Muv-Luv〜wing of white steel〜 作:lancer008
殆ど台本形式です。
第二十八話
日本に帰ってきて数日後に査問委員会が開かれ、伊藤と唯依はユーコン基地での状況説明や質疑応答をしていた。委員会は数時間にも及んだ。
伊藤「ほとんど同じ質問ばかりだったな」
唯依「そうね。今後も何回か開くそうよ」
伊藤「まじか」
唯依「そういえば、黒鉄の様子はどう?」
伊藤「変わった様子はないよ。現在は神経細胞の再生治療と新型のナノマシンを使った再生治療を併行して行っているところだ」
唯依「いつ目覚めるとかは?」
伊藤「わからん。医者の話だと1ヶ月後か1年後かもしれないし、一生目覚めないかもしれないと。もう運に任せるしかないかもしれないな」
唯依「上総は?」
伊藤「ずっと、あの調子だ。離れようとしない」
唯依「そう。このまま私の部屋に来てくれないかしら。貴方に渡す辞令があるから」
伊藤「わかったと言いたいところだが…………」
伊藤は後ろを向いた。
伊藤「そこに隠れてるやつ出てこい」
すると帽子をかぶった中年の男性が出て来た。
???「初めまして伊藤響少尉と篁唯依中尉」
伊藤「どこのものだ?」
???「帝国情報省の鎧衣だ」
伊藤「何の用だ?」
鎧衣「いえ、少し興味があったので挨拶だけでもしようと思いましたね」
伊藤「そのわりには、気配を消していたな」
鎧衣「おっと、結構いい時間になりましたな。私はここらへんで。もし機体の開発を続けたいならご連絡下さい、力になりますので」
通路の奥に消えていった。
伊藤「言いたいことだけ言って逃げやがったな」
唯依「知っている人か?」
伊藤「知らん」
伊藤は、唯依の部屋に行き辞令を受け取っていた。
唯依「伊藤響少尉、本日から日本帝国空軍バルキリー部隊への転属を命じる。並びに階級も少尉から大尉へと昇級させる」
伊藤「拝命します」
伊藤は辞令書をまじまじと見ていた。
伊藤「みんなバラバラになってしまうな。この部隊も解散か?」
唯依「そうね。私もそのうち第零に戻れと言われるかもね」
伊藤「上総にはあのことは伝えたのか?」
唯依「まだよ」
伊藤「早めに伝えた方がいい。そつちの方が立ち直りが早い」
唯依「わかってるわ。明日ぐらいにでも伝えるつもりよ」
伊藤「そうか」
伊藤は部屋から出て、自分の部屋へと向かった。
翌日
唯依の部屋に上総が来ていた。
上総「用てなに?」
唯依「貴方に辞令よ。必ず受け取って欲しいわ。山城上総少尉。10月1日よりアクロススカイ搭載機動戦術MS部隊の隊長に任命します。それに伴い1階級昇級で中尉とします」
唯依は上総に辞令書を渡したが上総は受け取ろうとしなかった。
上総「なんで。私が隊長なの。黒鉄はまだ生きてるのよ」
唯依「上からの通達でいつ目覚めるかわからないやつにいつまでも隊長をしてもらうわけにはいかないそうよ。それと」
上総「納得いかないわ!」
唯依「上総、話はまだ終わってないわ。これは黒鉄から頼みでもあるの」
上総「黒鉄の?」
唯依「出撃する直前にアクロススカイの艦長に頼みごとをしたの。もしも自分に何かあったら日本帝国斯衛軍第20独立遊撃小隊の山城上総少尉に部隊の隊長を任せたいと」
上総は少し考え、
上総「わかったわ。黒鉄の頼みなら拝命するわ」