Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第四十四話

明け方

 

黒鉄「ランサー隊全機、出撃する。帰投予定は明日1700時だ」

 

「了解しました」

 

統合軍基地より4機の可変機が飛び立った。

新型機3機を引き連れているこの隊は、主に特殊部隊として運用される予定で、対人・対BETA並びに白兵戦を想定して訓練されている。そのため現在は部隊章をつけておらずどこの隊にも属していない。

 

 

統合軍基地第1ゲート前

 

伊藤は、統合軍で使用している車をゲート前に止め、唯依が来るのを待っていた。数分後、唯依がゲート前にやってきた。

 

唯依「遅くなったかしら」

 

伊藤「いや、俺が早く来すぎただけだ」

 

伊藤と唯依は、車に乗り港へ向かった。

 

伊藤「唯依、そういえばあいつらなんかあったのか?なんか黒鉄が複雑な事情があったて言ってるんだが」

 

唯依「何も情報がいってないの⁉︎」

 

伊藤「ああ」

 

唯依「簡単に言うと亡命だ」

 

伊藤「亡命⁉︎アルゴス試験小隊全員がか⁉︎試験地を変えるていう話だったろ?」

 

唯依「それは表向きの話だ。亡命をするのはユウヤ1人だ」

 

伊藤「理由は?」

 

唯依「あまり、詳しくは話せないんだが、ユーコン基地で封印中だった。F-3が奪取されかけてな、何とか防いだもののその奪取しようとした国が……」

 

伊藤「アメリカか」

 

唯依は頷いた。

 

伊藤「まあな、自国を超える戦術機をそのまま放っておく筈もないからな」

 

唯依「本当は、黒鉄が目覚めた次の日に来る予定だったの。でも先の件で予定が変わり、迎えに行った護衛部隊と合流する事が出来なかったの」

 

伊藤「護衛部隊はどこのだ?」

 

唯依「即応部隊ガード隊4機、護衛艦艇3隻、輸送艦1隻の護衛部隊よ」

 

そうこう話している間に港に着いた。

この港は、統合軍が保有している軍港である。現在、統合軍が保有している艦艇は戦艦2隻、装甲空母4隻、護衛艦艇6隻、その他数隻ほどである。殆どの艦が新造艦や改修艦である。装甲空母に関しては、ナイトメアやF-3を搭載する事を前提に作られたため従来の装甲空母よりも大きくなってしまった。

 

湾外から数隻の護衛艦艇に連れられ一隻の輸送艦が入港して来た。向かう途中で攻撃を受けたのだろう護衛艦艇の一隻は主砲がなくなっていた。

輸送艦は接岸し、中から人が降りてきた。最初は、怪我人が優先的に運ばれ、その中には見知った者も少なくはなかった。機体も運び出されボロボロになった心神が陸揚げされていた。

ユウヤが降りて来るのが見えた。憔悴しきった様子だった。ユウヤが伊藤と唯依の方へ歩いてきた。そして、唯依の前で立ち止まり、

 

ユウヤ「中尉、すまない。あんたから預かった心神、ボロボロにしてしまった。すまない」

 

ユウヤは涙を流していた。

 

唯依「よい、今はブリッジス少尉がこの場に居るだけで」

 

唯依も涙を流していた。

 

伊藤「よし乗れ、話は着いてからだ」

 

 

 

日本、旧横浜市街

 

黒鉄「全員準備は?」

 

「「「よし!」」」

 

黒鉄「3、2、1、突入!」

 

勢いよく部屋になだれ込み、設置されている的の急所に弾丸を撃ち込んだ。

 

黒鉄「クリア。状況終了」

 

まだまだ、ぎこちない部分もあるものの特殊部隊としての動きは様になってきていた。

 

黒鉄「今回はこれで終了。明日の朝からMSを使った対人戦闘を行う」

 

「了解」

 

 


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