Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第二十六話

 

ある戦場に2つの機体が互いに斬りかかっていた。

 

眩い閃光と月の光が、暗闇の中を照らしだす。

 

周辺には、その機体達のパーツが転がり戦闘の激しさを物語っていた。

 

2つの機体の内、1つは、全身から蒼いオーラを出し、もう1つは、各関節部やスラスター部から蒼い炎が噴き出していた。

 

 

黒鉄「ALISEの野郎、中にいる伊藤を無視して機体を操っているな。このままでは伊藤の身体が持たない。やはり何機か連れてくるべきだったか、あいつらを呼び戻す訳には行かないしな。

こちらランサーからアルファ1へ、応答しろ」

 

α1「こちらアルファ1どうぞ」

 

黒鉄「そちらの状況は、どうなっている?」

 

α1「現在、基地内で戦闘中だった部隊とともにBETAの約70%を殲滅しました。もう20分程で殲滅完了です」

 

黒鉄「なら、現場の指揮を第2部隊長に移譲。第1部隊は全機、俺の元へと集結しろ。道中に武器を降ろしておくそれを回収してこい」

 

α1「了解。これより移動を開始します」

 

黒鉄「デルタカイの活動限界時間まで残り残り1時間か、それまでにきめさせてもらう」

 

再び、閃光が上がった。

 

 

 

戦場は変わり、数十分前のユーコン基地では、BETAとの戦闘が繰り広げられていた。BETAと戦闘を行なっていたのは、インフィニティーズだった。世界最強ともいわれる4機のF-22 ラプターを使い次々とBETAを倒して行ったがそれをも大きく上回るBETAの数に徐々に押し込まれていった。

そんな時、上空から戦術機をも上回る大剣を持った4機の機体が空中から降ってきた。その一振りは、突撃級の殻をも一撃で破壊する力を持っていた。その最中にも次々と機体が降りてきて、光る雨を降らしBETAを殲滅して行く。

 

レオン「お前ら、一体どこの隊だ⁉︎」

 

α1「軍機につきお答えできません」

 

レオン「なんだと!」

 

α1「但し、我々が背負っている部隊章のならお答え出来ます。"白き鋼の翼"といいます」

 

レオン「俺はそんなこと聞いてねえ。俺はどこの部隊か聞いて……」

 

インフィニティ隊長「そこまでだ。今は目の前のことに集中しろ」

 

レオン「了解」

 

インフィニティーズの周りには全部で18機にものぼる機体が降り、戦闘を開始していた。インフィニティーズは、初めてみる機体で本当に戦術機なのかと驚くことだらけだった。一番驚いていたのは、ジェスタが装備していた荷電粒子ライフルだった。いとも簡単に突撃級の殻を貫通してしまうその威力に目を奪われていた。すると上空からコンテナが降り、中から荷電粒子ライフルが出てきた。

 

α1「その武器は使っても構いません。マガジンはライフルの下にあります」

 

多数の荷電粒子ライフルが火を噴き始めたことによりとんでもないスピードでBETAを駆逐していった。

 

そこに黒鉄からα1に対し、通信が入った。数分ほとで終わり

 

α1「アルファ1からブラボー1へ、指揮権を移譲する」

 

β1「ブラボー1了解」

 

α1「第1部隊全機に告ぐ、これより少佐の元へと向かう。全機離れずについて来い」

 

α2.3.4「了解」

 

 

 

移動中

 

α1「チェックポイントまで後、数分だ」

 

1つのコンテナがあった。開いてみると中には、対MS用近接武器"刀"が4本あった。それを一本ずつ装備し黒鉄の元へと向かった。

 

α3「前方から機影接近、数は3。数分後に接触します」

 

前から来ていたのは、先程、戦線を離脱したユウヤ達だった。

 

唯依「アクロススカイの搭載部隊だな。何があった?」

 

α1「黒鉄少佐より応援要請が来たため現在向かっているところです」

 

上総「黒鉄になんかあったの⁉︎」

 

α1「大丈夫だと思いますが、何か焦っているように感じました。………」

 

上総はいきなり方向を変え、来た道を戻り出した。

 

唯依「上総⁉︎」

 

ユウヤ「唯依、追うぞ」

 

唯依「わかった」

 

第1部隊もともに追った。

 

唯依「流石、新型機ね早過ぎる」

 

ユウヤ「どんどん離れて行くぞ」

 

α1「アルファ1より、各機へブーストを使うぞ。準備しろ。篁中尉、こちらに掴まって下さい。これよりブーストを使い速度を上げます」

 

唯依「わかった」

 

武御雷と心神はジェスタに捕まりともに加速していった。

 

 

 

 

 

 

黒鉄は殆どの体力を消耗し、心は憔悴しきっていた。"n_i_t_r_o"の影響が体に出ていることが見てわかった。それは伊藤も同じだった。ALISEに身体を奪われ体験したことのない負荷に襲われていたからだ。

 

鍔迫り合いになっている最中、

 

黒鉄「伊藤、聞こえるなら返事をしろ!あの時、何があったかは知らん。だがこんな時に暴れている場合じゃないだろう」

 

伊藤からは何も返ってこない。

 

続けて語り掛けるようとした時、

 

α1「アルファ1からランサーへ、もう数分程で到着予定。尚、デュランダルがこちらの制止を振り切りそちらに向かいました」

 

黒鉄「なんだと⁉︎」

 

黒鉄はレーダーを見た。そこには物凄い速さで接近してくる友軍機の反応があった。

 

黒鉄「あいつは何やってんだ。上総来るな!巻き込まれぞ!」

 

返事がない。

 

黒鉄「上総、応答しろ!繰り返す応答しろ!」

 

上総「何よ!」

 

黒鉄「今すぐ、撤退しろ!」

 

上総「ふざけないで!役に立たないとでも思っているの⁉︎こっちはあんたがいない間、命をかけて戦って来たんだから」

 

黒鉄は上総から押し切られる形で、共に伊藤を助けることにした。

 

黒鉄「なら、後ろから援護してくれ。絶対に俺より前に出るな」

 

上総「わかったわ」

 

そして、唯依とユウヤ、第1部隊が現着した。

 

黒鉄「第1部隊に通達。バックパックをパージし、特殊格闘戦に移行。俺と共に前衛に出る。全機死ぬことは許さん」

 

α1.2.3.4「了解!」

 

黒鉄「唯依、ユウヤおまえらは、上総と共に後ろから援護。射撃武器がないなら第1部隊から貸してもらえ。全機行くぞ!」

 

殆どが、黒鉄と伊藤の格闘戦がメインだが、そこに的確な射撃や斬撃を加えてくる。徐々にEx-Sの動きが小さくなっていった。

一瞬、Ex-Sの動きが止まったところに黒鉄の斬撃が飛んだ。

Ex-Sの動きが鈍くなり蒼いオーラが減衰しはじめた。

その理由は、もともとALISEは人工知能としてコックピット付近に設置される筈だったが伊藤の手により"EXAM"同様、頭部に設置されていたからだ。そのため、頭部を破壊されたことによりALISEの力が弱まったのである。

 

しかし、現在も伊藤の身体は操られている。

 

黒鉄「伊藤、返事をしろ!」

 

上総「なんで正気に戻らないの?」

 

黒鉄「伊藤の身体には今もALISEが残っている状態なんだ。後は、伊藤自らがALISEを追い出すしかすべはないんだ」

 

ユウヤ「他に方法はないのか?」

 

黒鉄「あるといえばあるかな」

 

ユウヤ「ならそれを早く実行しようこれ以上は伊藤が持たない」

 

黒鉄は覚悟を決め、

 

黒鉄「第1部隊長、俺に何かあったら頼むぞ」

 

α1「了解」

 

黒鉄は格闘戦に入り、火花を散らしていく。Ex-Sが突きを放って来た。黒鉄は構えずにそれを受けた。コックピットを付近を貫いた。

 

上総「黒鉄ーー!」

 

第1部隊は、Ex-Sを拘束するため刀を使い全機で押さえ込んだ。

黒鉄は、ビームサーベルの供給源を断つため、Ex-Sの右腕を切り落とした。そしてデルタカイの左手でEx-Sのコックピットを掴み引きずり出し、手に持ちEx-Sから離れた。同時にジェスタも離れた。

 

黒鉄「全機、Ex-Sに向けて射撃開始。一欠片のパーツも残すな」

 

「了解」

 

黒鉄「全機、散会。半径500m以内から退避。唯依、ライフルを貸してくれ」

 

唯依「ええ」

 

黒鉄は退避し終えたこと確認し、精密射撃でEx-Sの核融合炉を撃ち抜いた。大爆発が起き、後には何も残らなかった。

精密射撃をし終えたデルタカイが光を無くし地表に落ちていった。

 

上総「黒鉄?黒鉄ーー!」

 


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