Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第三十八話

戦闘詳報

 

国連軍横浜基地所属

神宮司まりも軍曹

 

作戦が開始され、第1降下部隊が攻撃を始め数十分が経過した時、作戦の予定がはやめられた。私は第2降下部隊のデルタ大隊第1部隊ランサー隊、ブレイド隊とともに降下した。光線種がいないこともあり無事に月面に到達することが出来た。第1降下部隊と合流後、BETAの殲滅を開始した。

帝国内で実戦配備されつつある心神F型に乗りその性能に驚かされた。従来の戦術機と違い、自分が動かしたいと思った方向に滑らかに動くからだ。シミュレーター中に聞いた話では平地での光線種の攻撃も簡単に回避出来るということだった。もしこの機体が配備されれば光線種での死亡率は減少するだろう。

兵装については、申し分ない威力だ。荷電粒子砲やレールガンなどまだまだ実戦配備には程遠いと思っていたがこの兵器が全ての国に配備されればBETAから奪われた土地を奪還するのも容易だろう。対BETA戦術も根本から見直されるだろう。今まで光線種を倒すためのレーザーヤークトだが戦術機での突貫をする必要があったがこの兵器を使えば突貫する必要もなくなり遠距離での狙撃で片付けられ衛士の生還率が確実に上がる。

ただし、これらの兵器を使いこなせるかは衛士の腕だろう。機体は従来の戦術機と違い操縦桿でほぼ全ての操作をする為、繊細な操縦技術が必要になる。もし間違った操縦をすればFF(フレンドリーファイア)を起こし友軍に甚大な被害をもたらすことになるだろう。もし全ての部隊がこの機体に変えるとなると再度操縦訓練をしなければいけない。私ですら操縦には時間を要した。逆に新兵に訓練をさせればベテラン衛士より速く乗りこなせる今からでも訓練すればいい衛士が出来るだろう。

戦闘中、新種の大型BETAと遭遇した。形状はワーム型で、口から多数のBETAを排出した中には多数の要塞級がいた。もしこのBETAが地球に存在したとなると撃退するのは、ほぼ不可能だろう。しばらくすると撤退命令が下され我々は殿となった。だが、アルファ大隊の伊藤少佐が一旦艦に戻り装備を整え突撃を開始した。伊藤少佐が率いるセイバー隊は4機編成で各機体には大型ミサイル1発ずつ積まれていた。そのミサイルが着弾すると大爆発を起こし命中箇所は大きな穴が開いていた。威力的には核爆弾以上G弾以下くらいである。最後に伊藤少佐が大型BETA内に侵入内部でミサイルを放ち大型BETAが大爆発を起こした。すると地表で活動していたBETAの動きが止まった。この事から大型BETA内部に反応炉があり、そのため大爆発を起こしたとされる。そこからは殲滅戦に入り地表からBETAを一掃し月を奪還した。

 

 

 

 

 

 

 

作戦終了後、前線基地内

 

伊藤「全員、作戦お疲れさま!幸い死者も出ず作戦を成功出来てよかった。今日は作戦成功祝いだ全員食って飲め!乾杯!」

 

「「「「「「乾杯!」」」」」

 

作戦が無事終わり、デブリーフィングもそうそうに切り上げ全部隊合同での反省会を行なった。食べ物は前線基地に隣接してある食料プラントで作っていた天然物の食べ物である。全員が一斉に食らいつき、酒も浴びるように飲んでいた。

 

伊藤「(こりゃ、明日は完全に機能しないな)」

 

上総「伊藤、久しぶりね」

 

伊藤「おう、どうだそっちの調子は?」

 

上総「まあまあね。機体にもやっと慣れて来たし」

 

伊藤「あの機体は可変機でくせが多いからな。だがもし完全に使いこなせるようになったら作戦の幅が広がるし後はお前専用の部隊を作ってもいいと思うぞ」

 

上総「私にも一応あるわよ」

 

伊藤「それは可変機構を全く活用しない狙撃部隊だろう。それでもいいが出来るなら可変機の部隊を作れ」

 

上総「可変機なんてうちの隊には」

 

伊藤「もう一回、製造プラントに行ってこい。設計図があるはずだ。エンジンはジェスタのを使えばいい」

 

上総「わかったわ」

 

話をしていると伊隅大尉が走ってきた。

 

伊隅「すいません、少佐。神宮司軍曹を止めてもらいませんか?」

 

伊藤「なんかあったか?」

 

話によるとまりもは酒を一口でも飲むと暴走するらしく普段は飲まないようにしていたが今回、ブラボー大隊の連中が飲ませたらしく一升瓶を持ったまま暴れているようだった。

伊藤は耳をすましてみると、反対側の方がやけに騒がしかった。伊藤は止める方法はないかと探した結果、

 

伊藤「そこら辺にある度数が50以上のやつ数本持ってきてくれ潰して止める」

 

と言い上総と伊隅を連れまりもの方へ向かっていった。

 

 

 

 

 

地球、統合軍基地作戦指揮所

 

作戦終了から10分経過後

 

黒鉄は酸素マスクを被り通信席に座ったまま動かなかった。目覚めてすぐに身体を動かしたため負荷が掛かっていた。呼吸も一時期浅くなり気を失いかけた。

休んでいると唯依が黒鉄に向かって歩いてきた。

 

唯依「黒鉄、いつまで休んでるの。はやく自己紹介して」

 

黒鉄「誰に?」

 

辺りを見渡すと赤い斯衛の服をきた女性と紫色の髪をした高貴そうな女性が座りながら黒鉄を見ていた。

 

唯依「煌武院悠陽殿下よ」

 

黒鉄「誰?」

 

唯依「煌武院悠陽殿下よ」

 

黒鉄は気が付いたのか一瞬、表情が固まった。急いで立とうとしたが身体が動かず、すぐに座ってしまった。

 

殿下「よい、座ったままで」

 

黒鉄「では、失礼します。元クォーター級アクロススカイ搭載機動戦術MS部隊隊長黒鉄達海少佐です」

 

殿下「そなたがあの部隊の最初の隊長か?」

 

黒鉄「そうです。今は現役を退いていますが、体力が戻りしだい復帰する予定です」

 

殿下「そうか」

 

黒鉄「(全然、心が読めねえ)」

 

それから数回程、会話し退出していった。

 

黒鉄「唯依、俺は病室に戻るよ。手伝ってくれないか?」

 

唯依「いいわよ」

 

 


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