Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第ニ十ニ話

黒鉄の部隊は、アクロススカイと合流し各隊(仕様ごと)に分かれ訓練を行なっていた。

 

主に模擬戦をやっていた。戦術機とは違い繊細な操作が必要となるため実戦あるのみなのだが、最初の降下時点で光線級から撃ち落とされる可能性が9割を締めていたため模擬戦を行いレーザーの回避力を上げていた。

 

模擬戦で使用されているのはスタン弾である。ビーム兵器よりは弾速が少し遅いものの回避力を上げる為には適しているからである。理由は、実際に当たると電流が流れて痛いのである。しかも今回使用しているのは従来より少し多めに流れる仕様になっている。その為、当たるのが嫌な為、ほぼ全てのパイロットが神経を研ぎ澄まして模擬戦に除いている。

 

黒鉄は、その様子をモニターで見ながら檄を飛ばしたり、実際に参加し個々の技量を確認したりしていた。後は、現在アクロススカイを動かしている乗務員に対しての講習会やこの艦の機能などを説明し、艦の隅から隅まで動き回っていた。

 

 

ある日、黒鉄は艦長とともに艦内を歩きながら話をしていた。話の内容は、現在の状況とこれからの事についてだ。

 

艦長「黒鉄少佐、MS部隊の状況はどうかね?」

 

黒鉄「最初の頃に比べ良くはなってきましたが、まだ中間ぐらいですかね。特に第四部隊(飛行仕様)はまだ実戦には出せませんね。機体の特性もあるかもしれませんが、あの速度と機動性に身体がついていってない様子なので当分は訓練が必要ですね」

 

艦長「そうか」

 

黒鉄「どうかしましたか?」

 

艦長「いや、こちらに来てから全員が休みという休みを取っていないからな、少し休みをやりたかったんだがな」

 

黒鉄「休暇の事については艦長に任せます。こちらもそれに合わせるので」

 

艦長「わかった。なら明日は休みにする。MS部隊にも伝えといてくれ」

 

黒鉄「わかりました」

 

歩きながら話しをしていると格納庫付近を歩いていた。入ると中で作業をしていた整備員がこちらに気づき敬礼をしたためこちらも答礼をした。

最初は、ジェスタを置いている格納庫を歩き、その次にデルタカイが置いてある格納庫に行った。ジェスタが格納してある格納庫と違い中は、デルタカイ1機しかなくがらんとしていた。

 

艦長「少佐、この格納庫は貴方専用の格納庫かい?」

 

黒鉄「いえ、この格納庫は、ジェスタが置いてある格納庫と違い天井が低いためこのように戦闘機形態を持っている機体しか置けません。なので昨日、新設された帝国空軍バルキリー部隊との合同作戦時に補給場として使用出来ます。後、もう何機かこの機体と同タイプの機体が送られてくる予定ですので、着き次第この格納庫に格納します」

 

艦長「その機体のパイロットはどうするのかね?」

 

黒鉄「バルキリー部隊から何人か送ってもらう予定です」

 

艦長「そうか」

 

また歩き出した。艦長室に移動し今後どうするかを話した。

 

艦長「これからどうするかね。次の作戦までもう3ヶ月程しかないがいつ月に向かうかね?」

 

黒鉄「現在の技量では、地表に到達する前にジェスタ部隊の半数が死ぬでしょう。その為、当初の計画では今月中にも月に赴き実戦をする予定でしたが訓練期間を延ばし来月に行くというのはどうでしょう?」

 

艦長「考えどころだな。早めに地球への降下訓練もやらなくていけないからな。もし今から降下訓練をするとしたら何処がいい?」

 

黒鉄「本当は帝国に降りたいのですが何分、佐渡にいる光線級の攻撃を食らってしまうので、私が先週までいた国連ユーコン基地はどうでしょうか?」

 

艦長「アメリカから何か言われないか?」

 

黒鉄「大丈夫でしょう。あそこは世界各国の戦術機が集まり試験などを行なっている場所です。帝国の新型が出てくるだけなら問題ないでしょう」

 

艦長「ではそうしようか。日程は来週の月、火曜日に行う。ただし、第四部隊に関しては訓練をそのまま続けるという事で」

 

黒鉄「わかりました。あちらへの連絡は私がやっときます」

 

そう言って、艦長室を出て自室へと向かった。

 

自室にて、伊藤へメールを送り、書類を片付けた。来週の事を伝えるためジェスタがある格納庫へ向かおうと思いついでに模擬戦に参加するためパイロットスーツに着替えた。部屋を出ようしたところメールが来たため見てみると許可が出たとのことだった。

 

ジェスタ格納庫

 

パイロット全員が集まり、黒鉄からの連絡事項を聞いていた。

 

黒鉄「来週の月、火曜日に地球に向けての降下訓練を行う。降下する場所は国連ユーコン基地だ。日本に降りたいところだが、佐渡にいる光線級の攻撃にあうことが予想されるためである。降りる部隊は、第一、第ニ、第三部隊である。第四部隊に関しては訓練を継続する。

あともう一つ、明日は休暇とする。以上解散」

 

 

 

 

 

 

 

 

降下訓練当日

 

黒鉄自身は、降りてくる部隊の為に先に降りて誘導をしようと思いパイロットスーツに着替え出撃する準備をしていた。ふとメールが入り見てみると伊藤からだった。見てみると"降りて来るな"と書かれていた。どうしたんだと思いメールを返したが10分待っても返信がなかった。その為、伊藤の部屋に繋がる直通回線を開いたが通じなかった。

黒鉄は、嫌な予感がしたため急いで部屋を出ようとした時、艦内にアラームがなり響いた。ブリッジに向かった。

 

ブリッジに着くとMS部隊は待機命令が出されていた。

 

黒鉄「艦長どうしたんですか⁉︎」

 

艦長「帝国から緊急連絡だ。降下訓練で使用する基地でテロが発生。基地が奪取されたとのことだ。基地内に残っている日本人の安否は不明だ」

 

黒鉄「(あいつら大丈夫かあ?)他に情報は?」

 

艦長「警備部隊の機体が奪われたそうだ。実弾搭載のな」

 

黒鉄「それは、また面倒な。帝国からは何か言ってきましたか?」

 

艦長「何も」

 

黒鉄「もしもの場合に備えて、第2部隊の方から2個小隊(4機編成)準備させましょうか?」

 

艦長「頼む」

 

黒鉄「了解しました」

 

黒鉄はジェスタがある格納庫に向かい、第2部隊長を呼んだ。

 

黒鉄「念のため、2個小隊編成し、降下ポット内で待機させる」

 

2隊長「念のためですか?」

 

黒鉄「念のためだ」

 

2隊長「了解しました。各小隊ごとから選りすぐりを選び編成します」

 

黒鉄「頼むぞ」

 

黒鉄は、伊藤と通信をする為、艦橋に戻り通信を試みた。

まず、最初に伊藤が現在所属しているナイトメア隊に通信を試みたが繋がらなかった。次にYF-29に繋げた。すると伊藤が通信に出た。

 

黒鉄「伊藤!大丈夫か⁉︎」

 

伊藤「俺やアルゴスメンバーは大丈夫だ。ただ、ナイトメア隊は殆ど全滅した。出撃しようと格納庫を出た瞬間を狙われた」

 

黒鉄「そうか、これからどうするつもりだ?」

 

伊藤「反撃に出る。俺はEx-Sで出る。敵の戦力がわからない以上、最大の攻撃力で相手を叩くしかない。"攻撃こそ最大の防御"て言うだろう」

 

黒鉄「そうだな。だが無理するなよ。こちらも、もしもの場合に備えて部隊を待機させてある」

 

伊藤「わかったよ」

 

黒鉄は通信を切った。

 

黒鉄「観測士、リアルタイムでユーコン基地を観測できるか?」

 

観測士「できます」

 

黒鉄「なら頼む。何かあったら連絡を頼む」

 

といい、出て行こうとした時、

 

黒鉄「もう一つ追加で変なエネルギー波が観測された場合も頼む」

 

走って自分の機体の元へと向かった。

 

 


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