Muv-Luv〜wing of white steel〜 作:lancer008
補給を終えユーコン基地に向かっていた黒鉄は後方を追尾してくる機影に気づいた。ステルス機なのだろう。中々レーダーに映らず最初は鳥だと思っていたが、妙に速いことに気付いた。そこでレーダーの出力を上げると4機の戦術機が追ってきていることがわかった。
ステルス機を保有している国は限られてくるためなんとなく予想はついていたが念のため機体を確認することにした。
急減速する為、MS形態になり前方に向けスラスターをふかした。一瞬のすれ違いだったが、その独特のシルエットで機体がわかった。
機体は黒いF-22 ラプターだった。
確認したのち、ウェイブライダー形態になり、すぐさま後ろをとり、通信を繋げた。
黒鉄「こちらは国連ユーコン基地アルゴス試験小隊所属黒鉄 達海少佐だ。貴官の所属を述べよ」
返答はなかった。
黒鉄「(やはり返答はないか)」
他の3機が黒鉄を包囲する為、間合いを詰め出した。
だが、簡単には捕まりたくないため、今度は警告を発する。
黒鉄「貴官の所属並びに目的を述べよ!述べなければこちらもそれ相応の行動をする。(火器管制起動、前方の機影に対し標準合わせ)」
黒鉄は前場にいるラプターに対しロックオンした。
いつでも撃てる態勢を整え、他の3機にも警戒した。
黒鉄「最後通告だ。今すぐ立ち去るか、ここで撃墜されるのかどちらがいい?」
前方にいるラプターが方向転換をし他の機体を連れて去っていった。
黒鉄「(ふぅ〜〜〜、戦闘にならずに済んで良かった。さすがはアメリカだな)」
黒鉄は遅れた分を取り戻すため速度を上げた。
ユーコン基地には伊藤達が帰ってきていた。早速、心神にウィングパックを装備させていた。パックをつけると兵器担架システムが使えなくなるため従来の兵装のほとんが装備できなかった。そのため荷電粒子ライフルなどを装備し74式長刀に関してはウィングパックの上部につけた。
ウィングパックを装備すると航続距離は上がるもの積める兵装が少なくなるデメリットがある。
ユウヤ「積める兵装が少なくなるな」
ヴィンセント「まあ、その分航続距離は上がるがな」
ユウヤ「こう見るとまだグランドパックの方が装備的にはいいんじゃないか?」
遠くから伊藤が
伊藤「装備的にはそう見えるが、案外ウィングパックの方が使い勝手がいいんだ」
ユウヤ「なんでだ?」
伊藤「グランドパックの武装は殆どが使い捨てだ。弾切れを起こしたらパージして、帰投したらまたその兵装を積むていう感じになるんだ。その分コストはかかるし、時間もかかる。
逆にウィングパックの方は兵装は少ないが航続距離などが上がり戦闘時間が長くなるから戦線を維持できるしコストはやすい」
ユウヤ「機体と同じく追加パックも一部だけ特化しているな」
伊藤「まあ、乗り手が凄ければその特性を簡単に活かせるよ」
ユウヤ「簡単に言うなよ」
どこからかエンジン音が聞こえてきた。
黒鉄がユーコン基地に帰投していた。
整備員と数回会話した後、伊藤達の元に歩いていった。
黒鉄「どうだ追加パックの調子は?」
ユウヤ「どうもこうも一部分に特化し過ぎなんだよ。全くどんな設計してるんだよ」
黒鉄「まあまあ、あの設計じゃないと最大限はっきできないから」
伊藤「そういえばお前こっちで使う機体はどうすんだ?」
黒鉄「あれデルタカイじゃだめなの?」
伊藤「デルタカイとEx-Sに関しては機密扱いなの」
黒鉄「俺も心神に乗るかな」
伊藤「いいんじゃねえの」
黒鉄「心神のリミッター解除版で」
伊藤・ユウヤ「へ⁉︎」
伊藤「リミッター解除て、お前は一体どんな機体を作ったんだ?」
黒鉄「前にも言ったようにデルタカイと同等の機体。但し性能を同じくらいまで高めるとパイロットがもたないからリミッターをかけた」
伊藤「リミッターの件は、初めてだよ」
黒鉄「まあ、頑張ってくれ」
黒鉄はどこかに歩いていった。
ユウヤ「人事だな」
伊藤「まあ、戦闘になるとちゃんとするからいいんだが」
黒鉄は報告をする為、唯依の部屋に向かった。
部屋に入り報告を始めた。
黒鉄「只今、帰投しました」
唯依「護衛ご苦労、あとその口調はどうにかならないのか?黒鉄の方が階級は高いだろう」
黒鉄「こっちにして見れば、唯依は俺たちの隊の隊長だろう。そう見れば幾ら唯依の階級が俺より低くかろうとこの隊いや、斯衛での隊長だ直属の上司だ。だから普通に命令してくれればいい」
唯依「わかった。では黒鉄、報告は以上か?」
黒鉄「いや、非公式で1つある」
唯依「なんだ?」
黒鉄「帰投中、アメリカ軍のF-22 ラプターの攻撃というか捕獲にあった」
唯依「それでどうなった。攻撃したのか?」
黒鉄「まさか、そんな真似はしないよ。まあ後ろからロックオンくらいはしたがな」
唯依「その後は?」
黒鉄「撤退していったよ。まあまた、すぐ会うと思うがな」
唯依「そう。その事については内密にしといて」
黒鉄「了解。1つお願いがあるんだが」
唯依「何?」
黒鉄「俺が演習などで使う機体を頼みたい」
唯依「その必要はないわ。あなたは作戦指揮の補助をやってもらうから。あと、のちのち帝国に行ってMS操縦の教官をやってもらう予定だから」
黒鉄「…………………」
黒鉄は黙った。
黒鉄「わかりました。艦員も決まったら向かいます。失礼します」
黒鉄は扉の方に歩いていった。廊下に出ようとした時に
黒鉄「ユウヤなら、格納庫にいるぞ。少しは話して息抜きでもしろよ」
唯依「なっ、余計なお世話よ!」
黒鉄は寝るために自室へと向かった。
結構な時間、話していたらしく既に夜になっていた。黒鉄は立ち合いのもと機体の整備をする予定だったが疲れたのか寝てしまった。
唯依は、月明かりの下でユウヤと話しをしていた。話しといっても追加のパックや機体のことについてだ。
唯依「追加パックだが扱えそうか?」
ユウヤ「ああ、大丈夫だよ」
唯依「ならいい」
ユウヤ「わざわざそんな話しをする為に来たんじゃないだろう」
唯依「そうだ。今から話すこと秘密にしといてくれ」
ユウヤ「わかった」
唯依「もう数ヶ月後に…………」
話をしている時にブレーキ音がなり車が横に止まった。
???「もしかしてユウヤ?」
ユウヤ「ん⁉︎」
???「やっぱり、久しぶりねえ」
ユウヤ「シャロン⁉︎何故お前がここに?お前!」
ユウヤは助手席に座っている男を睨んだ。
???「おいおい、どうした?お楽しみ過ぎて俺を思い出せないのか?」
ユウヤ「安心しろお前のムカつく面は忘れやしねえよ」
ユウヤと唯依は2人がいる方に近づいていった。
唯依「ブリッジス、この方は?」
ユウヤ「名は、レオン・クゼ。俺と同じ日系人だ。前にいた部隊でバディを組んでいた」
レオン「ああ、昔の話さ」
突如、上から戦術機が降りてきた。
ユウヤはその機体と部隊マークを見て驚いた。
ユウヤ「F-22 ラプター。アメリカ陸軍第65戦術機教導団"インフィニティーズ"!」
レオン「遊びは終わりだ」