Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第四十一話

教導隊としての1日が始まった。

伊藤とブレイド隊は、前に出て訓練の日程を説明していた。伊藤の正面にはA-01部隊全員が整列して話を聞いていた。

 

伊藤「最初にどのくらいの腕か見てみたいので午前中はシミュレーターで、午後はそれに応じての訓練とする。シミュレーターでの相手だがこちらのブレイド1、2、3が相手をする。機体に関しては午前中のシミュレーターでは自由に使ってよい。俺たちの機体も入れとくから勝手に使ってくれ」

 

シミュレーターは全員分あったがA-01部隊の操縦技術を見るため二回に分けて行なった。

 

伊藤「なかなかいい動きをしてるな」

 

ブレイド1「そうですね。だが、まだ堅いですね」

 

話をしていると伊隅が話しかけてきた。

 

伊隅「お久しぶりです。少佐」

 

伊藤「あの戦闘以来ですね。どうですか調子は?」

 

伊隅「まあ、ぼちぼちですかね」

 

ブレイド1「お久しぶりです大尉」

 

伊隅「あの時はありがとうございました」

 

月面での戦闘時、何度か危ない時がありその度にブレイド隊がカバーしていたのだ。どんなに腕が良くても乗っている時間が短ければ機体の特性を掴めず、何かしらのボロが出でしまうからである。

 

ブレイド1「流石は基地司令部直轄部隊ですね。うちのファング隊とそんなに変わらないんじゃないんですか?」

 

伊隅「いえ、そんな事は……」

 

伊藤「正直なこと言っていいんですよ。ここには我々しかいないんですから」

 

伊隅「では、言わせてもらいます。あの程度の練度ならこのA-01部隊より格下だと思っています。これといった回避運動をせず、ただ降り、ただ撃ってるだけではどの国の衛士でも出来ることです。私から見て、あの中で一番練度が高かったのは私と神宮司軍曹の護衛にあたっていたランサー隊とブレイド隊です。自分だげではなく周りの僚機に対しても十分に援護出来るのは貴方がたしかいませんでした」

 

伊藤「その通りです。A-01部隊隊長伊隅みちる大尉。いや、伊隅ヴァルキリーズの方が正しいですかね。我々もあの戦闘の後、考えさせらることが沢山ありました。主に目立ったのは、指摘された通りの練度不足です。いくら戦術機に乗っていたベテラン衛士でも機体が変わるだけで扱える技術はあるが戦闘時の技術がほとんど無かった事です。我々が使用している兵装は主に荷電粒子いや、ビーム兵器と言った方が分かりやすいですね。ビーム兵器のほとんどが掠っただけでBETAを戦闘不能状態までもっていくことが出来る。その慢心が練度不足に繋がったんではないかとこちらは思っております」

 

ブレイド1「逆に我々のブレイド隊は主に近接格闘をメインに行なっています。月面での戦闘でも分かると思いますが、ブレイド隊はあの戦闘で射撃系統の兵装は殆ど使用していません。まあ、ランサー隊の方はあの人の直轄部隊なので元から腕は立つんですけどね」

 

伊隅「すいません。1つ聞きたいことが………」

 

室内に取り付けてある電話のベルが鳴った。ヴァルキリーズのメンバーが応待すると伊藤への電話だった。

 

伊藤「もしもし伊藤ですが?」

 

「伊藤少佐、イージス隊からの情報です。佐渡のBETAが入水、数は不明です。現在、ナイトメア第1隊が出撃準備中です。予想、上陸地点は新潟県沿岸部です。現在、帝国軍、国連軍ともに防衛態勢が敷かれました。統合軍司令部からも現在、教導活動を行なっているブレイド隊に対しても出撃命令が出されました」

 

伊藤「わかった。こちらは2時間以内には出撃する」

 

「わかりました」

 

電話が切れ、受話器を戻した。ブレイド1は内容を悟ったのか伊藤を見ていた。

伊藤は部屋全体に響き渡る声で、

 

伊藤「スクランブル‼︎佐渡のBETAが入水、上陸予想地点は新潟県沿岸部!各自、機体の整備を1時間以内に終わらせとけ今から2時間以内に出撃する!」

 

「「「了解」」」

 

一斉に出撃準備に取り掛かった。

 

伊藤「伊隅大尉、そういうことだから一旦、教導隊としての活動は、休止する。もしかしたら貴方達にも出撃要請が降りるかもしれない。その時は戦場で会おう」

 

 

???「大尉どうかしたんですか?」

 

伊隅「さっき彼らが言ってた通りだ。BETAが入水したそうだ」

 

???「副司令からは何か?」

 

電話が掛かってきた。受話器を取ると伊藤が言った内容と同じ事が伝えられ、ヴァルキリーズも出撃準備に入った。

 


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