Lv.0の魔道士   作:蓮根畑

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最近マギと監獄学園に今更ハマりました。
うんこmp3面白い。



27 妖精の尻尾 VS 幽鬼の支配者 3

 

 

「よく分からんが...邪魔をするなら退いてもらうぜ!」

 

指先までピンと伸ばした掌に、丸めた拳を置く。

アイスメイクの基本は両手を使うことである。

片手でも出来ないことはないがバランスが悪くなり、両手に比べても力が弱い。

 

「アイスメイク 槍騎兵(ランス)!」

 

手から放たれたのは氷で出来た6つの氷の槍。

蛇のように宙でうねり、確実にジュビアに迫っていた。

 

「無駄です」

 

6つの氷の槍はジュビアに直撃したが、ジュビアの体が水と化し、氷の槍を直撃しても何のダメージも与えれずにいた。

 

「水になるのか...なら逃げ場をなくしてやる」

「無駄です。私に傷は与えられません」

「それはこれを受けてから言いな!!」

 

ドォォン!!

とジュビアを閉じ込める為に落とされたのは氷の牢獄。

そしてその周りには20を超える剣の群れが浮遊していた。

 

「黒ひげ危機一発みたいだなッ!」

 

グレイが腕を横に払うと命令を受けた氷たちが牢獄の隙間を縫うように射出され、閉じ込められたジュビアに向かい一直線に進んだ。

 

「──ホワイト・キス」

 

氷の牢獄に触れたジュビアが一言つぶやいた瞬間、腕に巻かれた銀の蛇の目が妖しく光った。

ジュビアを閉じ込めていた牢獄はシュバッという音を発しながら形を変える。

何の特徴もない牢獄が細長くなり、表面には一つ一つがキラキラとダイヤモンドのように輝く鱗。

その姿はまるで蛇。

手品師のように牢獄から蛇に変えてみせた。

手品師でも牢獄から蛇に変えることはできないとは思うが。

 

『◼︎◼︎◼︎──!』

 

蛇はジュビアに巻きつく。そしてその蛇の表面に20の剣が突き刺さり、地面に落ちた。

 

「驚いたな...俺の氷を使うとは...」

「六星ダークブリング ホワイト・キス」

「は?ろ、ろくせいだーくぶりんぐ?」

 

聞き覚えのない単語であったがぶちのめす事には変わりはない。

女性なので抵抗はあるが。

 

「まぁ知らんが倒させてもらうぞ」

 

触れられたらアウト。

その為氷の剣を手に持ち、構える。

ジョニィの構えを真似たが、所詮は見よう見まね。

どこまで出来るかグレイも分からない。

 

「行くぞ!」

「──ホワイト・キス!」

 

支配権が移った蛇はジュビアの命令を受け入れ真っ直ぐにグレイに迫る。

グレイは蛇と直撃する寸前に飛び上がり、回避した。

蛇は地面に衝突し、軽いクレーターを作る。

 

「元が俺の作ったやつとはいえ中々の威力だな...」

 

グレイは飛び上がったまま剣を担ぐように構える。

蛇は再び狙いを定め目をグレイの方にピタリと合わせていた。

 

「さて...やったことはないが一つやってみるか!──変換!」

 

グレイの持つ氷の剣が、青く輝き形を変える。

本来剣であったそれは細く、長くなり一本の槍に変化した。

これがグレイのアイスメイクの応用編。変換である。

これを作るきっかけになったのはジョニィがエルザと戦っている時に、刀を二本にしたり、籠手として利用していたのが目に入り、それと同様氷を変化させた。

ちなみにこの魔法。新たに作り出すわけではないので魔力消費は凄く少ない。

 

「アイスメイク 飛翔槍(スピア)!」

 

槍というのは突き、払いの他にも投げることで武器にも使える。

某青タイツもこのように使用していた例がある。

氷で作った槍には因果逆転の呪いも何もついてはいないが武器として使用するには十分だ。

グレイの腕から放たれた槍は真っ直ぐにこちらに向かう蛇の口の中に入り、そのまま突き抜けた。

命を断たれた蛇は氷の残骸として地面に落ち、一本の槍が突き立っていた。

 

「...次は...!!」

 

地面に降りると同時に槍を手にしくるりと一回転させ変換させる。

槍はいくつものパーツに分かれ、それぞれの先端が尖った。

 

「喰らえ!!」

 

風切り音を撒き散らしながらジュビアの元に迫る。

雨が降っているが軌道なんてまるで変わらない。

ジュビアは真っ直ぐに手を伸ばした。

自らの体をまた見ずにさせるのかと思ったグレイだったが──

 

「──ホワイト・キス」

 

ジュビアの目の前に銀の盾が出来た瞬間驚きを露わにした。

 

「は?...銀?」

 

この世界には銀術師なるものがいるが、銀術を使うためには手持ちの銀をグレイの変換のように剣に変化させたりすることで戦うことができる。

 

──しかし何もない状態から銀を作り出すことは絶対に不可能なのだ。

 

「ホワイト・キスはものを操る能力ではありません」

 

 

 

 

 

「あらゆる材質を変え、それを扱うことが出来るのです。雨から銀に変えたように...」

「なんだよそりゃ...」

「ですから──」

 

 

出来事してはほんの一瞬。

ジュビアの後ろには銀の剣がズラリと並んでいた。

 

「このような事も──出来るのです!!」

「ッッ!!大盾!」

 

さっきのお返し...この場合倍返しと呼ぶべきなのだろう。

無数の剣がグレイの作った氷の盾に直撃し、ヒビを入れた。

 

「氷が銀に勝てると思っているのですか!」

「う...うおぉぉ!?」

 

一本の剣が突き刺さると同時に盾が破壊され、残っていた剣がグレイに殺到した。

直撃は避けたが体の至る所に擦り傷が入っていた。

 

「さぁさぁ!まだまだありますよ!」

 

剣、槍、斧、刀、etc...武器という武器が空中で停止されていた。

剣戟が止まった事で、一度呼吸を整えたグレイは雨で垂れて視界を塞ぐ、髪の毛をつまみ上げ苛立ちを言葉に出した。

 

「ったく、鬱陶しい雨だな!!」

 

ブツン、と耳元で音が聞こえた気がした。

 

「....ぃ?」

「あ?」

 

雨の勢いが増した。

 

 

「鬱陶しいと言いましたねェェェェェェ!!!!」

 

銀の武器が真っ赤に染め上がり、煙を上げた。

グレイが知ることではないがジュビアは雨女である。

降水確率100パーセント。

生まれてこのかた晴れ模様というものは写真でしか見たことがない。

遠足でも雨、デートでも雨、てるてる坊主を作っても時間と資源の無駄だった。

だからジュビアは雨を降らす自分が嫌いだ。

だが同時に雨を馬鹿にされるのも嫌いだ。

 

「な、なんだ⁉︎」

「キイィィ!!殺ス!!」

 

そして彼女には憎しみを増幅させるダークブリングもある。

増幅された憎しみは魔力となり、生み出した剣がカタカタと震えた。

 

「死ネェェェェェェェ!!」

 

ドドドド!!と空中に赤い光を残して武器達が迫る。

速さが尋常ではなく避けた先がなくなっている状態だ。

グレイは剣によってつけられた傷の上に更に熱で皮膚が溶けかかっている状態だ。

 

「クソッ!このままじゃ...行くしかねぇ!」

 

逃げ回ったせいで体力の消耗が激しい。

賭けるならこの一回。

 

「うおおぉぉぉぉ!!」

 

武器が飛ぶ中グレイは走った。

さて、ここで一つ簡単な問題を出そう。

銃弾の中を突撃するとどうなるか?

ただし走っているのは某デスゲーム帰還者主人公ではないと考える。

答えは簡単だ。小学生だって答えられる。

 

剣がグレイの頭を打ち抜き、それに続いて胴体を滅多刺しにした。

何度も何度も、跡形も残らず。

 

「ハァ...ハァ...」

「満足か?」

「ッッ!!??」

 

ジュビアが背後を振り向くと、悪魔的な笑みを浮かべたグレイがジュビアの肩に手を置いていた。

先程貫いたのは何かと目を前に向けると氷の残骸に無数の剣が刺さっていた。

 

「分身の術ってなぁ!!」

 

バキン!!と音を立てジュビアの体が氷漬けになった。

尚も成長は止まらず氷はより多く、より高く形成される。

 

「私ハ...私ハァァァァ!!」

 

氷から煙が上がり、表面から水が溢れ始めた。

ジュビアの魔力が熱となり、氷を溶かしているのだ。

ダークブリングで思考が狂ったジュビアは自分、または雨が否定するものを皆殺しにすることを目的としている。

トラウマが力を強くさせ、狂わせる。

 

「イヤアアァァァァ!!」

 

熱から炎へと化し、氷を溶かす。いや破壊したと言った方が正しいか。

ジュビアの周りに雨が集まり、細長く形を変えた。

これまでで一番大きいと呼べる蛇だ。

全長50メートルはあるだろう。

 

「シネェェ!!」

 

ジュビアが腕を振り下ろすとぐったりとしたグレイに真っ直ぐに突き進む蛇は、大きく口を開く。

動かないグレイは正に獲物同然。

何も運命が変わらないまま、蛇はは真っ直ぐに進み地面をグレイごと破壊した。

 

「コレでまたヒトり...」

 

ふわりと冷気が肌を撫でた。

まさかと思い後ろを見るといた。

 

全身から血を流しながらも立つグレイの姿がそこにあった。

 

「何で...⁉︎」

「あれも囮さ...そして今出来た」

 

グレイの足元には大量の氷の破片。

ジュビアがグレイの剣と牢獄を蛇に変えた場所だ。

 

「アイスメイク──」

 

落ちていた氷が全て銀に輝いた。

元よりグレイの魔力で形成された氷の残骸は一つに集まり、空に舞い上がった。

話は別になるがグレイは幼少期に親を亡くし、氷の造形魔法の師と出会った。

その時の記憶は未だに強くこびりついているがグレイはその中でもよく覚えているものがある。

一つの絵本。だがタイトルは覚えていない。

しかしその物語に登場する一つの武器。

 

愛する女性の命と引き替えに守った仲間。

その仲間を守るために愛する女性から貰った唯一無二の武器──

 

 

「──銀の方舟(シルバーレイ)

 

 

地面に落ちると、落ちた場所から氷漬けになる。

本来氷だったはずなのに、輝く色は正に銀。

紋様が刻まれた槍にはありえないほどの魔力が込められていた。

その証拠にグレイのいる場所にだけ雨が降っていない。

 

「私の雨が!...許さない!」

 

銀の蛇は再び動き出し、チロチロと舌を出す。

グレイはただ真っ直ぐな目をして、槍を構えた。

 

「俺だって任されてるんだ。そう易々と負けてられるか!!」

 

グレイの腕から槍が放たれた。

冷気を放つ槍は進むたびに地面を凍らしていく。

蛇は地面を破壊し槍ごとグレイを殺そうとする。

 

「──そいつは魂が篭った特注品だからよ、簡単には壊れないぜ」

 

槍と蛇が衝突した瞬間、蛇が氷漬けになり破砕音を立て崩壊した。

次に槍がジュビアに当たり氷漬けにした。

 

「負けた...?」

 

氷の中ジュビアは独り言のように呟いた。

先程までの熱嘘みたいに冷えていく。

 

「アンタが何で怒ったかは知らねェけどよ、一度くらいは落ち着いて空でも見たらどうだ?」

 

グレイが氷に触れるとゆっくりと消えていき、ジュビアは背中を地面に合わせた。

そこから見える空は青く澄み渡り、何処までも輝く太陽。

 

「これが青空...」

 

初めて見る大空は美しいだなんてレベルで済む事ではなかった。

そしてそれ以上にこの青空を見せてくれたグレイの存在──

 

「で?まだやるか?」

 

ニッと笑顔を見せたグレイの顔を直視したジュビアは顔を真っ赤に染め謎にジュビーンと言いながら気絶したのだった。

一言に言うと一目惚れというものだ。

もしここにジョニィがいたらきっとこう言うだろう。

 

「イケメン○ね」と。

 




NEW SKILL!

ホワイト・キス...六星ダークブリングの一つ。出典は「RAVE」から。あらゆる物質を別の物質に変換させて操る能力。この作品では雨から銀に変えたが、空気中の埃でも作ることが可能。強い。


変換...この小説のオリジナル魔法。一度作った造形魔法を別のものに作り直す。新たに作り直すわけではないので消費魔力は少ない。やったねグレイ!

飛翔槍(スピア)...某青タイツの如く作り出した槍を投げる。残念ながら因果逆転の呪いはついてない。

銀の方舟(シルバーレイ)...元ネタは「RAVE」。この作品では超密度の魔力で形成された槍であり、投げるとあまりの魔力で周りが凍りつく。やったねグレイ!


原作に乖離剣をぶち込んだ結果これ。
やってしまった感はあるが、今更引けないので投稿するぜ!
次回はナツか、エルザ...そしてサクラになってから残ったジョゼをぶちのめす。


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