Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第五十三話

国連横浜基地

 

伊藤は横浜基地副司令との面会が思いの他、早く出来る事に驚いていた。伊隅の案内で副司令の部屋へと向かっていた。伊藤は念の為、統合軍の制服を持ってきていたのでそれに着替えていた。

部屋の前に着き、伊隅がノックをし入室の許可が降り部屋に入った。

 

伊隅「副司令、伊藤少佐をお連れしました」

 

伊藤「失礼します。日本帝国陸海空統合軍アルファ大隊隊長伊藤響少佐です。お忙しい中、ありがとうございます」

 

副司令「いいのよ。私もあなたに興味があったから。伊隅、下がっていいわ」

 

伊隅「失礼します」

 

副司令「それで、用件は何?」

 

伊藤「貴方が開発した新OSを提供して頂きたい」

 

副司令「タダで?」

 

伊藤「いえ、此方で開発した次世代歩行戦術戦闘機"F-3 心神"をA-01部隊分差し上げます。貴方が開発したOSはそれだけの価値があると思っています」

 

副司令「ねえ、聞きたいんだけど貴方どこの人?」

 

伊藤「日本人ですが」

 

副司令「どこの世界の人?貴方が乗って来た機体、明らかに戦術機ではないでしょう」

 

伊藤「(頭がいい人だ)答える前にお答え頂きたいたい。先程から私の思考を覗いてるのは誰ですか?」

 

副司令「貴方は何かしらの能力があるようね。社、出てらっしゃい」

 

隠し扉になっていたところより1人の少女が現れた。

 

副司令「この子は社 霞。ESP能力者よ」

 

伊藤「(生まれた時から持つ能力かな)なら改めて元地球連邦軍ロンド・ベル隊デルタチーム並びに元新統合軍フロンティア船団護衛第3中隊、日本帝国陸海空統合軍アルファ大隊大隊長兼第1部隊セイバー隊隊長、伊藤 響少佐です」

 

副司令「やっぱり貴方も別の世界の人間なのね」

 

伊藤「自分の他に誰かいるんですか?」

 

副司令は電話を取り誰かを呼び出していた。

数分後、1人の男が入ってきた。

 

???「夕呼先生、何か用ですか?」

 

夕呼「白銀そこに座りなさい」

 

白銀「この方は?」

 

夕呼「統合軍の………」

 

伊藤「伊藤だ」

 

白銀は階級章を見て、敬礼をしながら自分の身分を言った。

 

白銀「第207衛士訓練隊所属、白銀 武訓練兵です」

 

伊藤「君は一体どこの世界から?」

 

白銀「え⁉︎どういう事ですか?」

 

夕呼「言われた通りよ。少佐も白銀と同じ別の世界から来た人間よ」

 

伊藤もう一度所属や前の世界の所属を話した。

 

白銀「貴方は一体どんな世界から?」

 

伊藤「話せば長くなりますがいいですか?」

 

夕呼「ええ」

 

伊藤は記憶の中にある事を話し始めた。

元いた世界、地球連邦軍ロンド・ベル隊デルタチームでの最後の戦闘での事を。

 

伊藤「デルタチームは敵軍と戦闘中、敵のNT(ニュータイプ)部隊と遭遇し交戦状態となった。劣勢に追い込まれ、乗艦していた艦は撃沈、僚機も黒鉄の機体を除いて全て撃破され弾薬も底をついていた。投降勧告を告げられていたがそれを無視した。機体を明け渡すよりも死を選んだ。その瞬間、光に呑み込まれた。

気が付くと、まだ機体の中にいた。

状況を確認すると装備も弾薬も全て揃っていた。辺りを見渡すと黒鉄を発見した。状況は同じだった。回線を開き近くの友軍にに救助要請を行なっていたが通じなかった。どのチャンネルにかけてもだ。

しばらく周囲を観察していると戦闘の光が見えたので向かう事にした。戦闘中域に近づくにつれ一体何と何が戦っているのか見えてきていた。その光景に息を呑んだよ。

初めてみる機体に、初めてみる生物だからな。

それを見た瞬間わかったよ。俺たちは全く別の世界にいると、それから…………」

 

夕呼「ちょっと待った!いろいろ質問したい事あるから少し待って」

 

それから1時間経ち大体の説明が終わると2人とも呆然としていた。余りの内容の濃さに驚いていた。1番は技術の差、そして戦っていた敵、どのようにして戦争が終結したかだ。何か質問が無いかと伊藤が聞くと、

 

白銀「俺が住んでいた世界とは全く違いますね。そんな戦争も無いですし、技術ももっと下ですね」

 

夕呼「わかったわ。あの件、呑むわ。その代わり機体に関しては今日中にお願いね、新OSもさっさと積んでしまいたいから」

 

伊藤「わかりました」

 

「おやおや、一体何の話をしていたのですか?」

 

伊藤は、驚き瞬時に携帯していた拳銃を抜き取り後ろに構えた。そこには見知った顔がいた。

 

伊藤「情報省の鎧衣か⁉︎」

 

鎧衣「そうです」

 

夕呼「どうやって入ったの」

 

鎧衣「普通にです。今回、用があるのは伊藤少佐の方なんです。戦略研究会をご存知ですか?」

 

伊藤「ああ、クーデターの事か?」

 

一瞬場が凍ったと言っても凍りついていたのは白銀だけだった。

 

鎧衣「知っていましたかなら話が早い。決起は明日だそうです。戦力としては帝都守備連隊とその近辺といったところでしょうか」

 

伊藤「明日か。他に情報は?」

 

鎧衣「一部の部隊に心神を配備したのは覚えていますね」

 

伊藤「ああ」

 

鎧衣「その心神なのですが数機程しか確認が取れて無いのですが関節部から蒼い炎を出す機体があると言うのですが…………どうしました少佐」

 

伊藤は呆然としていた。その"蒼い炎"がどういうものなのか知っていたからだ。伊藤は1人呟き始めた。余りにも小さな声で周りにいた白銀、夕呼、鎧衣は殆ど聞き取れなかった。伊藤は呟くのをやめ、夕呼の方へと身体を向けた。

 

伊藤「副司令、お願いがあります。現在、教導を行なっているうちのブレイド隊を一時的にA-01部隊へ編入させてくれませんか?」

 

夕呼「何故?」

 

伊藤「状況が予想していたのより最悪の方向へ行きそうだからです。"蒼い炎"については今はまだ何も言えません」

 

夕呼「わかったわ」

 

伊藤「それでは一旦、失礼します。鎧衣さん少し話しが」

 

伊藤は鎧衣とともに部屋を後にした。伊藤は一つ聞くことがあったからだ。情報省からの要請だと言って現在、出撃中の部隊についてだった。

 

伊藤「黒鉄は一体、何の任務についているんですか?」

 

鎧衣「おやおや、聞いて無いんですか?」

 

伊藤「別の隊だからな」

 

鎧衣「護衛と言っておきます。ここで話すことではないので」

 

伊藤「わかりました。では失礼します」

 

伊藤はA-01がいる格納庫へと向かった。

 

伊藤「ブレイド隊集合!」

 

呼びかけると伊藤の前に整列した。現在の状況を説明し一時的にA-01へ編入させる事も話した。詳細については統合軍基地に戻ってから話す事にした。

 

「少佐それは編入することは良いんですが、機体はどうやって持って行くのですか?幾ら自動追尾装置があるからと行って市街地を飛ぶわけですから何かあったらヤバイですよ」

 

伊藤「そうだな。持ってくるのは全部で9機だからな」

 

「統合軍基地に来てもらって乗って行ってもらった方が早いのでは?」

 

伊藤「そうして貰おうか。一応、副司令には許可はもらってるし。伊隅大尉、ちょっといいかな」

 

伊隅を呼んで事情を説明した。副司令から許可をもらってるいることもあり難なく了承してもらった。9人いたので3人ずつジェスタのコックピットに乗ってもらっていた。搭乗すると驚きの声が上がっていた。操縦席を囲むように映し出されている映像に。

強化服を使っての網膜投影と違って、映し出される映像が綺麗だったのだ。

全員が乗り込むとハッチを閉め、01式MS輸送機に機体を乗せ発進した。伊藤も少し遅れて飛び立った。

 

そんな中で、ブレイド隊は伊藤との回線を切りあることを話していた。

 

「こちらブレイド3、3人乗ってます」

 

上丘「ブレイド1も同じく」

 

「ブレイド2は2人です」

 

上丘「伊隅大尉、A-01は全員で9人ですよね?」

 

伊隅「ええ」

 

上丘「誰だかわかりますか?」

 

伊隅「全員、点呼を取るぞ」

 

名前を呼んでいくと1人応えない者がいた。

 

伊隅「風間少尉がいませんね」

 

上丘「ほぼ当たりだな」

 

伊隅「まさか、風間と少佐が?」

 

上丘「そのまさかですね。秘密にしといて下さいよ。バレたらどうなるかわからないので」

 

伊隅「わかりました。全員聞いたな」

 

他のメンバーから返事が返ってきた。そうこう話している内に基地に到着した。

機体は既に強化服様に整備が進められていた。武装に関しては主に実弾系の兵装がメインで装備されていた。

 

伊藤「兵装に関しては何か必要な者があったら言って下さい」

 

伊隅「わかりました」

 

話をしていると遠くの方で話している奴らがワザと聴こえる声で話していた。

 

「国連の雌犬が何の様だ」

 

「帝国軍に入らず何故、あの国連に裏切り者どもが」

 

すると話している奴らの前にブレイド2、3が出て何処かに連れていった。

 

伊藤「すいません。うちの奴が」

 

上丘が後ろから伊藤に声を掛けた。

 

上丘「伊藤少佐、確認しました」

 

伊藤「どこの隊だ?」

 

上丘「ブラボー大隊第1部隊スカイ隊で間違いないですね。一応、スカイ隊を除いた各隊の隊長、ガード隊にも連絡をしておきます」

 

伊藤「そうしてくれ」

 

伊隅「ここにもああいう人はいるものなんですね」

 

伊藤「一部ですがね。どうしても大きくなるにつれてああいう輩が出て来るのが現実ですからね。困ったものです」

 

伊隅「少佐、シミュレータを貸してもらってもいいでしょうか?」

 

伊藤「いいですよ」

 

伊藤は近くに誰かいないかと探すと暇そうに歩いてきたスピア隊隊長緒形を呼び止めた。

 

伊藤「すまん。A-01部隊の方達を強化服用のシミュレータルームに連れてってくれないか?」

 

緒形「ええ、いいですよ」

 

緒形に連れられ歩いていった。

 

 

 

 

伊藤「ブレイド隊いるか?」

 

上丘「全員います」

 

伊藤「状況が状況だから早めに伝える。情報ではクーデター部隊の中に"n_i_t_r_o"を装備している事がわかった。何故、搭載されているかは黒鉄中佐がいないのでわからんが今回の戦闘は一瞬でも気を抜いたら死ぬことを意味する。そのため、一時的にではあるが心神への搭乗を通達しそのまま、A-01部隊へと編入する。

なお、当該機を見つけた場合は、リミッターの解除を許可する」

 

上丘「了解しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらランサー4、狙撃位置についた。現在のところ動き無し、送れ」

 

「ランサー3、車両で待機する。送れ」

 

黒鉄「こちらランサー1了解。現在、ランサー2とともに目標の護衛にあたっている。状況が動いた場合は直ぐに攻撃を開始しろ」

 

「「「了解」」」


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