暇だったので度々名前だけ出て来た師匠の話。
「まさか帰ってくるとはな...」
「いやぁ、危なかったです。99回目でやっと...」
俺が洞窟に帰ってきたらいつの間にか復活していた。
因みに今日はサクラが精神世界に飛んでから5日立っている。
そろそろギルドに帰らないとおそらく幽鬼の支配者編が始まっている頃だ。
多分ナツ達も今頃リオン達と戦っている頃だろうし...
「相手は誰だったんだ?」
「アルさんです...99回殺されました」
「あんた酷いね」
「いや俺やってねぇよ!」
精神世界の俺よ。サクラを殺しすぎだろ...月詠の中で72時間殺され続けたカ○シ先生と同じようなものだろ?
それは酷い。
「それでどうやって勝ったんだ?」
「あんまり覚えてないんですけど...こう、知識がボワーと頭に入って来て、それを使ったら勝てました」
「何じゃそりゃ」
漫画でよくあるやつだな。
仲間パワー!だとか隠された能力!みたいな...やっぱこの世界何でもありだな。俺にもドラゴンフォースを使えるようにしてください。あ、俺写輪眼とか持ってたな☆
「どれ、剣を貸せ」
「あっ、はい」
サクラの手から、ルシアの手の中に渡った。
ふぅむ、と声を漏らし刀身を観察し、剣を食べた。ガブガブムシャムシャと...
「「は?」」
マジックでよく剣を丸呑みするシーンなどあるがそれとはまた別である。
剣を砕き、咀嚼し、飲み込む。離れて見れば食事に見えないこともないだろう。
「何してんだ?」
「みへのほほりだ。ゴクン。私の祖先は剣竜。だから剣が食える」
それってガジルの鉄竜と何が違うのか気になるところだがグッと堪えた。
「何で食べる必要があるんですか?」
ルシアは柄も全部食べ、ゴクンと喉を鳴らした。
また面倒な事を、というような顔をして渋々説明してくれた。
「さっきの剣は担い手の意志を貯めることが出来る剣でね...それを食らうことで担い手に合う剣が作れるんだよ」
とんでも理論だがようは某奇妙な冒険に出てくる料理人のように他人を見て、その人にあった料理を作るようなものか...いや、違うか?まぁいいや。
「へぇー・・・」
「あんた分かってないね。まぁ作ってやるから安心しな」
「あ、何日くらいかかるんだ?」
「早くて一週間だ」
「・・・WHAT?」
これ絶対幽鬼の支配者編に間に合わないだろ...
えええええええぇぇぇぇぇ!!??
さ す が にマズイぞ!俺が行ったところでストーリー的に変わりはないかもしれないが万が一の可能性も考えて行っておいた方がいいのだ!
だって最近思ったんだけどララバイ編でロビンとかいうやつ原作で出て来た記憶がないもん!
うわぁ...実は幽鬼の支配者にめっちゃ強い敵とか増えてなければいいんだけど...
俺だけ先に帰るか...?
いや、サクラが許してくれるかどうかだよな...
「楽しみですねアルさん!」
無理だあぁぁ!!
こんな笑顔されたら無理に決まってるだろぉ!
「なんだいアンタ?まるで早く家に帰りたいみたいな顔してるね」
「へっ⁉︎そんな顔してたかなぁ...ハハハハハー・・・」
何でこの人俺の心の中を見抜くのが上手いんだ...⁉︎
しかし困った。本当に困った。
テストでペンと消しゴム忘れたぐらい困った。
「何かあるのか?」
「...いや、その、何でもないというか...何でもあるというか...」
うおぉぉぉぉぉぉぉ!!
思い浮かばねええぇぇぇぇぇぇ!!
3分後...
「もういいや」
結論はこれである。
だってどうしようもないし、俺いてもさして変わらないし。そもそも未知の敵が来るのかどうかも不明だからな。
剣作りの見学でもしておこう。ついでに剣(けん)と見(けん)でダジャレみたいになっている。面白い(白目)。
「何だか分かんないけど...取り敢えず私はこれから作るからいつも通りにしてな」
「分かりましたー。あ、剣作るの見ていいですか?」
「...まぁいいよ」
やったー!と喜ぶサクラをぼんやり眺めつつ、俺はもう決めたことだし寝ようと思うのであった。
剣を作り始めて早3日。
することもないのでパンクストリートにちょいちょい買い物に出かけたり、換装の空間に日常雑貨などを入れたりと暇をつぶしていた。
剣の工程は半ばまで来ており予想より早く仕上がりそうとの事。
そして3日目の夜。暇だから本(ラノベ)を読んでいると寝袋に入っているサクラがズズイと寄って来た。
「アルさんアルさん」
「はいはい、何でしょう?」
「アルさんの師匠ってどんな人だったんですか?」
ラノベを閉じ、考える。
いや、考える必要もない。
「あれは人の形をした化け物だ」
「...強いって事ですか?」
「強いってレベルを超してる。多分エルザでも5分粘ればいい方...というか本気出せば一瞬で終わるんじゃね?と思うぐらい強い」
「...どんな人なんですかそれ?」
文字通り化け物である。
天才とは師範代のことを指す言葉だと思う。
「多分俺が知り得る中で一番強いのは間違いなく師範代だ。まぁちょっと暇つぶしぐらいに教えてやるよ...」
〜〜
ジョニィ・アルバート7歳。
俺がこのFAILY TAILの世界に来て早7年。
螺旋丸の修行は5歳の頃から開始したがいかんせん第2段階が全然上手くいかない。
おそらく俺の魔力が少なすぎることが原因だと思うがこれからも頑張って行くつもりだ。
それよりもだ。それより大きな問題がある。
それは俺が武道関連を身につけてないことだ。
このFAILY TAILの世界はバトル漫画。
故にバトル必須。しかも相手は炎やら雷やらを使って来ると来たもんだ。
それに対抗するためには俺の少ない魔力だけでは足りない。ならば体術を鍛えてしまえという俺の馬鹿な考えである。
そ こ で俺は近くにある武道教室に行くことに決めた。
親から「やめろぉ!」だとか「アナタハショウライリッパナイシャニナルンジャナイノォ!!」とか言われたが死ぬ恐れがあるFAILY TAILの世界で医者になろうとは残念ながら思わない。金はいっぱい貰えるけどね...
親の反対を押し切り道場に来た俺。
″和″という感じが凄く、俺は取り敢えずノックしてから入った。
そこには着物を来た老人の姿。その腰には一本の刀。
「──小僧、何故に来た」
一瞬この人覇王色の覇気でも使ったかな?と錯覚を覚えてしまうほど強烈な迫力だった。
多分老人と言う名の化け物なんだろうなと俺は思った。
意を決し、唾を飲み込み声を出した。
「俺に、武術を教えてくれ」
老人は立ち上がり刀を抜い...え?何で抜いてるの?
「え?何やっ──おおぉぉぉい!!??」
老人がすんごいスピードで刀抜きながら走って来て俺を斬ろうとしたのを間一髪で回避することが出来た。ただし髪の毛50本ぐらいは持っていかれたが...
「小僧よく躱したな」
「いやいや!躱すとか躱さないの前に俺まだ7歳だぞ⁉︎何スナック感覚で殺そうとしてんだよ⁉︎」
「よく喋る小僧だ。小僧、明日も来い。面白そうだから教えてやる」
「無視かよ!」
「ワシは今から寝る時間だ。邪魔するな」
この後知ったことだが俺の師匠、シバ・グローリーは昔「剣聖」と呼ばれていたぐらい強いらしい。
〜〜
「今思えばあれはテストだったのかなぁ、と思うけどやり過ぎだと思ったな」
「相当凄い人なんですね...精神的にも」
「あってみれば余計に凄味があるからな...さて、次は木の葉千枚斬りの鍛錬なんだがこれはお前も体験したから別に話さなくてもいいか」
木の葉千枚斬り。
落ちて来る木の葉を一枚も落とさず空中で叩き斬るとかいうロックリーみたいな修行である。
転生特典である写輪眼もこの訓練の時に開眼した。
「サクラはでも終わるのが早かったな...普通半年はかかるもんなんだぞ?」
「そうなんですか?途中から慣れたというか...」
「天才ってやつか...まぁいいか。続きを話そう。と言ってもこの後は面白みも何もないけどな...」
〜〜
ジョニィ・アルバート。14歳
木の葉千枚斬りを達成した後の修行はひどくシンプルだった。
「あとは体で覚えよ。百聞は一見に如かずという諺があるがそんなものよりやった方が早い」
「それでいいのか⁉︎」
というもの。
この修行を11歳から毎日殺されながらやっていた。何でも使っていいからワシに勝って見せよ、というので写輪眼を使いながら攻撃するが流石バケモノジジィと言うべきか。
14歳になるまで一回も攻撃を当てれたことがない。
試しにある日の戦闘を再現しよう。
「うおぉぉぉ!!」
写輪眼を発動させ、床を滑るように走り拳をモーションなしで叩き込む。
反応しにくいはずだがバケモノジジィの師範代はそれをいとも簡単に避けてみせる。
そして俺の腕を取り、手首の関節を極めようとするので抵抗するのではなく、一歩前に進めて下に潜る。
手首を捻りながら関節の可動域を元に戻し蹴りを出すが屈み込みで回避されてしまう。
相変わらず爺さんとは思えん動きである。
「くそっ...!」
「まだまだ」
タァン!!と銃弾じみた拳が顔と腹に直撃した。
師匠の拳──いや、加減してあるから手首のスナップだけで俺の拳に匹敵する力を叩き込んだ。
写輪眼を使っても何も見えなかった。
「うぉ...!」
殴られながら師匠の足に片足で着地し、そこから体を捻り足を蹴り落とす。
「──甘い」
足をそらされる。
何をされたかも分からないほどの″いなし″。
戦闘ではこの″いなし″の技術は非常に有効である。
そして俺の腰にピタリと拳を当て、そのまま押し出す。体幹ごとぶち当てる感覚。
体に触れた状態だというのに、まるでD◯Oのロードローラー攻撃のような威力!
俺の体は見事にぶっ飛び道場の壁を破壊して外に吹き飛んだ。
「まだまだ修行が足りんの」
「」チーン
ジョニィ・アルバート。15歳
剣戟が鳴り響く。
俺は今年ようやくやって来た神様からの剣を使った休む暇なく攻撃するがこの妖怪ジジィには何も通用しない。
俺が刀を使っているというのに、ジジィは木刀、さらにハンデとか言って目をつぶっている。そして片手。
だというのに何も通用しない。
木刀には擦り傷だって入りはしない。
相変わらずの化け物である。
「刀身変化──双剣!」
刀が半分ずつに分かれ、短くする代わりに手数を増やす。倍となった斬撃を浴びせるが、全然効かない。ノーマルタイプのポケモンがゴーストタイプに攻撃するみたいなもんだ。
「どうした、その程度か?」
「これからじゃぁぁぁ!!」
もう口調もおかしくなる。
身体強化を使って最速で叩き込むが、流され、躱され、いなされる。
目瞑ってんのにどうしてんだよこの妖怪ジジィ!と思いつつひたすらに手を振るう。
「おぉ!!」
自分でもびっくりするぐらいの速さが出た斬撃。こりゃあの妖怪ジジィとはいえどもくらうだろうと思ったその時だった。
俺の手から刀が離れていた。
その数瞬後に鈍痛が手に響き渡った。
前を見ると妖怪ジジィが木刀から手を離し、いつも通り俺の腹に拳を当てていた。
「──ハッ!」
再びD◯Oのロードローラー。
俺はぶっ飛び道場の壁を破壊した。
気絶する前に思ったことはいつの間に木刀振るったんだよということだった。
〜〜
「という感じで...うっ、思い出したら吐き気が...!」
「いや、どんな人ですか一体...」
個人的に思うのは
某錬金術漫画に登場する対戦車ジジィ+某月面聖杯戦争で登場したアサシン=師匠
である。つまり化け物。ここがF◯Oの世界だったらほぼ間違いなくグランドセイバーだよ。多分山の翁といい勝負出来るわ。
「ちょっと会ってみたいです」
「やめとけやめとけ。下手したら首飛んで行くぞ。なんか話してたら眠くなって来たから俺寝るわ。おやすみ」
「えっ⁉︎まだ続き聞きたいんですけど⁉︎」
過去を振り返るのも楽しい(?)ものだ、と考えながら寝袋に入るのであった。
F Tの謎を解明せよ!
ジョニィ:...何これ?
サクラ:作者がちょっとやってみたかったらしいです。
ジョニィ:需要と供給があってなさそう。
サクラ:まぁまぁいいじゃないですか。特に質問はないけど作者が読者に聞かれそうな質問に答えるコーナーです。
ジョニィ:お便りがないんだな。
サクラ:それでは最初にドン!
結局ジョニィ君の師匠は何者なんですか?
ジョニィ:人外。
サクラ:それ本編で言ってます。
ジョニィ:そうだなぁ...人外は確定として、師匠魔法使ったことないだよな。
サクラ:え⁉︎魔法なしで本編で化け物じみた動きをしてたわけですか⁉︎
ジョニィ:マジ。あれだよ。佐々木小次郎だよ。
サクラ:誰ですかそれ?
ジョニィ:気にしなくていい。んじゃさよならー
サクラ:終わり方雑っ
多分このコーナーは続かない。
来週からは本編戻ります