Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第四十三話

伊藤「セイバーより全統合軍機へ、これより俺が指揮を執る。ブレイド隊は、前衛にて要撃級やその他のBETAを狩れ、ナイトメア隊は、突撃級ならびにこちらが撃ち漏らしたBETAを狩れ、各機、BETAを殲滅せよ!」

 

ブレイド隊は、装備している大剣を振り回し迫り来るBETAを次々と吹き飛ばしていった。再度、防衛線を構築するための時間稼ぎとして戦闘をしていたが、構築を完了する前に殆どのBETAを殲滅し終えていた。ブレイド隊の損害はほぼ無く、ブレイド隊だけを見るなら完勝であった。ナイトメア隊は、大破2、中破1、小破5、イージス隊、大破1となった。今回の戦闘で統合軍結成以来、始めての戦死者がナイトメア隊から出た。

対潜戦闘中に佐渡島からのレーザー攻撃を受けた。高度制限が想定より低く回避が間に合わなかったのだ。現在のナイトメア隊の練度では低空でのレーザー回避は出来ず、ただ低く飛ぶのみである。レーザー回避が出来るのは伊藤と旧ナイトメア隊第2分隊のみである。

 

「CPより全統合軍機へ、BETAの殲滅を確認。繰り返すBETAの殲滅を確認。全機、帰投せよ」

 

伊藤「セイバーより各機へ、帰投だ。機体が損傷している者はこちらが乗ってきた輸送機で基地へ帰投しろ。ブレイド隊は生存者を探索後、統合軍基地へ帰投する」

 

 

 

統合軍基地

 

新潟県沿岸部での戦闘の様子はリアルタイムで知らされていたため基地内の雰囲気は重々しかった。だが基地内にいる殆どの者がわかっていた。この先、同じことが続くことを。衛士なら誰でもわかることだった。今日の朝いたやつが夜にはいない、今日いたやつが明日にはいないと、BETAとの戦争が激しさを増すたびに多くの仲間を失うことは。

 

「おい、帰ってきたぞ」

 

「半数近くが損傷しているな」

 

「第1隊は、当分出撃できないな。あれじゃあ、殆どの機体がオーバーホールだな」

 

ナイトメアから次々と衛士が降りて来ていた。歩ける者は数人足らずで殆どの者が救護班から肩を貸してもらいながら歩いてきていた。中には負傷した者もいたため担架で運ばれた者もいた。

事実上、第1隊は壊滅状態に陥っていた。

 

数時間後、ブレイド隊も帰ってきていた。伊藤は、報告のため作戦指令室へと向かい今回の戦闘結果を伝え、作戦指令室を後にした。格納庫に向かおうとしたところ黒鉄に呼ばれ黒鉄の部屋に入った。

 

黒鉄「ご苦労だったな」

 

伊藤「月に比べたら楽なもんだよ」

 

黒鉄「少し、無理してるんじゃないのか」

 

伊藤「まあな。部下を無くすのはつらいよ」

 

黒鉄「戦闘の様子はリアルタイムで観ていたが、やはり練度の低下は見ても明らかだな。本当はこのまま休暇を取らせるべきなんだが今回ばかりはお前に任せる。休暇を取らせるのもよし、練度を上げをするのもよしだ」

 

伊藤「わかった。それよりお前の方はどうなんだ?」

 

黒鉄「俺の方はうまくいってるよ。今はCQB戦闘を主にやってる」

 

伊藤「準備は万端か」

 

黒鉄「そうだな。1つ頼みがあるんだが」

 

伊藤「なんだ?」

 

黒鉄「ユウヤがもうすぐ港の方に到着するから唯依と一緒に迎えに行ってほしい。本当は国連軍横浜基地なんだがちょっと複雑な事情が発生してな、理由は唯依に聞いてくれ」

 

伊藤「わかった。教導の件は引き続きか?」

 

黒鉄「ああ」

 

伊藤「了解した」

 

伊藤は車を出し、港の方へ向かった。

黒鉄は部屋に残り、部隊員へ秘匿回線を繋げた。

 

黒鉄「ランサー隊に通達する。1500時に飛行訓練を開始する。弾薬、燃料を満載して待機せよ」

 

 


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