概念礼装というなのゴミが出る始末。
「──ホォラァ!!」
ヒュンヒュンと音を立てて岩が襲いかかる。
エルフマンはリザードマンから速さのあるワータイガーと呼ばれる魔物に姿を変える事で対抗している。
体つきが大きいのに岩に当たってない。
(ナツが来るまで残り5分...それまでになんとかしないとな)
普段漢しか言ってないイメージがあるが、エルフマンは頭がいい。戦略的な作戦も何個か思いついているし、ソルと呼ばれる男の使用する魔法もジョニィの書いた紙に纏められていたので対処がしやすい。
全く関係ないが見た目に反して料理も得意である。人とは外見で判断するものではない(重要)。
(ここは一気に仕留めるか──!)
「石膏の奏鳴曲!」
砂が舞い上がり、4つの拳となった。
ソルが腕を前方に伸ばすと命令を受け取った拳がエルフマンに迫る。
「行くぞ──!」
獣が最大速度を出せる体勢。
4足歩行から生み出される速さは一時的だが視認不可に近づく。
エルフマンが前に走り出した、その1秒後にようやく地面が割れた。
「黒牛──!」
ソルが気付いた時にはエルフマンは右腕を黒牛と呼ばれる鉄のように硬い牛を再現した黒い腕と化していた。
老人にはキツい一撃になるだろう。
「オォラァ!!」
「──ジ・アース」
この現状を見ているものならエルフマンが絶対に勝ったと思っただろう。
しかしソルが言葉を紡いだ途端足元から先端が尖った岩が飛び出し、エルフマンの腕を突き刺した。
「ぐあぁ!」
「大地の力を舐めてはいけませんねぇ」
追い討ちを掛けるようにエルフマンの真下から地面が突き出た。
「な...んだ、これは...」
「六星ダークブリング ジ・アース。まぁ理解はできないでしょうがねぇ!!」
次々と迫り来る攻撃に、エルフマンはなんの抵抗も出来なかった。
「アレを使うか....!?
いや、アレは...!」
「何をボソボソと一人喋ってるのですか!」
「グハァ!」
喋る間も無く攻撃は続く。
エルフマンの言うアレとは、強力ではあるが自我が効かなくなる可能性があるテイクオーバー 獣の王。
全身にテイクオーバーをする事で確かにパワーも速さも上がる。しかし全身ということはその生物の遺伝子を完全に取り組むということ。自身の魂も消失しかねない。
そしてエルフマンがこれをしない最もな理由は最愛の妹であるリサーナを亡くしたため。
「ジ・アース...いい能力です。いい実験台になりましたよ」
「・・・」
もはや言葉を返す力も残ってない。
もう無理だ、と諦めた時だった。
外から仲間の声が響いた。
「燃えて来たアアァァァァ!!」
外なのにすぐ近くで聞こえるかのような大声で叫ぶ声。
途絶えかけた意識の中で鮮明に聞こえた。
「ジュピターの再装填まで残り15分。
何をしようがもう遅いことです」
「違う...」
「はい?」
力が入らない四肢を動かし立ち上がる。
魔力はほとんどなくなり残り一回のテイクオーバーが限界であり、ダメージも蓄積されている。
「みんなが戦ってるんだ...ここで一人倒れたら...」
「──漢じゃねェ!!」
魔力を総動員させる。
体全体が入れ替わる感覚、魂が抜かれそうになった。
「おぉ...おぉぉぉ!!」
額からは二本の角が生え、骨格が膨れ上がる。
身の丈は元から大きいのに、さらに大きくなり、体は獣の王へと変化した。
これこそエルフマンのテイクオーバーの奥義、獣王の魂。
「獣王の魂...!
だがジ・アースの力を持つ私の前には無力!」
「うっ...おぉ...オォォォォォォ!!」
その声は獣そのもの。
一歩踏み出すと地は割れ、雄叫びを上げると空間が震えた。
「穿て!ジ・アース!」
ソルの魔力がダークブリングを通じて発動され、床が動く。
エルフマンを囲むように360度全てから岩が射出された。
「オオオオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!」
獣の王へと変化したエルフマンの口から放たれた声は、射出された岩を粉状に分解した。
「ぬぉ⁉︎分解したのか⁉︎」
五臓六腑に染み渡り、骨がキシキシと体の中から鳴るのが分かる。
耳を抑えなければ鼓膜が避けるほどだ。
「しかし何と醜態な...まさしく獣だな」
ソルは鼻で笑う。
あくまで戦闘に華を求める彼にとっては獣という存在はまさしく害虫同然なのだ。
エルフマンはソルの馬鹿にするような発言に怒りもせずただ一言。
「仲間のためなら醜態な獣にだってなってやる」
理性は残り、獣と化した体はエルフマンの精神によって制御される。
以前だったら精神が飛んでいただろう。だが今は、守るべき仲間がいる。
それこそが自身を動かす原動力。
「戯言を!ジ・アース!」
悪しきもの程力が増大する闇の魔石、ダークブリング。
その中でも世界に6個しかない六星ダークブリングはそれぞれが強力である。
ジ・アースは見た通り地面を操る力。
ソルの闇を糧として地面が抉れ、飛び交う。
「クハハハハ!!潰れろ潰れろオォォォォォォ!!!」
攻める暇も見せないほどの一斉攻撃。
あまりの火力にファントムの壁には穴が空き、外が見えていた。
「かけら一つも残さず散るとは...獣にお似合いだな」
砂埃が舞う。
その中に影一つ。
「馬鹿な...ま、まさか...」
砂埃が晴れた先には腕をクロスさせ体を守るエルフマンの姿。
「あの中で生きていたというかの⁉︎」
獣だな王とは言へど勿論体に傷はつく。
無限とも言える地の力によって与えられたダメージは体に現れており、数え切れないほどの傷が体に刻まれていた。
「馬鹿な⁉︎どうやって⁉︎」
一歩踏み出す。
体力的にあと一発が限界だった。
「死ねエェェ!!」
エルフマンの前に巨大な石槍が現れた。
「オオオオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!」
拳と槍が交わり──
──槍が砕け散った。
「馬鹿な...何故...」
「──死んでも守りてェものは自分で考えろ」
槍を貫いた拳は、そのまま直進しソルの顔に直撃し、派手に吹き飛ばした。
ザアアァァ...
と雨がシンシンと降り注ぐ。
「急に雨が降り始めたな」
グレイはルーシィが拐われたという情報を聞いて隠れ家に向かってる途中通り雨に遭遇してしまい、雨の中走ることになってしまった。
降水確率は低めだったがこういう日もあるだろうと考えてひたすら走る。
「フフ...ふふふ...」
走るグレイの耳元に女の声が聞こえた。
ブレーキをかけ、周りを見渡すが誰もいない。
「気のせいか?」
『いえ、気のせいじゃありません』
グレイの5メートル先に雨が奇妙にうねり、一定の集合体となり人の形となった。
雨の降る中全体的に黒の服を着た女は傘をささず手をぶら下げていた。
「お前...それ...」
グレイがそれといったものは女の腕に巻かれた蛇の形をした銀に輝くブレスレット。
グレイにも伝わるその魔力は怨恨や怒りという負の感情から来たものだと理解した。
「私ヲ...認めないのナラ...認めサセれバイイ」
「こいつは...ヤバイな」
グレイは服を脱ぎ臨戦態勢に入った。
何故服を脱いだと突っ込んではならない。
バレッテーゼフレア...真島ヒロ作「RAVE」にて登場した六星ダークブリングの一つ。指定した空間を爆発させるというロマンのある武器。
集中力がいる。タルタロス編にて触れた物を爆弾に変える某殺人鬼に似たキャラが出て来たがバレッテーゼフレアは対象に触れる必要がない。視認した場所なら自由自在に爆発出来る。
ジ・アース...同じく「RAVE」の六星ダークブリングの一つ。地面を操ることが出来る。以上。
もう本がなくて分からないから、オリジナル展開やっちまえと考えた結果。幽鬼の支配者を読むにつれて必要な知識はマギとRAVEになります。どちらも面白いので読んでほしいです。