避した。

 

「おまっ、バカか!?いきなりブレスするやつがいるかァ⁉︎」

「俺がいる!」

 

ナツはそのまま俺に向かって突進し、両手に火を灯した。

 

「──ラビットステップ」

 

勿論、俺もブレスなんてされたくないから本気を出す。

風の低級魔法「ラビットステップ」。

名前の由来は知らないが、効果はシンプルだ。足元に風の魔力を生成し、移動速度を上げる。

本来ならば後に妖精の尻尾に入るウェンディが使う「バーニア」という一度使えば持続するタイプの魔法を使いたかったが、バーニアはどんな教科書にも載ってない付加術なので使えなかった。

ラビットステップは1秒に俺の魔力75のうち0.5秒を持っていく。

空になるまで使っても150秒しかもたないので少々心許ないのだ。

その為、使うときに使い、使わない時は切る。

一歩でナツの目前まで近づき、ラビットステップを切ると同時に踏み込み、力を込めた右腕を精一杯後ろに引っ張る。

 

「──ラァ!」

 

右腕を強化。

消費魔力3。全身にまで強化を施したら俺は即魔力切れになる。

ブン!と音を立てながら放たれた拳はナツに当たらず空を貫いた。

 

「火竜の──」

 

ナツの拳に火が灯る。

 

──ここだ

 

振りかぶっていたナツの右腕を俺の左手で抑えた。それと同時伸ばしていた俺の右腕を引く。

 

「クソッ!打てねぇ!」

 

人間はパンチを繰り出す時に多くの人が振りかぶるのを知っているだろうか?

弓を射るように腕を後ろに引っ張るのは確かに強い力を出しやすい。

しかし腕を後ろに引っ張った時に自分の拳で相手の拳を止めたらパンチが出来ないのだ。

そして右腕を抑えこんだまま足を捻り、ナツの膝元に叩き込んだ。

左手を強引に離され、一度距離を置く。

 

「強いな...!」

 

思わず言葉を漏らしてしまう。

ナツはスピードもパワーもある。一撃受けたら多分俺は白目剥くことになるだろう。

流石主人公。

 

「お前もな!けど俺が勝たせてもらうぞ」

 

ニシシと笑うナツ。

叩けば叩くほど強くなるナツ。

きっと同じ手段はもう使えない。

 

「行くぞジョニィ!俺はこれからだアァァ!!」

 

炎がナツの気持ちを表したかのようにメラメラと燃え上がった。

もうこれは魔力切れとか考えてる暇はなさそうだ。

俺もガチに行かせてもらおう。

 

「それじゃ、俺もやらせてもらいますか」

 

両目を閉じ、魔力を集める。

ドクンと目に胎動が走った。

ゆっくりと目を開けると黒の瞳から一転し、日中でも赤く、妖艶に光り輝く目。

 

「行くぞナツ。今の俺はさっきの俺よりちょっと強いぞ」




口調がよく分からない。原作が欲しい。
でもそれよりも彼女が欲しかったりする作者。
今年のクリスマスは灰色一色だぜ...

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